小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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何気ない日常


それは、かけがえの無いもので


幸せなことで


でも、俺たちはその幸福に気づかない


世界平和を訴え、自分達は報われていると報じる宣教師ですら、恐らく深くその意味を理解していないだろう


今回はそんな俺、神谷 士の何気ない一日をどうぞ







朝、7時……起床


「士、起きなさい」


「ん、んうう……あと、5分」


鳥のさえずりが聞こえる


いい朝だ……でも、


眠い!


「べたな台詞言ってないで早く起きなさい」


ゲシッ!


「ぐはっ!」


夏海さん


起こしてくれるのはありがたいんすけど、もう少し……もう少しでいいんで優しく


「……何よ」


「おはようございます。夏海さん」


とてもじゃないけど言えないな……


「はい、おはよう。早く着替えなさい……食堂行くわよ」


夏海から制服を受け取る


ったく、嫁か……お前は


「へ〜い」


適当に答えて、適当に着てから顔を洗いに行く


「準備できた?」


「おう!バッチリ起きたぜ」


顔洗って、口濯いだし完璧!


皆も朝起きたら口濯いだほうがいいらしいよ


寝てる間にばい菌がいっぱい口の中に潜むんだって


怖いな〜


「行きましょうか。お腹減ったわ」


「とか言って、絶対大して食わないじゃん」


夏海のお腹減ったは、俺の小腹が空いた程度


もっと食えよ


……じゃあ、その女性特有の箒を越える豊満なそれはどこから


まさか、人間の生き血とか!?


ありそう


『貴方の血……美味しそうね』


うわ〜


言ってそう〜


ゲシッ!ボカッ!ドゴォ!


「あがっ!」


「行きましょう」


くそ、このアマ


「……何かしら?」


「美味しいご飯が待ってるぜ」


……ダメだ


こいつには勝てない




朝、7時30分……朝食


「う〜。何食おうかな〜」


「私は決めたわ」


夏海が食券をぷらぷらしながら隣に立った


「よし……俺は、朝定食Cだ!」


勢いよく、販売機のボタンを押す


すると


「士ちゃん、ごめんね〜。C定食はもうないや」


「おばちゃん〜!そりゃ無いぜ〜!」


嘘だろう


「フルーツの盛り合わせサービスするから許しておくれ」


「は〜い」


しゃあない、Aで我慢するか


そうして、それぞれのトレーを持って席へ


「いただきま〜す」


「いただきます」


そうして、茶碗に手をかけたところで


「士さん、海東さん。おはようございます」


「おっ、セシリア。おはようさん」


「おはよう」


セシリアがキレイな金髪を揺らしながら俺の正面に座った


「いい朝ですわね」


「そうだな、天気もいいし」


食堂の大きな窓から差し込む日差しが暖かくて眠気すら誘う


「士!しょうゆが!しょうゆがついちゃう!」


「おわっ!」


危ない危ない


もうちょいで真っ白のこの服にしょうゆの染みが


危ねぇ


「助かったわ、夏海」


「まったく、気をつけなさい」


「すんません」


頭を下げる


「……相変わらず、仲がよろしいことですわね」


セシリアが頬を膨らませてジト目で睨んでいた


ははは、可愛いぜ


「あ、士〜おはよう」


「嫁か、いい朝だな」


シャルとラウラだ


ラウラは俺のもう隣


シャルは夏海の正面へ


「おはようちゃん、ラウラは今日もよく食べるな」


まったく、小さい体によくそんなに入る


俺より少し多いくらい


「腹が減っては戦はできんからな」


「そりゃそうだ」


頭を撫でてやる


本当、ラウラの頭撫でるの好きだわ


撫でやすいし


まぁ、本人には言わないけど


「むぅ///お前は本当によく私の頭を撫でるな」


ギクッ!


気づかれた!?


「そ、そうか〜」


「ま、まぁ……嬉しくは、あるが……」


「うんん!士、このお魚美味しいよ!少し分けてあげるね!」


「そうですわ!わたくしのベーコンも分けて差し上げます!」


どうした、急に


ラウラがなんて言ったか分からなかったじゃん


「あ、ありがと……」


お皿に分けてもらいながら


「じゃあ、俺もフルーツの盛り合わせ分けてやるよ。サービスでもらったんだ」


小皿を差し出す


なんて、していると


「おはよう」


「席、いっぱい……」


箒と簪が


「おう、おはよう……もうちょい詰めるか」


よいしょ


席を少し、ずれる


皆もそれに習って席をずれた


いい連携だ


「すまないな」


「ありがとう」


そんなこんなで朝食はみんなで食べると楽しい


鉄則だな





朝、8時30分……朝のHR


「諸君、おはよう」


びしっとスーツを着こなした千冬姉が入ってくる


「今日は特に連絡は無いが、あと二ヶ月もすれば冬休みだ。引き締めていけ」


『はい!!』


そういや、冬休みも近いな


まぁ、二ヶ月あるけど……


「ふぁぁ〜」


とりあえず、一限目のISの操縦理論を寝ずにどう乗り切るかを考えないと







昼、12時35分……昼休み


「おわった〜〜〜〜〜!!!」


やっと昼飯だ!


「みんな、行こうぜ!」


今日は弁当持参の室内テリアで食べることになっている


まぁ、俺の弁当は夏海が作ってくれましたけど?


「ああ、そうしよう」


「行きますわよ!」


セシリア……弁当大丈夫か?


「ラウラ、それ……お弁当?」


「ああ、携帯にはもってこいだろう」


「弁当ではないわね」


仲いいな〜皆


いいことだ


「つ、士……」


おっ、簪


「簪!ちょうど、呼びに行こうと思ってたんだ。行こうか」


「あら、あんた達」


え?


「あ、鈴」


「あって何よ!あって!」


いや、何か凄く久しぶりに見たような


「やっと、教師にも馴れてきたわ……本当、大変」


「お疲れちゃん。鈴もテラスで食うか?」


鈴の肩を適当に揉んでやる


「いや、ありがたいけどまだやらなきゃならない資料が残ってるのよ……また今度ね」


肩に置かれた俺の手を撫でてから、彼女はまた小走りで駆けて行った


「大分、板についてきましたわね」


「ああ、心配もあったがもう大丈夫だな」


セシリアとラウラが頷いている


「まぁ、ちょっと残念だけどしゃあないな。行こうか」






それから、室内テラス


「夏海!お弁当!おべんと!」


「少しは待てないの?」


腹減ってんだからしゃあないだろ!


「僕が作ってきたのに〜」


あ、シャルがむくれてる


「そうだぞ、私だって」


あ、箒がむくれてる


二人とも、可愛いぜ


「わたくしも……」


あ、いいです


セシリアさんは、はい


「はい、貴方のよ」


「さんきゅ!……んじゃま……」


『いただきます!!』


「おっ、たこさんウィンナー!」


「貴方が昨日、入れてくれって五月蝿いから……」


夏海ぃ


お前はそう言うところ優しいんだよ〜


「うめぇ!」


米が進む進む


「士……ご飯、ついてる」


簪が俺の口元についた米粒を取って


そのまま、自分の口へ


「………///」


「……き、気恥ずかしいな///」


なんか、うん


恥ずかしい


「あああああああああっ!ラウラ!それ、僕のパスタだよ!」


「むっ、私の魚も分けてやるから怒らないでくれ」


「これ、何の魚?」


「……………知らん!」


「ヤダよ!そんな魚!」


シャルとラウラの喧騒が俺の頬の温度を下げてくれた


「セ、セシリア……それは……?」


「す、少しだけ失敗しましたの」


「何を、作ろうと……?」


「酢豚ですわ!鈴さんに教えていただいたので」


「そ、そうか……」


セシリアェ……それは、酢豚には見えんぞ


箒もそんなにがんばって笑顔を作るな


「ほら、貴方も早く食べなさい」


へ〜い







夜、9時……就寝


なんでだろう


今日一日、食べてばっかりだったような……


まぁ、一応昼からは実習でがっつり鈴と模擬戦したんだけどな


鈴が鬼強くなってる


コンプリート使ってしまった


しかも、響鬼


「鈴音相手にコンプリートを使うなんてね……」


「俺もびっくりしたわ」


夏海も相当驚いたのだろう


「さすが、先生だな」


「そうね」


ああ、疲れた


「お風呂だけ入りなさいよ」


「は〜い」


お前はおかんか





「うぃ〜。風呂上がったぜ〜」


髪を拭きながら声をかけるが返答は無い


「ん?」


テーブルで夏海は寝てしまっていた


「ありゃありゃ」


良く見ると指に絆創膏が


弁当……頑張ってくれたんだな


「ありがとな。本当に美味かったぜ」


頭を撫でてやる


赤い髪がすぅと指の間を抜けて心地いい


「ん、んぅ……」


「ったくよ……」


毛布をかけてやった


明日はゆっくりだな、こりゃ


電気を消した


おやすみ

-99-
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