「とりあえず、授業は受けろよ。受験生なんだよ?僕ら」
「それは大丈夫。勉強してるから」
さ、さすが優等生!!
「だから・・・ほっといてよ・・・」
だんだん小さくなっていく彼女の声。
「まだ引きずってんの?あのこと・・・」
あのこと・・・それは彼女の本性が皆にバレた事である。
「・・・どうでも良いじゃん」
口を尖らせる彼女。
「美夏ちゃぁん!ビールまだぁ?」
家の中から聞こえる男性の声。
「はぁい♪」
彼女の声が変わる。
出た、ブリッコ。
まだやってんのかよ。
いい加減、本性バラしたらいいのに。
「あれ?美夏ちゃん、どちら様?・・・もしかして彼氏かしら?」
「いや、あの・・・えっと・・・ちが・・・」
僕が彼女の顔色をうかがいながら答える。
「違いますよ!ありえない。こんな奴」
こんな奴ぅ?!!!!
そりゃ彼女と僕は釣り合わないけど!・・・いろんな意味で。
なんか傷つくなぁ・・・。
「じゃぁ・・・?」
「クラスメイトです」
「そう。お名前は?」
「西山和也です」
「和也くんね」
にっこり笑う女の人。
「和也くんも食べない?いま、昼ご飯なの」
「え・・・でも、僕は・・・」
「若い子が遠慮しないの!ほら、あがって」
僕の手を引く女の人。
強引だなぁ、このひと・・・。
「どうも・・・」
部屋には、顔を赤くした伯父さんらしき人がいた。
っていうことは、この女の人は伯母さんかな?
「はい、伯父さん」
彼女が、昼ご飯が乗ったちゃぶ台にビール瓶を置く。
そして、コップにビールを注いだ。
「すまないねぇ」
女の人が、おひつに入った玄米を茶碗に盛りながら言った。
「いえ、そんな。無料で居候させてもらってるんだからこれくらいしないと」
「助かるわ。和也くん、たべてね」
「はい」と僕の前に茶碗を置く伯母さん。
「はぁ・・・」