小説『とある剣帝の無限倉庫』
作者:マタドガス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

〜第10話 奇跡を創る者〜




 ステイルとの闘いから数日がたった。あれから魔術師が攻撃してきたなんてことはなかったが、もちろんそれで安心する訳にはいかない。


「それにしても全くわからん」


現在龍哉がいるのはセブンズミストという日用品から衣類までも扱うかなり広いでデパートであり、龍哉がいるのは女性用衣服のコーナーにいるのだが、何故こんな場所にいるのかというと……


「ハァ……よく考えたら、『女の子』の服装なんてさっぱりわっかんねぇよ…」


 








「そういえばインデックスってその修道服しか着るものないよな」


 今現在龍哉は当麻の部屋にいるのだが、突如そんな事を当麻が口にした。確かにインデックスは当麻のベランダにまるで死体のようにぐっだりしていた時からだとは思うが彼女いわく極上の防御結界らしい『歩く教会』という特殊な修道服以外は何も所持していなかったのだ。 この事から彼女は非常にデンジャラスなサバイバル生活をしていた事は何となく予想できたのだが、彼女の事情もあり、それを詳しく聞くことを龍哉達はしなかった。


(確かにしばらくここで暮らすんだから服とか基本的な日用品は必要だよな……)


この思いを当麻に打ち明けてみると


「やっぱりそうだよなぁ……よし、俺が今買いに行ってくるか!」


どうやら当麻も同じ事を考えていたようで買いに行ってくれるらしい。


「い、いいよ! わざわざそんなことしてもらわなくても……ただでさえ二人にはここにかくまってもらっているのに…」


と、インデックスはおどおどした様子で言った。確かにインデックスからしてみれば申し訳ない気持ちになるのは明白なのだが---
ポンっ と当麻がインデックスの頭の上に手を乗せる。


「いいっていいって! 男が買ってやるって言ってんだ! こうゆう時はおとなしく買ってもらうのが日本の男女のマナーよ!」


「え? で、でも・・・」


「いやいや、こっちが勝手に服買うって言ってるんだから、むしろ買わせてくえないと日本では失礼なのですよインデックスさん?」


 そういい上条は胸の張る。間違ってはいないのだが、少しおかしいマナーを異国のシスターに吹き込んだ。それには流石のインデックスも心が折れたようで・・


「そんな文化があったんだ。それじゃあお言葉に甘えてお願いするね! なんだか日本の事が更にわかってこれはまさに日本のことわざで言う一石二鳥ってやつだね!」


「おうよ! この上条さんにドーーーンと任せなさい!!」


 上条がドヤ顔で自分の胸をポンと叩く。マナーについて何か少し違うような気がしたが、それはさておき龍哉は非常に驚いた。


「マジかよ! お前が人に何か奢るなんて……こりゃ明日は嵐だな……」


「こらそこ! 失礼な事言わない! 確かにいつも龍哉サマサマには何時も奢ってもらってそれには非常に感謝してますよ!(たまにトンデもない下手物料理を無理矢理食べさせられるけど)だがしかぁし!! たまには上条さんも格好付けたいんですよ! そこはわかってくださいよ龍哉さんヨォ!」


……よくもまあマシンガンみたいに言葉を一度も噛まずにポンポン出せるよなぁお前は………。

 そんな事を考えてはいたのだが上条の凄まじい気迫に蹴落とされたので、とりあえず同意しておく事にした。 そしてテンションが現在進行形で上昇している当麻は自分の棚から財布を取り出すとその財布の中身を確認………………したのだが、


「………あ、あれぇ?」


 龍哉がここで口を思い切りニィッとにやけながら待っていたとばかりに口を挟む。


「あら? あら? どうしたんだ? そんな自信満々で受験の結果を見に行って自分の受験番号がなくて自分の顔がみるみる絶望の色に染まっていく受験生みたいな表情はァ? 今回は上条先輩が奢ってくれるんですよねぇ!?」


こんなわざとらしい挑発をしてみるとギギギ……と当麻の首が徐々にこちら側に動くとすでにわかりきった事を口にした。



「……………315円しかない……」


この時の当麻は最ッ高にカッコ悪かったと後の龍哉は語った……。









 という経緯があり、結局当麻に泣き言をされて俺が買い物をする羽目になったのはいいのだが、先程述べたとうり女性物の衣服なんて買ったこともないので、結局の所、数分もの間ここで立ち往生している訳である。


「ハァ………仕方ねぇか。ここは適当に衣服をチョイスしてみるか。……俺にセンスがあるのかは別としてな…」


本当は本人を連れてくればそれでいい話なのだが、彼女を連れてくるのは非常に危険なので、ここには来させていない。まあ俺がいなくても当麻もいるし何とかなるだろ。
龍哉がそんなとこを考えながら目の前の衣服コーナーに入ろうとした所で、不意に後ろから声をかけられた。


「………あの、もしかして龍哉さんですか?」


「ん? ……お! 飾利じゃねえか!」


 龍哉に声をかけたのは初春 飾利という頭に大量の花の装飾をつけた少女で、数日前に美琴や当麻達と一緒夏休み前の打ち上げをしたとき黒子が友達として連れてきた少女である。
ちなみにあれ以来色々とあったため龍哉が彼女と会うのは二回目となる。


「おお! ちょうどナイスタイミングで現れたな! 飾利……会って早々悪いんだけどさ、ちょっと女の子の服を買うのに協力してくれないか?」


「えっ? 女の子の服ですか? もちろん構いませんけど何で龍哉さんが女の子の服を買うんですか?」


 彼女のキョトンとした表情での質問に龍哉の額から汗が滲み出る。まさかここで「突然空から降ってきたシスターさんを家で匿っている」なんて間違っても言えなく、ましてや彼女を魔術師との戦いに巻き込む道理などないのだ。
龍哉は思い切り彼女の肩に両手を置き、そのあまりの気迫に初春の体がビクゥッ! っと動く。


「……頼む。これ以上はなにも聞かないでくれ…」


「は……はい! わかりました」


 凄い気迫で言われたので元々気が強くない彼女はこれ以上このことについて深く追求することはしなかった。


 龍哉と初春による買い物タイム、スタート。





-21-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




とある魔術の禁書目録(インデックス) 文庫 全22巻 完結セット (電撃文庫)
新品 \0
中古 \7480
(参考価格:\13482)