小説『愛されたくて愛されたくない』
作者:水士()

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あれから何ヶ月経っただろう?
桜井さんとあの約束をしてから・・・・
まだ沙耶と桜井さんは続いていた。
私もまだこの二人を見守っていたが、最近始めの頃と違って私の心が変わってきた。
多分これが欲深いと言うのだろう。
沙耶の事が好きなはずなのに桜井さんとの事を職場の人間に言いたくて仕方が無いのだ。
だけど私が言った時点で私達の関係は終わってしまう。
駄目だと分かっているのに最近桜井さんとの関係をもっと近くにしたいと思うようになっていた。
もうすぐ私達の関係に終わりがきている・・・・
私はなんだかそんな気がした。
あの二人から離れたら私はまた一人になるのだろうか?
私はやはり二人以外に親しい人間はいなかった。
他につくる気が無かったからだ。
あれから桜井さん以外に他の男の人に抱かれたが桜井さんみたいに安心はしなかった。
どうしたらいいの?
毎日沙耶に対するもやもやする感覚。
桜井さんにもっと愛情を求めてしまう感情。
私はもう前みたいになれない。
これが人間になるって事なんだろう。
今日もこれから沙耶たちと遊ぶ予定だ。
隠しきれるんだろうか?
いや隠し通さないと行けないんだ。
そう思いながら、私は用意をした。
プルルルルル メール 沙耶
携帯を開いた。
「もうすぐ着くよ〜」
幸い沙耶と桜井さんには今の私のこの醜い感情は知られていない。
「分かったよ。急いで用意するね」
私は沙耶に返信をした。

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