小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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四月二十五日(土)



―――朝、一誠はとある寮の前に立っていた


「ん・・・・・?気の数が一つしかないな。しかも、これはまた懐かしい気だ」


ガンガンッ・・・・・


木製とガラスで作られた扉に叩く。少しして扉が開け放たれた。


「はい、どちらさまで・・・・・」


「おっ、お前は・・・・・」


「・・・・・」


「へぇ、お前も此処に住んでいるとは知らなかった」


「旅人さん・・・・・?」


「久しぶり、由紀江」


「っ!お久しぶりです!旅人さん!」


歓喜になった少女、由紀江は涙ぐみ一誠に抱き付く。


「大きく成長したな」


『うぇーい!久しぶりだぜ、旅人ぉー!』


「で、相変わらずこのマスコットと話をしている訳だ」


「あうあう・・・・・ま、松風はお友達ですから」


「でも、俺と由紀江は友達だよな?」


「は、はい!旅人さんが最初のお友達です!」


『オラとまゆっちの理解者は旅人だけなんだぜぇー?』


「お前の家の事や由紀江の性格じゃあ、しょーもない。そういえば此処に島津岳人と他の奴等は

何処に行った?」


「そ、それが皆さんは何時の間にかいなくなってこの寮にいるのは私だけなんです」


『まゆっちはブルーになっていたんだぜ・・・・・友達100人を作る為に川神学園に

入学していたというのに未だ、友達が99人なんだよ』


「へぇ、由紀江はその想いを心に抱いて川神学園に入学していたんだな?」


「はい、それと旅人さんが決闘をしている姿も見ました。とても、お強いのですね・・・・・」


「そういう由紀江も強く成っているじゃないか・・・・・と、ここで立ち話をするのも何だから

入っても良いか?」


「は、はい!では、私の部屋に行きましょう!」


「いいのか?」


「旅人さんなら平気です」


「解った。お邪魔させてもらうぜ」


『良かったなぁー、まゆっち。旅人さんが話し相手をしてくれるってよ』


「はい。とても嬉しいです・・・・・」


一誠と由紀江は寮の中へ入り、由紀江の部屋に招かれる。


「和風の部屋だな。畳からも良い匂いがする。ここはゆったりとして落ち着くな」


「ふふ、旅人さんはのんびり屋さんなのは相変わらずのようですね」


「まあな。それと、俺の名前は兵藤一誠だ。由紀江、今から俺の名前を呼ぶように。俺は『イッセー』か

『一誠』と呼ばれる事を希望する。勿論、『さん』付けでも構わない」


「で、では・・・・・イッセー先輩とお呼びしますね」


「ん〜・・・・・それは学校の時で呼んでくれるか?今はプライベートで来ているんだ」


「は、はい。解りました。イ。イッセー・・・・・さん」


「うん、それがいい。改めて俺と由紀江は友達だ」


一誠が由紀江に握手を求めた。由紀江はその手を見て自分も握手に応じた。


「はい、末永くよろしくお願いします。イッセーさん・・・・・」


『やったな、まゆっち!正真正銘の友達ができたぜぇ!』


「ええ、松風!早速、父上に報告の手紙を書きましょう!」


「はいはい、それは後でな。俺と色々な話をしようぜ?友達は交流をして行くほど親密になるもんだ」


「なるほど・・・・・勉強に成ります」


「自分から行動をしないとダメな時もある。何か大切な物を得る事も出来なくなる。全ては自分が

弱いままだと何もできなくなる。違うか?」


「はい、間違いないです・・・・・」


「由紀江、ちょっとこっちに来い」


「・・・・・?」


手を招く一誠に不思議に思いながらも由紀江は言う通りに近づく。


「よっ」


「あわわ!?」


由紀江の手を掴み少し強引に由紀江を引いて胡坐を掻いている足に乗せる。


「はは、やっぱり大きく成っているなぁー。あの頃の由紀江は小さくてすっぽりと収まっていたのに

今じゃあ収まりきれていないや」


背後から由紀江の身体に腕を回してギュと抱擁する。


「イッセーさん・・・・・あの時と同じですね」


「うん?」


「イッセーさんの温もりが背中から伝わってきます。とても心が安らぎます・・・・・。私、この温もりが大好きです」


「・・・・・そうか」


「イッセーさん、このままの状態で今まで何処で何をしていたのか、お話を聞かせて

くれませんでしょうか?」


「ははっ、由紀江は甘えん坊だなぁー」


「あわわ!め、迷惑でしょうか・・・・・?」


「いやいや、迷惑じゃないさ。よし、今まで俺が体験した事を話してやろうか」


「っ、はい!」


嬉しそうに笑う由紀江。一誠は笑う由紀江に微笑み、冒険の話を語る



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「イッセーさん・・・・・凄い事をしてきたんですねぇ・・・・・」


「まあ、俺だからできる事だ」


『一坊の武勇伝は凄いんだなぁ・・・・・』


「別に武勇伝じゃねぇよ。ただ思うがままに行動をしてきただけさ」


「そう言えばイッセーさんのお家はどこなのでしょうか?」


「あー、俺の家ね。ん」


一誠は人差し指を天井―――空に指した


「えっと・・・・・?」


「空だ。俺の家があるのは」


「・・・・・」


「いや、本当だからな?なんなら、俺の家に来るか?」


「えっ、えっ?イッセーさんのお家に私が・・・・・?」


「おう」


「め、迷惑ではないでしょうか?」


「なに、何もないところだから迷惑なんて思わないさ。で、来るか?」


「は、はい!お供させていただきます!」


「それじゃあ―――ん?帰ってきたようだな」


「えっ、解るんですか?」


「気で探知しているから分かる」


「イッセーさんもできるんですか・・・・・」


「由紀江もそれぐらいはできるだろ?」


「はい、父上に稽古をつける際に教えられました」


「あの人か・・・・・元気にしているか?」


「はい、今も元気ですよ」


「そうか、それじゃあ下に降りるとするか。由紀江、一緒に行こう」


「わ、私もですか!?」


「何言っているんだ?ほら、友達を作るチャンスでもあるんだぞ?今頃あいつ等は腹をすかしている。

そこにお前が料理を作ってやれば認めてくれる」


「―――っ!」


『一坊、まゆっちの為にそこまで考えてくれたんだなぁ〜、オイラ感動しちまったぜ・・・・・』


「さて、出陣と行こうか」


一誠は由紀江を先に立たせて立ち上がり手を引いて下に降りる。食堂に入るとバンダナを巻いた人物が

電車の駅名をぶつぶつと呟いていた。


「・・・・・何しているんだ、お前等は」


「えっ・・・・・た、旅人さん!?」


「なぬ!旅人さんだとぉ!?」


ドヒュンッ!


「神はまだ俺達を見捨てていなかった!旅人さん!俺達の為に何か作って!食材なら冷蔵庫にあるから!

ちなみに俺達は応援しかしない!」


「やっぱり腹を空かせていたか、由紀江。作ってやれ」


「は、はい!頑張って作ります!」


「えー、旅人さんが作ってくれないのか?というか、黛と知り合い?」


「ああ、北東南西。色んな場所に旅をしてきたからな」


「へぇ、そいつは知らなかったな」


「由紀江は他の人と接するのは少し苦手だ。お前等、由紀江と仲良くしてやってくれ。友達100人を

作るのが目標だからさ」


「ほー、なるほどねぇ・・・・・。解ったぜ!旅人さん!」


「ところで旅人さん、何時から居たんだ?」


「お前等がいない時から居たぞ。まあ、由紀江とその間、昔の話を聞かせていた」


「どうして此処に来たんだ?」


「久しぶりにこの寮を見に来ただけさ。ついでにお前等がいたら遊ぼうかなと思っていた」


「あー、擦れ違いかぁ・・・・・」


「さて、由紀江。一緒に作っても良いか?」


「はい、お願いします」


「そこの腹ペコ共は大人しく待っていろ」


「流石は旅人さんだぜ!・・・・・と、一誠さんだったな。旅人さんと呼ぶのが馴染んで中々、

切り替える事ができないや」


「俺もつい旅人さんと呼んでしまうな」


「しょうがないさ。まあ、頑張れ」


―――数分後


「お待たせしました!肉じゃがの完成です!」


「やった!これを食べて俺、人間的に成長するよ!」


「あざーす!」


「さて、そこに立っている奴も入ってきたらどうだ?」


「・・・・・」


食堂の入口から一人の男が一誠に警戒しながら入ってきた。


「あっ、ゲンさん!」


「知り合いか?」


「俺達と一緒に暮らしているんだ。因みにゲンさんも同じクラス」


「そう言う事、俺は2−Sの兵藤一誠だ」


「・・・・・俺は源忠勝。アンタが旅人さんと言う男だな?」


「偽名だがその通りだ。ほら、お前も腹をすかしているだろう。飯を食え」


「・・・・・」


「そうだぜゲンさん!一誠さんの料理は最高なんだ!」


「おいおい、由紀江も作ったんだ。特に肉じゃがをだ」


「そこの一年が・・・・・?」


「は、はい!」


「・・・・・バイトもあるし、少しだけ食べて行くか」


「ん、そうしろ。俺は帰る」


「あっ、一誠さん!一緒に宴に参加してくれよ!」


「宴?」


「ああ、一誠さんと別に転入生してきた女生徒を風間ファミリーに入れる事にしたんだ。それで今夜、

そのお祝いとしてプチ宴をするんだ」


「姉さんとワン子が稽古終わってから肉を持ってくるんだ」


「風間ファミリー・・・・・懐かしいな」


「そうだ!一誠さんも風間ファミリーに入らないか!?一誠さんなら誰にも文句は言わないだろうし

寧ろ賛成するぜ!」


「特に姉さんと京が喜んで賛成するだろうな」


「んー、それ、昔のまんまか?」


「昔のまんまだ」


「『金曜集会』。積極的に金曜日に集まるイベントだが・・・・・何処で集まるんだ?」


「そういえば一誠さんは知らなかったんだな。俺達、新しい秘密基地を手に入れたんだ。

そこで風間ファミリーは集まるようになっているんだ」


「そうなんだ。お前の事だ。秘密基地に相応しい場所を見つけたんだろうな」


「おう!」


「・・・・・俺は基本、一人で動く方が好きだから金曜集会にもあまり顔を出さないぞ。

非正式メンバーとしてなら風間ファミリーに入ろう」


「それでも問題ないぜ!いやっほーう!これで本当の意味で風間ファミリーは結成したぜ!」


「数年振りに全員が揃ったな。皆、喜ぶだろうな」


「じゃあ、こいつも入れてやってはくれないか?」


「「えっ?」」


「ん?黛もか?」


「ああ、俺が初めて由紀江の家に訪れた時、こいつは剣の修行で友達が一人もいなかったんだ。

京とユキに似てさ、放っておけないもんで俺と友達になっている」


「イッセーさん・・・・・」


「翔一、どうだ?」


「んー、皆の意見も聞かんと解らんなぁー」


「ふむ、それもそうか。まあ、由紀江は風間ファミリーに入る事に成るだろうさ」


「一誠さん、それ勘ですか?」


「勘だ」


「一誠さんの勘は百発百中だからすげぇーよな!」


「更に言えば、源。お前も風間ファミリーに何時か入る」


「何で俺が仲良しグループに入る事に成るんだよ」


「今じゃないさ。遠からず、何かしらのきっかけでお前も風間ファミリーに入るんだ」


「けっ、そんなきっかけなんざ起きはしないと思うぜ」


「さて、そのきっかけは俺も解らない。だが、本当に自分が何をしたいのかそのきっかけで気づくだろう」


「・・・・・」


「と、まあ、そんな感じだ。由紀江、お前の部屋に入って良いか?百代達が来るまで寝る」


「では、布団を出しておきましょうか?」


「いや、畳の上で寝るさ」


「それでしたら枕ぐらい使っても・・・・・」


「じゃあ、リクエストで由紀江の膝で寝たいな」


「ふぇっ!?」


「あはは、可愛いなー由紀江は」


『一坊、まゆっちは純情派なんだ。あまりいじらないでくれー』


「ふっ、じゃあ松風をいじるとしようか。ほら、この辺がお前のツボだろう?」


『あっ、そっ、そんな・・・・・一坊・・・・・何処でそんなテクを・・・・・』


「さあ?それは秘密だ」


一誠が2階に戻りに行くと由紀江もついて行き、話しながら和風の部屋に入った。


―――3時間後


「結局、俺が膝枕する事に成ったんだよな」


「すぅ・・・・・すぅ・・・・・」


「・・・・・」


一誠の太股に頭を乗せて寝息を立てる少女、由紀江。そんな少女の頭を優しく撫でる。


「ん・・・・・」


くすぐったそうに由紀江は頭を動かす。


「流石に松風も寝るか」


由紀江の傍にチョコンと畳の上にある馬のストラップを見詰めて「ふっ」と笑う。


『ぐぅ・・・・・ぐぅ・・・・・一坊・・・・・』


「・・・・・まさか、本当に魂が入っているのか?」


馬から声が聞こえ一誠は驚きを隠せなかった。


トントン


「ん?」


『あー、黛?一誠さんを起こして下に降りて来てくれ』


「(逆なんだけどな・・・・・)由紀江、起きろ」


「んっ・・・・・」


優しく由紀江を起こして目を覚ませる。


「・・・・・あれ、私・・・・・」


「途中で入れ替わってそのまま寝たんだよ」


「・・・・・はっ!申し訳ございませんでした!つい、昔に戻ったかのようにイッセーさんの膝で

寝てしまいました!」


「気にするな。俺も由紀江の可愛い寝顔を見られて良かったし」


「っ・・・・・!」


一誠の言葉に顔が一気に赤く染まった。一誠は赤く染まった由紀江に微笑み、促す


「それじゃあ、下に降りよう。皆、待っているみたいだ」


「は、はい・・・・・」


2人は立ち上がって自然に由紀江は一誠の手を握り、歩を進める。


「(ははっ、こういうところも昔と変わらないな。本人も気づいていなさそうだ)」


心の中で呟き苦笑する。幼少期の由紀江と出会った事を脳裏に思い浮かべ短く笑う


「どうしました?」


「なに、面白い事を思い出しただけだ」


「そうですか」


敢えて追求せず一誠と一緒に階段を降り、翔一達がいる居間に赴く。そこには大和、翔一、百代、一子、

京、一誠とは別に転入してきたクリスがいた。


「あっ、お兄様だ!」


「イッセーだ!」


「あの靴は一誠の物だったのか・・・・・」


一子と京が一誠に抱き付く。由紀江が居間に入る際に一誠の手を放して入ってきた為、一誠は2人を

抱擁して頭を撫でる。


「よしよし、甘えん坊達め。さて、翔一。見たところ焼肉をするらしいから俺が焼こう」


「えっ!マジで!?」


「こういうのは年長者がやるもんだ」


「ヨッシャー!一誠さん、最高!」


―――数分後。


「ほら、肉が焼けてきたぞ。じゃんじゃん食え。俺も食う」


「うんっ、美味しいわね、流石ウチへの献上品」


「おお。これは本当に美味しいな・・・・・」


「ドイツ帝国からのお墨付きも出たわよー」


「一子、帝国ではなく連邦制の共和国だぞ」


「アタシは場に一枚残っていても容赦なく食べるタイプだからこの肉もらうわ」


「人の話を聞いていないな、流石は犬」


「肉もやーらかいし、一誠さんの焼き方が良い感じだぜ。どう黛」


「はいっ、これ、まいうーですね!」


「はは、由紀江からその言葉が出るとは面白い。確かにこの肉はまいうーだな」


「はい!」


「お兄様!もっと焼いて、焼いて!」


「肉ばっかり食うなよ。ほら、野菜も食え」


「まぐまぐ・・・・・」


「はう・・・・・。やはりイッセーさんはお優しいですよ松風」


『イエーイ!このまま一坊とまゆっちの仲が進展していけば友達100人は夢じゃないゼ!』


「はいはい、松風と話すのは後でだ。松風、お前はこっちに来い」


『ま、まゆっち〜!』


「ああ、松風がイッセーさんの胸ポケットに・・・・・」


「お前はひたすらこいつらとコミュニケーションをしなさい」


肉と野菜を焼きながら指示する。


「あわわ・・・・・。わ、私・・・・・・」


「焼けた?焼けたよね?その肉もらったわ!」


スパンッ!


「きゃん!」


「まだ焼けていないのに肉を取るのであればハリセンをもらうぞ?」


「ひっ、久々にお兄様のハリセンを食らったわ・・・・・」


「返事は?」


「わ、分かりました。待ちます、待ちます。大人しく待っています」


「よろしい。ほら、焼けたぞ」


「わーい!」


「飴と鞭を上手に使い分けたなぁー」


「ははっ、ワン子も一誠には逆らえないのさ」


「というか、風間ファミリー全員が逆らえないよね。私はイッセーが言ってくれれば何でもしちゃう・・・・・」


「最近の京も一誠さんが現れてから変わっているなぁ」


「イッセーのハートを鷲掴みにする!撃ち抜く!これ、私の夢だよ?」


「―――ほう、それは私への挑戦状と受け取っても良いんだな?」


「ククク、いくらモモ先輩でも負けないよ?」


「ははは、言う様になったじゃないか」


―――バチチッ!


京と百代の間に火花が散った。当の一誠は無視して次々と肉と野菜を焼いて行く


ピピーッ!ピピーッ!


「おっ、飯が炊きあがったな」


「すいませーん。ご飯もう持って来ちゃって下さい」


「京、悪いがやってくれるか?」


「合点承知!ワン子に至っては客気分ね。まー別にいいけど、大盛りね」


京がご飯大盛りにして、一子に渡す


「はーい。他に白米いる人ー」


「自分も貰えるだろうか」


「白いのがたくさん欲しいですとおねだりして」

「ん?白いのがたくさん欲しいです」


「ワン子といいクリスといい、邪気が無さ過ぎる・・・・・」


「お前が邪気をハラみ過ぎるんだ」


「そりゃもう、大和に鍛えられたから」


京の言葉に一誠は察し、京に視線を送る。京は一誠から贈られる視線に気づき―――口の端を吊り上げた。

一誠も口の端を吊り上げて大和に顔を向けて京と一緒に口を揃えて言った。


「「いじめなんて、いじめられるヤツが悪いんだYO」」


「ぎゃあああ!すみません!昔の俺の真似は止めて!しかも一誠さんの場合、完全に俺の声を真似て

言っているから心の古傷がぁああああああああああああっ!」


「まあな。俺は天才だから何でもできるぜ?」


「いやあああああああああああああああああああっ!」


「「イェーイ」」


悶える大和に京と一誠はハイタッチする。


「・・・・・」


「ん?何を考えているんだ一年生」


「はい。とても、楽しいと思いまして。・・・・・幸せです」


「はは、可愛い事を言うなぁー由紀江は」


一誠が由紀江の頭を撫でて微笑む。由紀江も釣られて笑む。


「むー。一誠、私にも肉をくれ!」


「そう言うと思って焼きたての肉を献上しよう」


「おお・・・・・!」


「はい、あーん」


「あーん・・・・・んー、美味しい!」


「イッセー!私に口移しで!」


「ああ、わかっ・・・・・てっ、できるか!」


「ちっ、あともう少しだったのに」


「何この子、本当にあの京なの?見ない間に変な成長していないか?」


「ふふっ、私、イッセーを惚れている一人の女。イッセーが旅に出た間に私はすくすくと育ち色々と

勉強したんだよ?だから―――あなたを落とす!イッセー!好きだ!」


一誠に跳び付き抱きついて自分の唇を近づけるがガシッ!と一誠の手で顔を捕まれてしまい阻まれた。


「いや、お友達で」


「残念・・・・・でも、諦めないよ?ふふふ・・・・・」


「あの頃の京は一体どこにいったというのだ・・・・・」


ガックリと首を項垂れ力無く漏らす一誠であった。こうして歓迎会(?)は終了した

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