小説『とある剣帝の無限倉庫』
作者:マタドガス()

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〜プロローグ〜




「ここは一体どこだ…」


突然だが、少年は見たこともない風景の中にいた。どこを見渡しても白、白、白。そんな景色が地平線の彼方まで続いていた・・・。少年は何故自分がこんな場所にいるのかわからなかった。自分は確か友達の家に行こうと、何の変哲もない道端を歩いていたはずなのに・・。


「おい!ここはどこなんだ!誰かいたら返事をしてくれ………」


少年はとにかく怖かった。これから自分はどうなってしまうのかと思うと不安と恐怖でいっぱいになった。すると突然後ろから声が聞こえてきた。


「まあそんなに怖がるでない神凪龍哉(かんなぎりゅうや)君よ」


するといかにも神聖な雰囲気の老人がそこにはいた。老人は昔の日本の貴族が着てそうな何十万もしそうな地味だが丈夫で着心地の良さそうな衣服を着ており、髪は・・・・うん、ご愁傷様。それしか言う言葉無し。そのくせヒゲは腹部まで伸びているという仙人仕様だが、龍哉としては自分の他にも人がいたのでほっとした。……それでも不安が解消されることにはならないが。


「で、あんたは誰でここはどこなんだ」


「わしはお前のいた世界で言うと神様じゃ。そして、ここは天国じゃよ」


「ッ!!?」


何言ってんだよこのじいさん?頭でもおかしいんじゃねえか?……やはり髪がアレだからか、いや確かに見た目は仙人だよ、THE☆テンプレだよ。でもね、それで納得する人間がどこにいるんだよ。いくら俺が面白い事が好きだからってないわ、というかこんな状況で冷静になれるのか。いや、逆にこんな状況だからこそこんなに冷静になれるのかもしれないが。


「別にわしの頭は正常じゃが?っというか遠まわしに言ってるよね? ハゲって言ってるよね!?」


「っ!!?」


ど、どういうことだ!? 俺は何も喋ってない。、なのにこのじいさんはもしかして人の心まで読めるのか!? What!?ここは夢のお伽話の世界・・・は、ないか。だが・・
 このように心の葛藤をしているうちに目の前の神さま(仮)が、


「・・・まあ気持ちはわかるが、混乱するのはよくないぞ。今ので信じて貰えるとわしも楽なのだがの・・・」


・・・全部お見通しってわけかよ・・・。これは俺も腹くくるしかないか。信じられないけど。だがこの老人が本当に神ってことは・・・


「………ああ、信じる、てことに一応しとく。ここが天国という事は俺は死んだのか?」


すると神様は申し訳なさそうに


「ああ、そうじゃよ」



・・・ハハハ。まじかよ・・俺の人生はこんなにも短い生涯で終わっちまったのかよ、ふざけるな。俺はまだ高校生だ。将来もある、友達とあそびたい、結婚してそれなりの幸せな家庭ですごして、老後・・・は流石に考えてないが、とにかく面白い事がたくさんあったはずだッ!なのにこんなのってよ・・・


「本当に、すまなかった。本当は罪人の命を奪うつもりだったのじゃが、間違って君の命を奪ってしまった・・」


神が丁寧に頭を深々と下げる。……本当はそんな理由で人の命を奪ったのかよと目の前のラムウみたいな神にブチ切れたいところではあったが、それよりも今の龍哉にとってはこれからの不安の方が勝っていたので気にせず龍哉は話を続けることにした。そう、大切なのは過去より現実だ。


「……俺を生き返らす事はできないのか?」


「生き返らす事は自然の摂理に逆らうから無理じゃ。だが、他の世界へ転生させる事なら出来る」


「マジかよ!」


今までのマイナスの感情が俺の中から一目散に吹き飛ぶ。他の世界に行けるならまだ希望はあるってもんだ! 夢のようだが、それは現実で間違いない。夢落ちでもそれはそれでいいが。


「ああ、マジじゃ。どこか行きたい世界はあるか?」


 行きたい世界か・・・。行きたい世界といえば、俺が愛読しているあの世界しかないだろ!


「それじゃあ『とある魔術な禁書目録』の世界へ行きたい!」


この作品は大好きだ。何より男キャラがみんな信念みたいなモノがあって憧れるし格好いい。でも女キャラは性格や見た目に癖のあるやつがほとんどなんだよなあ・・・可愛いから全然いいんだけどな。


「ああわかった。じゃがあの世界は危険だがよいのか?」


確かに学園都市にいくなら、死ぬ危険がかなりあるが、今の龍哉は、これから行くであろう新たな世界への胸の高鳴りが鳴り響き、そんなことは頭にはなかった。


「ああ!俺はなんせ面白い事が大好きだからな!」


正直全く恐くないと言ったら嘘になる。誰でもそうだと思う。だが、今の俺はさっきまで身を持って体感していた圧倒的な恐怖よりも、楽しみという感情が撃ち勝っていた。だから、俺は禁書の世界に行きたい!

神は口元に笑を浮かべ、そうかと言いうつむいたあとで話を進める。


「わかった。ついでにおぬしには好きな能力を一つ授けよう」


おお能力までつけてくれるとは太っ腹だな! それはいい。ならとびきり強い能力がいいな。それもチートと言われるレベルの。ならやっぱかの有名なアレだな。


「ありがたきお言葉。それじゃあ能力はFateのアーチャーの力を超能力バージョンにしたやつでお願いします!」


Fateは、アニメだけの知識だが、あの能力があればかなり強い部類だろう。禁書の世界は、だだでさえチートの魔術師や超能力者、天使なんていう規格外の化物もいるから正直自分もチート能力が欲しいと思ってしまう。尤も、過信や油断は絶対にしない方がいい、いくらチート能力を持っていたとしてもだ。おれは慢心王じゃない。あと性格も壊れないように注意した方がいいな。強い力ってのは、それだけ人を狂わせるものだ。・・・つっても、ただの漫画にあったセリフだけどね・・。


「ふむ、わかった。あとお前のとある魔術の禁書目録に関する知識は徐々に失われていくが構わないかの?」


 記憶が失われていくのか・・・それは厄介だな。俺は生前二次創作というネットにアップされてた小説を読んでいたが、今自分が体験しているこの状況は、いわゆる転生モノというタイプによくありがちな展開に似ている。そしてアニメや漫画の世界に転生することにおいて、原作の知識の知っているのとそうでないのとは、かなりの違いだ、知識があれば、未来に起きるであろう事件や厄介事に対処したりするのが用意だからな。でも、それだと面白くないという思いがあるから、別にいいか。


「はい。そのほうが面白くなりそうなので全然OKです」


それにアーチャーの能力使えるだけで十分チートだしな。俺の唯一で十分すぎる武器だ。


「それじゃあそろそろおぬしを転生させるぞ」


「………いろいろとありがとうございます」


一応礼を言う。というか、本当に神さまには感謝しなきゃいけないな。もちろん怒りが無くなったわけじゃないが、それでも転生させてもらえるなら本望だ。まあ心の葛藤はあるけどね・・・。


「いいや。気にするな。元はといえばわしの責任じゃ。それじゃあ君に神のご加護があらんことを……」


それに頷いて答えると、突然龍哉は光に包まれ、とある世界へと旅だった・・。

・・・というか、俺、今まで神さまにタメ口で喋ってたな・・・だけどさすが神さまだけあって気にしてないみたいだからいいよな。


こうして物語は幕を上げる。いや、まだプロローグすらいってはいないということは、今の龍哉の頭には無かった。




                                 〜To be continued・・・

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