「二人とも内定おめでとう」
担任から合格内定通知を受け取る、あたしは定時制のほぼ誰でも合格が決まる学校
鞠愛は奨学金を一番高い方法で配布される進学校を特待生で合格していた
「っと、一枚書類を忘れたから待っておいてくれ、北見逃げるなよ」
担任から念を押され、あたしは気のない返事をする
相談室を駆け足で出て行くのを見届け、あたしは足を崩して舌打ちをした
「この状況で帰るやつがいるかよ・・・」
今日は何かツイてない
実力の差を見せつけられるわ
担任に目をつけられるわ
___挙句に、この書類
「・・・親なんて居ないほうが良いのに」
「そんなことない」
何げなく吐いたつもりだった言葉、いつもは感じさせない気迫が短く切られた言葉に込められているような気がした
俯いた柏本の目には憂いや怒り、様々な感情が押し殺されていような、妙な気味の悪さと寒気がした
時計の針が動く音がだけが響く相談室
沈黙にあたしが耐え切れなくなりごめんと謝ると柏本は黙って首を振った
「あ、柏本。メアド教えてよ、これからよろしくも兼ねてさ、」
「うん、わかった、柏本 鞠愛、よろしく」
柏本がさらさらとメモ帳に記号と数字を書いていく
机に沿ってすっとあたしに差し出し、左手をこちらに向けてきた
「北見 瑠樹、よろしく」
あたしはその手を右手で握り返す
これが、あたしと鞠愛の出会い、いや『再会』だった