小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第二十六話 ナスビはお宝を手に入れた

 side三人称

 悟空とナスビ、二人は飛行機よりもなお速いスピードでもって空を飛んでいる。方や雲、方や生身。その二人がレッドリボン軍へと近づくに連れてだんだんと飛行兵器から放たれる機銃やミサイルの弾幕が濃くなっていく。
 悟空は木々の間を巧みな雲捌きでもって飛んで行き、敵の攻撃を避けながら如意棒を使い飛行機を叩き落していく。一方のナスビは機銃は全く気にせず、ミサイルのみを気で吹き飛ばしながら悠々と飛行し、飛行機はひと睨みしただけで爆散していっている。
 そして森と山を飛び越えて、見えてくるのはレッドリボンの旗が立っている大きな建物で城のようにも見える。壁に囲まれ半ば要塞化した町で有るようだ。
 ナスビからしてみれば一瞬で塵にできるようなちっぽけなものだが今回は中にドラゴンボールもあるし、殺しは極力しない方針だ。極力と思っているあたり、ナスビの倫理観はしっかりサイヤ人である。
 
 「たりゃあああ!!」
 
 飛行機を叩き落しながら地上に降りていく悟空。ナスビもそれに続く。
 レッドリボンの管制室ではかなり慌てている兵士達と、襲いくる脅威が全くわかっていないレットリボン軍総帥がいた。赤髪のオールバックで身長が150センチも無いぐらいに低く、そこはかとなく小物臭が漂う中年男性だ。レッド総帥と呼ばれている。

 「だめです!飛行機部隊全滅!」
 「何だあの二人は!?ミサイルを避けるながら棒で飛行機を叩き落す小僧とにらんだだけで飛行機が爆発する男!?」

 うろたえる通信兵や周りの兵士達。普段、自分達が悪行を働いて武器を振り回し、強者の立場にいる分、自分達が弱者の立場に立つことに慣れていないのだろう。ましてやそれがただの人間二人に近代兵器の数々がガラクタにされているのだ。未知のものに対する恐怖から冷や汗が止まらない。

 「うろたえるな!早く殺せ!」
 「しかし、桃白白(タオパイパイ)がこずにあの孫悟空と言う子供が来たということは桃白白がやられたという事。もっと戦略を練らねば……」

 レッド総帥を諌め、隣に立つ男はブラック補佐。黒人の長身の男で何らかの格闘技者であろう事が解かるからだの作りだった。性格も冷静で物事を客観的に見ることができそうな男だ。
 
 「ええい!あんなガキ一人に負けるレッドリボン軍ではないわ!絶対に中に入れるな!」

 怒鳴りながらテーブルをたたくレッド総帥。

 「だめです!もう進入されました!」

 兵士の一人が言う。その言葉に更に怒鳴るレッド総帥こんな事で大丈夫なのだろうかとブラックは心の中で不安に思うのだった。
 一方、悟空とナスビはすでに領地内に入り二手に分かれて兵士達を蹂躙していた。
 悟空はドラゴンレーダーの反応を頼りにドラゴンボールのあるレッド総帥がいるところへ一直線に進み、ナスビは悪人には多少の罰を与えとかないとまた繰り返すと思い、兵士達をいじめ歩いている。
 
 「悪い子はいねえか〜」
 「ひっひっぃい!」

 ナスビの稚拙な驚かしにも反応するほど怖い思いをした兵士達。
 指から出た光線で武器を壊されたり、掛け声一発で辺りが吹き飛んだり、風がふいたと思った瞬間服がボロボロになりボコボコに殴られたり、空高く放り投げられたりして失禁したものもいる。トラウマになるものも少なくないだろう。

 「もう悪い事すんなよ?じゃないと……遊びに行っちゃうよ?」

 にやりと悪人っぽく笑うナスビ、これだけで失神し失禁してしまうものもいる。さぞかし恐ろしかったのだろう。
 こういった行動を兵士に会うたびにしているナスビ。しかも相手がいなくなると気を探って瞬間移動してまでやりに行くのだからたちが悪い。
 
 「そろそろ、俺も城に行くか。悟空の気はと」

 気を探り、悟空の居場所へと飛んでいくナスビ。途中、兵士をいじめながら進むので瞬間移動ではない。いい性格である。
 悟空を追って建物内に進入、そしてふと視線の端に悟空を見つけるナスビ。だが悟空の後ろには一人の女性が悟空から隠れながらおっていっている。

 「(何だアイツ?隙をうかがっているのか?いやそういう気配じゃないな。冷静に観察しているだけ、攻撃する気も感じられない。悟空に会いたくは無いが悟空の行き先に行きたいみたいな?)」

 ナスビが見た限り、攻撃しようとする気配が無い女性。実はこの女性バイオレット大佐といい、お金のためだけにレッドリボン軍にいるような奴だ。そう言った性格上、悟空の強さをしっかり見抜いている。けっして勝てない戦いをするような人物ではない。
 ナスビはバイオレット大佐を追い、バイオレット大佐は悟空を追う。途中悟空がエレベーターの使い方が解からず天井をぶち破りながら進んだりという事もあった。そうして進んでいくうちにバイオレットが悟空を追うのをやめ、ふと一つの部屋の前で止まる。

 「ふん、ついにレッドリボン軍もおわりね」

 そう呟いたバイオレット大佐は部屋のドアを空けようとし、鍵がかかっているとわかれば迷わず持っている銃でドアの鍵を破壊した。更にドアをけり破って豪快に進入していった。
 部屋の中には大きく頑丈な金庫がある。大手の銀行が使うような円形の扉が壁にはまっているタイプだ。それ以外は天井に監視カメラがあるぐらいの部屋だ。
 

 「退職金ぐらい貰わないとね」
 「そういうことか」
 「!!、だれ?!」

 金庫を見つけ悦に浸るバイオレット大佐の背後から声をかけるナスビ。それに反応してすぐに背後に銃を構えるバイオレット大佐。だが銃を向けられたナスビは飄々としている。いまさら銃器など怖くも無いのだろう。

 「その金庫の中身はは俺が貰っておこうかな」
 「あなたは誰?!?兵士なら持ち場に戻りなさい!」

 バイオレット大佐は侵入者が二人だと知っていたが目撃したのは悟空の姿のみ、ナスビの姿はみていなかった。それゆえ目の前にいるのが人外級の化け物である事がわからない。
 ナスビはゆっくりと入り口から金庫へと近づいていく、だがバイオレット大佐は敵対行為と見たのか銃の乱射を始める。
 銃声が乱舞するがナスビが歩みを止めることはない。すべての弾丸を手で受け止めているからだ。そして銃声がやむ。

 「あ、あれ!?」
 
 バイオレット大佐はわけがわからないという顔をしながら驚いている。確かに銃弾は当たっているのに全く聞いた様子も無く普通に歩いてくるからだ。
 
 「玉が当たってないからね」

 そういいながらナスビの握られた手から弾丸がバラバラと落ちていく。それだけでバイオレット大佐は言葉を失う。そして気がつく、目の前にいるのが侵入者の二人のうちの一人であろう事を。

 「私をどうするつもりなの?」

 怯えの混じった眼で効果の無い銃を向けるバイオレット大佐。

 「別に」

 そう言ったナスビはバイオレット大佐を気にせずに金庫の前に進む。
 
 「よっ」

 金庫の横の壁に拳をめり込ませ無理やり金庫の扉をこじ開けるナスビ。その表情はさもなんでもないことをやったような顔だ。だが壁は鉄製。つまり鉄を拳でぶち抜いたのである。バイオレット大佐ははむかうのは無駄な事を悟って銃を放り出した。
 金庫の中には数十億の資金と結構な数の金塊や宝石が入っていた。いままでレッドリボンが溜め込んだものだろう。
 部屋の天井にある監視カメラの向こうでは、さぞかしレッド総帥が憤慨している事だろうなとナスビは思う。
 
 「もうけもうけ」

 そういいながらナスビはホイホイカプセルを一つ取り出し、スイッチ押し投げる。BONと音がした所にあったのは車だ。後はその車の中に金庫の中身を放り込み、カプセルに戻せば終わり。簡単すぎるなとナスビは思う。
 その光景をただ眺めているだけのバイオレット大佐は自分が何かをされるんじゃないかと戦々恐々としているだけだ。

 「ああそうだ」

 ふと、大金やら宝石やらを車にぶち込みながらバイオレット大佐を見るナスビ。

 「次に悪い事をしたのを見つけたらぶっ殺しに行くからね。こういうふうに」

 そう、にかっと笑って壁の方向に気功波を放つナスビ。勿論、人がなるべくいない方向にだ。気功波は壁に当たったと同時にその方向の壁と建物をすべて消し飛ばし見晴らしをよくした。それをみたバイオレット大佐はこの世には触れてはならない人がいるんだなと顔面を蒼白にしながら頷いた。

 「そうそう、素直に普通に生きろよ」
 
 そう言ったナスビはお宝を詰め込んだ車をカプセルに戻し悟空の方へと向かって飛んでいった。

 「……普通に就職しよう」

 バイオレット大佐の呟きは誰も聞いていなかった。
 

 あとがき

 レッド総帥や、ブラック、バイオレットの会話文は原作とは違います。まあ多少変えてあるだけですが。
 というかどう見てもナスビが悪人ですね。元気玉が作れないわけもわかりますw
 なんとなくネタ切れ感がありますね。なにかやってほしい事なんかがあったらコメントどうぞ。やるかはともかくインスピレーションになるかもしれないので是非にw

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