小説『Fate/Zero 探求者の聖杯戦争』
作者:sora()

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プロローグ




 聖杯戦争。それは奇跡の願望機、聖杯を巡って繰り広げられる殺し合い。

 参加する魔術師は七人。彼らはサーヴァントと呼ばれる英霊――神話や伝説の中でなした功績が信仰を生み、死後祀り上げられてなった人類の守護者――を自らの使い魔として使役する

 また、サーヴァントとして召喚される英霊はそれぞれ七つのクラスに分けられ現界する。

 剣士の英霊、セイバー

 弓兵の英霊、アーチャー

 槍兵の英霊、ランサー

 騎乗兵の英霊、ライダー

 魔術師の英霊、キャスター

 狂戦士の英霊、バーサーカー

 暗殺者の英霊、アサシン



 聖杯を手に入れられるのはたった一組のマスターとサーヴァントのみ。

 三度聖杯戦争は行われたが依然として決着は付かず、第四回目の戦いが今幕を開けようとしている。




「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。

 降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」

 ドイツ、始まりの御三家と呼ばれるアインツベルンの城で一人の男が聖杯戦争参加の為、サーヴァントを召喚しようとしていた。

 男の名は衛宮切嗣。アインツベルンが第四回目の聖杯戦争勝利の為に婿養子として迎入れた魔術師殺しと呼ばれた殺し屋。

「|閉じよ(みたせ)。|閉じよ(みたせ)。|閉じよ(みたせ)。|閉じよ(みたせ)。|閉じよ(みたせ)

 繰り返すつどに五度。

 ただ、満たされる刻を破却する」

 自身の妻アイリスフィール・フォン・アインツベルンが心配そうに見つめるなか、切嗣はセイバーのクラスとしては考える限り最強と考えられる英霊――騎士王、アーサー・ペンドラゴンを召喚をしようとしていた。

「――――告げる。

 汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。

 聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

 切嗣には叶えたい理想がある。その為に聖杯戦争に参加した。――その為に自分の妻を殺すことになったとしても。

「誓いを此処に。

 我は常世総ての善と成る者、

 我は常世総ての悪を敷く者。

 汝三大の言霊を纏う七天、

 抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 いける! 切嗣はそう思った。

 そして、だからこそ切嗣は見落とした。妻のアイリスフィールが手の甲に痛みを感じたこと。アイリスフィールの手に赤色の三画の刻印が出現した事を。



「痛っ! ……何?」

 夫である切嗣のサーヴァント召喚を見ていたアイリスフィールは自身の右手の甲に突如として襲った鋭い痛みに顔を顰めつつ、右手の甲を見た。

「えっ? 嘘!?」

 アイリスフィールは自身の右手に宿った令呪――サーヴァントを御するための刻印――を見て、驚きと困惑を隠せなかった。

 そして、次の瞬間、アイリスフィールの目の前にサーヴァント召喚の為の召喚陣が勝手に刻まれた。

「ええっ!?」

 アイリスフィールが訳が分からないと困惑しているなか、勝手に召喚陣は機能し始め、サーヴァントを召喚しようとしていた。

 そして、切嗣の目の前の召喚陣とアイリスフィールの召喚陣が同時に眩い光に溢れた。



「問おう、貴方が私のマスターか?」

 光が収まった後、切嗣の目の前の召喚陣には青色のドレスの上に白銀の鎧を装備した金髪の少女が。そして、

「……問おう。貴女が俺のマスターか?」

 アイリスフィールの目の前の召喚陣には漆黒のロングコートを着て、頭をすっぽりを覆うフードを被った者が立っていた。

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