小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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六月十三日(土)


土曜日の筈が登校という迷惑な週がある上に気温も段々と上がり、本格的に夏になろうとしていた。

学校は既に終って一誠の家に遊びに行く生徒達がグラウンドに集結していた。


「後は・・・・・揚羽だけか」


「うむ。姉上はもう間もなく来るであろう。それまで待って欲しい」


「まあ、待つさ」


「一誠君の家かぁー、どんな家なのか楽しみだよん」


「リンリン達は一誠の家に住んでいるから分かっているんだろう?」


「リ、リンリン・・・・・?」


「お前のあだ名だ。嫌か?」


「い、いえ・・・・・」


「ははは・・・・・(まるで、あいつの名前を言っているようだ)」


「むっ、姉上が来たようだ」


英雄の言葉に一誠は上空を見上げる。バラバラとヘリコプターは一誠達がいるグラウンドに近づき、

そこから影が降りてきた。


「―――フハハハ、九鬼揚羽。降臨である!」


降りてきた影―――揚羽が真っ直ぐ一誠に向かって落下する。その事に気づき受け止める体勢になって

自分に向かって落ちる揚羽を受け止めた。


「久しぶりだな、揚羽」


「うむ!久しぶりである。我の執事よ!」


「・・・・・本格的にクラウディオとヒュームを何とかしないといけないようだなぁ・・・・・」


「一誠君、その人が九鬼揚羽さん・・・・・四天王なんだね?」


「元、四天王だ。西の武士娘よ。我は九鬼家を継ぐ者として四天王を辞退した。

今は四天王の後継者を探しているのだがな」


「揚羽さん、一誠でいいんじゃないですか?橘天衣も誰かに敗れ四天王を剥奪されているから

四天王の席は2つ空いているし」


「うむ。それは良い提案だな」


「おい、四天王って簡単に決めていいのかよ?」


「というか、一誠の場合は私を倒したんだぞ。それにドラゴンを従わせる力を持っているんだから四天王に

なっても可笑しくは無いんだよ」


「さいですか・・・・・」


「うむ。遅れてすまなかったなでは、行こうではないか。一誠の家に」


「そうだな。それじゃあ―――行くとしよう」


パチンと指を鳴らした瞬間、一誠達の足下に魔方陣が出現した。魔方陣は光輝き一誠達を包むと

一瞬の閃光と共にグラウンドから姿を消した。



―――日本海。



カッ!


「到着だ。俺の家にようこそ、歓迎する」



日本海に浮かぶ複数の巨大な大地の1つにある巨大な建物の外に魔方陣が発現したと同時に一誠達が現れた。


「デ、デカイ・・・・・!?」


「これが一誠さんの家だと・・・・・・!?」


「あっ、昨日の巨大な桜もあるわ!」


「うん、私達も最初に来た時はそんな感じで驚いた」


「こんなデッカイ家にわっち等が住むなんて想像しなかったしなー」


「一誠さん、この家に住んでいるのは一誠さんと林沖達3人だけか?」


「いや、違うぞ?他にも何人か俺の家に住ませている」


「じゃあ、一体どんな人が・・・・・?」


「中にいるだろうし、その内会えるぞ。お前等が遊びに来る事を教えたからな」


一誠の先導のもと、大和達は一誠に続いて歩く。階段を登り大きな扉を開け放つ。建物の中は天井から巨大な

シャンデリアが吊り下げられ目の前には2階に上がる階段があり、レッドカーペットも敷かれていた。


「おお・・・・・ゴージャス」


「我が家と同等の規模だと見受けられる」


「す、凄いね・・・・・」


「そうか?別に気にしなくなるだろう」


「一誠さんってもしかしてお金持ち?」


「俺より金持ちの奴なんて他にもいるだろう。この家を建てたのは俺だしよ」


「・・・・・やっぱりアンタはすげぇな」


「まあ、俺は天才だからな」


「あふんっ!もうやめて!」


「ん?直江君がのたうち回ってるケド?」


「あはは、お兄様は大和をいじるのが大好きなんだよねぇー」


「へぇ、じゃあ今のセリフはそう言う事だったんだね」


「うん!それにお兄様とは小さい時からの付き合いだから私達の事を熟知しているのよ!」


「ほほう、一誠君の事に関しては先輩なんだね」


「だから、お兄様の事を聞きたかったら私達に聞いてね?」


「うん、そうするよ」


「むぅ、となると我は百代に負けているのだな?」


「あはは、そうなりますね。一誠の事に関しては小さい頃から付き合いがある私が強い」


「そうか、なら。その後の一誠の事に関しては我の方が上だという事に成るな」


「一誠のその後だと・・・・・?」


「うむ。その通りだ」


「・・・・・負けませんよ?」


「フハハハ、我も負けるつもりはない」


「おーい、お前等。次に行くぞ」


一誠の呼び声に2人は歩を進める。大和達も一誠についていく。


「とりあえずリビングルームに行くからついてこい」


その言葉に大和達は同意し一誠に続く。とある扉に一誠が開け放つ。大和達もその部屋に進入する。


「ただいま、帰ったぞ」


部屋の中には銀髪に髪を結んで☆のマークがあるジャージを着ている女性が席に座って雑誌を読んでいた。

一誠の帰宅に気づき顔を向けて口を開く。


「ああ、お帰り。一誠」


「・・・・・橘さん・・・・・!?」


「・・・・・お前は、百代か。それに九鬼揚羽と武者修行中の私を倒した者もいる・・・・・」


「あ、貴女は・・・・・!?」


「えっ、橘天衣って・・・・・西の四天王だった人!?」


「やっぱり燕も知っていたか」


「一誠、何時の間に橘さんと出会ったんだ!?」


「んー、ゴールデンウィークから数日後だったな。多馬川大橋の下でテントがあったから

気になってみたら・・・・・藁で身体を覆っていた天衣がいたんだ。で、凄く気になって話しを聞いてみたら

どうだ。運気が圧倒的に低い為に何をやってもダメで不幸が続いていると聞いて俺は他人事じゃないと思って

天衣を救済したんだ」


「彼のお陰で私は人並みの幸せを手に入れられた。本当に感謝している」


「俺も小さい頃はとある場所だと運気が圧倒的に低くなって散々危ない目に遭ってきたからなぁ・・・・・

同士を見つけたと思った瞬間でもあった」


「そ、そうだったのか・・・・・」


「しかし、橘殿が一誠の家に住んでいたとは知りもしなかった」


「だろうな。世間では一誠の事で盛り上がっているし私の事なんて誰も気にはしないさ」


「俺は気にするぞ。天衣が不幸になるなんて見過ごせるかよ。絶対に不幸から幸せに変えてやる」


「一誠・・・・・」


「おっ、なんだ?うじゃうじゃといるなぁー?」


「そいつらが言っていた私達の家に遊びに来ると言う奴等かい?」


「良い男もいるじゃねぇか・・・・・!」


「イッセー君、ねむいよ〜」


不意にリビングルームの2階から4人の男女の声が聞こえた。大和達はその声に反応して振り向く。


「ただいま。亜巳、天、辰、竜兵」


「「「「おかえり」」」」


「一誠さん、あの人達も一緒に住んでいるのか?」


「通称、板垣3姉妹と言われている。男の竜兵も入れると兄弟姉妹だな」


「板垣・・・・・親不孝通りで暴れている不良共だったな?」


「不良とは言ってくれるねぇ?一誠に負けた武神がさ」


「はいはい、喧嘩腰に成るな。それで辰は俺の背中で寝るんだな?」


「うん、おやすみ〜」


「「むっ・・・・・・」」


2階から飛び降りて一誠の背中に回り込んで抱き付いた辰が寝息を立てて寝始めると

小雪と京が面白くなさそうな表情をした。


「そして、梁山泊から来た林沖と史進、楊進の3人も含めて9人が俺と一緒に暮らしている」


「・・・・・全員、一誠さんが助けた人達かな?」


「俺は困っている奴を救済する性格だからな。見つけたら直ぐに救済する」


「そっか・・・・・一誠さんは優しいんだね」


「そう面に向かって言われると照れるな。・・・・・さてと、そろそろ遊ぶとするか?」


「一誠君、本がある場所はどこにあるのかな?」


「ん?ああ、そうだった。清楚には俺の家にある図書室をみたいんだったな」


「それは興味深いですね。私もいいですか?」


「私も、イッセーが読んだ本に興味がある」


「分かった。3人を案内している間に皆はここで待っていてくれ」


3人を引き連れてリビングルームから出ていく。


「図書室は2階の右側にある扉の中だ」


「広いんだねぇ・・・・・」


「そう言う風に作ったからな」


「ところで彼女は何時も家ではそんな感じなのですか?」


「家族の次に寝る事が好きな奴だからな。特に俺の体に抱きついて寝る事が一番好きだそうだ」


「ぐぅ・・・・・ぐぅ・・・・・」


「幸せそうに寝ているけどイッセーは気にしないの?」


「もう、慣れた。・・・・・ここだ」


ガチャッと扉を開けた。―――部屋の中には。


「これは・・・・・」


「凄い・・・・・!」


「本と本棚が大量にあるね・・・・・」


京の言う通り大量の本が大量の本棚に収まっているだけの部屋が一誠達を出迎えた。


「外国の本もあるけど翻訳してあるから読める筈だ」


「・・・・・これって有名な作家が書いた本だよ。今じゃあ発売されていない貴重な本でもあるし」


「ああ、そうだな。そういう本も多くあるから好きなだけ呼んでいいぞ。時間に成ったら呼ぶから」


「はい、分かりました」


「素敵な本が一杯あってどれを読もうか悩んじゃう!」


「イッセーの心を鷲掴みする本とかないかなー」


「ない」


京の言葉を一刀両断して一誠は大和達がいるリビングルームに戻った。


「ん・・・・・?何人かいないな・・・・・。どこ行った?」


「えっと、ゲームセンターとトレーニングルーム、探検してくると言って何処かに行っちゃった組みが

この部屋から出て行っちゃったよん」


「天と天衣がいないから案内しているようだな・・・・・。翔一の場合は放置だ」


「一誠、早くドラゴンと戦いたいぞ!」


「はいはい、分かっているよ。それじゃこっちに来い。一瞬でドラゴンの所へ行くから」


「―――俺も行かせてもらうぞ」


「何でお前まで来るんだよ」


「俺もドラゴンの力に興味がある。どれだけのものか知りたいからな」


「・・・・・紋白はどうするんだ」


「クラウディオに任せてある」


「はぁ・・・・・しょうがない」


一誠の足下から魔方陣が出現した。百代とヒュームの足下に届くと光が一層に輝きだす。


「直ぐに戻る。それまで待っていろ」


カッ!


次の瞬間。一瞬の閃光がリビングルームを照らして光が収まる頃には一誠達の姿がいなくなっていた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



日本海の上空に浮かぶ複数の巨大な大地の1つに魔方陣が現れ一誠、百代、ヒュームが姿を現わす。


「さぁて、あいつはどこにいる?」


「火山が見えるな・・・・・。それに此処はジャングルか」


「そのようだな・・・・・ドラゴンはどこにいる?」


「ちょっと待ってろ・・・・・あー、いたぞ」


「どこに?」


「真上だ」


―――刹那。


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


一誠が人差し指を上に差した瞬間、浅黒く太い拳が一誠達にもの凄い勢いで突き刺さるが

3人は余裕で回避した。


『グハハハハハ!』


哄笑を上げながら現れた浅黒い鱗をした二本足で立つ巨大なドラゴン。太い手足、鋭い爪と牙と角、

スケールが違い過ぎる両翼を広げ、長く大きい尾をしている。―――巨人型のドラゴンが銀色に輝く

双眸を一誠達に向けた。


『おう、俺の大地に何をしに来たんだ?俺の相手をしに来てくれたのか?だったらやろうぜ!

今すぐによぉぉおおおおおおおおおおおおお!』


「一誠・・・・・私が戦うドラゴンってこいつか?」


「名前は『大罪の暴龍』グレンデル。戦う事と殺す事しか興味がない邪龍だ」


「お前、危険なドラゴンを従えているのか」


「色々と遭ってな。―――グレンデル!お前の相手はこの2人だ!殺さない程度で思う存分戦え!」


『このちびっこい奴等が俺の相手かよ。しかもこいつはお前に負けた奴じゃねぇか。

逆に殺しちまいそうだなぁ?』


「・・・・・」


百代の姿が一瞬で消えた。次に百代の姿が現れた場所は―――。


ドゴンッ!


グレンデルの顎を蹴り上げた瞬間だった。


『何かしたか?』


「私の蹴りが効いていない・・・・・?」


武神の一撃を食らってグレンデルは顎をポリポリと掻いて百代に訊いてきた。


「コイツは滅んだドラゴンの中で最硬クラスの鱗を誇っている。生半可な攻撃は通用しないぞ。

やるなら全力で殺す気でいかないと」


「―――上等!」


再びグレンデルに突貫する。―――百代の真上から浅黒い大木のようなものが振ってきて

百代を地面に叩きつけた。


『おいおいおいおい、弱いじゃねぇかよ。こんなの相手をしても殺すしか楽しめねぇじゃねぇか』


「ふん、なら俺はどうだ?」


『おっ?』


「むんっ!」


ヒュームが何時の間にかグレンデルの顔の前に飛んでいてカッターのように鋭い蹴りを放った。


「おっ、ジェノサイドチェーンソー。久しぶりに見たな。

 その一撃は相手の体力を10割減らす技だが・・・・・」


『効かねぇなぁ!』


腹を膨張させて口から巨大な火炎球を吐きだす。ヒュームは瞬時で手と手の間から気のエネルギーを集束し

巨大な火炎球に向けて放った。


「―――相手が悪過ぎる」


ドゴンッ!


ヒュームがグレンデルの拳に直撃し地面に衝突した。更にその巨大な足でヒュームを思いきり踏みつぶした。


『ちっ、白けるなぁ!この世界の人間は戦えるようだが俺を満足させるほどでもないようだなぁ?』


「一応、そいつらが武闘の世界の中で1、2位を争うほどの実力者だけど」


『こいつらがこの世界で1番と2番目に強い存在だって言うのかよ?まだ、俺達がいた世界の方が

楽しめたぞ』


「しょうがないだろう。この世界はあの世界とは違うんだ」


『あー、あの世界に戻りてぇなぁああああ!』


グレンデルが口を大きく開け咆哮する。


「・・・・・そう叫ぶな。それにまだ終わっていないぞ」


『あ?』


「・・・・・ああ、一誠の言う通りだ」


ゆっくりと立ち上がる百代。ヒュームも身体を起こして立ち上がる。


「なるほど・・・・・これがドラゴンの力・・・・・」


「俺の一撃を食らって尚も立っていられるとはな・・・・・。だが、そうでなくては困るというものよ」


『なに言っているんだ?』


「一誠以来に全力ではしゃげそうだ!川神流・無双正拳乱れ撃ちぃ!」


「むぅん!百式羅漢殺!」


百代とヒュームが拳の乱打をグレンデルの身体にぶつけた。


『・・・・・・』


「川神流・星殺し!」


「彗星破!」


『・・・・・』


「川神流・星砕き!」


「ジェノサイドチェーンソー!」


2人は己の技や奥義を次々とグレンデルに放ち、ぶつける。一方、グレンデルはつまらなさそうな表情を

隠さず一誠に視線を向ける。


『・・・・・おい』


「なんだ?」


『弱過ぎて話しにならねぇ』


ゴバァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


口から灼熱の火炎を吐きだして2人を遠ざける。


『まだお前と戦った方がいいぜ。今度、俺が満足するまで殺し合ってもらうぞ』


そう言って翼を羽ばたかせグレンデルは空に飛んで何処かへと行ってしまった。


「「・・・・・」」


百代とヒュームは自分達より一誠と戦った方が良いという言葉と事実に心なしか悔しがっていた。


「これでドラゴンの強さは分かっただろう。アレだけ派手な攻撃をしてもドラゴンは無傷に対してお前達は

ボロボロだ。まあ、服だけどな」


2人に近づき足下に魔方陣を展開する。


「皆の所に帰るぞ」


一瞬の閃光が放って光が収まる頃にはジャングルから3人の姿がいなくなっていた

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