そして、同窓会の当日。
田中さん、ソファーで、新聞を読んでた。
奥さんは、鏡台に向かって化粧してるんだ。
「みっちゃんが痩せた!」
だの、
「太田くんが、社長になった!」
だの、話してるんだけれども。。。
田中さんは、上の空で聞いてたんですね。
「・・・ぅん!」
「・・・ぅん?」
何とはなしに、
奥さんの方を、ひょいと見た!
奥さん、赤いマニキュアを、
ふーふー乾かしてたんです。
「うわっ!」
振り向いた奥さん。。。
真っ赤な口紅してたんだ。
その後も奥さんが、
ばたばた準備に、暫く時間が掛かったもんだから。。。
田中さん、ソファーで、
うつらうつらしちゃったんです。
奥さん、
出掛ける前にね、
田中さんに声を掛けた。
「寝ちゃったの?」
ソファーに手をついて、
ぐぐぐーっと、
田中さんの顔を、覗き込んでくるんだって。
田中さん。。。
半分寝ぼけながら目を開けた。
「ぎょっ!」
っと、したそうです。
奥さんの肩の所に、
赤いマニキュアした手が乗ってる。
そして、
【赤い女】の顔が
ぬっと出てきて、
にぃ〜って、笑った!
田中さん思ったそうです!
(あの赤い女…ずっと家に居たんだ。。。)
奥さんにね…憑りついていたんです。。。