小説『ソードアート・オンライン〜『猛獣使い』の少年〜』
作者:クロコト()

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SIDEアスナ



アルカディア・ドラゴンの爪を手に入れてもう二週間がたった。

なのに、クリムゾン・バイソンもフィルネアの実の情報も手に入らない。

一刻も早くカイト君を楽にしてあげたいのに出来ない。

だんだんと私の心を焦りが侵食し始めている。

「『フィルネアの実』・・・・・・・・・実って言うくらいだから果実なんだよね・・・・・・・・・」

森の奥にあったりするのかな・・・・?

と考えていたそのとき

「た、大変だあぁぁぁぁぁぁ!!!」

遠くでNPCの男が叫んだ。

これは何かのイベントの合図――――!!

私は急いでその男に近づき、声をかけた。

「どうかしましたか?」

頭の上に出ていた?マークが!マークに変わった。

「も、森を抜けた先にある大きな海で島が動いていたんだ!!あ、あれは『アイランド・タートル』に違いない!!」

「あ、アイランド・タートル・・・・・・・・?」

「甲羅の上で独自に進化した猛獣や植物を飼っている島のような巨大海亀さ!!」

独自の生態系か・・・・・・・・・

「それが近づくと何か不都合が?」

「いつもなら沖の方で泳いでいるんだが一ヶ月に一度だけこの街に上陸して来るんだよ!」

なるほど・・・・・・・・

「それが今日なんですね?」

「はい!貴方はとても強いお方と見た!!どうか助けてください!!」

ん〜・・・・・・・・・・・・・・・・今はそんなときじゃないんだけど・・・・・・

「とても良く効く薬の材料はその亀の上にありますか?」

私にとってはこれが何よりも優先すべきこと。

「確か・・・・・・・・・・亀の甲羅の上にある七色に光り輝く木になる実とその周りに巣食っている紅い牛の角がいい薬になると聞いたことが・・・・・・」

―――ッ!!!来た!!

七色の木になる実は分からないけど、紅い牛ってのはほぼ間違いなくクリムゾン・バイソン!!!

「分かりました。任せてください」

「おぉ!!助かります!!このお礼は必ず!!」

「では、行ってきますね」

待っててカイト君!!!

運がよければこのイベントで全部の素材が集まるからね!!!


















――――【瑠璃色の大海】――――


私は森を抜けた先の海に到着していた。

距離にして約6km。

それをノンストップで走って大体10分ほどで着いた。

目の前にはとても綺麗な瑠璃色の海が広がっている。

「・・・・・・・!なるほど・・・・・・・・アイランドって言うだけあるね・・・・・・・・」

私は遠くのほうに動く山を見つけた。

「どうやって行けば・・・・・・・」

周りを見渡すと小さな帆船があった。

「あれで行けと・・・・・・・」

文句は言っていられない。

一刻も早くカイト君を楽にしてあげるんだから!!

私は急いで船に乗り、亀のほうに向かって進んでいった。




























「おっきぃ・・・・・・・・」

私はアイランド・タートルの大きさに舌を巻いていた。

5000mはあるであろう山がたくさんある。

島と言うよりこれはもう大陸だと思う。

「さて・・・・・・・何処から上陸すれば・・・・・・」

私はふと、亀の動きが止まっていることに気が付いた。

「ブオオォォォォォォォォォ!!!!」

亀が突然大きな鳴き声を出した。

辺りに物凄い音量の重低音が響く。

鼓膜が痛い・・・・・・・振動で全身の骨が軋んでいる・・・・・・・・

「い、急がなきゃ・・・・・・・・」

私は帆船についていた小船を出して、亀への上陸を試みた。













―――数分後―――



私は運よくツタの垂れている場所を見つけ、そこをよじ登った。


クルルル・・・・・・ギャーギャー・・・・・・


ありえない数のMobで溢れかえっている。

「ん?あの光は・・・・・・」

まだ日は落ちていないのに圧倒的輝きを放つものが遠くにあることに気が付いた。

「・・・・・『七色に光り輝く木』・・・・・・あれかな・・・・・・・?」

何の手がかりも無い今は自分の直感を信じて進むしかない。

「違ったらまた探せばいいんだ」

私はそう自分に言い聞かせて光の方角へ向かっていった。















数時間後――――


目的の光っているところまでついた。

だが・・・・・・・・

「ブルルル・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・滅茶苦茶強そうなんですけど!?」

カーソルに【クリムゾン・バイソン♂】の文字が。

目的のモンスターに出くわしたのはいいが・・・・・・・・

「こんなに大きいだなんてなんて聞いて無いよー!!」 

「モ゛オオオオオオオォォォォォ」

来たあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?

「レイン!【ソニック・シュート】!!」

「ガウッ!!!」

レインの翼から目に見えない衝撃波のようなものが出た。

ザシュッ!!

「モ゛ッ・・・・・・!」

突撃してきた紅い牛さんの首が綺麗に落ちた。

パリーン・・・・・・・

「あれ・・・・・・・・?もう終わり・・・・・?」

見た目だけのカスモンスターって事かな・・・・・・・・?

倒したので私は急いでアイテムストレージを確認した。

「え〜!!!ちょっと違う〜!!!」

角はあったものの【クリムゾン・バイソンの尖角(せんかく)】となっていた。

「奥のあれは・・・・・・・・?」

私は急いで光っている木に近づいて、実っていた木の実を取ってみた。

「よかったぁ・・・・・・・・・これは本物だぁ・・・・・・」

詳細画面には『フィルネアの実』と書かれていた。

これで後は角だけ・・・・・・・・一体どこにいるんだろう・・・・・・・・?


ズズーン・・・・・・・


ふと、後ろから何か重たいものが動く音がした。

振り向いたそこに居たのは・・・・・・・・

「ブフォ・・・・・・・」

鋭利な牙が並ぶ全長8mはあろうかと言うほどの巨大な牛が居た。

捩れた太い角と―――――紅い体毛が印象的だ。

「も、もしかして・・・・・・・?」

上のほうのカーソルのしたには【クリムゾン・バイソン♀】。

「ほ、本物・・・・・・・?」

「モ゛オオオォォォォォォォォ!!!!!!!!!!」

「きゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

突進してきたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!

ドガアァァァァァン!!!!!

フィルネアの木が地面ごと抉れている!!

「な、なんて威力なのよ!?」

で、でもこれを倒さなくちゃダメなんだよね!!

「よ〜し・・・・・・・行くよ!!」

私はこの巨牛に向かっていった。

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あとがき

どうも、クロコトです。

フィルネアの実はドロップと言うよりプネウマの花と同じ類のレアアイテムです。

そして、クリムゾン・バイソンの角ですが、♂からドロップするものは尖角で

♀からドロップするものは殆どが牙。ごく稀に角といった感じです。

果たしてアスナは一回で角を手にすることが出来るのか!?

・・・・・・・・・・・・・・・・・まぁ、それも全部僕が書くときのモチベーションによるんですけどね?

最後に、コメントをくれたら嬉しいです。

さよなら〜


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