小説『魔法少女リリカルなのは―ドクロを持つ転生者―』
作者:暁楓()

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e62.黒幕判明?





「お久し振りです」

「・・・いきなりだな」

リインフォースとのデートから数日後。
気がつけばもう3度目になる真っ白な世界。
目の前には顔を合わせるのはもう3度目になる中年男。

「あ、神様久し振りー!」

「この前はお世話になりました」

「むぅ、貴様か・・・」

シュテル達もいたのか。
となると・・・呼び出した理由は1つしかない。

「カニバルについて、何かわかったのか?」

「・・・ええ」

神の表情が、今までになく真剣なものになっていた。・・・それほどヤバいことになってるのか?

「そういえば、以前会った時あなたは私達にとって深刻な事態になっているとか言ってましたね」

「そうだっけ?」

「ええ、確かに言いました。そしてそれがほぼ確定になりました」

深刻な事態・・・?
一体なんだ・・・カニバルの他に、どういったことが・・・





「神々が、あなた達転生者の抹消を計画してるようです」





「・・・・・・・・・は?」

それしか出なかった。

「どういうことだ神。説明せよ」

「同じく説明を要求します。そもそも、私達を転生させたのがあなた達神ではないですか。なぜその神が私達を抹消しようとしているのですか」

「・・・ん?どういうこと?どういうことなのシュテるん?ねえねえねえ」

レヴィは少し黙ってようか。
それは置いといて、シュテルの言うとおり、俺達を転生させた神が俺達を殺す計画を立てる理由が聞きたい。

「えー・・・説明の前に1つ、忌束さん。あなたには前に、神のミスで人が死に、その人を転生させることというのは異例の事態であったということは話しましたよね?」

そうだっけ?

「ええ、言いました」

そうだったっけ・・・で、その話がなんだ?

「私達神の手によって直接転生させるという初めてのことに、当然ながら賛否両論だったんですよ。結果として最高神様が認めたので、転生することで決定されたのですがね」

・・・つまり、その転生者抹消計画を動かしているのは転生反対派の神達ってことか・・・。
・・・まさかカニバルも、その計画の一部?

「ええ。まあ一部というより、最初の手駒と言った方が正しいでしょうか・・・」

「神、会話の内容がわかりません。キリヲもちゃんと言葉に出して話してください」

「失礼しました」

「わりぃ」

謝って、さっきまでの会話の解説をしておく。

「・・・で、転生者抹消計画の現段階ですが・・・」

「・・・どうなんだよ。またカニバルを増やすってのか?」

「いえ、それはありません。カニバル対策がこうして存在しますし、カニバル自体が効率が良いとは言えませんので」

「では、奴らはどう来ると言うのだ」

「さあ・・・そこまではわかりませんでした。しかし、近い内に何か行動を起こすんじゃないですかね」

「・・・最高神は?」

俺が尋ねる。
外界に干渉することとなれば、その最高神とやらが知らないはずがないと思うんだけど。

「最高神様もこのことを存じていますが、何しろ天界でも大きな問題ですので、慎重さを求める故に決定が遅れているのが現状です。その間に反対派が強攻策に出ているという形でして」

「・・・・・・」

なるほど・・・確かに一番偉い立場となれば、責任もデカいし、慎重にならざるを得ない、か・・・。
俺達がどうにかする他はなさそうだな・・・。

そのためには相手の出方を知るべきだけど、コイツもまだ知らないってことだからなぁ・・・。

「・・・なぁ、反対派の意見ってどんな感じだったんだ?転生させるかどうかの会議の時とか、その抹消計画の時とか」

「え?」

俺の質問に神はきょとんとした反応をとった。
どうするにしても、唯一の情報源はコイツなんだ。コイツからの情報で、神達の動きを読むしかない。

・・・そこまで頭が回るのかとか言われたら、そりゃ無理だけど。

「ああ、えぇっと・・・・・・『善かも悪かもわからぬ者に施しはならぬ』とか、『外界の者共に施すようなことでもない』とか、さらには『そんな者共は消し去っても問題なかろう』という案を言うものまで・・・」

「ふざけた考えですね」

「なんだよそいつらー?ムカつくなー!」

・・・・・・。
1つ目はともかく、2つ目と3つ目があれだな。
つまり反対派にとって神は絶対の存在であり、人間はかけらの価値もない存在って思ってるみたいだ。
そういう考えの奴らが取る強攻策・・・?

「フンッ、まあよいわ。どんな塵芥が来ようとも、それを我らが闇で叩き潰すのみ!」

「王様かっこいー!」

「さすがは王」

「それとだっ!!」

ディアーチェが神に指差した。

「千歩、いや1万歩譲ってこのサイズは認めてやる!その上で我らに元の大きさになれるようにせんか!」

「あ、それは無理です」

「なぜだぁぁぁーーーーーっっ!!!!」

ガッデム!と言いそうな勢いでディアーチェが後頭部を押さえ・・・あ、届いてねぇや。ねんどろいどだからなぁ。
っと、それより考える方に集中しないと。

「さすがに無理ですよ。願うとしたらドクロに願ってください」

「それこそ無理に決まってるじゃないですか。と言うより、あんな危険なものでなくても他に何かあったでしょう。あの笛とかも」

「そんなたくさん用意なんてできませんし、何よりその笛を勝手に他人が使用する可能性もあるでしょ」

「「うっ」」

「ぬぐぐぐぐ・・・っ」

珍しい・・・シュテルが墓穴を掘った。

話が逸れたことに気づいたのか、神が咳払いをする。

「とにかく、これから忌束さんはカニバル退治に加えて、より警戒をお願いします」

「ああ、そっちもできるだけ情報頼む」

「了解です」

会話が終わり、俺達が浮遊間に包まれる。もう驚かんぞ。
カニバルに加えて神への対策か・・・面倒なことになってきたな・・・。

-64-
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