小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「ああああ〜、疲れた〜」


「まったく、だらしないわね」


「だっで〜……今日はもう部屋出たくない〜」


「しょうがないわね。何か作ってあげるわよ」


「さんきゅ」


最近、夏海が優しいな〜


神谷士です


放課後の寮の廊下にて


晩飯確保〜


なら、後はゆっくりしよう〜


部屋とうちゃ〜く


「開けますよ〜っと」



鍵開けて


「ただいま〜」


「はい、ただいま」


部屋に入ってすぐに見えるベッドも見えるリビング


そこに背景ロールが……


「え?なにこれ?」


「さぁ、朝は無かったのに……」


絵は描かれてないけど……


なんだ?


「とりあえず、外すか……」


俺がその掛け軸に手を伸ばした瞬間


光が差し込み、絵が下りてきた


「「え?」」


そこには、4つの指輪が描かれている


「うっ」


「……なに?」


さらに光が射しこむ


「眩しっ!」


目を開けたその瞬間


「は?」


なんか、窓からの景色が変わってる


「夏海!」


振り向くと夏海は白のフリルに赤のローブ……丈の長いスカートも赤で何段にもフリルであしらわれている


「……ナニソレ?」


「さぁ?あなたもよ」


「え?」


隣にあった姿見で自分を写した


「……ナニコレ」


だっせ〜


青の半ズボンに黄色の長袖


の〇太くんか!


「よ、よく……ぷぷ……似合ってる……ふふっ……わよ」


「そいつは、どうも」


このアマ


想いっきり口押さえながら言いやがって


そんなに面白いか!?あああん!?


……着替えよう





ということで、着替えました


ジーパンに白のパーカー


まぁ、これでいいだろ


「とりあえず、外に出てみましょう」


「賛成だ」


扉を開けた


暖かい日差しに過ごしやすい気温


街というよりは町


静かだけどどこか活気のある


「どこ?ここ」


「別の世界に飛ばされた?」


………


「ディケイドみたいになってる!?」


「えええ……?」


そんなことあんの?


じゃあ、ここは……


「ここ、誰の世界だ?」


「……とりあえず、歩いてみましょうか」


そうしよう


頷いて、歩き出す


「それにしても、のどかだな〜」


「そうね……」


歩けば歩くほど、並木道が続き自然と笑みが浮かびそうだ


………………


そうして、ぶらぶら歩いていると


「か、返してよぉ」


「いいだろっ!少しくらい!」


ん?


声がして、そちらを向くと


背の小さい子がかなり大柄な子になにか……ロケットかな?を取り合っている


「………」


行くか


少年等に近づこうとしたとき、


「やめなさい。貴方がムキになってどうするの」


「俺はああいうタイプは大ッ嫌いなんだ」


振りほどいて、歩き出す


「はぁ……子供ね」


言いながら、夏海もついてきた


「おい、こら。返してやれよ」


結構、ドスを効かせた声で言い放つ


でかい、少年はビビリ気味に……そりゃそうか


でかいといっても見た目は小中学生程度


明らか、高校生の俺たちはさすがに


「な、なんだよ……」


口を尖らせながら、彼はポイッと小さいほうの少年にロケットを放る


少年は危なげにそれをキャッチ


でかい方は帰ってしまった


「あ、ありがと!お兄ちゃん!」


「おう、良かったな……大事なもんなのか?」


すると、少年は大事そうに胸で抱え


「う、うん……死んじゃったお母さんにもらったものなんだ」


「そうか」


俺は頭をくしゃくしゃと撫でる


「大事にな」


「うん!じゃあね!」


そうして少年は走り去っていった


「まったく……貴方は……」


夏海もぼそぼそやさぐれながら、どこか笑みを浮かべている


「いいことしたろ?」


「まぁ……それが貴方、か」


夏海は肩を落とした


が、やっぱりどこか嬉しそう


「さ、もうちょい歩いてみようぜ」


「ええ」












それから、数時間後


日も若干落ちかけ始めた時間


「……なんにも起こらねぇな」


「そうね」


途中で買ったドーナツを頬張りながら歩くが……何にもねぇな


てか、あのドーナツ屋さん。どこかで……


あのオ〇マ口調……誰だろう?


「もう、何も起こらないのかしらね」


夏海が息を吐きながら呟いた


「まぁ、それでもいいけどな……お前と一緒なら」


「え?///」


「なんてな。本気にした?」


やーいやーい




ぎゃああああああああ!!


許して!!許してください!!


「ちょ、本当痛い!」


小走りで逃げようとした一歩目で






バキッ!



ん?


靴を上げてみると……


あの少年のロケットが……


真っ二つに割れていた


「「あ」」


気づいたときにはとき既に遅し


しかも


「あ、ああああああああ!!」


少年が悲痛な表情で駆け寄り膝をついた


「そ、そんな……お母さんとの思い出が……ああっ……」


や、やばい……


笑えないぞ!


「お、おい少年!大丈夫か」


目が虚ろになり……って


え?


少年の体がひび割れ始めている


どういうことだ


「士!」


夏海が俺に怒鳴りつけた


すると


「ヤッホーイ!なんか、よく分からんが兄ちゃんサンキューサンクス!」


人型……だが、黒の鎧のようなもので身を固め、顔面も造りが右によじれている


手首から肘にかけては刃がついており、足首にもだ


「これで、ゲートがまた絶望♪ファントム登場!イェア!」


ラップ口調でリズムを刻むそいつ


「まずは、こいつか……」


ドライバーを取り出す


が……


「なんか、分からんから飛ばしちゃうYO!」


両刃をクロスさせるように振るい、真空刃が生じた


「ぐぅ!」


「がっ!」


くそ……ドライバーが!


「お前らも魔法使いの仲間かぁ?じゃあ、死ねYO!」


まずい!


高く跳躍したそいつは、刃を俺に向けて振り下ろす


「士!」


夏海が叫ぶ


だめだ、反応できない


目を瞑った瞬間







ブオオオオオオオオオンン!!




4ストローク仕様のバイクが体当たりした


キイィっと甲高いブレーキ音を立ててドリフトする


「ったく、余計なことしてくれちゃって……」


バイクから降りた青年は、つかつかとブーツを鳴らし歩いてくる


「お前が魔法使いかYO!」


「ご名答。急いでるんだ……」


彼は、右腕の中指についた指輪をベルトの手形に当てる


『ドライバーオン・プリーズ』


すると、ベルトが二周りほど大きくなった


「だから、とっとと片付ける」


そう言って今度は左の中指に赤色の指輪をした


ベルトのシフトレバーを傾けた


『シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン!シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン!シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン!』


「変身」


ゴーグルのような部分をカバーを下ろした


そして、ベルトにまたもタッチ


『フレイム・プリーズ!……ヒー・ヒー・ヒー、ヒー、ヒー!』


左手を伸ばす


すると、赤い魔法陣のような円形のものが


それをくぐると同時に


彼は、魔法使い……ウィザードへ


「そうか……ここは、ウィザードの世界……」


俺は座り込んだまま呟いた


ウィザードは顔付近で左手の甲を向けた


「さぁ、ショータイムだ」


同時にマントを翻して走りこむ


「面倒くせぇYO!でも、片付けるYO!」


黒いそいつは両刃で斬り付けるが素早い動きがそれを許さない


間髪入れずに蹴りを叩き込み、アクロな動きで自由にさせなかった


「はぁ!」


口元から炎を吐き出した


「おっと」


マントを掴み払う


それだけで、火は消え去った


「火遊びはだめでしょ」


「うるせぇYO!」


そいつはまたも両刃を向けた


「素手もしんどいな」


攻撃を華麗に避けながら右手の中指に別の指輪を


レバーを動かし、左に傾けた


『コネクト・プリーズ!』


すると、小さな魔法陣が出現


そこに手を突っ込んで引き戻したときには大型の銃を軽々と持ち上げ首をかしげて見せる


「ほい!」


無数の弾丸を放ち、反撃の隙を与えない


軌道を少しずつ変えてダメージを増やす


「い、いい加減にしろYO!」


腕の両刃が……鞭のようにしなやかなものに姿を変えた


「おわっと!」


少ない動きでその戦鞭の攻撃をかわす


「まったく、お前に鞭なんかじゃなくては直接調教してやる」


攻撃を避けながら左手に指輪を


『シャバドゥビ・タッチ・ヘンシーン!ウォーター・プリーズ!……スイー・スイー、スイー、スイー!』


またも魔法陣が出現


魔法陣が攻撃を弾き、それを通ると同時に頭部がひし形に近い形状へ


色は青に


「さぁ、お仕置きだ」


『リキッド・プリーズ!』


すると、ウィザードへの攻撃がすり抜けるようになった


「なんだとっ!」


黒のそいつは初めて驚愕の表情を


液状化……シャウタみたいだな


「ほい」


液状化したまま飛びつき、体が実体化したと同時にそれは関節技を掛けられていた


「ぐおっ!」


「ほれほれ!」


コブラツイスト


腕十字固め


キャメルクラッチ


スピニング・トーホールド


ボー&アロー


チョークスラム


………もうやめてあげて


涙出てきた


「ふぅ……そろそろか」


少年を一瞥したウィザードはまたも赤のリングを


『シャバドゥ……フレイム・プリーズ!……ヒー・ヒー・ヒー、ヒー、ヒー!』


基本カラーを赤に戻した彼は右手に指輪をする


「フィナーレだ」


手形を左側へ傾けた


『ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!ルパッチ・マジック・タッチ・ゴー!』


右手でベルトをタッチ


『チョーイイネ!キックストライク! サイコー!』


足元に発生した魔法陣から炎を纏う


ロンダートからの空中反転した後、跳び蹴りを叩き込む


すげ〜!


「さてと……」


ウィザードは少年の元へ駆け寄る


「お母さん……」


少年のひび割れはかなり酷く、今にも崩れてしまいそうだ


「絶望なんてするな」


それでもウィザードは力強く告げる


「え?」


「約束する。俺がお前の最後の希望だ」


そうして、彼の右腕に指輪を嵌めた


『エンゲージ・プリーズ!』


そうして、ってええええ!?


指輪の中に入った!?


これが、エンゲージリング


アンダーワールドに入る……だっけか


すげぇ


それから、数分後


「よっと」


ウィザードは這うように出てきて変身を解除した


開いた口が塞がらないってのはこう言うことか……

-100-
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IS <インフィニット・ストラトス> ポス×ポスコレクションVol.2 BOX
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