小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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六月八日(月)


「よっ、お前等」


「イッセー!おはよう、好きだ!」


「「「「「おはよう、一誠さん」」」」」


「お、おはようございます!イッセー先輩!」


「おはよう、京は相変わらず動物並みの求愛行動だな。ま、好きだが岳人。

身体に何を噴きつけているんだ?」


「モテ120%って香水。異性をクラックラさせるらしい」


「・・・・・どうりで異臭がする訳だ。それ、別の意味でクラックラにするぞ」


「やはり一誠さんもそう思うか?磯のような匂いが強過ぎる」


「ネットでラスト100個って言うから、小遣い+大和に金借りてさ、全部仕入れたんだ」


「・・・・・大和、貸した金額はいくらだ?俺が代わりに返す」


「ちょ、何でそう結論に成るんだよ!?」


「ハッキリ言ってお前は逆に女を遠ざけている行動をしている。それに香水なんて頼って女にモテようなんて

100年早い。それは自分の魅力がないと言っているようなもんだぞ。それに100個もそんなキツイ香水を

買ってどうするんだよ。効き目がなかったらただの液体が入った瓶に成り下がるだけだろうが、

お前は何考えて買ったんだよ?もっと自分自身を見詰め直してモテたいのなら―――」


「・・・・・」


「うわ、一誠さんの説教タイムが始まっちゃったよ」


「今日は学校だから数分で終わるだろうけど、休日だったら軽く1時間は行くぞ」


「私も説教された事があるから言動に注意しているが・・・・・」


「私も指摘された所を治してようやくお友達を1人GETでしたから・・・・・」


『一坊は本当にまゆっちの兄か父親って感じだよなぁー』


「一誠さん!ガクトに説教している場合じゃないって!あの義経達が学校に来るんだからさ!」


「ん?ああ、そうだな。説教は此処までにしておくか」


「た、助かったぜ・・・・・」


「あはは、どんまいだね」


「努力する方向性を治せばガクトはモテると思うんだがな」


「それにしても英雄のクローンか、九鬼財閥は何でもありだな」


「住民も何時もと変わらない雰囲気だ。慣れたものだな」


「その上、川神が何時もより闘気が満ち溢れている。義経達以外にも誰かがこの街に入ってきているようだ」


「それはまた嫌な予感がするな・・・・・京も察知しているのか?」


「なんとなくね」


「弁慶が男なら、絶対パワータイプだよな。俺様、黙っちゃいられねぇぜ。力比べで勝負してやる」


「おいおい、腕相撲で俺に負けたお前が力比べしたら負けるんじゃないか?」


「一誠さんは特別過ぎだろう!?指一本で俺様に勝つなんて異常だ!」


「いや、百代相手だと流石に指一本はきつい」


「モモ先輩も特別だ!というか、2人はどんな鍛え方をすればそうなるんだ!?」


「んー、色々だな」


「でも、逆に女版の弁慶って想像できないね」


「きっと俺様のかーちゃんみたいなゴリラだぜ、うげぇ」


「そう言えば、一子はどうしているんだ?姿が見えないぞ」


「よし、呼んでみるか」


ビーッ!


翔一が一子を呼ぶ専用の笛を吹く、―――次の瞬間


「呼んだー!?」


多馬川からスクール水着姿の一子が出てきた。


「うわっ、川から出てくるとか新しいねぇ」


「何していたんだ?ほら、タオルで拭いてやる」


「わふ〜」


一誠は鞄から大きめのタオルを取り出して一子の髪を優しく拭き取る


「どうした?川に入ったって食いもん落ちてねぇぞ」


「違うわよ、鍛練してるの。重り背負って多馬川くだりよ。かつ、水中にいる

外来種の数を確認するバイトね」


「鍛錬しつつ環境に優しい。一子、偉いぞ」


「うはは、お兄様に褒められたわ〜」


「良い事したらいっぱい褒めるからな」


「じゃあアタシ、もっと良い事をするわ!」


「なんだか、親子みたいですね」


由紀江の指摘に一子が一誠に抱き付いた。更に便乗して京も抱きついてきた。


「おとーさーん!」


「あなた!来世でもあなた!前世でもあなた!」


「おー、よしよし、俺の妻と子供は甘えん坊だなー」


2人を抱きしめ父親のように京と一子に微笑んだ。その光景は家族だと思わせるほどだった。


「微笑ましいけど、そろそろ切り上げて登校しないと」


「おおっと、そうだったわ。そんじゃ後でねー!1,2,3、着水、とりゃー!」


一誠から離れ再び多馬川の中に飛び込んだ。そして、一子と入れ替わるように空から影が降ってきた


「天から美少女とうじょーう!」


「よっと」


空から降ってきた黒い長髪の少女を腕でキャッチした。


「おはよう、百代」


「おはよう、一誠」


『この姉妹、普通に現れようとしねぇ・・・・・』


「皆が見えたから、大ジャンプして合流しに来たぞ。・・・・・安心しろ一誠。

皆に下着は見えない角度で跳んだ」


「・・・・・俺だけ下着を見せておいて俺はどう反応すれば良い?」


「ふふっ、私。ちょっとハイなんだ」


「まぁ、格好のバトル相手が来たからねぇ」


「ああ、美少女らしくゾクゾクしてきたぞ」


「・・・・・遠目で見てたけど、義経は相当な使い手だよ」


「流石は日本が誇る英雄。是非ともお相手願いたい」


「ははは、まあ百代が勝つだろうさ」


「確かにそうなんだろうけど私は、どんな強敵とでも戦いたいんだよ」


「そっか、じゃあ俺と戦うのはもう止めるか。百代には勝てないがそれでも強敵が星の数ほどいるんだから

困らないだろう?俺だけだと戦ってもつまらないだろうしさ」


「なっ・・・・・!?それは嫌だ!私と戦わないって言わないでくれ!」


抱きかかえられたままの百代がまるで捨てられた子犬のような瞳で一誠に懇願した。


「一誠・・・・・頼む、私と戦わないなんて言わないでくれ・・・・・。お前と戦う事が何よりも

心が震えて踊るんだ」


「・・・・・」


「お願いだ・・・・・」


「・・・・・悪い、少し意地悪をしたな」


一翼の翼を背から出して百代の頬を撫でる。くすぐったそうに百代は目を細める


「俺しかお前を満足になるまで相手をする事ができないからな。また今度、勝負をしよう」


「絶対か・・・・・?」


「ああ、約束する」


「・・・・・分かった」


「さてと」


「・・・・・?」


「―――このまま学校に行こうか?」


「えっ?・・・・・っ!?」


今の状態と状況に気づき百代は顔を赤くし恥ずかしそうにジタバタと暴れ出す


「お、降ろせ!放せ!」


「だが、断わる!」


「むー、イッセー。私もお姫様抱っこして!」


「悪いな、釣れた大物をわざわざ逃がす訳にはいかないんだ」


「―――じゃあ、イッセーの背中に抱き付く!」


と、そこに一誠の背中に女子生徒が抱きついてきた。京はその少女を見て表情を険しくした。


「おはよー!イッセー」


「ユキか、おはよう。今日も元気そうだな」


「うん、マシュマロを食べて元気100%だよー」


白い長髪に赤い瞳の少女、榊原小雪。彼女は一誠に抱き付きながら笑顔を浮かべながら言葉を発す。

金色の翼を更に出して小雪の太股を支えるように添える。


「あは、温かい〜」


「おはようございます、一誠さん」


「一誠さん、おはよう」


「おはよう、冬馬と準」


「お、お前等か」


「風間、俺達も一緒に行かせてもらうぜ」


「構わないぜ、同じ一誠さんと交流を持つ同士だからな」


「ありがとうございます。それでは行きましょう」


「・・・・・」


「京?」


「この子には負けられないから」


「む、僕だって君には負けないよ」


「「・・・・・」」


一誠の腕に抱き付き、小雪と睨み合う京。―――そこに


「おはようございます」


「おはようで候」


新たに一誠と交流を持つ2人の人物が現れた


「あっ、マルさん!」


「主将・・・・・」


「おはよう、マルギッテとユミ」


「・・・・・川神百代。何故、イッセーに抱えられているのです。離れなさい」


「そうしたいのは山々なんだが、一誠がそうしてもらえないんだ」


「イッセー君、百代を放すで候」


「・・・・・しょうがない」


渋々と百代を地面に立たせる。


「―――では、行きましょうか。今日は英雄のクローンが全校集会で我々の前で紹介される日です。

時間が迫っているので早く行きましょう」


一誠の腕を掴み、マルギッテが少し強引に引っ張って行こうとする。


「おいおいマルさん。一誠さんを強引に連れて行こうとしないでくれよ。ちゃんと、

全校集会が始まる前に行くからさ」


「何を言っているのです。時間は守らないといけないのですよ。ダラダラと登校して遅れたら

ダメだと知りなさい。それと、マルさんは止めなさい!」


「イッセー君、今日の放課後に弓道部に寄ってくれないで候か?」


「指導か。ああ、いいぞ。京、一緒に行こう」


「イッセーがそう言うのなら」


「うむ。椎名も来てくれるのなら部員達も喜ぶで候」


「・・・・・殆どはイッセーが指導しているから私が教える事は無いと思うんですけどね」


「こら、京。そう言う事を言ったらダメだろう。俺は俺、京は京なんだ。人が違うと教え方も

また違うんだ。分かるだろう?」


「・・・・・うん」


「京も少しずつで良いから他の奴等と接して欲しい。それが俺の願いだ」


一誠達は川神学園と赴く為に多馬川大橋に足を踏み入れた。


「がはは、待っていたぞ、兵藤一誠!俺は西方十勇士・・・・・」


「てめぇ、南長万部!」


「全然違うわ!長宗我部だ!チョーさんとでも、呼べ」


筋肉質で上半身裸の男が一誠達の前に立ちはだかった。


「交流戦で不本意な負け方をして名を下げちまったからな。武神を倒した男を倒して名誉挽回と言う訳だ、

グハハハハハ!」


交流戦―――西の川神学園と称されている天神館と川神学園がお互いの力を試し合う為に先日、

西の天神館と東の川神学園は東西交流戦をした。結果、川神学園が勝利した。


「朝のHRまであんまり時間ないけど・・・・・」


「まあ、挑まれたら勝負に応じるまでだ。なに、直ぐに片付けるさ」


「やっぱりそうなるよねぇ」


「先に学校へ行ってくれ。直ぐに追い付く。下に行くぞ、長宗我部」


―――河原


バシャアッ!


「さあ、俺のオイルレスリングでヌルヌルにしてやろう!」


「おいおい、冬馬に火だるまにされた事を忘れているだろう」


「行くぞ、兵藤一誠!」


「―――遅い。自分の学校に燃えながら帰れ!」


足に炎を纏い長宗我部の腹部に蹴りを入れた。


「ぐほおああああああああああああああああああああああああああっ!?」


足に纏っていた炎がオイルまみれの長宗我部に燃え移り、火だるまになりながら西の方へ吹っ飛んで行った。


「うわー、燃えながら吹っ飛んで行ったねー」


「イッセー、お見事です」


「流石だな。まあ、あの程度の実力者なら一誠が負ける訳がないだろうさ」


「お前等、学校に先に行けと言ったのに・・・・・ん?お、あいつら・・・・・」


一誠の視線の先に、多馬川大橋に2人のメイドがいた。


―――多馬川大橋


「見たか、李。やっぱりテロより危険な存在だな、イッセーの奴は」


「ステイシー。ハンバーガーの食べ歩きは行儀が・・・・・」


「にしてもロックな街だぜ、最高で最低だ。アタシらが歩いていても、皆、写メも

撮らないってのは相当だぜ?」


「異質な者達に慣れているんでしょう。さ、学校へ」


「李もポテト食えよ、ホラ。アメリカンに生きようぜ」


「会話が成立する努力を望みます。・・・・・ダイエット中です」


「ファッーク。お前、これ以上どこ痩せるってんだ」


「スマートなほど、暗器が所持できる・・・・・暗記しましたか?」


「しっかし、今年の夏もあっつくなりそうだなこりゃ」


「・・・・・ギャグに反応ぐらいしてください」


「まっ、取り敢えず行くとするか・・・・・お?」


ステイシーと呼ばれた金髪の女性のメイドがこっちに手を振る一誠を視界に入れた


「ははっ!どうやらアタシらの事を覚えていたようだぜ、ロックな奴だ!」


「イッセー・・・・・また出会えて嬉しいです」


2人も一誠に向かって手を振ってその場から去っていった。


―――河原


「ステイシーと李かぁー。久しぶりに見た。まあ、お前も久しぶりだな」


「はい、お久しぶりですね。それと、実にお見事な技。戦う貴方は私の母のように美しい」


「おい、男の俺に美しいは止せ」


「ふふふ、それはとんだ御無礼を。ではまた、後でお会いしましょう」


次の瞬間、一誠の前に現れた執事が姿を消した。


「うはっ、なんか新顔が多くなって余計ワクワクしてきたぞぉ!」


「さてと、俺達も学校に行くとしよう」


―――朝のHRは、臨時で全校集会が開かれた。


「皆も今朝の騒ぎで知っているじゃろう、武士道プラン」


全学生達を前に、学長の説明が始まっていた。その中に一誠の姿もいた。


「この川神学園に転入生が6人入ることになったぞい」


学長が示した人数に皆がざわめく。


「あれ?確か武士道プランの人数は3人じゃなかった?」


「まだ他にいる系?・・・・・イケメン系?」


「武士道プランについての説明は新聞でも見るんじゃな。重要なのは学友が増えるということ。

仲良くするんじゃ。・・・・・競い相手としても最高級じゃぞい、何せ英雄」


「確かに・・・・・、英雄達と切磋琢磨できれば驚くほどのレベルアップに繋がる筈・・・・・。

・・・・・先人に学ぶ、の究極系だな」


マルギッテが顎に手をやり納得した。


「武士道プランの申し子達は全部で4人じゃ。残り2人は関係者。もう2人は今日、

一緒に転入してくる者。まずは3年生、3−Sに1人はいるぞぃ」


「ほう。私のクラスか・・・・・。物好きな奴もいるものだな」


「なんだ、Sクラスか。私達F組には来ないのかー?」


「残念で候。しかし、この時期にSとは随分な学力で候」


「それでは葉桜清楚、挨拶せい」


学長の声と共に、女の子が一人しゃなりと前に出た。そのまま。ゆっくりと壇上に上がっていく。


「・・・・・これはこれは・・・・・、なんという清楚な立ち振る舞い」


冬馬の呟きと共に男子達からは、ほーっという溜め息が漏れた。


「こんにちは、初めまして。葉桜清楚です。皆さんとお会いするのを、楽しみにしていました。これから、

よろしくお願いします」


壇上に上がった少女、葉桜清楚のふわりとした挨拶した後、男子達の歓声が巻き起こった


「やべっ、名前からして清楚過ぎるんですけど!?」


「なんか文学少女ってイメージだね!良い感じ!」


「すっげぇ!宴にグッズ出したら価値は間違いなくSR!」


「なんだよ、カワユイのにSクラスとか・・・・・Fに来てくれー」


一部、女子からの歓声も上がっていた


「あーあ、皆色めきたっちまって・・・・・ま、無理もねぇか」


「ハイハーイ、気持ちは分かるけど静かにネ!」


「が、学長、質問がありまーす!」


「全校の前で大胆な奴じゃのう。言うてみぃ」


「(確かに・・・・・彼女には大きな謎が一つある。それは―――)」


「是非、3サイズと、彼氏の有無を・・・・・!」


「全校の前でこの俗物がーっ!皆、私の教え子がすまん!」


小島梅子の鞭が2−F所属の福本育郎に炸裂した


バッシィィィィィィィィンッ!


「あぅぅうんっ!」


「アホかい!・・・・・まあ、確かに3サイズは気に成るが」


「・・・・・ええっ」


葉桜清楚は赤面し、恥じらった


「おいジジイ死ね!」


「殺してやろうか?」


一誠と百代は学長の川神鉄心に殺意を向けた。


葉桜清楚は咳を一つ零すと口を開いた


「皆さんのご想像にお任せします」


「かーわいいー!」


「ああいう恥じらいは素敵ですね!」


「やれやれ、若までは大はしゃぎだこと・・・・・」


「準はテンションが低いですね?」


「三年ってさ・・・・・言うたら、女としてもう腐ってるじゃん。やっぱり女は小学生までだろ、

変な意味じゃなくて。それ以上は何て言うか・・・・・さようならだよね」


「腐っているのは貴様の頭なのじゃ!この不毛地帯!」


「ひどいわっ!」


「総代、真面目にやってくださイ!」


「おお、すまんすまん、ついのう。・・・・・葉桜清楚、という英雄の名を聞いた事がなかろう、皆」


「うん、そんな前の偉い人は聞いた事が無い」


「あ、いないのね。知らなくてビクビクだったわ・・・・・」


「―――実はいます。ワン子・・・・・、こんな常識知らないのか・・・・・?」


「ひいっ!?」


「ワン子、大和のサドな冗談だよ」


「よ、良かったぁ・・・・・。お仕置きされるかと思ったわ」


「これについては、私から説明します。実は私は、他の三人と違いまして、誰のクローンだか自分自身ですら

教えてもらってないんです。葉桜清楚と言うのはイメージでつけられた名前なんです」


「そうなのか。自分が誰だか分からねえーのか」


「25歳ぐらいに成ったら教えてもらえるそうです。それまでは、学問に打ち込みなさいと言われています」


「で、彼女は一体誰のクローンなんですか、英雄?」


「我が友トーマよ。彼女に限り、我も知らぬのだ」


「おっ、人類の宝である九鬼英雄が知らなくていいのか?」


「フハハ、正体が誰であろうと、葉桜清楚は葉桜清楚で良い」


「・・・・・そいつはごもっとも」


「私は本を読むのが趣味なんです・・・・・。だから、清少納言あたりのクローンだといいなと思ってます」


「清少納言かぁ、そうなら確かにイメージ通りだよね」


「しかし存在感ある人だな。大勢の前で声もよく通る」


「正体が謎だからテレビでは放送されなかったのか・・・・・」


「皆、テンションが上がってきたようじゃな、良いぞ良いぞ。そして、二年に入る5人を紹介じゃ。

全員が、2−Sとなる」


「ほー。此方たちのクラスとは命知らずの奴等じゃな」


「まず英雄からじゃ、源義経、武蔵坊弁慶。両方女性じゃ」


「うげぇ、マジで弁慶女バージョンかよ」


「僕みたいな体格の人なのかなぁ」


「誰が得するんだよ。ノーサンキューもいいトコだろ」


「では両者、登場」


2人の女性がスタスタと歩いてきた。1人は先日、東西交流戦で見た少女。・・・・・もう1人は―――。


「こんにちは。一応、弁慶らしいです、よろしく」


弁慶と名乗った少女が挨拶をした一拍


「結婚してくれえええええええええええええ!」


「死に様を知った時から愛してましたあああああああああああああああ!」


岳人と福本育郎が大声を張り上げながら興奮し出した。


「あんたら、アホの極みだわ・・・・・」


「しかし、なんてーの。・・・・・清楚とか見ちまうとアタイら自信汚く思えてきてさー、

今度はあんな色気溢れるの来ちまって死にてぇ系」


「ほんとにね・・・・・、なんだか自信なくしちゃうよ」


2−Fの女子がそう言っている最中、義経が咳をする


「義経ちゃん、落ち着いて、・・・・・大丈夫」


「ん。義経はやれば出来る」


「・・・・・よし!」


二人に励まされて気合を付いたようだ


「源義経だ。性別は気にしないでくれ、義経は武士道プランに関わる人間として恥じない振る舞いを

していこうと思う。よろしく頼む!」


義経の自己紹介が終わった瞬間


「うぉおおお!こちらこそよろしくだぜぇ!」


「女なのは気にしない!俺たちにとってはご褒美だぜ!」


男子学生の怒号が、大地を揺らした。そんな中、クリスが笑みを浮かべて口を開いた


「気持ちのいい挨拶だな。話が合いそうだ」


「確かに。お前も初めて会った時はああいうタイプだと思ってた」


「なんだ、今は違うとでもいうのか!」


「挨拶で来たぞ、弁慶!」


「義経、まだマイク入っている」


「・・・・・失礼」


「緊張し過ぎないことだね」


「しきりに、反省する」


「女子諸君。次は武士道プラン、唯一の男子じゃぞ」


学長の言葉に女生徒達が少しだけざわめく


「ほう、女子ばかりでは味気ないと思っていた」


「・・・・・まあ、これが問題児なんだけどなー」


「2−S、那須与一!でませい!」


「京。与一といえば・・・・・、恐らく弓使いだぞ」


「女の子じゃないなら、弓使いでキャラかぶりもアリ」


「どんな男だ。ダルやヒロみたいな奴だったら爆発しろ」


皆が固唾を飲んで、登場を持った。


「あぁ?なんだ、出てこねーじゃねぇか」


・・・・・一向に現れない


「照れているのかのう?よーいーち!」


「よいちさーん!怖がらなくて大丈夫ですよー!」


「優しんだよな、2−Fの委員長・・・・・」


「一々反応しないでください、刺しますよ」


「あれ?どうやらいないようですネ」


「おー。いきなりサボりとは、ユニークな奴ですなぁ」


「サボり?其れは感心しないな」


「団体行動を乱すのは良くないと知りなさい」


皆がザワつき始めた


「あわわ・・・・・与一の奴は何をしているんだ・・・・・。皆との和が・・・・・」


「後でアルゼンチンバックブリーカーだな・・・・・」


―――屋上


屋上に1人の少年がゴロリと横になっていた


「・・・・・ハッ、くだらねぇの。卒業するまでの付き合い・・・・・慣れ合いに意味あるのか?人間は死ぬ

まで1人なんだよ」


この少年の名は、那須与一。源義経、武蔵坊弁慶と同じ英雄のクローン。


「―――まったく、お前はどうしてそんな性格に成ったのか知りたいな」


「っ!?」


バッ!と身体を起こし辺りを見渡す。


「此処だ、与一」


声がした方向に顔を向けると給水塔に一人の男がいた。その男は―――兵藤一誠だった。


「あ、兄貴・・・・・」


「久しぶりだな。数年振りか」


「あ、ああ。そうだな・・・・・」


「さて、昔の事だが俺と約束した事をどうやら守っていないらしいな?」


「・・・・・っ!」


一誠の言葉を聞いた途端に身体を振るわせ始めた。


「与一、お前に二つの選択を与える。俺と一緒に義経達の所に行くか俺と弁慶の説教を称した

体罰を受けるか、どっちか選べ」


瞬時で与一の目の前に移動し、与一の瞳を覗き込むように口を開く。一誠の瞳は

金色に瞳孔が垂直のスリットになっていた。


「わ・・・・・わかった。義経達の所に行く・・・・・」


「ん、賢明な判断だ」


瞑目して目蓋を開くと瞳孔が元に戻っていた。


「兄貴・・・・・今の眼は一体・・・・・」


「何の事だ?」


「・・・・・いや、何でもない」


―――グラウンド


「み、皆聞いてくれ、今、与一はたまたま来ていないが・・・・・その・・・・・照れ屋で、難しいところも

あるけど・・・・・与一は良い奴なんだ。だから、これで怒らないで・・・・・与一と話してやって欲しい。

いない件は、義経が謝る。本当に、すまなかった」


皆の前で、義経が深々と頭を下げた。


「義経さん・・・・・」


『ええ娘やないか』


「だから皆、与一と仲良くやって欲しい」


「そうだな、俺からもよろしく頼む」


「「「っ!?」」」


バサッ!と翼が羽ばたく音と同時に壇上に2人の男が舞い降りた。1人は金色の6対12枚の

翼を生やした男、もう一人は翼を生やした男に襟を掴まれた状態でいた。


「た、旅人さん・・・・・?」


「こうして間近で会うのは数年振りだな。義経、弁慶、清楚。再会して色々と話したい事があるだろうが

それはまた後でな。与一、自己紹介をするんだぞ」


軽やかに壇上から降りて一誠はSクラスに戻った。そんな一誠に英雄達が話しかけてきた


「すまなかった。与一を連れだしてくれて」


「なに、知らない仲じゃないだろう?」


「いないと思ったら那須与一をここに連れてくるためだったのか」


「というより、一誠さんは英雄のクローン達とご存じのようでしたか」


「フハハハ!その通りだ。我が友、トーマよ。一誠殿は我等と交流を持っている。それ故に、

義経達と知り合っているのは何も不思議ではない」


「それで、一誠さんと彼女達との関係は・・・・・」


「親しい仲だな。俺を兄のように、父親のように接してきている。まさか、東西交流戦で義経が現れてくる

なんて驚いたけどな」


「はー、美味しい」


「おおい!瓢箪が気に成っていたが後ろで弁慶が酒を飲んでるぞー」!


「弁慶、我慢できなかったのか?」


「申し訳も」


「こ、これは・・・・・皆も知っている川神水で、酒ではない」


「なんだ、そうなのか・・・・・って、川神水なら飲んでいいわけじゃないぞ!」


「川神水はノンアルコールの水だが、場で酔える」


「流石は小島先生。死活問題だからきっちとしないとネ」


「皆さん、すいません。私はとある病気でして、こうして時々飲まないと、体が震えるのです」


「なんだそうなのか、なら仕方が無いな」


「ていうか、それはア・・・・・むぐっ」


「空気を読めよ、モロ。いいんだよ、美人なら川神水ぐらい」


「それにしても、特別待遇過ぎる気もします」


「その代わり、弁慶は成績が学年で四位以下なら、即退学で構わんと念書ももらっておるしな。じゃから、

テストで四位とかだったら、サヨナラじゃ」


「弁慶、お前は五杯で壊れる。これ以上は・・・・・」


「分かってる・・・・・、そもそも今飲んでるのはワザとだし、全校の前で一度

この姿を見せておく・・・・・、こういう人間だと認識してもらうと何時でも好きな時に飲めるわけで」


「無用に敵を作っているようで、義経はハラハラだ・・・・・」


「競争意識を刺激ていているわけ。良しとして」


「常に学年三以内ぃ?ようもそんな大口叩けるのぅ」


「さすがは偉人のクローン、優秀ですね」


「弁慶って頭がいいイメージはないんだが・・・・・」


「それでも、この学校ならいけると踏んだのでしょう」


「ほーう、それはそれは・・・・・ほんにいい度胸じゃ」


「引きずり落としたくなると理解しなさい」


「確かに、弁慶に勝ったって響きはカッコいいよな」


「(お、早くもライバル視・・・・・プランの効果も出ているな。いいぞ、どんどん競って高め合ってくれ。

疲れない程度にな・・・・・オジサンも楽でいいや。後は仲良くやってくれりゃ万々歳だ)」


「なんだか、皆に不快感を与えたかもしれないが・・・・・仲良くやっていきたい。よろしく頼む」


義経は深々とお辞儀した。清楚もたおやかに頭を下げる。弁慶はしゅた、と手あげる程度だった。

与一は「ふん」と顔を反らした。


「後は武士道プランの関係者じゃな。ともに1年生」


1年と聞き、同じ1年生の由紀江が好機と瞳に炎を燃やす


「っ!お友達をゲットするまたとない好機ですね、松風!」


『イェア。寂しい心を狙い撃ちしてやるぜぁーっ!』


「2人とも1−Sじゃ!さぁ、入ってくるがいい」


「私のクラスね。使えそうな奴だったら部下にしよっと」


1−S所属、武蔵小杉が不敵の笑みを浮かべ呟く。しばらくすると―――。


「お?なんか、行儀よさそうな奴がいっぱい出てきたぞ」


「あれは、高名なウィー○交響楽団・・・・・。何故こんな所に」


現れた人間達は、いきなり演奏を始めた。


「これは、登場用BGMというやつ?」


「この雰囲気・・・・・なんだか、嫌な予感しかしないわ」


ふと、後ろの方からどよめきが起こった。なんだろうと皆の視線が集中すると、そこには―――。執事服を

着込んだ大勢の男達が2列で川神学園に入ってきた。そして、お互い手を相手の肩に置いて道を作った。

―――そこに道を作った男達の上に歩いて来た真紅の羽扇を持つ銀の長髪に紫の瞳、額に×印の傷が

ある少女。その少女を見て一誠は唖然とした。


「我、顕現である!」


「・・・・・紋?」


「フハハハハ、何を隠そう、我の妹である!」


「分かっとるわー!それ以外何があるというのじゃ!」


「九鬼が2人も揃うとは、カオス過ぎる・・・・・」


「見た瞬間に心が震えたっ・・・・・圧倒的カリスマッ・・・・・!」


「あーあー、お前にとってはそうじゃろうな」


「・・・・・自分が落ちる瞬間を、認識してしまった」


「俺も人が恋に落ちる瞬間を見てしまったぞ」


澄んだ瞳で悠々と壇上に上がる英雄の妹を見詰める準に一誠は苦笑を浮かべる。


「我の名は九鬼紋白。紋様と呼ぶがいい!我は飛び級する事になってな。武士道プランの受け皿に

なっている、川神学園を進学先に決めたのだ。そっちの方が、護衛どもの手が分散戦からな。我は退屈を

良しとせぬ。1度きりの人生、互いに楽しくやろうではないか。フハハハハーッ!」


九鬼紋白、英雄の妹の自己紹介に全校生徒は呆然となった


「凄ーく強烈な人が来たね・・・・・」


「寂しいという概念が存在する人なのでしょうか」


「そもそも会話が成立するか怪しいもんだぜ・・・・・」


そして、もう一人の転入生とはいうと・・・・・。


「・・・・・おい、じじい。もう1人の転入生はどこだ?」


「さっきから紋ちゃんの横におるじゃろう」


「・・・・・おいおい、やっぱりそんなオチなのか」


百代と一誠の言葉に紋白は後ろにいる金髪の老執事に振り向く


「そうだな。自己紹介しておけ」


「新しく1年S組に入る事に成りました。ヒューム・ヘルシングです。皆さん、よろしく」


「「そんな老けた学生はいない!」」


「ヒュームは特別枠。紋ちゃんの護衛じゃ」


鉄心の言葉に疑問が湧きだす。


「別にクラスに入らなくても教師でも良いのにねぇ」


「そんな年輩の方が来ても話題も合いませんよ」


武蔵小杉の呟きを聞きとったのかヒュームは口を開く。


「お嬢さん。こう見えて私は、ゲームなど好きですよ。スプライト型機体が、私のロボです」


「それPC98のゲームじゃねーか!何年前だよ!」


2−Fからツッコミが入った。百代はヒューム・ヘルシングを視界に入れてポツリと呟く。


「・・・・・今の爺さんがヒューム・ヘルシングとは・・・・・」


「強いで候?」


「強いなんてもんじゃないぞ、九鬼家従者部隊の零番隊だ。だが、想像しているより強くは・・・・・

お年かな」


―――刹那


「ふん・・・・・」


「―――久しぶりだな、ヒューム」


「っ!」


百代の背後にヒュームが現れたと同時に一誠も現れた。


「っ・・・・・何時の間に後ろに」


「旅人・・・・・!」


「手紙、呼んだよ。ははは、調子に乗っているのはどっちなんだろうな?―――『ミジンコ』君」


「―――っ!」


ヒュームの表情が一瞬だけ驚愕の色を染めた。が、直ぐに怒りを露わにした


「そうか・・・・・貴様があの時の仮面の男か!」


「まさか、お前達がこの学校に来るとは流石の俺もビックリしたぞ」


「シッ!」


間を置かず、蹴りを放った。武神である百代が反応できないほどに。


「ん?」


―――が、一誠は翼で簡単に受け止めヒュームの首筋に翼を突きつけた。


「紋の所に戻れ、ヒューム。『殺し合い』なら何時でもできるだろう」


「・・・・・覚えていろ」


フッとヒュームが消えたかのように一誠の前から姿を消した。


「消えた?」


「一誠・・・・・」


「百代、今のお前じゃあヒュームを倒すことはできない」


「・・・・・っ」


「お前に必要なのは敗北を知る事だ。それを知ればお前は強くなれる」


そう言って百代と弓子の傍に佇む


「って、自分のクラスに戻らないのかよ?」


「どこにいても同じだからな。百代とユミの傍にいる事にした」


「イッセー君・・・・・」


「えーここで僭越ながら、ご挨拶させて頂きます」


「・・・・・おいおい、クラウディオまで現れたのかよ」


「九鬼従者部隊の3番隊だな?」


「ああ、その通りだ」


「私、九鬼家従者部隊、序列3番。クラウディオ・ネエロと申します。私達九鬼家の従者は、紋様の護衛と

武士道プランの成功のため、ちょくちょく川神学園に現れますが・・・・・どうか仲良くして頂きたい。

皆様の味方です」


「フハハ、因みにクラの好みはふくよかな女性だ。未婚らしいので惚れた奴が口説いて良いぞ」


「ご解説ありがとうございます、紋様」


「さすが紋。堂々としたものではないか」


首を縦に振り、妹を称賛する英雄。


「うむ。以上がこの6人がこの学校に入る事に成る。皆、仲良くするんじゃぞぃ」


鉄心の言葉により全校集会は終了した。

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