小説『涙と桜』
作者:樹緑()

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私はあの男を見返すために
警察の道に入った
そして、一番あの男たちに近付くために
要人警護官いわゆるSPになった
願いが達するのはいつのことか

「では、こちらへ」
そう、今回を守ることになっている人に妹が声をかける。
「うむ」

今回、護衛をするひとは。
日丸商事の武蔵次期社長だ。
しかし、社員の給料を減らしたあげく大量リストラしたためにいろいろなところから恨まれている。
殺そうとしている報復者がいるかもしれないと今回護衛の依頼を警視庁に出した。
『このイベントだけは外せないんだ』と中止してはという警察の意見を軽く受け流した。
『これは当然だ』と言わないばかりにふんぞり返っている。
そして、警視庁の方も渋々ながら特殊警護課すなわちSPに今回の護衛を指令した。

映画館に配備される特殊警護課の面々。
そして、直接護衛主を警護するのは私の妹。
『何かあったら遠慮なく言ってくれ』と言ってくれるのは霧堂さん、がっしりした体格に似合わず根は優しい大男。
『配置を忘れないでくださいよ、これか後に響くので』といつものように少し口調が厳しいのは和葉さん、いつも言っている言葉は厳しいが『いざ』と言うときにはとても役に立つ私の姉さんみたいな人。
『護衛主がそろそろくるぞ』と全員に話しているのは榎波チーフ、この特殊警護課の総責任者であるがいつも気がゆるんでいるように見えるという少し不思議な人。

妹「護衛主会場入り口に到着、これから、入ります」
榎波「とのことだ、全員気を引き締めて取り組め」

そして、会場入り口付近の警護官はあたりを見渡した。
私(姉)は会場内を鮮明な映像を見ていた。
もちろん、防犯カメラではない。
それでも、会場が鮮明に見えてしまう。

あの、忌まわしい事件の後に「一部を見渡す」というのと「全体が見える」の二種類の見方ができるようになった・・・
そのことを医者に聞くと、事件のあまりのもショックが強いためにそんなことができるようになったという。
曖昧なために私もこのことをチーフにだけ伝えているが警護課の人には伝えてはいない

姉「今のところはいなさそうです」
榎波「そうか、引き続き警戒してくれ」

そういっていると妹からの連絡が入ってきた
妹「会場内に入りました」
榎波「霧堂、サポートに回れ」
霧堂「了解です」
姉「B-3地区に少し不審な男性がいます、マークします」
榎波「私もみておこう、詳細を」
姉「深緑色のコートに黒い帽子、あと、杖を着いています」
榎波「周りにそれに類する人はいるか」
姉「コートを羽織っているのは一人しかいないのですぐわかると思います」
榎波「一旦そっちに合流する」
姉「了解です」

その、1分もしないうちにチーフは私と合流した
榎波「様子はどうか?」
姉「さっきからあたりをキョロキョロとして怪しいです」
榎波「職質をかけてみるか?」
姉「そうしましょう、私が行ってみます」
榎波「わかった、注意しろよ」

私は不審な男性近づく。
そしたら男は逃げ出した。
私は慌てて追いかける。
男は映画館のホールみたいなところに逃げ込む。
私もそのままホールに入る。
すると、中で男はナイフを両手に持っていた

姉「あなたは、誰か殺そうとしてますね?」
男「ああ、そ・・そ・・・そうだよ」
姉「じゃ、捕獲します」
男「いやなこった」
と言い終わる前に男は右手のナイフで斬りかかる。
しかし、私には警棒しかなかった・・・。
私(拳銃と耐斬スーツ持ってきておけばよかったなあ・・・)
仕方なく、警棒で応戦する。
今度は左手のナイフと右手のナイフを交互で繰り出してきた。
私が持っている警棒はどんどん傷ついていく。
男「威勢の割にはずいぶんと余裕がなさそうだな」
姉「いやー、そう簡単にやられるわけにもいかないですね」
男「じゃあ、これならどうだ!」
両手に持っていたナイフを私に向かって投擲する。
それをどうにか避けた私の前に先ほど持っていた杖を持つ男がいた。
姉「その杖でどうするつもりですか?わざわざ、武器であるナイフを投げてくるなんて」
男「こうするつもりさ!」
男が杖で突いてきた、しかし、さっきの杖とは何かが違う・・・。
警棒で迎え撃つがあっさり折られる・・・。
そして、その杖もとい剣らしきものは私の横腹を貫いた・・・。

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