第5話『束の間の男と女の談笑』
太一『・・・・・・(驚)!・・・・・・すっげえ(驚)・・・!!滅法(めっぽう)強そうな予感はしてたけど、こんなにスゲェなんて(驚)!一体何者なんだろ?幸瀬さんって・・・(驚)。』
竹林の陰から様子を窺(うかが)っていた太一。美智子の挌闘戦を実際に目の当りにし、更に強そうな大の男20人を相手に全く無傷の完全勝利を収め、至って当然の事の様に平然としている美智子に完全に泡を喰う太一。
太一『・・・!あっ!し!しまった!観惚(みと)れてる場合じゃない!幸瀬さん心配してここに来てたんだった!オレは!幸瀬さーーん!!』
気を取直し慌てて美智子の元へ駆け寄る太一。
一方美智子は・・・。
美智子『さ〜て(笑)、ケンカで昂(たかぶ)ってた気分も落ち着いて来たし、そろそろ古久保さんに連絡せんと(笑)。・・・ってあのひとの携帯番号何番やったやろ・・・?』
太一『幸瀬さーーーーーん!!!!!』
竹林から全速力で駈よって来た太一。
太一『ハア!ハア!!幸瀬さん!!!ハア!!ハア!』
美智子『あら、古久保さん!いらしてたんですか!』
太一『ハア!あ、あなたの事がし、心配で。ハア!』
美智子『大丈夫ですか?随分息を切らされて・・・。でも、有難(ありがと)う御座(ござ)います。あなたにそこ迄心配して戴けるとは・・・。
まあ、御覧の通り問題は解決しました!途中荒っぽい事態になりもしましたが、幸運にも私自身も無傷で事無きを得ましたし、暴走賊(ぼうそうぞく)の皆さん方も少少疲れて横になっているだけですから(笑)。』
太一『そうですか!良かった!僕はあなたが無事で何よりだ。・・・でも、幸瀬さん。あなたって凄(すご)く強いんですねえ(笑)。』
美智子『・・・えっ!どうしてそれを・・・!?まさか!?』
太一『ええ(笑)、全部観てました(笑)。』
美智子『あ・・・(焦)、あううっ・・・(焦)、あんなはしたない所をまさかあなたに観られていたとは・・・(焦)。ええ・・・。そうなんです・・・。私、あんな事が出来る下品な女なんです・・・。』
太一『そんな!下品だなんてとんでもない!カッコイイじゃないですか!20人もの男を物ともせずに薙ぎ倒せるなんて!それもたったひとりで!僕はケンカの強い女性、嫌いじゃないですよ!』
美智子『・・・古久保さん・・・、有難う・・・御座います。』
太一『いやいや(笑)、礼には及びませんよ(笑)。・・・あら?そう云えば幸瀬さん・・・言葉使いが標準語に変ってますよね?』
美智子の言葉が暴走賊との喧嘩中の「大阪弁」から「標準語」に変化してた事に気付き、聞いてみる太一。
美智子『あら?、そう云われればそうですね(笑)。ええ、仰る通り私、興奮したり、感情が昂ったりすると大阪弁に戻ってしまうんですよ。何故なのかは分からないですけど、昔から・・・。』
太一『そうなんですか。いや〜でも幸瀬さんの大阪弁、可愛かったですよお〜。特に自分を[ウチ]って呼ぶ所なんかは(笑)。』
美智子『もう、古久保さん(照笑)。からかわないで下さいよ(照笑)。』
可憐な笑顔を太一に向け、照れてくれる美智子。至福に浸る太一。
太一(この人の照れた笑顔は文句ナシに素敵だよ・・・。よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜し!折角だ!幸瀬さんの着てるライダースーツについて質問してやるぞ!てか気になってしょうがないんだ!)
と心で一大決心をする太一。
太一『・・・あの、幸瀬さん!』
美智子『はい?』
若干緊張しながら美智子を呼ぶ太一。
太一『あっ、あのう、幸瀬さんの着ているその・・・ラ・・・ライダースーツですけど(焦)、バイクの時は、い・・・何時も着ているんですよね(焦)?』
スベった太一。
美智子『えっ!ええ、そうですね。まあ・・・バイクって跨(また)いで乗る物ですから、スカート等では使い勝手が悪いですし。』
太一『いや(焦)!!ホントにそうですよね(焦)!!!実に(焦)!!!!』
美智子『?』
スベった太一。
美智子『・・・それが何か・・・(困惑)?』
太一『い!いや(焦)!・・・まあ何と云うか・・・(焦)!実に!似合ってらっしゃるな(焦)!!!・・・・・・と思いました物で(焦)!!ライダースーツが(焦)!』
美智子『えっ!!!』
ついに云ったぞ!太一。
太一『・・・いや、幸瀬さん美人だし、スタイル良いし、ライダースーツ着こなして颯爽とバイク乗ってると〜・・・絵になるなあ〜って!!』
美智子『古久保さん・・・本当ですか・・・(驚)?あ、有難う御座います(嬉)!え、絵になるだなんて・・・(照)!それ程迄に褒めて戴けるとは・・・!凄くうれしいです!』
太一『良かった!喜んでくれたんですね(嬉)!』
美智子『嬉しいですとも!勿論!(嬉)・・・・・・いや〜でも以外です(笑)。古久保さんからこんな褒め言葉戴けるなんて・・・。』
念願叶ったか!?美智子とライダースーツの話題で盛り上がろうとしている!
美智子『実は私もこのライダースーツ、すごくお気に入りなんですよ(笑)!はたちの時に購入して以来ずっと今日迄バイク乗る時は着つづけて来ましたから・・・(笑)。
着ない時は綺麗な艶が出る様に表面生地にラバー用クリーナー等塗って部屋干ししたり、汗掻いちゃった時はニオイとかカビが付かない様に裏地を日光に当てて天日干ししたり・・・結構お手入れが大変だったりしますけど。』
美智子は足を平行に揃えた美しい直立の姿勢で、自らの豊満なオッパイをライダースーツの上から掌で軽く抑える様に触り、指先を開けたジッパーの所に絡める様にし、軽く俯き微笑を湛えライダースーツを愛撫しながら感慨深げに語っている。
そして・・・。
太一(・・・オレの眼の前で幸瀬さん自身がライダースーツを撫でている・・・(惚)。しかもオッパイ触りながら・・・。)
とウットリの太一。
美智子『あの、古久保さんはライダースーツ、お好きなんですか?』
太一『・・・え!え!何でしょう!?』
不意を突かれる太一。
美智子『ライダースーツです。お好きなんですか?』
太一『は、はい!勿論ですとも!特に照明やライトを浴びてツヤツヤに艶光りする様子が綺麗でいいですよね!』
美智子『まあ(笑)、艶光りだなんて・・・(笑)。結構古久保さんの意外な一面を知ってしまったかしら〜(笑)。でも、分かるわ私も。光を浴びて艶めいたライダースーツって確かに綺麗ですものね。』
太一『そうですよね!いや、ホント!なんか気が合うなあ(笑)幸瀬さんとは(笑)。』
美智子『まあ(笑)。では古久保さんはカラーはどんな色がお好きなんですか(微笑)?』
太一『そうですねえ。ライダースーツはやっぱり全身無地の黒か黒っぽい色に限るなあ。丁度幸瀬さんが着ている感じのステキな色ね(笑)。』
美智子『まあ(笑)、ウフフフフ(笑)。幸瀬さん、私、あなたに褒めて戴けた今日より以前はこのライダースーツ・・・私には似合ってないんじゃないか?って思って結構他人の眼が気になっていたんです・・・。自分としてはすごく気に入ってて、かなり愛着があるんですけど。』
太一『え?どうしてです?』
美智子『まあ・・・どうしてかと云われましても・・・なんとなく・・・こう云うものを着こなすガラではないんじゃないかと。私・・・。』
太一『ええ!!!?そんな事ないですとも!!幸瀬さんってスラっとして手足長くてスタイル良いしモデルみたいでライダースーツがよく似合う格好良い魅力的な女性ですよ充分!男から観て(笑)。自信、持って下さいね。』
美智子『古久保さん・・・。古久保さんって、優しいんですね。』
太一『いやいや〜(笑)調子が良いだけですよ〜(笑)。』
美智子『いえいえ(笑)。・・・ですが、今日古久保さんにこれ程熱烈に称賛して下さって・・・・・・何だかかなり自分に自信が持てて来ました!私も捨てた物じゃ無いんだわ!って(笑)。』
太一『そうそう(笑)、そうですとも(笑)。』
念願叶った!!!!!美智子とライダースーツの話題で盛り上がる事に成功した太一!しかも美智子もノリノリでお気に入りだったとは!!!
美智子『服装を云えば、古久保さんのエンジ色のウエスタンシャツとEDWINのレッドデニムとエンジ色のライダーブーツと云うファッションも実に素適だと思いますよ(褒)。』
太一『いやいや、こんなの通販で買った安物ッスよ〜(笑)。幸瀬さんのライダースーツの様な高級品と較べたらガラクタ同然です(笑)。』
美智子『ガラクタだなんて(笑)・・・そんな事はありませんよ(笑)?』
太一『ハハッ(笑)。ところで失礼な質問なんですけど、そのライダースーツ幾らしたんですかね?高価な物だって事は僕にも分かるんですけど?』
美智子『失礼な質問だなんて・・・こちらこそ恐縮です。そうですね・・・確か30万円ですね、総額。
生地がラバーなので日本では手に入らずイギリスの販売店に注文したりとか、オーダーメイドなのでその手数料とかで。学生時代のアルバイトの貯金の大半を費やした記憶があります。』
太一『・・・・・・!!30万ですか・・・!!』
太一(・・・す、すごい!金額だ!!)
洋服代に6ケタ代の金額を聴き、素直に驚く太一だった。
太一(やっぱしオーダーメイドか。すげえジャストフィットしてるもんなあ〜。筋肉とかボディラインとか露になってるからな〜。)
心で納得する太一。
美智子『しかし、古久保さん良くここが分かりましたね。確か私、あなたに居場所を告げる事なく掃除(そうじ)のおじいさんの介抱を御願いしてこの人達に着いて行きましたから。』
太一『ええ、ところがね、ぼくの携帯には良い機能が備わっておりまして(笑)、幸瀬さんの携帯番号から本人の携帯電話を探知して居場所を特定する事が出来るんですよ。それでここへ来る事が出来たんです。』
美智子『あなたの携帯にそんな便利な機能が・・・凄いですね、何だか怖いくらい(笑)。・・・でもおかげで助かりました。いや、古久保さんも心配してらっしゃるだろうなと思って連絡しようとして番号を聞き忘れた事に気付きまして・・・。困っていた所でしたから。』
太一『そんな、こちらこそ。こんな事位しか役に立てなくて。それにしてもこの機能は使い方誤らない様にしないといけませんね。あなたに怖がられない為に(笑)。』
美智子『うふふふふ(笑)。私は・・・信じてますから。あなたを(笑)。』
太一『幸瀬さん・・・(嬉)。』
感激する太一。
美智子『それで・・・あのおじいさんの方は?無事でしたか?』
太一『・・・ああ!!そうだ!忘れる所だった!あのおじいさんなら無事ですよ。あの人にも幸瀬さんを助けに行ってやれって云われたんですよ。実は。』
美智子『そうでしたか・・・良かった・・・無事で。』
太一『で、ぼくの携帯にはボイスレコーダーも録画機能も備わってますから、コイツ等が幸瀬さんに襲い掛かったり侮辱しまくった一部始終をちゃ〜〜んと録音録画して置きましたから!
・・・・・・・・・おい!!!この暴走賊共!!!!今回で年貢の納め時だな(嘲笑)!!!と云う訳なので、連中を警察なり裁判所なり突き出してやりましょう!』
美智子『あの、それなんですが・・・今回だけは観逃してあげて戴けませんか?』
太一『ど!どうして!!・・・です?』
美智子『・・・これはあくまで私の勘なんですけど、この人達・・・本物の救い様の無い悪人では無い気がするんです。私には・・・何と云うか・・・ただ粋がっている悪ぶりたいだけの・・・ただそれだけの困った人達に過ぎないのでは・・・と。』
太一『・・・ですがコイツ等、凶器を持ってあなたに襲い掛かったりしてました・・・よね?』
美智子『でも!私自身に怪我はない訳ですから・・・!どうか!私に免じて赦(ゆる)してあげて下さい!!彼等にもにどとこの様な事はさせないと約束させますから!!どうか・・・(願)!!』
何と自分を襲撃した暴走賊の為に土下座をし、太一に頭を下げる美智子。
太一は美智子の度量の広さに只只圧倒される。
太一『幸瀬さん・・・あなたって人は・・・。』
とその時!!!!!
謎の男の声『おいおい!!!!!!!!!!このオレを差し置いて勝手にハナシ付けられちゃあ困るんだがなあ〜!!!!!』
美智子『!?』
太一『・・・!!!だ!誰だ!!』
声の方向に眼を向けると紫の特攻服を着た体長2メートル以上はゆうに有りそうな山の如き大男が現れていた!!!!
この大男!!いったい何者であろうか!!!?