小説『とある剣帝の無限倉庫』
作者:マタドガス()

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すると今度は龍哉を囲むように複数の小さな竜巻が出現した。
少年は相変わらず余裕の笑みを浮かべている。


「どうだ!その盾では四方八方からの攻撃を防げはしない!」


そして竜巻が一気に龍哉に向かって迫ってきた。


……マジでムカつく野郎だな。そんなお前に見せてやるよ。LEVEL5の力をな!!


そう心中の中で呟いた龍哉は、さらに一つの剣を出した。
そう!その剣とはついこの前設計した。切った異能の力を消す力を持つ剣、


「イマジンブレード!!」


そして龍哉は出てきた漆黒に染まった剣イマジンブレードを握る。


しかしそれと同時に複数の竜巻が龍哉を囲むように襲ってきた!!


だが、竜巻自体は小さく飛んでくるスピードも遅い。


そして竜巻は同じタイミングで龍哉を襲う!
そして竜巻は同時に龍哉に直撃した。




はずだった。



そう、龍哉は竜巻が直撃する寸前にタンッと右足で地面を蹴り、くるりと回転切りを放ったのだ。



そして同時に切られた竜巻は、轟!という音を立て空中に消えた。




「……さて。そろそろ死んだかな?」


少年は複数の竜巻が龍哉に当たる時、勝利を確信していた。
竜巻のせいでよく見えないが、あの数の竜巻を一人の人間が避けれるはずがない。
少年は待ち遠しく待っていた。吹きやんだ竜巻の中から、グチャグチャに切り刻まれた龍哉の死体が出てくるのを。



しかし出てきたのは龍哉の『死体』ではなく、


そこから出てきのは、


無傷で漆黒の日本刀のような刀を持ち、

そして愉快そうにも不快そうにも見える表情をし、龍哉の姿をした『化け物』だった。


「ひっ、」



少年は怯えた。あの竜巻をくらっても、目の前の少年は無傷で立っているという現実に、怯えた。


人間とは、嫌な事があるとその現実から逃れようとする傾向がある。


それはこの風力使いの少年も例外ではなかった。


少年は怯えながらも龍哉に問う。


「な、んで、きさ、まは、あのたつまきをくら、って、むきずなの、だ…?」



「あァ?当たり前だろこのチキン野郎。」


龍哉はその少年の問いに呆れ果てながらも当然のように答える。



「ザッとこんなもんだろ?『LEVEL5とLEVEL4との実力の差』さなんてよ。」



この時少年は気付いてしまったのだ。
この戦いはLEVEL5がLEVEL5と呼ばれる理由を明かすための絶望の戦い(デモンストレーション)でしかない事に。

少年は自分の能力に絶対的な自信と誇りを持っていた。そして少年が通う学校でも、トップの実力を持っていた。


だが、少年は気付いてしまう。上には上がいるという当たり前の事を。
自分は所詮学園都市の何百何千とある学校の内の、『多々が一つの学校のトップ』に過ぎないという事に。
気付かなければ楽だったであろう。
だが少年は今日たった一度の戦闘でその事に気付いてしまったのだ。


少年は戦意喪失した。



LEVEL5とはそういうものなのだ。少年だけではなく、彼らと戦った人達、特に能力者は口を揃えて言う。



『勝てるはずがない』と。


「うァ」


少年はもはや逃げるしか出来なかった。


「が、ああァァァァ!!」


こうして少年は歪んだ顔で、辺りの草や石ころを掻きむしりながら暗闇に消えていった……。



それを見ていた龍哉はこっそりと、口の中で呟いた。



(まあ、能力は中々凄かったぜ。正直竜巻を出された時少しビビったしな。
あいつもこれに懲りたら自分の能力を上げる為に精進するだろうよ)


そう呟いた後龍哉も口笛を吹きながら暗闇に消えていった……。



                                   〜To be continued・・・
                                  
                                  
                                 
 

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