小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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―――夜 島津寮



島津寮の居間には、風間ファミリーと黛由紀江が集まっていた。テーブル一杯に由紀江が作った料理が

ズラッと並んでいた。


「凄い数だね、これ。ハンパないや」


「肉のおかえしとは粋な真似を。ありがたく食べるぞ」


「なんか料亭の出し物みたいだね、見た目が凄い」


「こりゃ味も期待できるってもんだぜ。食おう!」


「いただきまーす!」


「イッセーもくればいいのに・・・・・」


「今度、番号を聞いてみる」


(ドキドキドキ・・・・・どうか、美味しいと感じますように。どうか、美味しいと感じますようにっ)」


『(大事な事だから2回言ったぜまゆっち)』


大和達の感想はと言うと・・・・・


「おお、美味しいなこの鯛の刺し身。花造りだっけか?見た目も凝ってるな」


「春菜の粕漬けが良い味を出している」


クリスは感心しながら咀嚼する


「そして、蕗(ふき)の薹(とう)の湯葉包み揚げもカラッとして・・・・・」


「料理の趣味、クリスが一番渋い気がするぞ」


「豪華だね。食材費、高かったんじゃない?」


「いえいえいえ。これ、父上が送ってくれたんです。北陸で育ちまして、海産物や農産物が豊富です」


「魚、美味しいもんね、なるほど北陸かぁ・・・・・」


「んまい!栄養バランスもいいよ、イイヨー。ベリグー!・・・・・ところで北陸って青森?ほたて?」


「いや、由紀江は石川県生まれだ」


「ありゃー。隣の県だったか・・・・・うん?」


「うん、由紀江の料理は上手いな。これならどこに出しても良い嫁になれるぞ」


―――何時の間にか一誠が鯛の刺身を口に入れて美味しそうに咀嚼をしていた。


「・・・・・一誠さん?」


「ん?」


「何時からそこに?」


「さっきだ」


「私ですら気付かないだなんて・・・・・」


「そりゃあ、修行不足だな。俺は普通に入ってきたぞ?ちゃんと麗子さんから許しをもらってな」


「一歩間違えたら不法侵入だよ」


「釣れない事を言うなって。非正式メンバーだが、俺も風間ファミリーの一員なのによ」


「・・・・・えっ?」


「お兄様、今なんて・・・・・」


「・・・・・翔一、伝えていないのか?」


「あっ、忘れてた。皆、一誠さんも非正式だけど風間ファミリーに入る事に成ったんだ。別に問題ないだろ?

というか、問題無しだ!」


翔一と一誠の言葉に由紀江以外の百代達は呆然とした。


「たまに金曜集会に顔を出す。これからよろしくな」


一拍して


「「「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええっ!?」」」」」


一子、卓也、岳人、京、百代が驚愕の色を染め異口同音で叫ぶ。


「・・・・・驚く事か?」


「当り前だ!一誠さんが入るなんて聞いてねぇよ!?」


「いま、翔一が言ったばっかりだからな」


「キャップ!どうしてそんな重要な事を言わなかったのさ!」


「いやー、悪い。さっきも言ったように忘れていたわ」


「やった!これからもイッセーとずっと一緒にいられる!」


「たまにだからな?ずっと一緒にいられる訳が・・・・・いや、弓道部の部員達に

指導する事になっているからいられるか・・・・・?」


「えっ!京と一緒に部活をするの!?」


「部活に入らないさ。ただの指導をするだけ」


「これは・・・・・愛!私とイッセーは愛の赤い鎖で結ばれているんだ!好きだ!イッセー!」


「半分は京の尻拭いだけどな。お前、弓の腕が上手いのは知らなかったけどどうして

指導してやらないんだ?」


「面倒だから」


「よし、教える事が大好きなように調教をしよう」


「して!私を滅茶苦茶にして!」


「・・・・・やっぱりやめた」


「ああん、いけずぅ〜!」


「そっかぁー、一誠も風間ファミリーに入るのかぁ・・・・・」


「嫌か?」


「いや、嬉しいんだ。これで本当の意味で風間ファミリーに成ったんだからな」


「お前達が小学生の頃からの付き合いだからな。それからずっと一緒に遊んだり食べたり寝ていた」


「あー、懐かしいなぁー。一緒に秘密基地を作ったりしていたら釣りもしたもんな」


「で、そのころの大和はまぁー面白かったな」


「一誠さん!そこで俺の過去を持ち上げないで!どれだけ俺をいじる気ですか!?」


「そりゃあ・・・・・お前が死ぬまで?」


「・・・・・ううう・・・・・一誠さんがイジメる」


「コラ一誠。私の舎弟をイジメるなよ」


「―――忘れてはいないか?大和だけではなくお前等の恥ずかしい思い出を俺が知っているのを」


一誠の言葉に風間ファミリーは戦慄した。同時に冷汗を流し始める


「まあ、京に至っては特に何にもないけどな」


「あの時の私はイジメられていたからねぇ・・・・・?」


「そうだなぁ・・・・・あの時のお前は可哀想だったよ」


「誰かとは言わないけど私、イッセーに助けてもらった方が嬉しかったよ」


「そうかそうか、嬉しい事を言うな。ほら、頭を撫でてやるよ」


「ウェーイ♪」


「ユキの真似か?それもまた、可愛い事で・・・・・」


一誠と京のやりとりにバツ悪そうに胸に手で押さえる男2人組。一子は腹一杯になって

こっくりこっくりと船を漕いでいた。


「さて、由紀江」


「はい?」


「今ここでお前が望んでいる事を話したらどうだ?」


「っ!?」


「あー、あの件か。黛、お前の口から聞きたい」


「なんだ?俺様の彼氏になりたいのなら―――」


スパァンッ!


「横から口を挟むな」


「いってぇー!?」


「出た、黄金のハリセン!」


「あれは痛いぞぉ・・・・・」


「はい、このハリセンを食らいたくなければ大騒ぎしろ」


「あわわわ!ど、どうすればいいの!?」


「え、えっとぉ!こう言う時は言う通りにする方が賢明だね!」


「イッセー!私を抱いて!」


「京!一誠の貞操は私がもらうんだ!」


「直江大和、私も騒いだ方がいいのか?」


「あの黄金のハリセンは地味に痛い!一時間は痛みを感じ続けるぞ!」


「俺達はあれで何度も叩かれた事やら!」


―――スパパパパパパァンッ!


「うるさい。近所迷惑だぞ」


「「「「「「「「横暴だぁっ!?」」」」」」」」


思いきり叩かれた事に頭を押さえ涙ぐみながら一誠を非難する。―――すると


「―――ふふ」


「「「「「「「「・・・・・?」」」」」」」」


「ふふっ、ふふふ!―――あはははは!」


由紀江が笑い始めた。


「ははは・・・・・はぁ・・・・・イッセーさんはやはり私が小さかった時の私と同じように

私を笑わせて緊張を解かせてくれますね」


「えっ、一誠さん。黛の緊張を解く為に・・・・・?」


「お前等、漫才の才能があるんじゃないか?」


「ヒドッ!ヒドイわ!私達を笑わす為に黄金のハリセンで叩くなんて!」


「はっはっは!ごめんな?悪いとは思っていない」


「最低だ!この人、最低だ!」


「まあ、そんなことは置いといてだ。いまは由紀江の話を聞こうじゃないか。丁度、緊張が解けているんだ」


「イッセーの愛の鞭が痛い・・・・・」


「はいはい、次は飴をあげるよ」


「よく分かっておらっしゃる・・・・・」


「由紀江、大丈夫か?」


「は、はい・・・・・」


「じゃあ、皆。由紀江の話を静かに聞け」


百代達は一誠の言う通りに静かになった。居間は静寂に支配され由紀江は深呼吸をして口を開く


「では、言います。皆さん・・・・・私も、皆さんの仲間に入れてください!お願いしますっ!」


「いきなり頭を下げられたぞ」


「私も、皆さんの仲間に入れて下さいっ!皆さんと一緒に遊びたいんです!・・・・・あの、私、ずっと

地元で友達いなくて・・・・・でも、そんな私にイッセーさんが訪れて私の最初のお友達になって

くれました。私はお友達と一緒にお話をしたり遊んだりするのがこんなに楽しい事だと知ってイッセーさんが

旅に出た後、私は今度こそ友達をって思ってこっちに出て来て・・・・・でも、イッセーさんのように

お友達が作れませんでした。そこで、皆さんが楽しそうにされていて・・・・・私も、仲間に入れたら

どんなに楽しいだろうって思っていました」


由紀江は一気に捲し立てた。


「ですが、此処に来てイッセーさんとまた再会できて私は嬉しかったです!そして、私はイッセーさんから

教わりました。自分から積極的に行動しないと得られるものが得られないんだと・・・・・」


一誠に顔を向けながらあの時、一誠が由紀江に行った事を脳裏に浮かべる。


「(私は・・・・・前に進まないといけない。それが今までお世話に成ったイッセーさんに

失礼だから・・・・・)」


『(まゆっち・・・・・)』


「(松風、私に力を貸してください)」


『(ああ!)』


「―――だから、私も・・・・・私も仲間に入れてください!」


由紀江はそう言って頭を下げてまま百代達の返事を待った。皆が顔を見合わせ、視線で会議する。


「(どうするの?)」


「(この子もお兄様に助けられたみたいだし・・・・・なんだか、他人事だと思えないわ)」


「(イッセーに助けられたのなら私は分かるよ。イッセーがいなかったら今頃私はどうなっていたのか

想像がつかない)」


「(取り敢えず、ここは俺に任せてくれ)」


「(ま、顔を立ててやるよ)」


「・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ」


由紀江は返事を待っている間、緊張で震えていた。そんな彼女に一誠は黙って見守っていた。


「黛由紀江さんだったっけ」


「は・・・・・はい!」


「まあ、此処にいる俺達、風間ファミリーの殆どの奴等は旅人さん・・・・・一誠さんと交流を持っているか

何らかの理由で助けられた奴等だ。一誠さんのお願いもあるしお前も仲間に入れてやっても良いがちょっと

だけ仲間に入れて欲しいと言う言い方が違うんだよな?」


「で、では・・・・・どのように・・・・・?」


「普通に『面白そうだから私も入れて』で、言えばいいんだ」


「あ・・・・・!」


由紀江はそれを言えば自分も仲間に入れてくれると信じ


「お、面白そうだから私も入れて下さい!」


言った―――。


「断る」


「はぁぁぁうっ!?」


翔一が間も置かずに拒否の言葉を言った為に由紀江はショックで倒れた。


「ゆ、由紀江ぇ!?」


「鬼かアンタは!」


「ハハハ冗談だよ。冗談。これから一緒に遊ぼうぜ!」


「つか、この一年ショックで気絶してね?」


「―――翔一?」


「ヒッ!?」


「・・・・・ちょっと、こっちに来い」


ガシッ!


「い、一誠さん・・・・・!?」


「由紀江が一人で勇気を振り絞って頑張ってお願いしたのにお前は冗談で由紀江の

気持ちを弄びやがって・・・・・」


「ご、ごめんなさい!一誠さん!ごめんなさい!許して!もうあんな事をしないから!」


「黙れ」


「はい」


怒りのオーラを纏いながら翔一の襟を掴みズルズルと居間から連れだした。―――次の瞬間


「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


翔一の悲鳴が島津寮に響いた。


「あわわわわ・・・・・!?」


「い、一誠さんが怒ったところを見るの初めてだよ・・・・・!?」


「こ、怖ぇー!」


「優しい人ほど怒ると怖いと聞くけど本当なんだな・・・・・」


「一誠を怒らさないように気を付けよう・・・・・」


「う、うむ・・・・・私も初対面だがあの男を怒らさないように気を付けよう・・・・・」


「怒ったイッセーの顔が・・・・・素敵・・・・・!」


一部の人間以外、身体を激しく震わせて恐怖を抱く。―――数分後


「悪いな。待たせた」


「・・・・・っ・・・・・っ・・・・・っ」


一誠と翔一が戻ってきて翔一は居間に座るが何も言わずただ身体を震わすだけだった。

そんな翔一に百代達は。


『(絶対に怒らせないようにしよう!)』


と、心の中で二の舞にならないように固く決意した。


「おい、由紀江。起きろ」


「・・・・・」


「・・・・・人工呼吸&介抱するぞ?」


「はうわ!?」


「あっ、起きた」


「むぅー私もして欲しい・・・・・」


「そんな時に成ったらな」


「きゅう〜・・・・・」


「(無視)由紀江、お前は風間ファミリーに入れてもらえるそうだ。良かったな」


「で、では、その・・・・・私も仲間で・・・・・い、いいのですね」


「風間ファミリーを代表して俺が許す」


「・・・・・うぅぅぅぅ〜。嬉しい・・・・・ありがどうございます」


「お前等も文句ないだろう?」


「私もイッセーに助けられた一人の女。私は身と心を全てイッセーに捧げると決意したの。だからイッセーが

言うなら従うだけ・・・・・」


「おい、翔一」


「はっ、はい!」


「何時まで震えているんだ。風間ファミリーのリーダーのお前が最後にシメないでどうする」


「あ、ああ・・・・・。お前等、しばらく遊んでみて、なんか違うと思ったら顔見知りに戻るって

感じでどうだ?それならいいだろ。京」


「イッセーに賛成したけど・・・・・そうだね。いいよ、まぁ、そこまで言うなら」


「でもこれ最後だよ、キャップ。人数2ケタは多い。一誠さんは別だけどさ」


「ああ。メンバー数はこれで男4人、女5人。丁度いいぐらいだろう。もう増やさないさ

(男の数が一人足りないがそこは一誠さんが入ってくれれば大丈夫だろうな)」


「しかし、また電光石火で決まったな。しかも一誠さんが勧誘で」


「「疾きこと風の如くってな」」


「な、なにとぞよろしくお願いします!」


「由紀江、表情が怖いぞ」


「はうわ!?」


「ほら、リラックス」


「・・・・・すぅ・・・・・はぁ・・・・・すぅ・・・・・はぁ・・・・・」


「緊張して顔が強張ってしまうところが由紀江の悪いところだな。まあ、家の事情が事情で

仕方が無いと思うが」


「ううう・・・・・だから私、友達ができないんですね・・・・・」


「友達ができない理由は他にある」


「え、ど、どこが至らないのでしょうか」


「その持ってるモン、明らかに人を寄せ付けないぞ」


「僕も日本刀を持ち歩く女の子はちょっとね」


「そうだな。第一印象が怖いんだよな」


「俺達はある意味慣れているけどね」


「俺もだ」


大和達の場合は百代達の事だろう。俺はそうじゃないけどな


「イッセーさんから貰った友情の印のこの刀が原因・・・・・?」


「友情の印だと?」


「と言う事は由紀江。それは・・・・・」


「はい、イッセーさんから友情の印として貰った物です」


「帯刀なぞ日本ではよくある事ではないのか?」


「それ、いつの時代だよ」


「国からは許可いただいています」


「新人2人はボケボケだなー。そこも可愛い」


「やはり、この刀は手放すわけにはいきません。なによりイッセーさんから貰った物であれば尚更です」


「手放すなとは言わないさ。ただ年がら年中、刀を抱えるのは止めておけ」


「由紀江、その刀に形を変える能力があるのを教えた筈だが・・・・・していないのか?」


「す、すいません・・・・・どうやればいいのか解らないんです」


「あー、そっか。それは俺が悪いな。由紀江、それを貸せ」


「わ、分かりました」


帯刀している刀に入れていた袋の紐を解く。紫の袋の入り口が刀の柄を覗かせる。その部分は青い柄。

完全に袋から出され帯刀の状態の刀が百代達の視界に入る。


「綺麗・・・・・」


「この世の刀とは思えないほどの美しさだ・・・・・」


「この刀は元々一誠さんが?」


「ああ、元は俺の物だ。由紀江の家と由紀江自身、これは何かの縁だろうと思って友情の印に

俺の武器を上げた」


「黛の家?」


「由紀江は剣聖黛十一段と謳われている黛家の長女だ。一度、由紀江と勝負してみたら中々どうして

、確かに父親を超える実力を持っていた」


「そ、そそそ、そんな事ないですよ!イッセーさんを一太刀浴びせるどころか倒す事も出来ませんでしたから!」


「今の由紀江だったら剣の世界の頂点に立っているだろう。俺が保証する。それにあの時のお前は

まだ小さかった頃の話だ。今の由紀江はどのぐらい強く成っているのか知りたいな」


「幻の十一段の娘・・・・・また大型新人だなぁ」


「さて、『擬態の聖剣』」


一誠は由紀江から受け取った刀を鞘から抜き取り呟いた。刀はみるみる縮んで小型の携帯ナイフになった。


「刀が・・・・・小さく成った」


「これはどう言う事なのだ・・・・・?」


「この武器は七つの能力を持っている。その一つ『擬態の聖剣』。つまりは、形を変える事ができるんだ」


携帯のナイフを由紀江に返す。


「刀に戻したい時は『擬態の聖剣』と言いながら刀をイメージするんだ。他の形にしたい時も

イメージをすればいい」


「はい、分かりました」


「そんな武器、聞いた事も見た事もないぞ・・・・・」


「当然だ。俺が持っているんだからな」


「お兄様、この武器に名前があるのかしら?」


「あるぞ、名前は聖剣エクスカリバー」


「・・・・・悪い、もう一度この武器の名を言ってくれ」


「エクスカリバーだ。英雄、アーサー王が持っていたと言うエクスカリバーだ。因みに本物だぞ」


「「「「「「「「「・・・・・」」」」」」」」」


「ん・・・・・?」


「冗談だよね・・・・・?」


「俺が嘘を言うか。なあ、由紀江?」


「私も最初に教えられた時は良く分かりませんでしたが、イッセーさんがこの武器の名を父上に教えたら

腰を抜かしたほどでしたからね。成長していくにつれ、私もエクスカリバーの事を調べたらアーサー王が

持っていたとされている剣だと知りビックリしましたよ」


「・・・・・一誠さん、その剣を一体何処で・・・・・?」


「秘密だ」


「じゃあ、一誠さんの家はどこに?」


「昼間に報道されたニュースがあっただろう?日本海の上空に浮かぶ複数の巨大な大地。あれが俺の家だ」


「マジかよ!じゃあ、あの黄金郷も!?」


「ああ、俺の家だ」


「い、一誠さん・・・・・あの黄金郷にある黄金は全部本物?」


「本物だけど?」


キョトンと卓也の問いに応える。


「まあ、今日から由紀江は風間ファミリーの一員だ。遠慮なく話しかけな?」


「はい、ありがとうございます。イッセーさん」


「思ったんだけど、一誠さんに気に入られているんだなまゆっちって」


「ま、まゆっち!?」


「あだ名。ダメ?」


「い、いえいえ!いえいえいえ、是非!」


「じゃあこれからまゆっちで」


「私はまゆまゆだな。まゆまゆは一誠が認めるほど相当強いんだろう?」


「いえいえい、私などまだまだです!」


「かるーくパンチ連打で攻撃するから避けてみろ?」


「おっ、じゃあ俺もやろっと」


「えっ?えっ?」


「「問答無用で」」


シュシュシュシュシュ!


挟むように一誠と百代がストレートパンチを連続で由紀江に突き出す


「うわわっ!」


「おお見事!」


「ふ、ふーん。な、なかなかやるじゃないの」


「全部見えたけど、それを全て避けられたかどうか」


「まゆまゆはクリよりかは、やや弱いって感じかな(―――今の状態での感想だがな)」


「軽く、本気ではないパンチを避けるか。由紀江は刀を持つ時と持たない時の戦闘力が違うからなぁ・・・・・」


「私など、まだまだです・・・・・」


「・・・・・」


スパンッ!


「はうわ!?」


「自分を過小評価にするな。そのエクスカリバーを渡した意味を考えてみろ」


「・・・・・」


「お前が自分は弱いとそう言うだろうが、俺と百代レベルの実力者じゃあお前は強いと認知するぞ」


「それでも私は・・・・・イッセーさんより弱いです」


「はぁ・・・・・例える相手が悪過ぎる。言っておくがこの場にいる奴等と川神学園にいる全校生徒の中で

お前の強さは百代の次の強さを持っていると俺は断言するぞ」


「―――ほう、それは面白い事を聞いたな。まゆまゆ、明日に成ったら私と決闘をしないか?」


「あわわ!?そ、それはできません!私よりイッセーさんの方が適任です!」


「むぅ・・・・・確かにそうなんだけど私は他の強者と戦ってみたいなぁー」


「おいおい、どうせお前の足下にも及ばない奴らばかりだぞ?―――まあ、俺が知る中では

骨がある奴は何人かいたが」


「それは旅に出て解った事だからか?」


「ああ、今頃はもっと強く成っているだろうさ」


「へぇ、一誠さん羨ましいなぁー。俺も早く旅をして世界を回ってみたいぜぇ!」


「ははは、未だにお前の夢は旅か?」


「ああ!俺は冒険がしたいんだ!洞窟や深海、さらには宇宙まで!」


「そうか、宇宙に冒険がしたいのか・・・・・お前ならできるさ。だが、簡単に死ぬなよ?」


「おうよ!簡単に死んだら冒険ができなくなるからな!」


「そんじゃあ、由紀江が新たに風間ファミリーの一員になった記念にお互い自己紹介だ。百代から自己紹介」


「川神百代、3年。武器は拳一つ。好きな言葉は誠!」


「川神一子、2年。武器は薙刀、勇気の勇が好き」


「2年、クリスティアーネ・フリードリヒだ。武器はレイピア。義を重んじる」


「椎名京、2年。弓道を少々、好きな言葉は仁・・・・・女は愛」


「1年、黛由紀江です。刀を使います。礼を尊びます」


5人の武士娘達が自己紹介を終わり、百代が翔一達に指を指しながら口を開く


「ん、で、あのバンダナがキャップ。リーダーだな」


翔一の紹介を終ると今度は岳人に指を指す


「いかにも馬鹿そうなのがガクト。面倒見はいい」


次に卓也。


「いかにも根暗そうなのがモロロ。優しくはある」


そして、最後に残った人物の名は―――


「で、最後の1人が私の弟分、大和。頭は回る」


直江大和だった。


「うわぁ・・・・・おざなり。しかも根暗とかさぁ」


「俺様のタフガイさが強調されてねぇ」


「女の子が強い時代だよなー。男の立場が無いぞぅ」


一誠を抜かして全員武闘波という事に愕然とする男子連中の翔一達。


「あいや待たれい。情けないぞ諸君!」


すると、大和が声を上げた。


「軍師大和」


「パワーで負けている分、知力で勝負するんだよ。男だってそう簡単に負けちゃいられねぇや。誰もが

勇気を忘れちゃいけないんだぜ。―――そして、何よりだ。俺達男衆には一誠さんがいる!

俺達はまだ負けてはいないんだ!」


「「「っ!」」」


「知力とパワーが揃っている俺達は姉さん達に勝つなんて夢じゃないんだ!俺達男だってやる時はやるんだ!」


大和の声明に翔一達の士気が一気に上がった。


トントン


「おい」


「はい?」


「後ろを見てみろ」


「・・・・・」


一誠に肩を叩かれ背後を見ろと促され大和は背後を見た。―――そして、固まった。


「大和ぉ?私達に勝てるだってぇ〜?」


「へぇ、じゃあやってみなさいよ?」


「うむ。サムライの国に生まれたんだ。それぐらいの力量があると見ていいんだな?」


「ククク、それは楽しみだね」


「え、えっと、その、あの・・・・・」


瞳を怪しく煌めかせ好戦的な笑みを浮かべ大和を見詰める由紀江以外の武士娘達。


「・・・・・大和」


「はい」


「口は災いの元。良く覚えておけ」


「姉さんの弟に成るという契約の時もこんな感じだった・・・・・」


「今がその時だ。状況を把握し、言葉を選んで言うべきだったな」


「一誠さん」


「なんだ?」


「憐れな子羊を助けてはくれませんでしょうか?」


「自分が言った言葉を責任とって行動をするべきだと俺は思うが?それと俺は非正式の風間ファミリーの

メンバーで風間ファミリーに入った覚えはない。言わば俺は客将だ」


「・・・・・」


ダラダラと冷汗を大量に流し始める大和。


「さて、大和。助けたければそれなりの行動を示すんだな」


「・・・・・一誠さん、お願いします。哀れな子羊である私に手を差し伸べてください。私はいま、

途轍もなく困っています。貴方様のお力でこの場を収めて欲しいです」


「貸し、一つだぞ」


一誠は自分の足下に跪く大和の頭をポンポンと叩きながら百代達に近づく。


「大和の代わりに俺がお前達の相手をしよう」


「バッチコーイ!大歓迎!」


「あはは、大和の身代わりとは優しいなぁ〜一誠は」


「友を守る為に自分を犠牲にするその心意気に私は感動した・・・・・」


「お兄様をどう遊ぶかだなんて考えても見なかったわ!でも、面白そう!」


「い、イッセーさん!だ、大丈夫なのですか・・・・・?」


「心配するな。―――こいつらの秘密を俺が握っているからなぁ・・・・・」


ピシッ!


一誠がそう言った瞬間。百代、一子が固まった。


「百代と一子。俺とお前達しか知らないお前達がした恥ずかしい過去をここでバラシていいか?」


「なっ!卑怯だぞ!?」


「そ、そうよ!言わないって約束したじゃない!」


「卑怯じゃない。これは話し合いだ。お前達が何もしないなら俺は喋らない。そうすればお前達の恥ずかしい

過去をバレない。お前達が手を引けばの話だが・・・・・どうだ?」


「ぐっ・・・・・!」


「お、お姉様。ここで私達が恥ずかしい出来事を喋らされたら・・・・・」


「解っている・・・・・。一誠、私達は何もしない。だから私達の過去を話さないでくれ・・・・・」


「お願いします!」


「ん、平和的に解決したな」


「だが、私にそんなものは通用しないぞ?」


「クリスティアーネ・フリードリヒ・・・・・だったな?」


「ああ、そうだ」


「お前にはこれをやろう」


「・・・・・っ!?」


「お前の大好物と大好きな人形を献上する」


どこから出したのか不明だが一誠の手には―――テディーベアと五つの稲荷ずしが持っていた。


「これを友好の印としてお前に渡そう」


「い、良いのか・・・・・?」


「お前も風間ファミリーに入ったんだろう?なら、翔一達の友達なら俺の友達でもある」


「お前・・・・・義を重んじているんだな・・・・・」


「別に正義は好きじゃないけど、困っているもの達に手を差し伸べる事が好きだな。ん?

これも義に入るのか?」


「・・・・・私の事はクリスと呼んでくれ。私も貴方の事を一誠さんと呼ばせてもらう」


「では、引いてくれるんだな?」


「友好の印をもらってはそうするしかないだろう」


「話しが分かる娘で良かった。これからよろしくな、クリス」


「ああ。よろしく頼む。一誠さん」


テディーベアと稲荷ずしを渡し受け取りながら一誠とクリスはお互いを認め合った。


「さて・・・・・この中で一番手強いのは」


「ククク・・・・・」


「京なんだよなぁ・・・・・」


不敵に笑う京を見てどうしようかと悩みだす。


「京、手を引いてくれないか?」


「いいよ」


「・・・・・いいのか?」


「うん、でも―――条件があるよね」


「・・・・・だと思ったよ。言っておくが、条件で付き合ってだなんて言うなよ?」


「勿論だよ。私自身の力でイッセーを振り向かせるんだから」


「じゃあ、何だ?」


「私と一緒にお風呂に入って、一緒に寝る事が条件」


「「「「なっ・・・・・!?」」」」


「・・・・・しょーもない。それぐらいの条件なら飲むしかないか。拒否したらそれ以上の条件を

出されては敵わないからな」


「「「えっ・・・・・!?」」」


「うふふ・・・・・じゃあ、私も手を引くよ。大和のお陰で言い事尽くめだ」


「い、一誠さん・・・・・」


「そう悲しそうな顔をするなよ。必ずお前の元に戻ってくるからさ」


「それじゃあ、今から一緒にお風呂に入ろ?」


「そうだな」


「くっ!私も一緒に入りたいがジジイが早く帰って来いってうるさいからできない・・・・・!」


「今度アタシ達の家に呼べばいいのよ」


「ワン子、良い事言ったな。うん、そうしよう」


京に連れて行かれる一誠を見て頷く百代。その後、一誠は島津寮に泊まる事になって京と

一緒に寝る事に成った。


「イッセー」


「なんだ?」


「大好き♪」

-12-
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