小説『約813の問題児が異世界からくるそうですよ?』
作者:tasogare2728()

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第七章

翌日

「あの、勝てるんですか?」
「ええ、そのつもりよ」
飛鳥は、苦笑しながらも強く頷いて返事を返していた
「おお、心強いお返事だ!」
満面の笑みで返すカフェテラスの猫娘
「(それにしても、評判悪いんだな〜)」
と頭をメインではそう考えながら、コーヒーのようなものを飲みながらいる龍嗣
それから、飛鳥と彼女が話しているのを盗み見していると――どうやら、今回行われているのは、居住区画でゲームが行われる、そして、傘下においているコミュニティや同士を全員ほっぽり出して行うらしい
そんな中
「それで、昨日どこいってたのよ?」
「ん、ちょっとした夜遊びだ」
「へぇ」
「そんで、スサノオ、一応聞くが、今お前のコミュニティ――誰もいないんだよな?」
「えぇ・・・そうだけど?」
「わかった――そんでだ、そのコミュニティの名前を使って、ゲームはできるか?」
「えぇ、できるわよ、かけるものがあれば、ん?けど、それは昔のことだったから、今はどうかしらね?ちょっと、黒ウサギ」
「はい?なんでしょう?」
「主催者って、かけるものがあればできるわよね?」
「えぇ、問題ないですし、どうかされましたか?」
「いえ、なんでもないわ、ほら、私長いあいだ出てたからね」
「あぁ、そうでしたね――」
と話を終わらせ、一行はフォレス・ガロの居住区を目指した。

「あ、皆さん見えてきました…けど」
黒ウサギが一瞬自分の目を疑う――龍嗣もほかのメンバーも同様だった。

「なんだこれは?」
「……ジャングル?」
「虎の住むコミュニティだしな、おかしくないだろ?」
「そういうことじゃねぇよ、この木だよ、この木――こんな木が生えてたら居住区画ってレベルじゃねぇよ」
「えぇ、龍嗣さんの言うとおり、鬼化しています」
そんな中
「ジン君、ここに&quot;契約書類(ギアスロール)&quot;が貼ってあるわよ」
飛鳥が声を上げると、門柱には今回のゲームの内容が記された羊皮紙が記されていた

ギフトゲーム名 &quot;ハンティング&quot;
プレイヤー一覧 久遠 飛鳥
春日部 耀
九十九 龍嗣
ジン=ラッセル
クリア条件 ホスト本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐
クリア方法 ホスト側が指定した武具のみ討伐可能、指定武具以外は&quot;契約&quot;によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能
敗北条件 降参かプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合
宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、ノーネームはギフトゲームに参加します フォレス・ガロ &quot;印&quot;

「――マズイな」
まっさきに呟いたのは龍嗣だった
「えぇ、マズイです」
黒ウサギとジンが悲鳴があげる
「どういうことなの龍嗣くん?」
「ゲームは難しくないが、攻略方法が&quot;指定武具のみ&quot;ってところが問題でな」
「はい、彼は、&quot;ギフト&quot;ではなく&quot;ギアス&quot;によって身を守っているのです、これでは神格でも手が出せません!」
龍嗣がいうと、それを付け加えるように黒ウサギが言った。

「敵は命懸けで五分に持ち込んだってことか、観客にしてみれば面白くていいけどな」
「気軽に言ってくれるわね……条件はかなり厳しいわよ、指定武具がなにも書かれていなし、このまま戦えば厳しいかもしれない」
「黒ウサギ?ひとつ聞いていいか?」
龍嗣が聞いた
「はい、なんでしょう?」
「&quot;契約書類&quot;には、『指定』の武具と書いてあるが――ヒントもなし、これでヒントなしだったら詰だよな?」
「えぇ、しかし、それはルール違反で、&quot;フォレス・ガロ&quot;の敗北は決定、この黒ウサギがいる限り、反則はさせませんとも!」
「そうか、最後に一つ、この箱庭史上で&quot;自らが進んで負けた&quot;っていう、ゲームはあるか?」
「そんなのありえません、ギフトゲームを進んで負けるだなんて」
「ってことは、ないんだな」
「えぇ、そんなことはないです」
「わかった」
龍嗣、納得すると
「龍嗣――面白くないことだけはするなよ?」
「あぁ、それはわかっているさ」
十六夜に龍嗣が釘を刺され、参加者四人は門を開けて突入した

門の開閉がゲームの合図だったみたいだ――4人は街路だったと思われるすでに、人が通れるような道ではなくなっているところを進んでいくと
「さてと、耀?どうだ?」
「大丈夫――近くには誰もいない、匂いでわかる」
龍嗣の問いに耀がいう
「便利なこった、犬にでもいるのか?」
「うん、20匹くらい」
「場所は?」
飛鳥が聞くと
「それはわからない、けど風下にいるのに匂いがないのだから、どこかの家にいるの可能性は高い」
「――そうなると…『眼の届く場所(エリアフリー)』は、使えないな」
「「『眼の届く場所(エリアフリー)』?なにそれ?」」
「なんですか?それ?」
飛鳥と耀のあとにジンが聞いてくる
「千里眼のスキルさ」
「千里眼!!そんなものまであるんですか!?」
ジンが驚いている
「あるんだよ」
「龍嗣君、あなたをもってしてもわからないの?」
「あぁ、基本的に『眼の届く場所(エリアフリー)』は、視界範囲のみ有効――つまり、壁とかあったら無理なんだよ、そこで視界が遮られるから」
「へぇ〜てっきりなんでも出来ると思ったんだけどね」
「まぁ、なんでもできるわけではないさ、けど、他人の視界を盗み見るスキル『欲視力(パラサイトシーイング)』なら、位置は探れるけど、それは相手がいてのことだしね」
「……つまり、相手がいないとってこと?」
「そういうことだ」
それから、森の中を散策していると
「あの、龍嗣さん、一つ聞いていいですか?」
「なに?」
ジンが聞いてきた
「なんだい?」
「さっきなんで、黒ウサギにあんなことを聞いたのですか?」
笑えない質問をジンがしてきた
「・・・はぁ、それ聞くか?」
「えぇ、今後のこともありますし」
「わかったよ、教えてやるよ、飛鳥、耀――ちょっとこい」
「あら、言われなくてもその話はちょっと聞きたいわ」
「――私も」

「さっきの、あの黒ウサギに聞いた質問、あれは文字通り最終手段としてフォレス=ガロにそれを行わせる」
「けど、そんなことはできないはずですよ?わざわざ負けるだなんて双方にメリットがあるときにしか行われません、しかも今回の場合、黒ウサギの言葉通りありえません」
「はぁ――わかった、さっき見せただろ?千里眼のスキル『眼の届く場所(エリアフリー)』あれのほかにもあるスキル、催眠のスキル『眠気ざまし(ネームケイト・ザ・マシンガン)』、誘導のスキル『右手をご覧ください(リーディングライ)』、で自滅させる」
「けど、クリア方法はホスト本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐、クリア方法 ホスト側が指定した武具のみ討伐可能、指定武具以外は&quot;契約&quot;によってガルド=ガスパーを傷つけることは不可能だろ?そうなるとだ、ガルドが自滅することも問題ないわけだしね」
「なかなかの外道ね」
「――外道」
「いうな二人」
それから、森を散策し始める。昨日まで居住区画があったとは思えない荒廃ぶりに少し驚きながらも余裕飄々な表情の龍嗣
「さてと、ここまで手がかり一つ見つからないと萎えるな」
「龍嗣さんあきらめないでください」
「わかってるよ――どうだい?」
龍嗣がいつの間にか木にの上にいた耀に問うと
「うん、もう見つけた――本拠の中にいる、影が見えただけど、目で確認した」
「さすが」

それから、本拠の館の前に向かうと
「見て、館まで呑み込まれているわ」
本拠地は、豪華であっただろう外観は塗装もろともツタに蝕まれて剥ぎ取られていた
「ガルドは二階にいた、入っても大丈夫」
耀にそう言われ中に入る、内装もかなり酷いことになっている。

「この奇妙な舞台は……本当に彼が作ったものなの?」
「そうだな、この舞台は、少し奇怪だな」
「……わかりません、ホスト側の人間はガルドだけに縛られていますが、舞台を作るのは代理をたのめますから?」
「代理を頼むぬしても、罠の一つもないわよ?」
「森は虎のテリトリー、有利な舞台は奇襲のためでもなかった」
「そうだぜ、そもそも、事前調査だと、あいつの野望の象徴とも言える館をこんな姿にする必要性がないからな」
ジンの言葉に三人が言う
「――ジン、お前なにか隠していないか?」
龍嗣の瞳が、ジンを睨みつける
「いえ、なにも隠していませんよ?なにも」
「そうか――まぁ、状況が状況になり次第、聞かせてもらうぞ?」
「だから、隠していませんって」
そういうと、ジンに退路を確保させ、3人は根に阻まれた階段を物音立てずにゆっくり進む、階段を上った先にあった最後の扉の両脇に立って機会を窺い、中に突入した

「GEEEEEEYAAAAAA!!!」
言葉を失った虎の怪物が、白銀の十字剣を背に立ち塞がった

「チッ!!作戦変更――力尽くだ!!」
舌打ちする龍嗣、無理もない先ほど三人に教えたスキルは、対象者に理性がないとそもそも実行できないからだ。

「逃げて!!」
目にも留まらぬ突進を仕掛ける虎を龍嗣と耀が受け止め、飛鳥を庇う。耀は階段に突き飛ばした飛鳥にに叫んだ
龍嗣の目の先には、紅い瞳を光らせる虎の怪物がいる

「――春日部、時間を稼ぐ、お前はそのうちに銀の剣を!!」
「わかった!!」
龍嗣は精密打撃のスキル『毛砕欠陥(ミスデイカー)』で、ガルドの動きを封じる
「ッ!!フルコースだ!!」
反撃不可能のスキル『一方的な一撃(アドバルーンアタック)』、フェイントのスキル『手品師の左手(フェイクハンド)』、乱れ撃ちのスキル『溜息呵成(ノンストップハウス)』、打撃を浸透させるスキル『痛信内臓(キルミーブロー)』、予想不可能な一撃のスキル『奇想憤慨(ミスアンガースタンド)
と、現状で通用するであろう、スキルをかなり使って、時間を稼ぐ

それから、かなり速い動きで銀の十字剣を手に入れる耀、と同時に、かなり嫌な気配をして龍嗣は他人の視界を盗み見るスキル『欲視力(パラサイトシーイング)』を使うと――
「(春日部!)」
取った直後の春日部を狙っていた。そして、ガルドの攻撃が降りかかる――この状況だと、精々使えるスキルは一回に限られる――並列稼働も無理っぽい、そうなると彼女をかばうしかない

ザシュンッ!!
「……ッ!!龍嗣!?」
耀にガルドの攻撃が降りかかる直前、龍嗣は彼女を庇って、左腕に攻撃を喰らった――
「出るぞ!!」
そういうと、傷口の痛みに耐えながら耀と龍嗣は『腑罪証明(アリバイブロック)』を使ってその場から離脱した

――森

「もしかしてこの舞台を用意したのも彼ではなく、その吸血鬼?」
「まだ吸血鬼かどうかわかりません、東側だと吸血鬼は希少ですから、しかし、黒幕がいる可能性はかなり高いです、ガルドに理性らしいものが残っていない状態でこんな舞台を作るのは不可能ですからね」
「そう……誰かは知らないけど、生意気なことをしてくれたものね」
不機嫌そうに顔を背ける飛鳥。そんな中、近くの茂みが揺れた
「誰?」
「……私」
茂みから出てきたのは、血だらけになった龍嗣をかかえた耀だった
「りゅ、龍嗣君!大丈夫なの!?」
「すまん――少しやられた…」
その場で耀のところから崩れ落ちる龍嗣
「飛鳥、耀、お前らはあいつを倒せ?いいな?」
「当然よ」
「…うん」
頷く二人に、少し笑みを浮かべながら左手を振って見送ると

「(さてと、時間が少しかかるかな…)」
無理矢理意識をつなぎとめ、活性を司るスキル『活舌性(アクティブトーク)』と再生のスキル『((蘇生組織リピーターキッチュ))』で左腕の傷跡のところを傷がない状態までに再生し始めた

それから数分経った
『――GEEEYAAAA!!』
遠くから、ガルドの咆哮が聞こえる
「――まぁ、こんなもんかな?それに、飛鳥も耀も強そうだな〜」
とのんびりしながらいると、龍嗣の視線の先に白銀の光の爆発が見えた――
「(決まったな…)」
と同時に、龍嗣の傷口も塞がっていた
「さてと、ジン、俺は行くところがある――っと、これなんだよ!?」
ちょっと驚く龍嗣――無理もない、傷口が少し変化しているのだ、血管は浮き出てとてもじゃないが人間のものではいなにかに侵食されていた
「ッ!?これは?」
ジンが驚いているそんな中

風より速く走る二人、十六夜と黒ウサギとスサノオがやってきた。そして、黒ウサギとスサノオは龍嗣の傷口を見て思わず息を呑んだ
「すぐにコミュニティの工房に運びます!あそこなら、治療器が揃っていますから、お二人は、飛鳥さんと耀さんと合流してから一緒に帰ってきてください」
「わ、わかったよ」
「スサノオさん、申し訳ありませんが」
「わかってる全速力で運ぶから、黒ウサギ、先に行って――」
「はい!」
龍嗣は、スサノオに抱きかかえられ、全速力で工房に連れてかれた

それから、数時間経った

「ふう、違和感はもうないな――」
服を脱いだ状態の龍嗣――左腕をぐるんぐるんと回している
「そうですね、龍嗣さんのギフトが思いのほかすごかったので早く済みましたね」
「まぁ、黒ウサギも十分凄いさ、それで、さっきのはどういうことなのさ?」
「有り体に言えば、拒否反応に似たものです」
「ふぅ〜ん、わかった…ってか、服が少しやられたな…」
とビリビリになった服を見る
「そうですね、どうしましょう?」
「ま、直に何とかするさ」
そういうと、龍嗣はボロボロに服を羽織ってコミュニティの工房から出て、とあることを確認しようとスサノオを連れてある場所に向かった

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