また、僕は彼女の家の前に立っている。
やっぱり、いつ見てもすごい豪邸だ。
「どうしたね?」
後ろから、男の声がした。
また執事さんか?
振り向くと、立派なひげを生やした執事ではない人が立っていた。
周りにはサングラスをかけた、ゴツいおじさんたちがいる。
僕は少しひるみながら尋ねた。
「えっと、美夏さんは・・・」
「美夏かね?」
呼び捨て?
もしかしてお父さんとか?!
「はい」
「美夏は・・・今ちょっとここには、いないんじゃ。すまないのぅ」
「いえ、あの・・・じゃ今どこに?」
「私の伯父のうちだ。いってみるかね?」
「え?今・・・ですか?」
「いや、今じゃなくてもよいが・・・都合のつく時で」
彼女のお父さん(?)が名刺を僕に差し出す。
【軽山田武郎 株式会社 軽山田 社長 ×××ー××××ー×××× 東京都○○区×××ー×××】
社長さん?!
っていうかやっぱりお父さんなのか。
僕は今、彼女のお父さんの伯父さんの家にいる。
ややこしいけど。
っていうかなんだ!これ。
もっと、豪華だと思っていた彼女のお父さんの伯父さんの家は、庶民の僕さえも見た事ないボロい家だった。
こんなこといったら、怒られるけど。
っていうか本当に東京なのか!!??これ!
なんと、伯父さん(※うざったいのでもう省略します)の家は、木で囲まれていた。
簡単にいうと山だ。
「うぇええ」
吐きそう・・・。
そう、ここまで車で送ってもらったのは良いんだけど、山をのぼったから
揺れが激しすぎて、酔ってしまったのだ。
って、説明してる場合じゃない!!
マジ、吐きそう・・・。
僕は、右手で口を押さえて左手で(インターホンがないので)扉っぽいものをノックした。
「はぁい♪」
出て来たのは、なんと元気そうな美夏だった。
全然、しんどそうじゃない。
「なにしてんだよっ」
「わっ!カズ!!」
彼女は、丸い目を更に丸くして驚いた。
「わっ!じゃない!学校こいよっ!」
「やだ」
彼女が口を尖らす。
「クラスどうなった」
「おま・・・じゃなくて美夏さんだけ違う組」
「えぇえ?!尚更やだ。ひとりとか」
なんか前よりわがままになった気がする・・・。