小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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四月二十六日(日)





「昨日は島津寮だったから今度はユキ達の家に訪問だ」


『ウェーイとか言う子供かぁー』


「そうそう。遊びに行くと約束もしていたし」


『だから手土産を持っているのだな?』


「YES。その通りだ」


一誠は空からとある一軒家に到着する。


ピンポーン


「さて、気は感じる。誰が出てくるかな?」


『はーい?』


インターホンから少女の声が聞こえた。


「ユキか?俺だ。旅人だ」


『旅人のお兄ちゃん・・・・・?』


「ああ、約束通りに来たぞ」


『っ!ちょっと待ってて!』


インターホンから声が止み代わりに。


ドタドタドタ―――バンッ!


家の中で走る足音が聞こえた。そして、扉が勢いよく開け放たれ


「イッセー!」


「うおっ!?」


白い髪に赤い瞳の少女が飛び出してきて一誠に抱き付いた。


「イッセー!イッセー!」


「あはは、ユキ。よしよし」


「ウェーイ♪」


榊原小雪。この家に住む一人の少女。幼少期に一誠に助けられた一人。


「ユキ、冬馬達はいるか?」


「うん!いるよー!」


「それじゃあお邪魔しても良いか?」


「どうぞどうぞ♪」


小雪に手を引かれ一誠は家の中へ。家の中は広く清楚な空間。居間に入ると3人の人物達がテーブルに

座っていた。すると、眼鏡をかけた人物は小雪が戻ってきた事に気づき顔を向けた。


「ユキ、どなたでし・・・・・」


「イッセーが来たよー♪」


「なにっ!一誠さんだと!?」


スキーンヘッドの人物がガタッ!と椅子から勢いよく立ち上がり一誠を見詰める。眼鏡をかけた人物も

一誠を見詰めて呆然とする。


「よっ、約束通り、遊びに来たぞ。榊原さん、お久しぶりです」


「ウェーイ!本当に旅人さんが帰ってきたんだね!お久しぶり!」


亜麻色の髪に長髪の女性が立ち上がり一誠の手を取って握手をする。


「ははっ、相変わらず元気そうで・・・・・はい、榊原さんが好きな食べ物を持って来ました」


「わーい!ありがとぉー!」


「まさか、昨日の今日で来るとは思いませんでした・・・・・」


「連絡してくれば良かったのに・・・・・」


「悪いな。連絡手段はいま持っていなくてさ」


「では、携帯も無いと?」


「俺、住所とか本人だと明かす物が無いからな」


「それじゃあ、旅人さん・・・・・じゃない一誠さんはどこに住んでいるんだ?」


「そうねぇ、お金の方は大丈夫なの?」


「金の方は大丈夫だ。まだまだたくさんあるからな。それと俺の家は・・・・・空にあるんだ」


「「「「空・・・・・・?」」」」


「ん、空にある」


「えっと・・・・・一誠さん?それ、冗談ですよね?」


「いや、真剣と書いてマジだ」


「すいません、流石に信じれませんよ・・・・・」


「ふむ。なら、証拠を見せよう」


パンッ!パンッ!パンッ!


一誠は3回手を叩いた。その際、金色の波紋が手から浮かんだ。


「さて、これで証拠が見れる筈だ。後はテレビに映るかどうかだが・・・・・」


テレビを見詰めて呟く。


「・・・・・映りませんね」


「イッセー?」


「まあ、映らないのなら映らないで―――」


『ここで緊急ニュースです。突如、日本海の上空に浮かぶ複数の巨大な大地が出現しました。しかも、上空に

浮かぶ巨大な大地の中に金色の建造物があり、私達はこの大地に

「黄金郷エル・ドラード」と名付ける事にしました』


「おっ、報道されたな」


「・・・・・」


『その映像がこちらです。現場の羽麻さん?』


『はい!私はいま、日本海の上空に浮かぶ複数の巨大な大地にヘリコプターで向かっています!

此処からでも金色に輝く建造物が肉眼で確認できます!見事な金色です!』


「これが証拠だ。どうだ?」


「・・・・・旅人さん、貴方は一体・・・・・」


『ちょ、ちょっと待ってください!金色の建造物から動く物が見られます!あ、あれは・・・・・!』


ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


黄金郷エル・ドラードと呼ばれるようになった大地から金色の巨大な生物が翼を羽ばたき実況者が

乗っているヘリコプターに近づいてきた。


『ド、ドラゴン・・・・・!?金色の身体を持つ巨大なドラゴンが私達の目の前に現われました!』


『去りなさい!此処は我等の大地!何人足りとも近づけさせません!』


『お、おい!逃げるぞ!』


『こ、これ以上の飛行が不可能と独自で判断し私達は黄金郷エル・ドラードから離れます!』


「おいおい・・・・・」


「旅人さん、あのドラゴン・・・・・」


「ああ、俺の家族だ」


「学校でもドラゴンの姿を見ました。本当に一誠さんの中にいるんですね・・・・・」


「イッセー、ドラゴンに乗れるー?」


「ああ、乗れるぞ。お前等の事は知っているしな」


「どう言う事です?」


「俺の中にドラゴンがいるんだ。つまり俺の中から外の背景を見る事ができてお前達と

遊んだ時の光景も見ている」


「っ、それでは今でも私達を見ているのですか?」


「その通りだ」


「こんにちは!僕、榊原小雪!よろしくね!」


小雪が一誠に向かって挨拶をした。一誠は小雪の行動に苦笑し、両腕を突き出した。すると手の甲に

黒と紫の宝玉が浮かび上がった


『よろしくねー!僕はサマエルだよ!』


『我はゾラードだ』


「わっ!喋ったよ!すごーい!」


「そんな事も出来るんですね」


「まあな」


「ねぇーねぇー、君達は何か食べれるの?」


『我等は魂の状態だ。だから何も食す事ができない』


「死んじゃったの?」


『違うよ。僕達は封印されているんだ。あそこにいる金色のドラゴンとゾラードと一緒にね』


「誰に封印されちゃったの?」


『バカ神』


『うん、バカ神だね』


「バカ神?」


『おい、トカゲ供。誰がバカ神だ』


「ん?違う声が聞こえたぞ」


「それはこいつだ」


一誠は首にかけていた大剣のストラップを外した。―――刹那、大剣のストラップを持った手から光が

漏れ出し、宇宙にいると思わせる程の常闇の中に星の輝きを発する宝玉が柄から剣先まで埋め込まれてあり、

刃の部分は白銀を輝かせ至る所に不思議な文様が浮かんでいる金色の大剣へと変化し家の中に浮き始める


「紹介しよう。創造の力を司る神、ブラフマーだ」


『よろしく頼む』


「か、神!?」


「でも、大剣ですよね・・・・・?」


「肉体が滅びる前にブラフマーは魂を使用していた武器に定着して生き永らえているんだ」


「そうなんだ。神か・・・・・実感が湧かないな」


「まっ、人それぞれさ」


「それって武器なんですか?」


「勿論、俺の愛用の武器の一つだ」


「他にもあるんだ?」


「見るか?」


「うん!」


小雪が間も無く頷いた。


「『幻想殺しの籠手』『龍喰者の究極龍殺し』」


一誠の両手から一瞬の光を発した。光が収まると血のような大きな宝玉が有り、常闇のような黒一色の大剣と

黒い籠手に紫の宝玉が埋め込まれていた。


「それが一誠さんの武器・・・・・」


「籠手と二つ大剣か」


「他にも金色の錫杖と剣がある。でも、剣はいま持っていない」


「どうしてー?」


「友情の印にとある女の子に上げたからな」


「それは誰なんですか?」


「なんだ、気に成るのか?」


「はい、羨ましいですから」


「はは、なら、お前達に友情の印を送ろう」


席から立ち上がった一誠が一瞬の閃光に包まれた。光が晴れ一誠の姿が四人の視界に入った


「「「「・・・・・」」」」


「禁手、『聖なる神の守護天使』」


一誠の姿が一変した。金色の長髪に頭上には金色の輪があり、蒼い瞳で背中には金色の

6対12枚の翼を生やしていた。


「その姿は・・・・・」


「い、一誠さん・・・・・」


「この姿を見せるのはお前達が初めてだ」


金色の翼を羽ばたく。その際に散った金色の羽達が4つに集結し形を作っていく。


「完成だ」


羽は金色に輝くハート型に紐が付いたペンダントが出来上がった。


「はい、お前等に友情の印を渡そう」


4つの内、3つのペンダントが小雪達の前に移動した。3人はそのペンダントを手に取る


「温かい・・・・・」


「安心しますね」


「ペンダントを合わせてみろ」


「こうか?」


3人は一誠に言われたとおりにハートのペンダントを合わせた。一誠は合わせたペンダントにもう一つの

ペンダントを合わせると―――


「金色の四つ葉のクローバーの完成だ。この四つのクローバーの葉が俺達を引き寄せてくれる」


四つ葉のクローバーと成ったペンダントは一層に金色の光を放つ。


「おおー」


「これが俺からの贈り物だ」


元の状態に戻りながら3人に話す。


「あー、戻しちゃった。イッセーの翼に触りたかったのに・・・・・」


「ほらよ」


バサッ!


「わーい!」


再び6対12枚の金色の翼を出して小雪に触れさせる。


「ふわふわのもこもこ〜♪」


「私も触っても良いかな?」


「どうぞ」


「それじゃ・・・・・わっ、干したての布団みたいに温かいね。眠たく成るよー」


「俺の翼は安らぎを与える。嫌な事があればこの翼で何時も俺の家族が―――」


「家族・・・・・?」


「・・・・・いや、なんでもない。冬馬と準もどうだ?天使の翼だぞ。触れる事ができるなんて全ての運を

使ってでもできない事だ」


「へぇ、それじゃあ俺も触れさせてもらうよ」


「では、私も・・・・・」


冬馬と準も金色の翼に触れた。


―――数十分後


「すぅ・・・・・すぅ・・・・・」


「幼女・・・・・小さい・・・・・」


「・・・・・」


「すぅ・・・・・」


「まあ、こうなるわけだ」


客間で一誠の翼に包れて寝てしまっている小雪達に苦笑を浮かべる。


「・・・・・もう少しこのまま寝かせるとするか」


4人の幸せそうな寝顔を見て一誠は呟く。


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