彼らの事を記録しておこうと思う。思い出したくない事も、まだ割り切れない感情のままに。
良い事かどうかは解らない。ただ、あの時を生きた証として、彼らと共にいた記憶として、語っておきたいと思う。
青臭い、ありふれた出来事ばかりだろう。変わった事など無いのかもしれない。
もっとも体験した私は、そうとは思えないのだけれど。でも、そんなものなのだろう。
あの日、あの時、もしも彼らと出会っていなければ。
時々そんな事を考えるようになった。自覚した時は、もうそんな年齢になったのかと苦笑いするしかなかったのだが。
彼らと出会っていなければ、私はもっと違う道を選んでいただろう。進学先は勿論違ったし、手酷い失恋をすることも無かったはずだ。平穏か、或いは退屈な日々を過ごしていた事と思う。
それ程の出会いだったのだ。人生ひとつ、変わってしまうくらいの。
良い出会いだったかどうかは、未だに解らない。もしかしたら、出会わない方が良かったのかもしれない。
それでも運命というものがあるのならば、私と彼らは出会う事が決まっていたのだと思う。
それならば、今の道以外に無かったのだと諦めもつくのだが。
彼ら、と言っても、もう連絡を絶って久しい。ただ一人を除いて、現況を知る事は無い。知ろうとも思えない。
そんな状況で彼らについて語ってはいけないのかもしれない。けれど、一緒にいた記憶は私の中に、昨日の事のように浮かんでいる。
鮮やかな記憶。
出会ったのはもう、七年も前の事なのに。
そして共に居たのは、たったの三年だというのに。
変わったのは誰だったのだろう。私か、彼らか、それとも皆か。
時が戻らない哀しさを知った。
取り戻せないものが余りにも多いのだと感じた。
僅か三年。
その重さを、痛みを知った。
彼らの事をここに残そう。
確かに彼らと居た記憶として。
何処かの誰かにも有り得た道として。
あの日、あの時、確かに時は輝いていた。
共に居ることが当たり前で、とても楽しかった。
終わった時はいつだって美しい。それを痛いくらい思い知った。
彼らの事をここに残そう。