小説『約813の問題児が異世界からくるそうですよ?』
作者:tasogare2728()

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第十章

サウザンドアイズの門前に着いた
「お待ちしておりました、中でオーナーがお待ちです」
いつも無愛想な店員もあのことがあってからか、顔を重たそうにして言った。
「どうも」

そういわれ、中に入っていく龍嗣とスサノオ――店内に入り、中庭を抜けて離れの家屋に向かう

「来たか――」
「どうも」
上座には白夜叉
「まぁ、なにわともあれ、助かった、ありがとう」
「お礼を言われるほど、いや、素直にこれは受け取っておくべきかな?」
「そうじゃ、それがいいだろう」
そういう白夜叉
「まぁ、それにしても、無事でよかった」
「心配ありがとう、しかし私も;階層支配者;じゃ、問題ない」
「そうか、それはよかった」
「お主のほうは、見れば中傷がひどそうじゃな」
「まぁ、やりすぎて毛細血管がズタボロサ」
「わかった――この後の話は、そうだな、お主、風呂に入ってからじゃ」
それから、風呂に入る龍嗣だった。

「中傷は癒えたか?」
「おかげさまでな」
そういう龍嗣
「それで、黒ウサギには、全てを話したのだが――今回、正当なゲームではないゆえ、ちゃんとした報酬は出ぬ・・・しかし、だ」
「ん?」
「今回、あのような状況があったゆえ、黒ウサギ経由で帝釈天と交渉を行った」
「それで?」
「報酬が出ることになった」
「「おぉ〜」」
「こうやって、コミュニティ;サウザンドアイズ;が運営できたのも、おぬしのおかげじゃからな――行くぞ」
「「はい?」」
「いや、お主一人だけじゃ、こい龍嗣よ」
そういわれ、立ち上がる龍嗣。スサノオに待つように言って龍嗣は白夜叉についていった。


――紗蘭、と怜悧な鈴の音を響かせて彼女の銀髪が揺れた。
紅塗の瓦屋根が目立つ市街地に吹き抜けの風が通過すると、桃源郷を彷彿させる甘い花の香りが鼻孔をくすぐる、視線の先にあるのは大楼閣だ。
此処は箱庭第4桁――六二四三外門
;平天大聖;の旗印が靡く上層階だ。銀髪に鈴のついた簪を挿し紫色の着物をきた美女――もしくは、婆臭い彼女は白夜叉だ
「まぁ、少し落ち着け――」
「わかってます」
いくら龍嗣でもこの感覚は、畏怖と極度の緊張をもたらしていた。
龍嗣の視線の先には、大楼閣の旗印
「(平天大聖か…おいおい、箱庭来てて数日経っただけで、ここかよ・・・恐ろしいわ)」


そんな中――穏やかな陽光が突如として肌を焦がすほどの熱戦に変わった
「(――此処に来て、襲撃か!?)」
龍嗣は自分の体に鞭打って、戦闘態勢に入ろうとするが。
「使わなくてよい、彼女は敵ではない」
そういわれ、戦闘態勢を解除する龍嗣
龍嗣は、その金色に輝く羽毛のようなものがヒラヒラと舞い落ちるのを見た。
「・・・・・・驚いたぞ、おんしに来訪の書簡を届けた覚えはなかったのだが、どういうことじゃ鵬魔王」
「――白夜王、長兄と義兄に言われてきたのよ?」
黒い髪を結い上げ、肩から背中にかけて大胆に開いた雅な柄の衣装を着込んでいる女性。背中からは焔の金翅――龍嗣は、よく観察すると違和感を感じた
「(おいおい、大鵬金翅鳥かよ!?けど、なんか着飾ってるな、純血じゃないのか?)」
「龍嗣、お主の考えている通りじゃが、彼女は家出中の姫君でしかないよ」
「いい加減、その気の抜ける呼び方はやめてくださらないかしら、白夜王、千年も経てば娘は女に、姫は女王になるものよ」
「此処の宰相に頼まれて、一応、酒席を用意してあるけど、その様子だとね」
「すまんな――」
そういう白夜叉
「では、私は牛魔王と少し話してくる――任せたぞ、迦陵ちゃん」

「坊やが、白夜王のお気に入り?」
龍嗣の顔を覗きこむようにしてくる女性
「お気に入り?」
困ったような顔をする龍嗣
「そうよ、お気に入り?そうなの?」
「う〜ん、一回助けたぐらいですかねぇ・・・」
「助けた?なにから?」
「魔王みたいな奴からです」
「もしかして、白夜王が一目でかなわないと見たあの魔王?」
「多分、そうじゃないですか?時間から見て」
「へぇ〜こんなあどけない顔をしてどこにそんなちからがね〜まぁ、人は見た目によらずって言うし」
高校生のようにいう迦陵さん
「ま、いいわ――色々話を聞かせなさいよ」
「はい」
そういうと、龍嗣は彼女についていった


「へぇ〜君、そんなの持ってるんだ〜すごいすごい」
「え、あぁ、どうも」
照れながら言う龍嗣
ここ、平天大聖おかかえの食事処で龍嗣は、彼女と一緒に個室のようなところで食事をしていた。どれも前いた世界より数十倍いや、数万倍おいしいものばかりで箸がすごい進む。と同時に、どんなものなのかと興味を持たれた迦陵に色々とスキルを見せることになって、若干宴会になりかけていた。
そんな中――顔を近づけてくる彼女
「へぇ・・・」
「あ、あの・・・迦陵さん?」
「う〜ん、欲しいわね」
士郎の全身を嘗め回すように見てくる彼女
「ねぇ・・・あなた、コミュニティどこ?」
「え、ダークレイブンズですけど」
「へぇ〜あそこなんだ〜」
「えぇ、まぁ」
ゆっくりと四つん這いで這うように龍嗣の元にやってくる。
「ねぇ、あなたこない?私のところに?」
そう言い寄られている時だった
「え、けど、スサノオがいるんで」
「あらあら、もう妾がいるのね、思ったとおりだわね〜」
「アハハハ・・・まぁ」
若干白夜叉に見られたら、しゃれにならない光景だ。そんな中
「そうね、気に入った証に、お姉さんの翅でもあげるわ」
そういうと、龍嗣の髪の毛の後ろに焔の禁の羽と綺麗な紅い玉で出来た髪留めみたいなものを、おでこのところにつけられた。

「おぉ〜かわいいわね〜」
若干、愛玩道具にされかけている龍嗣。ちなみに、白夜叉のことがある以上ここで騒ぎは起こせない。そんな中
「龍嗣、迎えに来たぞ?おやおや」
押し倒され、今まさに襲われようとしてたところに白夜叉がやってきた
その光景をみて、ニヤニヤと笑う白夜叉
「どうじゃ?お気に入りは?」
「わかるわ、私の愛玩道具にしたいほどわかるわ」
「ほぉ、お主――じゃが、童のものじゃぞ?それに、恐ろしい邪神様もいるぞい?」
「へぇ・・・聞いたけど、側室がいるのね?」
「まぁな」
「そう、なら現地妻でもいいわね」
「おや、本気じゃな」
「血を気にしなくていいって言ってはあれだけど、こういうのもいいじゃない」
「そうじゃな――」
そういうと、龍嗣の方を見ると再びニヤニヤがとまらない白夜叉。
「まぁ、よい、帰るぞ――」
「あ、はい」
立ち上がろうとするが、どう考えてもこの態勢から見て動けないのは明白だった。
「あら、白夜叉――彼がこのまま動けば、私セクハラされちゃうわ」
「おいおい、迦陵ちゃん、流石にまずいってそれ以上わ」
「そうね、まあいいわ」
そういうと、龍嗣はゆっくりと立ち上がり、白夜叉の方に向かうと
ガスッ!!
「へっ・・・!?」
ドサッ!!
白夜叉に押され、バランスを崩し、後ろにいた迦陵のところに倒れ込んだ

「――おぅ、白夜叉ナイス」
「ホホホ・・・たまには、な」
それから、立ち上がろうとするとがっちりホールドされ、身動きが取れない
「白夜叉助けて」
「嫌じゃ」
「マジですか・・・」
笑っている白夜叉、多分、助けてくれないのは明白だ。そんな中
「お姉さんね〜こういうことしてみたかったんだ〜」
背中に顔を押し付けてくる彼女――気に入られるのはいいが、色々と困る。
それから、満足した彼女を見計らって彼女の下から抜け出し、白夜叉の下に戻ると
「んじゃあ、また来てね〜」
その言葉と共に、たんまりとお土産をもらい、士郎はサウザンドアイズでスサノオを連れ、自分のコミュニティに戻った。


「どう?傷は?」
「あぁ、ほぼ完全回復って感じだな」
帰り際、そう話しているスサノオ
龍嗣の食べた料理とかには治癒成分があったらしく、それが全身をめぐり龍嗣内側の傷を癒した。
「もう、無茶しないでよ?」
「時と状況によるがな」
「そうね、それと、その髪留め綺麗ね、銀と金の対比が綺麗だわ」
「ん?ありがと」
そういうと、龍嗣はノーネームに戻っていった。

「「ただいま〜」」
ノーネームコミュニティの本館に入る二人
「あら、おかえりなさい、龍嗣君とスサノオどこかいったの?」
「えぇ、サウザンドアイズにね」
「へぇ〜あら、その髪留め綺麗ね」
「ん?まぁな、貰い物をしただけさ」
「ふぅ〜ん」
「黒ウサギに報告しないといけないこともあるんだが、本人は?」
「多分、部屋じゃない?」
「そ、了解、あぁ、そうだ、カードにお土産も入ってるんだが、来るか?」
「えぇ、行くわ」
そういうと、龍嗣はスサノオと飛鳥と途中で合流した耀と一緒に

「ただいま〜」
ドガァァァン!!
黒ウサギの扉をはねのけ、中に入っていった
「おかえりなさぁぁぁい、ってこのお馬鹿様ぁぁぁ!!」
扉を開けて早々罵られた。とりあえず、近くにあった椅子に座る。そうすると、自前の湯沸かし器でお茶を入れてくれる黒ウサギ
同時に、龍嗣も平天大聖の迦陵からもらったお土産を広げる
「「「おぉ〜」」」
スサノオと飛鳥と耀が声をあげる

「あの、こんなお土産どこでもらってきたんですか?あと、その髪留めも気になるんですけど」
「あぁ、これか?」
龍嗣が指差す
「えぇ、それです、それです」
「あぁ、これ――たしか?迦陵って人からもらった、あと四桁外門の平天大聖に行ってきた」
というと

「なんですってぇえぇぇ!?」
黒ウサギが絶叫した
「おいおい、どうした?」
「へ、平天大聖って、あ、あの牛魔王がいるところですよね?」
「まぁ、白夜叉に連れられてな、それと思い出した、これな大鵬金翅鳥の迦陵さんにもらったんだ」

「えぇぇぇええええ!?」
再び絶叫する黒ウサギ
「黒ウサギ、驚きすぎだって落ち着け、落ち着け」
「わ、わかっていますけど、りゅ、龍嗣さん、大鵬金翅鳥のその髪留めは・・・よっぽどの人でなければもらえない代物ですよ」
「よっぽどの人とは?」
「まぁ、平たく言えば、気に入られた人です」
「へぇ〜ってことは、気に入られたんだ」
「(というか、どう考えてもあの輝きは魅入った証ですよ・・・龍嗣さん恐ろしいです)」
若干、黒ウサギも龍嗣のすごさに驚いた。その隣で事実をしったスサノオと耀と飛鳥はぽかーんとしていた。
龍嗣の髪の毛はその髪留めで綺麗な輝きを一層輝いた。

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問題児たちが異世界から来るそうですよ? DVD限定版 第1巻
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