「お姉ちゃんの部屋入っていい??」
「うん、いいよ」
ガチャリ
妹は姉の部屋に入った。
「何の用?」
「受験勉強に使う参考書借りたいと思って」
「科目は?」
「地理」
「それならこっちの本棚にあるよ」
姉は机の後ろの右の壁にくっついた棚の左端の方を指さした。
「全部持って行っていいよ」
「ありがと。あれ?」
妹は棚の中に本のように分厚いファイルを見つけた。
「あ、だめこれは」
「さてはラブレターだな?」
姉が止める前に妹はそのファイルを手にした。
「なんでわかったの?」
「だって読んだことあったんだもん。差出人どういう人かも知ってるよ。お姉ちゃんのクラスメートでしょ?」
「やられた…」
「お母さんに頼まれてお姉ちゃんが旅行中の時に掃除してて見ちゃった。大丈夫、安心して、疑似恋愛してなければ、お姉ちゃんのものをとろうなんてこともしないから」