小説『タバサの使い魔』
作者:エクスタシー(TINAMI)

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使い魔になった次の日。私は厨房に来ていた。朝御飯にしては遅いけどタバサがここに行けといったからよ。あ、ここね。?もう先客がいるみたいね。

コンコン「失礼すr・・・します」

「はい、何でしょうか。ってあら?」

厨房に入ると黒い髪をした女の子が返事を返してきた。

「私、昨日タバサの使い魔になったんだけど…御飯を食べさせて欲しくて来ました」

今朝タバサから子供らしくふるまってくれと言われた。ま、どうでもいいんだけど。

「あ、昨日ミス・タバサに召喚された子ね。今お料理持ってくるからあそこのお兄ちゃんと一緒に待っていて貰える?」

私が貴族じゃないとわかったら態度が子供をあやすような態度に変わった。子供に慣れてるらしい。

「はーい」

そういって青いパーカーを来た男の子の所に行く。良く見たらこの子はピンクの髪をした子に喚ばれた男の子だ。
私が見ていると男の子は私に気づいた。

「あれ?君は誰だ?シエスタの・・・・・妹?」

シエスタとは黒髪の女の子の事を指しているらしい。・・・無理があるだろ。

「違いますよ、サイトさん。ほら、さっき言っていたミス・タバサに召喚された子です」

「モア・ファランドールです。よろしくね、お兄ちゃん」

「あ、ああ。俺は才人。平賀才人だ。よろしくな」

やっぱり日本人ね。何故かは解らないけど口の動きは日本語なのに話している言葉は違うわ。そういえば数年前に日本に行ったら東京で写真が貼ってあるTシャツを着た人達に囲まれて写真を撮られた事があったわね。何故認識阻害が効かなかったのか今でも疑問だわ。
取り合えず食べようかしら。

「頂きます!」





朝食を食べ終わったらサイトがメイドの手伝いをするといった。私は子供なので手伝いはしない。暇なのでサイトが手伝いをするところを見ていたら金髪の男の子と揉め事になって金髪の男の子はどこかに行ってしまった。そしてサイトにピンクの髪をした女の子が近づいてきた。・・・・この世界の髪ってどうなってるのよ。基本は白人と変わらないのにタバサは青髪だしさっきの子はピンク。そういえば学院長室に行ったとき出ていった女性は緑っぽい色をしていたわね。
そんなことを思っている間にサイトはどこかに行ってしまった。急いで追いかける。推測でしかないけどここは地球でいう中世ヨーロッパと殆ど変わらないわ。
と言うことはこの時代はテレビ等の楽しみは皆無。決闘を見ない道理はない。サイトは見たところ普通の一般人だけどメイジ(この世界では魔法使いのことをそういうらしい)に何処までもつか見ものね。





サイトを追いかけていくとすでに沢山の人が集まっていた。タバサもいる。

「諸君、決闘だ!」

「ギーシュが決闘をするぞ。相手はルイズの平民だ!」

金髪の男の子──ギーシュと言うらしい──の声により周りが叫び出す。

「逃げずに来たことは、誉めてあげよう」

「誰が逃げるか」

「ふん、では始めるか」

ギーシュがそういうとサイトが駆け出した。多分先手必勝とか思っているわね。一般人の考えそうなことだわ。
対するギーシュは余裕を持ったそぶりで魔法発動体である薔薇の造花を振った。すると花弁が一枚剥がれて金色をした女戦士の形になった。

「な、なんだこれ!?」

サイトは驚く。私も驚く。
あの魔法チートすぎない?詠唱無しでゴーレム形成とか。・・・・・泣けてくる。

「言い忘れていたが僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、僕のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」

そういうや否やゴーレムがサイトに向かってパンチを繰り出す。当然サイトは避けられずに腹に食らう。
それにしても戦乙女(ワルキューレ)ね。良いネーミングセンスだわ。もう少し構造を複雑にすればもっと強くなるけど外見を意識しているらしい。
腹に金属の塊をくらったサイトは蹲る。

「おやおや、あんなに強気だったのにもう終わりかい?」

「ギーシュ!」

ギーシュが呆れた声で言うと、人込みからピンクの髪の女の子が現れた。

「おお、ルイズか。悪いね、君の使い魔をお借りしているよ」

あのピンクの髪をした子はルイズというらしい。

「何、言ってるのよ!大体、決闘は禁止じゃない!」

「禁止なのは貴族同士の決闘のみだ。平民と貴族の決闘なんて誰も禁止しないさ」

「そ、それは、今までそんなことなかったから・・・・」

「まさかとは思うがルイズ、君はそこの平民に恋をしているのかい?」

「だ、誰がよ!こんな平民に!!自分の使い魔が怪我するのを見ていられなかっただけよ!」

そういうとなんとか立ち上がるサイト。意外と根性だけはあるのね。

「・・・・・だ、誰が怪我をするって?俺はまだ平気だっつの」

「サイト!」

「・・・・・・・へへ。お前、やっと俺の名前で呼んだな」

そしてサイトはギーシュに挑む。何度もやられるがその度に立ち上がる。八回くらった所でサイトが立ち上がらなくなりルイズと何かを話する。表の世界にいた割には根性あるわね。いつか鍛えてあげようかしら。

「終わりかい?」

ギーシュがそういうとサイトは

「・・・・・ち、ちょっと待ってろ。少し、休憩しているだけだ」

それを聞き、ギーシュは魔法発動体を振った。すると花弁が一本の剣に変わりサイトの前に突き刺さる。

「平民、これ以上続ける気があるならその剣を取りたまえ。続けないなら君はごめんなさい、と謝るだけで許してあげよう。僕の心は寛大だからね」

サイトが剣に右手を伸ばす。しかし、途中でルイズによって止められる。

「だめ!絶対に握ってはだめ!それを握ったら、ギーシュは容赦しないわ!」

ギーシュは一気に決めるつもりらしい。これ以上やっても意味がないと理解したからだ。だからサイトに武器を与え、武器を使っても勝てないと、メイジは圧倒的な存在だと平民に思わせたいのね。いくら貴族と平民が差別されているとはいえ所詮は戦場を経験したことのない子供。子供が武器を持って優越に浸っているだけだから、サイトを殺そうとはしても心のどこかでは殺してしまわないかビクビクしている。
ま、本当にヤバイ時は介入させて貰うしかないわね。今のところ地球から来たと分かっているのはサイトだけだし。
それにここでギーシュがサイトを殺せば不幸しか生まれない。ギーシュは罪悪感に溺れ、ルイズは自分の使い魔を失った悲しみに耐えきれないと思うわ。

「・・・・俺はもとの世界にゃ帰れねぇ。ここで暮らすしかないんだろ?」

「そうよ。それがどうしたって言うの!?今は関係ないじゃない!」

「使い魔で良い。寝るのは床でも良い。飯は不味くたって良い。下着だって洗ってやる。でも・・・・」

「でも、何よ・・・・」

「―――下げたくない頭は、下げられねぇ!!!」

サイトが立ち上がり左手で剣を握った。すると、サイトから魔力が溢れだす。この世界の魔力とは違う魔力。この世界や私達西洋人が使う魔力(オド)ではなく、極東の呪術に使われる魔力(マナ)
魔力(オド)は空気中にある魔素を体内で魔力(オド)に変換して魔法を行使する。しかし、魔力(マナ)は体内にある魔力(マナ)を直接使い術を行使する。魔力(オド)と魔力(マナ)二つが完全に使えれば自分の魔力が倍になると言っても過言ではないわ。できるのは天才か私のようにものすごい時を生きている者にしかできないけど。
・・・・でもこれは思わぬ掘り出し物が見つかったわ。まさか表の世界に生きている人間がこれほどの魔力(マナ)を持っているなんて思わなかったわね。
というかピンチになったら潜在能力が発現するってどこの漫画よ・・・・。
そしてサイトは魔力(マナ)を体全体に纏い、ゴーレムに向かう。太刀筋は素人だけど速さだけは達人に等しい。ギーシュがゴーレムを襲わせるがサイトは避けて切り裂く。ギーシュは慌てて六体のゴーレムを召喚した。しかしサイトは全てを切り裂く。そしてギーシュの顔面に蹴りを入れ、そのままギーシュの顔の横に剣を突き立てる。

「続けるか?」

「ま、参った・・・・」

その声を聞きサイトは剣から手を放して、そのまま倒れる。どうやら勝って安心したみたいね。ルイズが慌てて駆け寄りギーシュに何か言うと、ギーシュはサイトを浮かせてルイズと一緒にどこかへ行った。
これで決闘は終わりね。なかなか頑張ったじゃない、サイト。いつしか機会があれば鍛えれることを祈ってるわ。

-4-
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