小説『鬼百合中隊の新たな戦い〜R15版』
作者:楽しんでます()

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ルナ達の訓練風景や鬼百合中隊のメンバーの風景を中心に書いてみました。

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魔動装兵機蒼牙の試験

ルナSide

第502独立混成中隊の司令部に、ロイと私は出頭した、私はともかくロイの人事は惜しまれた、そしてロイには新型戦車の【サーベル・タイガー】を支給されて嬉しそうにしている。

女性兵がこちらに歩いてくる、私達の手前で止まり、敬礼をして自分の名前を名乗った。

「私は、第502鬼百合中隊の魔動装兵のリリス・ベルナル軍曹です、ルナ・ハーケン小尉にロイ・ラウエル小尉ですね?」


「はい、自分はルナ・ハーケン少尉です。」

「同じく、ロイ・ラウエル少尉です。」

「ルナ少尉にロイ少尉、やっぱりそうだ?」

その時、魔導テストで少しだけ私と話した事があったアイン・トラウス小尉が私達の姿を見て、駆け寄って来た。

「お久しぶりですアイン少尉。」

「士官学校以来だな? アイン。」

「えっ、トラウス少尉のお知り合いですか?」

「ああ、実は二人は士官学校時代の同期で ……って、その話しはまた後でしよう、メルトマン大尉を待たせるのは余り良くないからな? それじゃあとでな。」

そう言って、アインは何処かに行ってしまった、まあ、話しは後でも出来る今は司令官室に向かおう、いきなり初日から大目玉は避けたい。

司令官室に通されると、メルトマン大尉が出迎えてくれた。

「ふむ、時間どうりだな? ベルナル軍曹、ご苦労だったな下がってよろしい。」

「はっ、では、これで失礼致します。」

そう言って、ベルナル軍曹は司令官室を退室した、メルトマン大尉が声を掛けてくる。

「ああ、済まないな、そこのソファーでくつろいでいてくれ、余り堅苦しい事は私は嫌いな性分でな、それよりルナ少尉とロイ少尉、二人の辞令を出す。」

ごくりと唾を飲み込む、メルトマン大尉の部隊はかなりの精鋭だ生半可な覚悟では務まらない。

「ロイ・ラウエル少尉は第二戦車小隊の指揮をとれ、後、ルナ・ハーケン少尉は魔動装兵機蒼牙の受領後蒼牙のテストを実施せよ、なおテストの指揮はエルフリーダ中尉とアイン・トラウス少尉が行う事になった。」

ドアをノックする音が聞こえる確か、私を手当してくれた軍医さんだ、振り返るとやっぱりそうだった。

「エルフリーダ・クラウゼヒッツ中尉ただ今出頭致しました、あらルナ少尉お久しぶりね?」

「エルフリーダ、挨拶は後でも構わないか?新しい魔動装兵機の状況は ……どうだった?」

「ごめんなさい、ベルセリカ、さっき受領した魔動装兵機の状態をチェックし終えたわ、やっぱり魔導力の調整が必要ね?」


「そうか…… ご苦労だった、では以上解散とする、ルナ少尉とロイ少尉は自由行動をしてくれ。」

「「了解です。」」

敬礼をして司令官室を後にした、取り敢えず施設内を回るとしようかと考えていたら、ツインテールの女の子と出会った、年齢は私より少し年下かな?

「あっ、やっぱりこの前の、大丈夫ですか、この前救出した時に…… あっ、少尉さんでしたか?失礼致しました、私は、ロゼ・リリエンタール軍曹です! 宜しくお願いします。」

この前? ええと…… 確か初対面のはず…… いや確かあの時私を助け出してくれた魔動装兵だ、それに名前は…… ええっ!?

「貴女が、ロゼ・リリエンタール軍曹ですか、あの時私を助け出しくれてありがとうございました。」

「えっ、彼女って、鬼百合中隊のエースの!? そう言えばもう一人のエース……は。」

「ロゼ、やっぱり此処に居たのね? あら、貴方方が新しく配属された方達ですの? 申し遅れましたわ、わたくしはルルン・ヒルデガルド・ラムシュタイン准尉ですわ。」

少し気のきつそうな、女性(ひと)だ、年齢は私と同い年かな?それよりも彼女の名前……確かラムズハイド国のお姫様で鬼百合中隊の魔動装兵のエースでロゼ軍曹とライバルと聞いた事がある。

「わたくしの顔に何か付いてますの?」

「い、いえ、失礼致しました。」

「ルルンお姉様、逸れより他の皆さんにパステルさん達をご紹介したいのですが。」

「そうですね、確かニコラさんは戦車の整備場に、ノイエさんもご一緒でしたわ、フランツは自室で魔動装兵機:白夜と緋焔のレポートを纏めていたので後でこちらから、フランツに教えておきますわ。」

「わかりました〜 では先にニコラさんとノイエさんの所に行きますね。」

そして整備場に向かう、戦車の整備場はかなり広々としていて、沢山の戦車が整備されていた。

「おおっ! サーベルタイガーだっ」

エリックが新型戦車のサーベルタイガーを見るなり興奮して大声を上げる。

「分厚い装甲に強力な8.8戦車砲、そして副砲は二丁の7.92ミリ機関銃に時速は最大50キロ、これなら……。」

「おーい、盛り上がってるとこ悪いけど、キミの足元の工具の中のスパナとってくんないかな?」

「えっ、ひゃっ!」

よく見たら、両脚が戦車のしたから出ていたので、驚いてその場の床にへたれこんだ。

「大丈夫ですよ? ルナ少尉、ニコラさーん、新人のお二人をお連れしました。」

「ああ、ちょっとだけ待ってくんないかな? 後は…… 此処を…… よし! 終わりっ、あっ、悪いけど引っ張り出してくんないかな?」

「ああっ、任せてくれ、ルナ、その脚の下の板に付いてる紐を引っ張って。」

「あっ、これね、ヨイショッと〜っ」

紐を引っ張っると、話し掛けてきた、女性下士官が板ごと引っ張り出された。

「おかげで助かったよ、ふぅ〜 やっぱり…… 工場に送った方が良いかもな?」

油で汚れた手をタオルで拭ってから、彼女は片手を差し出す。

「鬼百合中隊の装甲小隊指揮官のニコラ・シェーンハイト小尉だ宜しくなっ?」

「はい、宜しくお願いします、私はルナ・ハーケン小尉です、彼が……。」

「ロイ・ラウエル小尉だ、宜しくお願いするよ。」

ロイがニコラ小尉と戦車に付いてあれこれ質問したり、逆にニコラ小尉に質問され返されたりしているとそこに、若い女性下士官が近づいて来る。

「ノイエ、調度よかった、このお二人さんは、今日鬼百合中隊に配属されたばかりの新人で……。」

「ルナ・ハーケン小尉です宜しくお願いします」

「ロイ・ラウエル小尉です宜しくお願いします」

「……ノイエ・オーベルハイン准尉 ……宜しく……。」

物静かな女性(ひと)だな? そう思っていたら、ニコラ小尉が時計をみて、彼女が来た理由(わけ)を教えてくれた。

「そっか、もう昼飯の時間か、よし、じゃあ行くか」

皆で食堂に向かう事になった食堂前ではかなりの人が並んでいた、だけど余り嬉しく無い様だ。

「ふぅ、今日は【あの日】だよな?」

「ああ、【あの日】だ……。」

あの日?何の事だろう? ニコラ小尉とノイエ准尉は特に平然としてるのだけど……?

「うん♪ よく出来た〜っ、皆さーーん! お昼ご飯が出来ましたよ〜♪」

ロゼ軍曹がエプロン姿で食堂の厨房に立って居るんだけど…… 食堂の方から何とも言えない【異臭】がする。

(な、何!? この匂い……。)

(ルナ、君も匂うのか?)

「さて、今日の昼飯は…… と……。」

「……。」

ニコラさんとノイエさんあの…… と話し掛けようとしたとき、ベルセリカ大尉が席に座って食事をしようとしているが…… 何故かワインをがぶ飲みしている。

あっ、ルルン准尉と隣にいる男性がフランツ・フェルスナー上等兵ね、ロイと私は彼の席の前に行って相席の了承を取り付けた。

※※※

フランツSide

今日はあの日…… つまりロゼの手料理の日だ最初の時は、びっくりした…… まさに鬼百合中隊の我慢強さと優しさを垣間見た瞬間だった。

ロゼは幼い頃から軍の施設で実験データを録るために施設から出る事が無かった、だからメルトマン大尉が彼女の為になるならと料理をする事を許可したのだが、ロゼは料理が下手だ、半年前はルルンは初めて彼女の料理を直感的に危険と判断して、その場をしのいだが、俺がロゼの為と説き伏せて彼女に新しい【料理】の作り方と行って、料理を教えたのだが、まぁ半年前よりはマシになった。

「あの、此処に座ってもよろしいでしょうか?」

「えっ、はい良いですよ、食事は人数が多い程楽しいですからね。」

「ううっ、ロゼ…… もう少し料理の腕前を上げなさいよ……。」

ルルンが半泣きで彼女の手料理を口にする、ニコラさんは相変わらず、表情を変えずに、ほとんどムキになって食べてるしノイエさんは、栄養が取れれば何でもいいな風だ、メルトマン大尉は…… あの分だと変わりのワインが無いな…… 後で主計科にワインの調達を頼むか。

ルナさんとロイとは食事をしながら、色々と話をした、ロイが新しい戦車隊の小隊長でルナさんは新しい魔動装兵機を扱うそうだ、アイン小尉がいなければ俺の負担が大きくなってくる所だったな。

※※※

ベルセリカSide

今夜も無事何事も無くとはいかなくなった鬼震兵が出現したそうだ、いま第5・6・3軍が北部で戦闘を開始したそうだ、そして我々にも出撃要請が出た。

「北部戦線にて我が5・6・3軍から支援要請があった、直ちに鬼百合中隊は出動する、なお、ルナ・ハーケン小尉はリリス・ベルナル軍曹と共に魔動装兵機蒼牙のテストの為今回は出撃メンバーから外した、白夜と緋焔は先行し味方部隊の援護に当たれ以上だ。」

「ロゼ・リリエンタール白夜出行きます。」

ロゼが白夜を纏い漆黒の闇に飛び立って行く、ルルンも素早く緋焔を纏いロゼの後を追って行く。

「ルルン・ヒルデガルド・ラムシュタイン緋焔行きます。」

「ルルンお姉様〜っ 私の分まで鬼震兵をやっつけちゃって下さ〜い〜♪」

「フラウベル軍曹、これは遊びでは無い!」

「申し訳ありません…… 体長。」

私の一喝にしゅんと身を縮ませる、 帰って来たら説教をうんとしてやるか。

「よし、鬼百合中隊総員出撃っ!」

※※※※

ルナSide

リリス軍曹に案内されて、魔動装兵機の調整コンテナに入る、私の使用する蒼我は白夜と緋焔の実働データを基に調整されている。

(では、これより、魔動装兵機:蒼牙の起動テスト及びモニタリングを開始します。)

「り、了解」

起動テストは順調にいった身体の方にも異常は認められなかった、明日はいよいよテスト飛行だ。

「ルナ小尉ご苦労様、後は朝までゆっくり休んで良いわよ。」

「はい、解りましたエルフリーダさん。」

「ルナ小尉お疲れです〜 じゃあ、私は先に休みますね〜。」

リリス軍曹が先に自室に戻っていった、エルフリーダさんとアインは今のデータを調べる為朝まで徹夜になるそうだ、なんでも蒼牙は白夜と緋焔と同じタイプでその魔動エネルギーの消費をかなり軽減化しているため、まだ色々と調査しなければいけないそうだ余談だけどパーソナルカラーは蒼色だ。

やはり白夜と緋焔のデータが活かされているので身体えの負担は少ない、これなら鬼震兵達を相手にしても退けは取らないはず。

(早く使い蒼牙を使い熟してロイ分までの私が頑張らないと……。)

「張り切るのは、良いのですか、張り切り過ぎると大怪我の元ですよ〜 まぁ、鬼百合中隊の皆さんと溶け込む前のルルンお姉様の想いに比べと前向きですねルナさんは……。」

えっ、ラムシュタイン准尉が…… 一体どういう事だろう?改めてリリス軍曹を見るとしまった、という表情(かお)をしている。

「ねぇ、リリアスさん、ルルンさんに何が合ったのか教えて、でも嫌なら無理に聞かないから。」

私は、思い切って彼女にラムシュタイン准尉について尋ねた。

「そうですね…… ルルンお姉様が、ラムズハイド王家のお姫様だって事はご存知ですか?」

「ええ、知ってます。」

ラムズハイド国は鬼震兵の侵攻で滅亡し、ルルン・ヒルデガルド・ラムシュタイン准尉がフロイアに保護された事とそして、彼女が魔動装兵に志願した話は有名な事だ。

「ルルンお姉様は、その時我がフロイア軍上層部からまるで腫れ物みたいに扱われていました…… そして鬼百合中隊に配属された時、一人で戦果を上げている、ロゼさんに対抗意識を剥き出しにしてました、ルルンお姉様の初陣の日一人で命令違反をして鬼震兵の群れに飛び込んだ時、ロゼさんや鬼百合中隊の皆さんにフランツさんに支えられて戦って来たんです、だから、ルナさんはロイさんみたいな恋人(ひと)がいて羨ましな ……って、あっ!」

しまった、と言う顔をするリリス、なるほど彼女はラムシュタイン准尉の事になると口が軽くなるのかな?

「クスッ♪ 私にはロイがいるから大丈夫よ。」

「//// うっ…… ルルンお姉様には、内密にお願いしますね ////」

そういって彼女は少し半泣きで私の部屋から出ていった。

(はぁ…… リリスさんは…… いや深く考えるのは止めよう。)

少し落ち着いて来たのか、眠気がきたのでそのまま眠ってしまった。

そして夜が明け今日は蒼牙の飛行テストだ、魔動装兵機のチェックが終わり飛行に備える。

先にリリスさんが飛行を開始する、彼女の魔動装兵機は龍牙、機動性と格闘戦を重視して設計されている、最大の特長は魔動力で刃を構成する【槍】だ、ちなみにパーソナルカラーは黄色だ。

「リリス・ベルナル軍曹龍牙行きます。」

彼女が素早く空に飛び立つ、次は私の番だ。

「ルナ・ハーケン少尉蒼牙行きます!」

空に身体が飛びだした、身体の魔動装兵機のコントロールが……効かないっ!

(ルナ小尉、今は【飛ぶ】事だけに意識を集中しなさい。)

エルフリーダさんのアドバイスで意識を【飛ぶ】事に集中させる、リリスさんは……凄い! まるで鳥の様に自在に空を飛んでいる。

(ルナ小尉、つぎは地上への降下です速度に注意して下さい。)

「了解。」

そう応えて降下姿勢をとる、すると加速がつきすぎていた性か速度が早いっ。

(ルナ小尉、加速を中断し上昇を!)

「きゃぁぁぁぁっ!」

アインの声に素早く反応し体勢を立て直そうとしたが地面スレスレの飛行をする、そして湖の水面スレスレを飛行する事になった、水しぶきが左右に立ち全身がびしょ濡れになった。

「ハックシュン!!」

咄嗟に高度を上げたのはよかったけど、あの後全身びしょ濡れになった、バスタオルで身体を覆いホットコーヒで身体を温める、エルフリーダさんとアインの評価は余り良く無かった。

飛行テストは後四五日はするそうだから、少しずつコントロールを覚えれば大丈夫だろう。

「ふぅ…… 余り良く無かったな……。」

司令部に戻ってから直ぐに熱いシャワーで身体を温める、まあ、最初は誰だってあの位のヘマはする。

「ルナさーん、もしかして落ち込んでいませんか?」

シャワー室の敷板越しにリリスさんが話し掛けてくる、私の飛行は今回が初日でいきなりエースクラスの飛行が出来れば、私は化け物だ。

「全然…… どうして気になるの?」

リリスさんは、少しだけ表情が暗くなった。

「えっ…… と、これから背中を預ける仲間になるんですから、お教えしますね…… 私、他人(ひと)の思考とかその人の想いとか解っちゃうんです…… だから…… 小さい頃からそれで周りの人から気持ち悪がられて……。」

「そう、でも大丈夫よ、私も子供の頃にいろいろあったから、全然気にしてないわ、もし何かあったら私がリリスさんの味方になってあげる。」

その日の会話はそれだけだった、次の日彼女は何時もと変わら無かった。

※※※

リリスSide

昨日はシャワー室でルナさんと話しをした、ルナさんは私より少し年上だけど、魔動装兵機の扱いは私の方が上なので、彼女に飛行の仕方や模擬空中戦を教えている。

(リリス軍曹、ルナ小尉に遅れているぞ?)

「は、はい。」

ルナさんはこの数週間の間に少しずつ、実力を上げて来た、もう今日は射撃訓練に入っている、低空で地上の的にペイント弾を撃ち込む訓練や空中に飛ばされたクレー射撃で飛んで来そうな的は簡単に墜としている、そして今日は模擬空中戦をした、結果は15対05二十戦中私の勝ちは十五回で彼女の勝ちは五回だった、うん、これなら私達の援護位はこなせると思う。

(よし、龍牙と蒼牙は直ちに訓練を終了して、帰還して下さい。)

(了解。)

「アイン少尉、了解。」

そして訓練を切り上げ今日は解散した、私はしばらく宿舎でくつろいだ後、夜遅くに宿舎を抜け出して龍牙のスーツ姿で一人格闘戦の訓練をしていた。

「はぁ、はぁ、やーーっ! ハアッ!」

縦横右左に槍を振るう、一辺の隙の無い動きで槍を捌く、他人が見れば私と槍が一体化したようにも見れると思う。

「リリスさん、今日は随分と鍛練に余念がありませんね?」

「はぁ、はぁ、決まってるじゃない、ルナさんが少しはマシになったでしょ私のお陰ね♪」

槍を振り回し、アインの言ってきた言葉に皮肉を込めて言い返す、アインからこの数週間、ルナさんの魔動装兵機の扱い方のレクチャーや彼女の心に少しだけ触れるのを依頼された勿論、彼の独断だ、数少ないエーテノイドだから戦闘でいきなり自滅なんてのは避けたいだって……

「……アイン、アンタの片思いの女性(ひと)はもう大丈夫だと思う。」

「おゃ、お気づきでしたか、まぁ…… 貴女には嘘は通じませんからね…… で、ご自身のお気持ちはどうです?」

ムッ、アインは時々こんな風に挑発をしてくる、だから少しだけ、そんな彼が嫌い…… だけど。

「ねぇ、もし私がアンタの事が【スキ】と言ったら…… アンタはどうする?」

「そうですね、ではこうします……。」

そう静かに私を抱きしめる、心を読む事が出来る私を最初に初めて受け入れてくれたのが彼だった、周りは私を遠ざけていたから、私もそれが当たり前の様に感じていた。

「もぅ、不意打ちもいい所だょ…… /// それに誰かに見られたら恥ずかしい ////」

顔が紅くなるのが自分でも解る、そしてアインは先ほどの冗談を言っている時の様なおどけた態度ではなく真剣な表情(かお)で私を見つめている。

「まぁ、その時はきちんと一人の男として責任を真っ当します♪」

私はしばらく黙って彼の顔を見つめていた。

「やっぱり、アンタ馬鹿 ///」

「はい、馬鹿ですよ。」

あーあっ、何でこんな不器用な男(ひと)を好きになっちゃったんだろう?私は部屋に戻る事にした、まあ…… あと二、三日はルナさんの訓練があるしね、彼女が早く自分の力で飛べるまで、私が彼女の壁にならないとね。

前線はルルンお姉様達がいるから大丈夫だと思う、お姉様達は私が鬼百合中隊に来る前から戦ってきた人達だ、早く私もお姉様達に近づきたいな。



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不定期更新ですがよろしくお願いいたします。

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