小説『始まりはいつも唐突で』
作者:孤狐()

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今日は、予定も無くのんびりできると思っていたけど、いろいろと問題が保留されていたことに気がついた。
ララの服とか、ララの家具とか、ララの……。
というわけで、今日は一つ一つを解消していくことにしたんだが……。

「おい。あのコかわいくね?」

「うわぁ。すごい格好」

「あれって、なんのコスプレだ?」

そんな声がちらほらと聞こえたのは、街に着いてからすぐだった。
横で嬉しそうにはしゃいでいるララが原因なのは、確認するまでも無く明白。
家を出る前に美柑は外用の服に着替えていたが、当然服を買いにきたララにはそれが無い。
母親と美柑の服を貸したけど、諸事情で着れなかった。俺の服も同じ理由で無し。ララは着たがってたけど。

「ねぇララさん、ペケってどんな服にでもなれるんだよね?」

「そうだよ。見た服ならすぐにでも。ね? ペケ」

「ハイ! 例えデータに無くても解析してみせます」

ペケって、本当に便利だな。わざわざ着替えないで試着出来るんだろ?
脱いで着て、また脱いで着るのは面倒だから羨ましい。

「じゃあさ、通行人のをマネればいいんじゃないかな」

「「ああ、なるほど!」」

言われてみれば、わざわざドレスフォームで歩き回らなくてもよかったんだな。
よく出来ましたと美柑の頭を撫でておこう。

「んーっと……ほら、あの人とかは?」

「あの人だね? ペケ!」

「了解です!」

「よーし、待て待て、こんな所でするな。あっちの人目の無いところでやって来い」

人前でトンデモ道具を使うのを自重してくれないかな、このお姫様は。
注目の的になっているのに、いきなり服が変わったら余計に目立つだろうが。

「えー…」

「ララ様、ここはリト様の言うとおりになされたほうがよろしいかと」

「……わかった」

不承不承ながらも、とりあえずはビルの間に向かっていくララ。
まったく、人前で露骨に道具を使うなと言っておかなければ。
それと、ララについて行こうとする輩には、バレないように気絶してもらいました。
どこにでも猿山みたいな奴がいるもんだ。

「じゃじゃーん! どうリト、似合ってる?」

気絶している人を気にせず出てきたララが、目の前でクルリと回る。
流石は美柑の見立てた服、ララによく似合っていて少し見蕩れた。

「ああ、似合ってる」

「自分で勧めたけど、これは予想以上だね」

「ホント! それじゃあ出発!!」

更に注目されてるのに気づかないララは、俺の腕と美柑の手を取って歩き出した。
って、道を知らない奴が先頭を歩くな。

「ララさん、とっても楽しそうだね」

そう言う美柑も楽しそうな顔をしていたけど、わざわざ言うのも無粋だよな。人のこと言えないし。

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