「ん・・・・・・」
俺は腹部の痛みで目が覚めた
「此処は・・・・・・?」
俺は状況が飲みこめず、辺りをきょろきょろと見回した
真っ白で何もない部屋
病院と云うには小ざっぱりし過ぎている
そんな時、ギイイイという音が聞こえた
「***さーん、起きましたか?」
「・・・・・・・は?」
「?」
俺の一言に看護婦は小首を傾げた
「***って・・・・、俺の名前は日下部悠馬ですけど・・・・・」
「あれー?病室間違えたのかしら」
看護婦は再度確認するため病室から出た
「何だ・・・・・・・?」
そんな事を考えていると、看護婦は軽い足取りでパタパタと戻ってきた
「ほらあ、間違えてないじゃない」
「?」
「だから、君は日下部悠馬じゃなくて・・・」
・・・・・・・・・・・・・・クサカベユウマジャナイ?
「君は***って名前だよ」
ーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・
「先生!!000号室の患者さんが!!!
「暴走か!!」
「そのようです!!看護婦が一人犠牲になってます!!」
「クソッ!!!!」
「うわあああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺は奇声をあげていた
俺の下では腕や足に刃物が突き刺さって、悶え苦しむ看護婦が居た
「痛い・・・・・、痛い、痛い」
「五月蠅い・・・・・五月蠅い、五月蠅いっ!!!!!!!!!!!」
ドッ・・・・・・・
「ウギャアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺はガーゼを切るためのハサミで看護婦の脇腹を刺した
傷口からはとめどなく真っ赤な鮮血がゴップゴップをあふれて来た
そして、あんなに白くて綺麗な部屋が血であふれかえった赤い部屋へと化していた
「先生、000号室の患者さん・・・・・どうしましょう」
「どうしようもないだろう、あれだけ強い薬を投与しても症状は悪化するばかりだ」
「では・・・・先生、アレをするしか?」
「ああ・・・・・もうこれしか手がないんだ」
「***君、どうだい?気分は」
「先生、俺・・・また?」
「気にしなくていい、君は何も悪くない」
「なんで・・・・・なんで俺っ・・・・・うぅ」
「薬を投与するから」
「薬・・・・・?」
「ああ、今度は絶対に楽になれる」
「本当に?信じてもいいの?」
「ああ・・・・・信じなさい」
「良かった」
先生は俺の左腕に注射針をあてがった
「先生・・・・・・・・」
「ん?」
「これを打ったら俺は死ぬんですよね」
「!?」
「ほら、やっぱり」
「すまない、もうこうするしか手がないんだ」
「いいですよ」
「もう少ししたら眠くなってくるはずだから」
「はい」
「じゃあ、おやすみ。田部君」
ああ、やっぱりね
俺は田辺≪こっち≫の方だったんだ・・・・・・・・・・・