小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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孤独の少女



風間翔一と出会って数年が経った。この数年、風間翔一以外の子供達が来るようになった。


「旅人さ〜ん!」


「よっ、今日も元気そうだな」


「俺は天才だからな」


「開口一番にその言葉はどうかと思うぞ、お前・・・・・」


「今日も楽しい事をしようぜぇー!」


「ここに来る度にお前はそう言うよな」


「よう!旅人さん!おはようございます!」


「おはようございます」


「おはよう」


子供達の名前は直江大和、岡本一子、師岡卓也、島津岳人。この数年でこの四人の子供が風間翔一を

中心に集まりだした。


「今日はサッカーをしようぜ!」


「俺は何時も通り眺めているさ」


「旅人さんもやろうぜ!」


「おいおい、俺がやったらつまらんぞ?」


「旅人さん、やろうよー!」


「そうだ、そうだ!」


「・・・・・しょーもない、一緒にサッカーをするぞ」


「わーい!」


「ふっ、旅人さんを恥ずかしい思いになってもらう。この天才の頭脳を持つ俺がな」


「よし、その言葉を記憶したぞ。成長したお前に恥ずかしがらせてやる」


翔一が持って来たボールで一緒にサッカーをする事に成った。


「ほら、俺からボールを取ってみろ」


「くっ!この!」


「ボールが生きているように動きやがる!」


「あはは、大人気無いって言うなよ?これでも手加減しているんだから」


「うー!全然取れない!」


「俺に不可能な事が・・・・・!」


「不可能を可能にするってな!」


ボスッ!


翔一達のゴールにボールを入れた。


「はい、ゲームセットだ」


「くそぉー!」


「圧倒的に負けちゃったね、僕達・・・・・」


「だから言っただろう。つまらなく成るって」


「旅人さん、強過ぎよぉ〜」


「お前等が成長したら良い勝負に成るさ」


「本当に?」


「ああ、本当だ」


一子の頭を撫でて頷く。


「成長したらまたサッカーをしよう」


「おう!ぜってぇー勝ってやる!」


「ははは、頑張れ。・・・・・それはそうとお前達」


「「「「「???」」」」」


「あの子達はお前の知り合いか?」


翔一達の背後に視線を向けながら訊いた。子供達の背後に2人の子供が近づいてきた。


「あっ、同じ学年の子だよ」


「そうなのか?」


卓也が説明してくれた間に何やら2人の子供が翔一と岳人と直江と口喧嘩をし始めた。話を聞くとこの

遊び場を譲れと言っていてそれを翔一達が拒んでいる。翔一達の周りに漂う雰囲気は誰がどう感じても

一触即発だった。


「(まあ、子供の喧嘩だ。俺が手を出すまでもないだろう)」


静観する事を決めた俺は成り行きを見守ることにした。結果―――喧嘩をし出した。だが、直ぐに喧嘩は

終わった。大和の指示通りに動く翔一と岳人の行動に2人の子供が呆気なく

倒されてこの場から逃げて行った。


「はっはっは!縄張りの防衛成功!」


「この原っぱは広いから人気あるよねー」


「誰にも渡さん。ここは旅人さんと俺達の遊び場だ!」


「一組のトニーとかもここ狙ってるみたいだよ」


「俺の知謀とガクトの武があれば負ける訳が無い」


「ああ。俺様達は無敵だな!」


「アタシ、何もしていないなー」


「泣き虫ワン子には期待してない。まぁ、気にするな。モロも何もしていない」


「俺とガクトと大和の3人で十分だ。旅人さんは手を出さないでくれよな」


「だって」


「頼もしいね」


「全くだ」


「クク。全く同学年は馬鹿に見えるね」


「お前もその一人に見えるぞ」


大和にツッコムが当の本人は聞いていなかった。ふふ、成長したこいつに今までの言葉を聞かせたら

顔を真っ赤にするだろうな・・・・・。


「・・・・・」


「ん?あの子は・・・・・」


「あ、隣のクラスの・・・・・」


「ん、なんだお前、俺達と遊びたいのか?」


どうやら同じ学校の子供のようだな。一子にあの子の事を聞こうとしたら岳人と大和が侮蔑する態度を

俺に見せた。


「コラ、椎名菌がつくから見るなよ」


「おいおい、ひでーなガクト、違うクラスだぜ、はは」


「・・・・・」


「お前等、みっともねーマネすんな」


「ふん。いじめはされる方が弱いから問題ある―――」


スパパンッ!


「「いたぁーっ!?」」


「一つ言っておくぞ。俺の目の前で他人の心を傷つけるようなマネをしたらこうするからな」


ビシッ!とハリセンを突き付ける


「い、いきなり何するんだ!旅人さん!」


「悪口を言う悪い子供にはお仕置きをしたまでだ」


「旅人さんはあいつを知らないんだよ!椎名菌は―――」


スパンッ!


「〜〜〜っ!?」


「その椎名菌は悪口だと認識するぞ。それにイジメられてそれをお前達が気づいているのなら

どうして助けない?」


「関係無いからだ」


「関係無い・・・・・?」


「俺は、イジメはイジメられる側に責任があると思う。お父さんも共感してくれた」


「手を差し伸べようとする気はないのか?人が困っているのを助けようともしないのか?」


あまり面倒な事に関わりたくない事は誰でも同じだ。こいつらも面倒な事に関わりたくないんだろう。

助ければ自分も巻き込まれるからな


「しないね」


「・・・・・そうか」


大和の答えに俺は溜め息を吐く。あの子の担任の教師や他の教師、他の子供達は知っている奴がいれば

知らない奴もいるだろう。イジメれている原因は大体は家の事情か・・・・・?こればかりは・・・・・な。


「・・・・・」


大和達から離れて、椎名菌と呼ばれているあの子に近づく。


「・・・・・」


「初めまして、俺は旅人と言うんだ。お前の名前は?」


「・・・・・椎名・・・・・京」


「椎名京か、京と呼ばせてもらうぞ。お前も俺の事を旅人と呼べ」


「・・・・・どうして」


「ん?」


「どうしてお兄さんは私に話し掛けるの?」


「何だ、お前に話しかけてはいけないルールがあるのか?」


「・・・・・」


京は小さく首を左右に振った。


「なら問題ないだろう。俺はお前とお話をしたい。仮にお前に話しかけてはいけないルールがあるのならその

ルールを俺は壊す」


「・・・・・」


「京、一緒に遊ばないか?」


「え・・・・・」


「お前、一緒に遊びたいんだろう?だから此処に来た」


京の小さな手を握りしめる。やはり子供の手は小さいな


「私、学校の皆に椎名菌って言われてイジメられている・・・・・」


「・・・・・」


「だからお兄さん、私に触れたら一緒に遊んでもらえなくなるよ?」


「そうか・・・・・」


「うん・・・・・」


「なら、今度は抱きしめてやるよ」


「・・・・・っ!?」


ギュッと京を抱き締める。京は目を大きく見開いて驚いた表情を浮かべた。俺は京に微笑んで抱き抱えて

大和達の方へ近づく。


「さて、こうしてこいつを抱き締めているが―――お前等、特に大和と岳人は椎名菌と呼んでいる京に

触れている俺と遊ぶ事が嫌なら直ぐに帰れ。そして、二度と俺に近づくな」


「「・・・・・」」


「翔一、一子、卓也。お前等はどうだ。京と一緒に遊びたくはないか?」


「ううん!旅人さんと一緒に遊びましょうよ!」


「別に俺は構わないぜ?」


「うん、学校じゃあ話し掛けれないけど此処なら大丈夫だよ」


「・・・・・本当に」


「・・・・・?」


「・・・・・本当に・・・・・一緒に遊んで・・・・・くれるの?」


「あの二人は知らないがこの三人はお前と遊ぶ気満々だぞ?」


「でも・・・・・」


「よーし、お前等。これから良いものを見せてやるよ」


「なになに!」


「良いものって何だ!?」


「今から奇跡を皆に見せてやる」


腕を天に突き出して手のひらを翳す。光のオーラが集まり出し空に向かって放出する。―――すると、

上空から白い塊がゆっくりと降ってきた


「・・・・・これは」


「雪だわ!雪が降ってきたわ!」


「うおおおおおおおおおおおおおっ!」


「まだ冬の季節にも成っていないのに雪が降ってくるなんて・・・・・」


大和達は降ってくる雪に驚き大はしゃぎに成る。京を地面に降ろし、京の顔を真っ直ぐ見て口を開く


「京、この雪が俺から送る友情の印だ」


「友情の・・・・・印?」


「ああ、たまにでも良いから遊びに来い。そしたら一緒に遊ぼう」


「・・・・・」


「まあ、たまにいない時もあるかもしれないけどその時はこいつらと一緒に遊んでいれば良いさ」


頭を優しく撫でる。京は俺に撫でられながらコクンと頷いた。


「おし、今から鬼ごっこするぞ!鬼は岳人、お前だ!」


「はっ!?俺が鬼かよ!」


「よっしゃー!絶対に逃げ切ってやるぜぇー!」


「僕もできる限り捕まらないようにしよっと」


「あははー!ガクトが鬼だぁー!」


「まったく、皆子供だなぁ・・・・・。俺も付き合ってやるよ」


「よし、そんな事言う大和が鬼にしてやる。岳人、お前も逃げていいぞ」


「うしっ!ありがとうございます!」


「なっ!?そんな横暴だ!」


「京、一緒に逃げるぞ!」


「う、うん・・・・・」


京の手を掴んで一緒に走りだす。大和は何故かこっちに向かってきた。


「旅人さん!アンタが鬼に成れ!」


「ハハハ!今のお前に一生掛かっても俺を鬼にする事はできないさ!」


「・・・・・ふふっ」


一緒に走っていく最中、京が微笑んだ。ああ、お前は笑顔を浮かべるほうが似合っている。


「それ!」


「舐めるな!翔一ガード!」


近くにいた翔一に瞬時で移動して大和の魔の手から翔一と言う盾を使い守った


「旅人さん!あんまりだぜ!?」


「そぉれ!今度は翔一が鬼だぞぉー!」


「げっ!足が早い奴が鬼かよ!」


「あー、これは捕まるね・・・・・」


「でも、負けないわ!」


「よぉし!俺は旅人さんを狙うぜ!」


「俺ばかりくるなっつぅの!」


京を抱き抱えて一瞬で遠くに逃げる


「はっ、速いっ!」


「ふっ、俺を捕まえてみるんだな!そしたらご褒美を上げるぞ!」


「なぬっ!?やる気が出てきたぁー!」


「あっ!ずりい!俺も欲しいぞ!」


「私もぉー!」


「なら、全員で俺を捕まえろ!」


「大和!」


「ああ!皆、俺の指示通りに動け!」


「・・・・・はい」


「「「「「えっ・・・・・?」」」」」


「・・・・・」


「旅人さん、捕まえた」


抱き抱えていた京が俺の首に腕を回して捕まえた。・・・・・あっ、全員だと京も入っちゃうか。


「くっ・・・・・直ぐ近くに敵がいたとは・・・・・無念」


ドサッと原っぱに京を身体の上に乗せて倒れた。―――次の瞬間、


「よっしゃー!鬼が倒れたぞぉー!捕まえろぉー!」


翔一の号令にあいつらは一斉に俺に飛びかかってきた。


「でかしたな椎名!」


「わーい!私、お菓子が食べたーい!」


「僕はオマケ付きのお菓子がいいなぁー」


「俺様は肉まん!」


「よく捕まえたな。見直したぞ」


全員、雪降る原っぱに寝転がった。


「旅人さん・・・・・」


「うん?」


「また、此処に来ても良い?」


「勿論だ」


身体を起こして京と対面になる。


「いっぱい遊んでいっぱい話をしよう」


「うん、旅人さん」


その後、お菓子を買いに全員で商店街の方へ向かった。岳人も大和も少しだが京と接した。

これで少しは京の心の支えとなればと俺は願うばかりだった。

-3-
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