俺の名は、忌束キリヲ。
―――転生者だ。
魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―
e1.プロローグ1
転生。それも二次創作では珍しくない、神様によって記憶を継いだまま漫画・アニメの世界へ行くというもの。
俺はそれによって、“この世界”で、“才能”と“王の証明”を持たされ、生を受けた。
・・・まずは、今にいたるまでの、昔話をしよう・・・。
「すみませんでしたぁーーーーーッッ!!!」
“今”から、もう何年も前。
何もない真っ白な空間で、1人の中年男が俺に土下座をしてきたのが始まりだった。
「・・・・・・・・・誰?」
突然ここに来て、いきなり土下座された“俺”は、そう返す他なかった。
「は、はいっ!私はここ、天界で“神”をやらせていただいておりますっ!!」
「・・・・・・・・・は?」
説明が長いので割愛
「・・・えっと、つまり俺は、多忙だった貴方のうっかりミスで寿命の書類をシュレッダーにかけてしまった・・・と」
「もーーーし訳ありませんッッ!!!」
地面を砕かん勢いで頭を振り下ろして土下座を繰り返す神。
ちなみに、シュレッダーにかけてしまった書類は複数人分らしい。まあ、俺1人だけということは普通に考えてありえないけど。
・・・シュレッダーが天界にもあるんだと思ったのは自分だけでないはず。
あと、現世での死因は心臓麻痺。デスノートか。
「・・・・・・で、俺はどうなんの・・・?」
「は、はい!こうなったのは私の責任ですので、私が責任持って別の世界へ転生ということにさせていただきましたっ!!」
・・・どうでもいいけど、どれだけ低姿勢なんだよ・・・。
転生、ね・・・できればなのはゲームの新作やりたかったけど、こうなっては仕方ないか。
「場所、というか世界は?」
「はい!あ、あの、貴方が原作を知っている世界がよろしいでしょうか!?」
「・・・まあ」
「それでしたら、リリカルなのはの世界でよろしいでしょうか・・・?」
「・・・いいんじゃない?そこで」
というか、それ以外の作品でまともに知っている作品がほとんどないのが現状だ・・・。
あ、そう言えば。
「他の人達はどうするんだ?転生するとしたら、特に場所が被った場合とか」
「それについては・・・同じ世界に転生、ということに・・・・・・すいません。さすがに個人別に、IFの世界を作ることは無理でして・・・」
まあ、無理もないだろうな。
「お詫びと言っては何ですが、物語に適応できる力や道具と、ご希望する能力、そして願いを3つまで叶えようかと!」
「あ、それ別にいいです」
「な、なぜですか!?」
「いや、原作に関わろうとして痛い目に遭うのは嫌なので。それに、リリカルなのはなら他の転生者も来るでしょ?ならその人に任せちゃえばいいかなと」
「い、いや・・・そうなったら、私の、その・・・立場が・・・」
聞く話によると、何にも施しをせずに転生させたら上司の神達に厳罰を食らうらしい。
なこと言われてもなぁ・・・。
「・・・なら、その3つの願いについては、何か願いを叶える道具にして現世に送って。あと力は・・・・・・うん、神のあんたが俺の知ってるやつからなにか選んで、それを付けちゃって」
「そ、そんな!?それでは施しがないのと・・・」
「転生した後で願いを思いついたらそれを叶えるって形に変えるだけだし、力も最初から知ってたらつまらないから。そう言っておけば反論もないんじゃない?」
「は、はあ・・・」
とりあえずは納得してくれただろうか。
「で、では、そういうことで転生させます・・・生活に問題ない環境と、リリカルなのはの世界での必要レベルの魔力、そしてデバイスはデフォルトということにさせていただきます。あ、あと、願いを叶える道具は、手に入れた時に使い方もわかるようにしておきますので。あ、最後に、転生後の自分の名前を新たに設定してください」
「あー・・・はい」
どこからか紙・・・新しい俺の書類が手渡された。名前の欄に新しい名前を記入しろってか。
んー・・・じゃ、これでいいや。俺が原作を知っている数少ない作品のキャラだ。
書き終わり、書類を神に返す。
「で、では・・・転生、いきます!」
「ん?・・・えっ、あ、ちょっ、テンプレェェェエエエエエッッ!!!」
落ちた。
これが、転生までの出来事だ。