ある日の日中、砂嵐の多い街の中にあるリナの働いている酒場に、一人の男がやってきた。
その男は紳士的な格好をしていたが覆面をかぶっていた。
カウンターにいるリナに「銃の発砲勝負はどうか」と誘いをかけてきた。
一体なんの目的でこの男が酒場にやってきて、この男がそんな誘いをかけてくるのか分からなかったが、
一つだけ心当たりがあるとすれば、
過去に自然消滅したのかしていないのか明確ではない恋をしたことであり、
恋愛の対象だった男は、自分に対して一途な思いを抱いていたということだった。
「銃の弾を豆にしてならいいです、豆鉄砲の豆を当てられることは慣れてますから」
男は了解し、リナは男の手にしていた銃を奪って弾を抜こうとしたところ、弾は入っていなかった。
「殺しは嫌いだけど、遊び好きな僕を試してみない?」
その言葉を聞いたリナは覆面の下の男はやはりあの時の男だろうと思ったが、
もしそうであっても覆面をかぶっている以上誤魔化すことだってできるし、とぼけることだってできるのである。
リナは男と一緒に酒場の外に出て、「後ろを向きながら1、2、3で歩き、振り向いて発砲」の豆鉄砲の発砲勝負をすることにした。
むろん、リナは発砲するつもりはない・・・。逃げるつもりも・・・。
「「1、2、3・・・・」」
リナは思いっきりつむっていた目を開けた。
体が痛んでいるのか分からないほど、ひっきりなしに太陽が輝いている。