小説『約813の問題児が異世界からくるそうですよ?』
作者:tasogare2728()

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第六章――弐

「雑草がぼうぼうだが――まぁ、いいか…外っていいな」
「なにいっちゃてんのよ、シロツメクサやヤバラッコ、ノミノツヅリにナズナとか、レンゲ草やキキョウソウまで生えてるわよ」
「そうか〜むちゃくちゃにやったけどそりゃよかった」
地面に横たわった龍嗣の隣には、足を伸ばしたスサノオの姿――そよ風を感じながら星空を眺めていると
「見つけた!!見つけたのですよ!?」
千里眼のスキル『眼の届く場所(エリアフリー)』で感覚を研ぎ澄ませながらいると、黒ウサギがやってきた。

「やっほ〜待ってたって言ったら不気味になるのかな?」
「言っても言わなくても、十分不気味すぎだよ、あんた」
「それはそれは」
龍嗣が薄笑いしながら流すと、黒ウサギが前に出てきて
「龍嗣さま、ここで何がありましたか?」
黒ウサギが真相を問う質問をしてきた、それに対し、少しため息をつきながらも
「――恩恵(ギフト)を行使しただけさ」
生命を与えるスキル『巣食いの雨(ファフロッキーズ)』を使い、4人の周囲にあった草木をある程度成長させた。

「――な!?」
「草木が成長しただと!?」
「「ッ!?」」
驚く4人
「まぁ、こんなところさ――おいおい、色々と教えるさ――」
そういうと、龍嗣は、あの大きな風呂敷を持ち――
「さてと、黒ウサギ――寝床に案内しろ?」
「え、あっ、はい」
呆気に取られる三人を尻目に、少し荒っぽい方法で黒ウサギを興奮からたたき起こし、寝床に案内させた

「ほぅ、結構でかいな〜んで、何処に泊まればいいんだ?」
コミュニティの屋敷に着いた頃には、すでに夜中になっていた。龍嗣は黒ウサギに問う
「コミュニティの伝統では、ギフトゲームに参加できるものには序列を与え、上位から最上階に住むことになっております……けど、今は好きなところを使っていただいて結構でございます」
「そう――それで、そこにある別館は使っていいの?」
飛鳥は屋敷の脇に建つ建物を指す
「ああ、あれは子供たちの館ですよ、本来は別の用途があるのですが、警備の問題でみんなここに住んでいます、飛鳥さんが良ければ」
「遠慮するわ」
即答する飛鳥――それから、しばらく使われてなかった大浴場を見た黒ウサギは真っ青になり
「一刻ほどお待ちください!すぐに綺麗にいたしますから!」
そう叫んで、掃除に取り掛かる――それから5人は宛がわれた部屋を一通り物色し荷物をおいて、来客用の貴賓室に集まっている。
それから、談話を少ししたあと
「ゆ、湯殿の用意ができました!女性様方からどうぞ!」
「ありがと、先にはいらせてもらうわよ、十六夜君、龍嗣君」
「んじゃあ、行ってくるわね龍嗣」
「俺は、2番目が好きな男だから問題ないよ」
「あぁ、それに少し戦利品の整理でもしておくさ」
それから、女性四人はまっすぐ大浴場に向かっていく――それから、少し寛いだあと
「さてと――今のうちに、外のやつらと話をつけておくか」
「OK、ついていくとするか」


そういうと、龍嗣は十六夜についていくのだった

――月は十六夜、皮肉なものだ
「おーい……そろそろ決めてくれないと、俺が風呂に入れないだろが」
「そうだぞ〜暇だ〜暇なんだぞ〜」
風が木々を揺らす、構えを取る十六夜と、後ろで腕を組んで退屈そうにいう龍嗣――傍から見ればやる気ない
「ここを襲うのか?襲わねえのか?やるならいい加減に覚悟決めてかかってこいよ」
ザザァ〜ともう一度だけ風が木々を揺らす――やはり誰かが隠れているみたいだ

「さてと、十六夜、燃やす?」
「やめとけ、よっ!」
ズガァン!!
軽いフォームからは考えられないでたらめな爆発音と共にあたり一帯の木々を吹き飛ばした。現れた人影を空中高く蹴散らし、別館の窓ガラスに振動を奔らせる。それから、異常を察知したジンが慌ててやってくる

「はぁ〜手加減してもそれかよ?」
少し呆れたようにいう龍嗣
「ど、どうしたんですか!?」
「侵入者っぽいぞ、例の"フォレス・ガロ"の連中じゃね?」
「なにそれ聞いてないし、美味しいの?」
「美味しくねぇよ、コミュニティだよ、つか聞いてないのかよクソが」
「クソじゃねぇよ、バカが」
それから、意識がある者はかろうじて立ち上がり
「な、なんというデタラメな力……!蛇神を倒したというのは本当の話だったのか」
「まさか、あの髪は!?蛇神を倒した奴か!?」
「ああ……これならガルドのやつのゲームに勝てるかもしれない……!」
侵入者の視線に敵意らしいものは感じられない
「おいおい、おめえら人間じゃねぇのか?」
「我々は人をベースに様々な"獣"のギフトを持つ者」
「けど、ギフトの格が低いため、このような半端な変幻しかできないのだ」
侵入者が言うと、沈鬱そうに黙り込んだ。
「へぇ――あぁ、単刀直入に言うけど、そのつもりはないから、あと人質もうこの世にいないから」
「おい、お前どういうことだよ?知らないんじゃないのかよ?」
「スキルのひとつさ、答えをしるね」
「便利なものだな」
「ちょ、話が早すぎてわかりません龍嗣さん」
十六夜と龍嗣の会話に説明を求めてきたのはジン=ラッセルだった。
「お前に足りないものは、それは!情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ!そしてなによりもォォォオオオオッ!!速さが足りない!!」

とジンにビシッと指差すと
「意味わからないですよぉ!!」
叫ぶジンだった
「ま、言っててなんだけど、俺は引くわ――おい、ジン=ラッセル、あとは任せたぞ」
そういうと――龍嗣はそこから離れた。


「――まぁ、飛鳥から聞いたけど、めんどくさそうだし、お祭りはお祭りで絶対的な抑止力がないとね」
そういうと――龍嗣は手早く近くにいたガルドの仲間と思わしきやつを催眠のスキル『眠気ざまし(ネームケイト・ザ・マシンガン)』をつかい、手早くガルドの本拠地に向かった。

「(へぇ、吸血鬼の純血種ね、面白い)」
十六夜の赤い月を背後に、不敵に笑う龍嗣――眼下には金色の髪を持った覗き込めば吸い込まれそうな艶美で赤い瞳の少女――眼下では話が繰り広げられている
『ああ、それだ、実はあの"名無し"とは少々因縁があってな、もう再建は望めないと思っていたんだが……新しい人材が神格保持者を倒したと聞いて、様子を見に来たのだ』
『そ、それは何時のことだ?黒ウサギじゃねぇのか?』
言い争っている姿が見える
「(獣相手――まぁ、問題ないだろう)」
そういうと、フォレス・ガロの当主――ガルドは、いつの間にか暗示、いや誘導されていた。
「(これで、お祭りは面白くなったかな?)」
そういうと――龍嗣は館に戻った

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