小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>





六月十二日(金)



―――放課後。ついに義経達の歓迎会が来た。紋白が呼んだ1年生、大和と一誠が呼んだ2年生、

百代達が呼んだ3年生が体育館に集合していた。教師達も監視の役目として体育館にいた。


「―――皆、揃っているようだな」


演出の為か、一誠は大天使化になって皆の前に魔方陣と共に現れた。


「兵藤、お前の家の庭で義経達の歓迎会をやると聞いた。だが、ドラゴンがいる場所でする訳か?」


「その場所とは違う新しく作った別の場所で準備した。なに、心配するような事は何一つもないさ」


「お前の言葉を信じるぞ」


「おう、信じろ。それじゃ―――いくぞ?」


カッ!


体育館に集まっている冬馬達の足下に巨大な魔方陣が現れた。急に現れた魔方陣にどこからともかく

短い悲鳴が聞こえた。


「心配するな。俺の家は日本海だから一瞬で俺の家に行ける特殊な方法で行くだけだ」


光がより一層に輝き一誠達は光が弾けたと同時に体育館からいなくなった。



―――日本海



カッ!


日本海に浮かぶ複数の巨大な大地に巨大な魔方陣が現れた。一瞬の閃光が発した瞬間に一誠と一誠に連れて

来られた冬馬達が現れた。


「ようこそ、俺の庭に」


開口一番に一誠が皆に向かってそう言った。―――冬馬達の視界に映ったものは。


「おお・・・・・なんと壮大な桜じゃ」


「これは・・・・・美しい・・・・・」


巨大な桜が一誠達を出迎えてくれた。その桜に見惚れる生徒は少なからずいた。


「気に入ってくれたようで何よりだ。凄いだろう?此処までの桜は世界中探しても見つからない。

何せ俺が創りあげた桜だからな」


「一誠さん、料理の方は?大小のテーブルだけ置かれているけど・・・・・」


「ああ、それなら―――」


『主、お待たせしました』


上空から金色のドラゴンが翼を羽ばたかせながらゆっくりと降りてきた。手には大きな箱が持って

慎重に置いた。


「お、準備が出来たか?」


『はい、その通りです』


「それじゃ、開けてくれ」


『では、開けます』


金色のドラゴンは一誠の指示に従い箱を開いた。箱の中は真っ暗で何も見えない。―――だが、


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドドン!ドン!ドンッ!ドンチャラン〜ドンチャラン〜ドンチャラン〜♪


不意に太鼓を叩く音と曲が箱の中から流れた。何事かと川神学園の生徒と教師はその箱を凝視する。


「さぁ、皆に心に残る思い出を提供しろ!アイルーとメラルー!」


「「「「「「「「「「ニャー!」」」」」」」」」」


2本足で直立し、様々な料理を運び半被を着て笛や太鼓を鳴らし現れた大きな瞳を持つ猫が箱から出てきた。

料理を運んできた大量のメラルーとアイルーと一誠が呼んだ猫達はテーブルに置いて行く。その間、

演奏は続いていた。―――次の瞬間


「「「「「「「「「「か、可愛いいいいいいいいいいいっ!」」」」」」」」」」


動物好きの生徒、あるいは可愛いものが好きな生徒が大歓声をした。


「オイラ達が作った料理を味わって食べて欲しいのニャ!」


「「「「「「「「「「しかも喋った!?」」」」」」」」」」


「こいつらはアイルーとメラルーと言う猫の種族だ。加えて人語も話せて人の世話や手伝いが好きな

種族でもある」


アイルーとメラルー達から次々とドリンクが入ったコップを受け取って行く光景を見ながら一誠は説明する。


「義経、弁慶、与一。こっちに来い」


「う、うん」


「はいはい」


「・・・・・」


今回の主役を呼ぶ。演奏していたアイルーとメラルーに止める指示をして三つのマイクを

どこからともかく出して義経達に渡す。


「簡単な言葉でも良いから皆に言っておけ」


「・・・・・」


戸惑いながらも義経は恐る恐るマイクを口元に近づけ発した。


「こ、今回は、義経達の為にありがとう。皆の心遣いが、何よりのプレゼントだ」


「私達の為に集まってくれてどうもありがとう。これからもよろしくね」


「・・・・・よろしくな」


「これからは義経達も皆と仲良くしていきたいと思う。皆、よろしく頼む」


義経が深々とお辞儀をする。弁慶も与一も頭をペコリと下げた。


「さぁて、腹も減っている奴もいるだろうから―――今より、義経、弁慶、与一の歓迎会を始める!

好きなだけ飲め!食え!騒げ!宴だぁ!」


「「「「「「「「「「やっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」」」」」」」」


ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドドン!ドン!ドンッ!ドンチャラン〜ドンチャラン〜ドンチャラン〜♪


再び演奏が始まった。遠くからハッキリと上空に巨大な花火が大きな破裂音と共に

咲いて歓迎会が開催された。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



皆が立食しながら歓談している。義経や弁慶は大勢に囲まれていた。与一は弓道部の主将である

弓子にスカウトされている様子。アイルーとメラルー達と戯れる川神学園の生徒達。


「イッセー!」


「ん?」


「ありがとう、お前のお陰でつつがなく進行しているぞ」


「気にするな。俺は場所と料理の提供、大和がパーティの参加者を集めた。ただそれだけの事だ」


「それでも、ありがとうな!」


眩しい笑顔を一誠に向けた。一誠は紋白の頭を撫でる。


「む?」


「お前は良い子だなって」


「我が良い子・・・・・?」


「そうだろ、弁慶達の為に悩んでいたんだ。紋白、お前は良い子だよ」


「そうか・・・・・我は良い子なのか・・・・・」


「―――ああ、そうだ。紋白、揚羽と英雄に『明日、用事がなければ学校に集合してくれ。

俺の家に招待する』と伝えておいてくれないか?」


「姉上と兄上にか?」


「紋白も来て良いぞ」


「うむ。ちゃんと姉上達に伝えるぞ!」


そう言う紋白に一誠はもう一度だけ紋白の頭を撫でて感謝の言葉を送ると移動した。


「お。マルギッテ」


「一誠さん。見事な場所と演出ですね」


「だろう?」


「猫が2本足で立ち人語をするとはまた驚きです。一体、どこで見つけたんですか?」


「ふふ、それは秘密だなぁ」


「そうですか・・・・・。では、私はクリスお嬢様の為にケーキを確保しているので行きます」


「おう。じゃあな」


マルギッテが去り一誠も移動する。


「イッセー」


「ユキ・・・・・随分と猫まみれになっているな」


「えへへ♪」


肩や頭にアイルーとメラルーを乗せて器用に食べている小雪に声を掛けられ苦笑を浮かべる。


「ねーねー、貰っていいー?」


「ダメだ」


「えー」


「こいつらには家族がいるんだ。別れもさせないで家に連れて行っちゃあダメだ」


「この子達に家族がいるんだ?」


「いるさ、じゃなければこの世に存在しない」


「うーん、分かった・・・・・」


ガッカリした表情を浮かべる。どうやら気に入ったようでアイルー達に料理を食べさせている。

一誠は他の所に行き探索する。


「おい、兵藤」


「なんだ?巨人」


「お前、1つ1つやる事が凄いんだな。オジサン、びっくりしたぞ」


「歓迎会なら楽しく盛り上がって心に残る事をしたいからな」


「この料理も凄く美味しいが・・・・・どんな材料を使っているんだ?」


「秘密だな」


「・・・・・人体に影響とかないよな?」


「そんな人体に影響する料理を出す訳無いだろう。俺も作った料理もあるんだぞ」


「なら、安心だな。美味しく食べさせてもらうよ」


「食べてくれ」


手を振って巨人と別れる。


「一誠さん」


「大和か。人数を揃えたようだな」


「ああ、大したことじゃないさ。寧ろ、俺より一誠さんの方が凄い。こんな舞台を用意したんだから」


「俺に出来ない事は無いからな」


「・・・・・じゃあ、巨大なヤドカリも出せる?」


「・・・・・何故その要求をする」


「いや、何となくだが・・・・・」


「まあ、巨大なヤドカリを出す事もできるぞ?」


「―――――――」


一誠の言葉を聞いた瞬間に絶句した。―――そして


「貴方は神だ!」


血迷ったのか、大和が一誠に抱き付いた。


「おい、放せ。男に抱き付かれる趣味は無い」


「明日、巨大なヤドカリを見せてくれ!」


「分かった、分かったから放せって。京がもの凄くこっちを睨んでいるんだからよ」


「・・・・・イッセーが大和と絡んでいる・・・・・これはこれでアリ・・・・・!」


「うぉい!?いま何を考えた!その考えを消せいま直ぐに!」


大和の抱擁から脱出して京に瞬時で近づき肩を掴んで思いきり揺らす。


「あぁん、そんなに強く掴んで激しく揺らさないでぇ〜」


スパンッ!


「なら、叩くまでだ」


「ククク、今日は手加減して叩いてくれたね?」


「さて、何のことやら・・・・・じゃあな」


京から離れ巨大な桜の木に近寄ると巨大な根に飛び乗り、パーティ会場を見渡す。


「大成功のようだな」


「はい、これも貴方のお陰ですよ」


「ふん、これぐらいできなければ九鬼家従者部隊01番隊の名が泣くというものよ」


「だから俺はもう九鬼家の従者部隊じゃないって言っているだろう。まだ諦めていないのか?」


「私も含め九鬼家従者部隊序列1位から1000位までの従者が貴方の復帰を望んでおります」


「零のお前はどうなんだ?」


「戻ってきて欲しいと言ってもらいたいのか?」


「言わなくていい。それに、お前がそう言うとは思ってもいない」


「お主等、そこで何を話しておるんじゃ」


「何って普通に話しているだけだけど?」


「そうか、それにしてもヒュームと親しそうにしているようじゃのう」


「「誰がこいつと親しいものか」」


「おや、息がピッタリですね」


「「・・・・・ふん」」


「ふぉふぉふぉ、なるほどのう。知り合いじゃったのか、これは驚きじゃ」


「因みにこいつを一撃で倒した」


「なんと、それは本当か?」


「ええ、一撃でヒュームを倒しました。私もその場におりましたので事実でございます」


「・・・・・ワシも負かして今度はヒュームも負かすとはのぅ・・・・・。お主、

川神院の総代になれる素質が十分あるぞい」


「ははは、自覚しているよ」


「こいつがその程度で収まる器ではないわ。九鬼家の後継者の器として相応しい男だ」


「・・・・・はっ?なにそれ・・・・・まるで俺が九鬼家に婿入りするような言い方だな」


「ふふふ、あなたが揚羽様と混浴した事が隠しカメラの映像で恋仲の関係ではないかと噂が従者部隊の中で

盛り上がっているんですよ。次第に有り得ない噂に尾鰭が付いてしまい、

今では密かに婚約者に成っているのでは?と噂が流れております」


クラウディオの言葉の中に聞き捨て出来ない所があったのか目を細め問い出す一誠だった。


「―――おい、いま、隠しカメラと言ったな?」


「はい、申し上げましたよ」


「つまり最初から大浴場、または脱衣場に隠しカメラを巧妙に設置して俺が1人で風呂に入って後から

揚羽達が入る事を理解していたという事に成るんだが・・・・・?」


「そう言う事に成りますね」


「・・・・・仕組んだのはお前だな?ついでに噂も流したのもお前等だな?」


「はい、その通りです」


「徹底的に追いこんで逃げられない状況化に追い詰めてやる」


悪びれも見せない2人。その言葉に肯定の意味だと理解し一誠は・・・・・。


「よし、お前等・・・・・いい度胸しているじゃないか。ちょっと面を貸せよ、コラ」


青筋を浮かべて怒りを露わにした。


「貴方の相手をするのはご遠慮させていただきます。何故なら今は義経達の歓迎会と誕生会です。

パーティを台無しにしては義経達や参加者の皆様方にご迷惑をお掛けしますので」


「ぐっ・・・・・」


「くっはっはっは、良い気味だ。その顔を見るのは何時振りだ?」


「こ、殺したい・・・・・!精神的にお前を殺してぇ・・・・・!」


「ふん、できるものならやってみるがいいさ」


「・・・・・めんどくせぇー」


一誠が折れ、その場で寝転がる。


「お前等も楽しめ。時間に成ったら学園に送ってやるからよ」


「では、紋様の護衛と共にそうしましょう」


「お前等の好物も作ってあるから食え」


「・・・・・そうさせてもらおうか」


「うむ。ではな」


三人の老人が音もなく姿を消した。


「さてと、俺はここでのんびりとするかな」


寝転がったままワイワイとパーティを楽しむ教師と生徒達を眺める。そして歓迎会と誕生会から

数時間が経ち、空は朱に染まった頃に一誠は川神学園にパーティを参加した生徒と教師に別れを告げながら

魔方陣で送った。


「さてと、後片付けをして家に帰るとするかな。アイルーとメラルー達も頑張ってくれ」


「「「「「「「「「「了解ですニャ!」」」」」」」」」」


食べ残しが一切なく綺麗に食べられていたおかげで時間が掛からず直ぐに片付けられ一誠はアイルーと

メラルー達に別れを告げて元の場所へ帰らせて一誠自身も翼を出して空へ飛翔する。


「結果は大成功といったところだな」


金色の翼を羽ばたかせ一誠は嬉しそうに笑い家に帰った。

-29-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




真剣で私に恋しなさい! S ?松永燕編? (カドカワコミックス・エース)
新品 \609
中古 \1
(参考価格:\609)