小説『トリコ 〜 ネルグ街出身の美食屋! 〜』
作者:ラドゥ()

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美食屋、師の誘いで、原作に介入する?




アキトサイド


あれから20年がたった。


俺は一龍会長と次郎さんに修業をつけてもらった俺だが……よく死ななかったなあ、俺。

会長は主に俺の基礎能力の向上を手伝ってくれ、後はひたすら組み手をしたし、IGOの施設で猛獣たちの相手を相手に戦わせたりした。
そして次郎さんの場合は、主に技の向上を指導してくれた。ノッキングの方法とかな。後はひたすら組み手したり、野生の猛獣と戦わせたり、ってあれ?最初意外2人とも内容ほぼ同じような…。ま、まあいいか。師匠が同じだから自然に同じような内容になったんだろう。

まあ、そんな感じの修業が8年ほど続いたんだが、いつのまにか師匠方にグルメ界へ入ることが許されるほどのレベルに達していた。本来ならもっとかかるらしいんだが…これは師匠方の修業内容が凄かったせいなのか、ヨミエル様にもらった才能のおかげなのか。

あ、節乃さんのところで修業をしていたシャル(シャルロットの愛称。再会した後にそう呼べといわれた)も俺に2年遅れてグルメ街に入ることを許されたのには驚いた。シャルも俺に負けてられないと頑張ったらしい。元々料理が天界で天使をやっていた時からやっていたせいか、世界有数の料理人になると節乃さんに太鼓判を押されるほどに才能があることは知っていたのでそう不思議でもなかったかもしれないが。
そして修業は次の段階に進み、会長の依頼という形で指定された食材を俺がとってきたり、節乃さんがだした条件で創作料理をシャルが作ったり、特殊調理食材を2人で料理したり、食事の礼儀、『食儀』を叩きこまれたり。


そうして、現在。気づいたら俺とシャルは立派な美食屋と料理人になっていた。




















「久しぶりです次郎さん」

「うむ、久しぶりじゃな、アキト」


31歳になった俺は次郎さんに呼び出されてとある列車の駅まで来ていた。

ちなみに次郎さんと会うのは久しぶりだ。大体2年振りだろうか?会長と違って気まぐれに行動してるからなあ。

ちなみに俺とシャルロットは7年前に次郎さんのフルコースをそろえることで2人の弟子を卒業している。あれは大変だったなあ。どれもこれもIGOの補獲レベルで測定不能な食品ばっかだったからなあ。うまかったけど

まあでもこの人たちには感謝しかないんだけどね。おかげで俺とシャルロットもなかなか名前が知られるようになったし。


「それで次郎さん。今日はどうして俺を呼んだんですか?」

「ふむ、なあに。久しぶりに美味い酒でも一緒に飲みに行こうと思っての。ほら、フグ鯨。しっとるじゃろ?」

「ええ、まあ。確か深海の珍味でしたよね?」


【名前】 フグ鯨
【読み方】 ふぐくじら
【分類】 魚乳類
【捕獲レベル】 1以下~29
【生息地】 深海
【価格】 未毒化一匹/1億・毒袋完全除去一匹/3億・毒化一匹/0(闇ルートで800万)・身:100g/92万



深海の珍味 と呼ばれる、フグと同等の大きさの小型の鯨。その小ささから、 ミジンコ鯨 とも呼ばれている。
本来は体長6メートルもの大きさを持っているが、浅瀬で成魚になるまで成長した後、深海で産卵時以外を過ごす習性を持っており、深海へ移り住む際にその水圧の変化で50〜60cmにまで縮む。
これによって旨みが凝縮され、最高の味になる。しかし、同時に老廃物も凝縮されて毒袋を形成する。


毒袋と毒化
フグ鯨を捕獲・無毒化する際に最大の障害となるのが、中に猛毒の神経毒を溜め込んだ毒袋である。
その致死量は0.2mg、摂取してしまったら人間で30~1時間で死に至り、マウス10万匹を殺せる。
毒袋は破けやすく、直接的な刺激はもちろんのこと、フグ鯨が刺激をほんの僅かでも感じただけでも破けてしまう。
その場所には個体差が大きくあり、完全に取り除ける料理人は世界を探しても10人もいないといわれている。
袋が破けてしまうとその毒は全身に回り、全ての部位が毒に侵されてしまい、食用にできなくなってしまう。
この状態を 毒化 といい、IGOは毒化したフグ鯨の流通を禁止しているが、毒化しても味の変化はないため闇ルートで取引されており、多い年で10万人も中毒死している。



このフグ鯨はグルメ界の食品ではないが、それでも最高級の食材で、特にフグ鯨のヒレで作るヒレ酒は、のん兵衛の次郎さんの好物でもある。


「そういえばフグ鯨が産卵のために浅瀬にくるらしいという情報がありましたが、それですか?」

「おう、しばらくヒレ酒飲み放題じゃぞい」

そういって笑う次郎さんの顔は満面の笑みだった。全く本当に酒が好きだなこの人は。

「まあ付き合いますよ。子供ガキどもにも食わせてやりたいですし、マッチたちへの土産にもなりますから」

「おおー!それでこそわしの弟子だわい。それじゃあ行こうかの?」


そうして俺と次郎さんは列車に乗って、フグ鯨が現れるという浅瀬へとむかうのであった。







……あれ?そういえばこれって初の原作介入じゃね?


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