小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「そろそろ、終わりにしよう」


『KUUGA.AGITO.RYUKI.FAIZ.BLADE.HIBIKI.KABUTO.DEN-O.KIBA.W.OOO.FOURZE.WIZAED』


タッチパネル式携帯電話型ツール「ケータッチ」にコンプリートカードを挿入し、パネルに浮かび上がった紋章14個をなぞるようにタッチしていく


『FINAL KAMEN RIDE・DECADE』


コンプリートフォームへ姿を変えた俺は、またも走り出した


「いい加減、しつこい!」


スコールの怒声が響き渡る


ライドブッカーをソードモードへ


斬りこみ、火花を散らせる


「嫌われるわよ」


つば競り合いになっている中、スコールは苦しげに呻いた


「お前にはもう、嫌われてるわな」


俺は小さく笑い、ブッカーを振り上げて体勢を崩させた


そのまま、斬りこむ


後ろへ身を退いたその一瞬の隙を突き、畳み掛けるように切り伏せていく


「お前は罪を償わなきゃいけない」


斬る


「俺の仲間を傷つけ」


蹴る


「関係のない者も傷つけ」


一瞬の隙も与えない


「そして、自分を騙しているお前を……俺は許さん!」


「っ!?」


スコールから一瞬で戦意が失せた


俺も、攻撃止めてブッカーを腰へ


「な、何を……」


「お前の目的は、戦争によってISの浸透を止め、この女尊男卑の世界を終わらせる……違うかよ」


スコールはついに、ISの展開すらも解除した


「ど、どうして……」


「資料を見た……弟の死がお前をそうさせたんだろ?」


俺は、真っ直ぐに彼女を見据えた


スコールは肩を……体を震わせた


うつむき、髪が垂れて表情は伺えない


が……


「……うよ」


「ん?」


「そうよ!あの子はこの世界に殺された!だから、復讐してやるのよ!」


スコールは髪を振り乱して叫ぶ


綺麗なはずの金髪も淀んで見えた


「もともと、病弱だったあの子は、それにも負けずに女子率の少し高い学校へ通い続けた……優しい子だった。気の利く子だった……」


弱弱しい声


俺は、黙って聞き続けた


「それなのに!ISができて、女の方が地位が高くなった!私の弟は、馬鹿な女のために無茶して!死んだのよ!」


涙を、流していた


綺麗なその顔は涙で汚れていた


「数人の女はIS適性なんていう、くだらないクラス分けの高さに調子に乗り、弟に無茶させた……起訴してもすぐには相手にしてくれなかった……やっと、相手にしてくれた時には……もう遅かった」


「どうして?」


「国家代表になってたのよ!国からの圧力なんてものに私の弟を殺した罪を掻き消されたのよ!」


頭を抱えて、首を振るスコール


「国家代表操縦者?国家代表専用ISエンジニア?IS情報管理司令部長?……人を殺しておいて、そんなものになって……」


「…………」


全部……資料通りだな……


「だから、復讐を決意した……それも、あなたに邪魔されたけどね……もう、だめみたい」


「おい!」


スコールはふらふらと足をよろめかせて……戦闘の途中でできた深い、深い穴へと……


「あ……」


気づかずに、そのまま落下――― 

























「間に合えーーーーーーーーー!!!」



させるかよ!


「言ったはずだぜ。罪は償わせるってな」


手を握り、落とすまいと歯を食い縛る


「……離しなさい」


「あ?」


「離しなさい……もう疲れたわ。このまま死んで―――」


「―――ざけんなっ!!」


怒鳴った


腹の底からってのはこのことだな……


「弟さんはそれで喜ぶか!?お前が死んで、弟さんは天国で、よくやってくれたねって笑ってくれるのかよ!」


「あなたに何が分かるのよ!」


「分かるかよ!」


「なら……」


「それでも、死なせるわけにゃいかねぇんだよ!」


手に、さらに力を入れた


「ど、どうして……」


















「死なせたくない人が目の前にいるからだ!」


「え……」


「俺はわがままなんだよ!知らなかったかよ!一人だけを選べないから皆を選んで……それで、満足しろなんていう男なんだよ!だから、俺はここでもわがままを言う!お前は死ぬな!それじゃだめかよ!」


「あ、あなた……そろそろ限界でしょう!一緒に死にたいの!?」


「なわけねぇだろ……」


「な、なら……」


「でも、ここで一歩でも退いちまったら、何か大事な今までの誓いとか約束とか……色んなもんがヘシ折れちまう。二度と皆のところ帰って来れねぇような気がする。だから、退かない」


「たとえ、死んでも……?」


「死ぬかよ……俺が決めたんだ。お前を助けるまで、皆のところへ帰るまで死なないっ!」


俺は、さいごの力を振り絞り……なんて、決まりきった力でスコールを引き上げた


変身はいつの間にか解除されている


「馬鹿なの……あなた……」


「よく、言われるぜ」


「私は、たくさんの罪を犯してきた。生き残ったところで、終身刑、よくても死刑よ……」


「いや、それはない。ここに来る前に頼れる人に色々、頼んできたからな……」


「それでも、また何かすることだって……」


「そのときは、また止めてやるよ……」


「今度は、あなたをどんな手を使ってでも利用して、事を起こすかもしれないわよ……それでも、赦せるの」


「……」


「現に、私はそうして罪を犯してきた……何も思わないの?」


「何も思わないわけがないだろ。罪は償わせるって言ってるし……でも、まぁ……一つだけ言いたいことがあるか。一つっていうか、一文字だけ言いたいことがある」


こいつは、もう何もしない


でも、許してもらう、赦してもらうつもりもないのだろう


これからは、静かに死ぬまでをすごすだろう


楽しいことも、苦しいことも……いや、弟さんをたまに思い、涙を流し、死ぬんだろう


……


そんなの、俺が許すわけないでしょ


だから、俺は罪を消させない。でも、それを乗り越えて新たに前へ進めるようにと……この




一文字を言い放つ





































「で?」












俺は、言った


スコールは目を丸くして、横横たわった俺を見る


「……で?って、それだけ」


「ああ。それだけ……お前の罪は消えないし、消させない。でもそれで終わるのは許さん。だから罪を犯したって言う意識があって、それがスタートの邪魔をするなら俺は言う……で?」


そこで、俺は力なく……でも、どこか誇らしげに笑う


「それじゃ、駄目かよ?」


スコールは目をふっと伏せて、笑った


「あなたには、勝てないわね……私の負け。そして……」


俺の手を握った彼女は……










「私の弟になりなさい」


「……は?」


「あなた似てるのよ。私の弟に」


「知らんがな!なんで、俺がお前の弟!?」


「いいじゃない。別に」


「軽い!?もっと、重い感じに言えよ!」


「お、お願い……私の、弟に……」


「違う違う違う違う!!そうだけど、なんか違う!」


「なによ、もう」


「なんで、俺が呆れられてるの!?」


ったく、反省してんのか……?


ま、こいつがこんな風に笑うって知れただけ、よしとするか


俺が、肩の力を抜いた瞬間



サイレンが鳴り響いた


その後に流れる女性の機械音


『この施設は、あと60秒で爆発します。この施設は、あと60秒で爆発します。』


「おい、爆発すんぞ。はやく止めてくれ」


「お、おかしい……私が、スイッチを押さないとおれは起動しないわ。それもかなり力がいるように細工したのだけど……」


スコールの頬を汗が伝う


「……押してないよね?」


「当然よ」


ん?


なんか、さっきからケツに固いものが……なんだ?


モゾモゾと動き、手を回す


ケツの下から出てきたのは


アストロスイッチみたいな装置だった


「なぁ、スコール。もしかして、これ?」


スイッチを見せる


「そうよ、それ…………って、あなたが押したの!?」


「違うって!わざとじゃない!」


「どうするのよ!?ここは地下の格納施設……出口まで一番遠い。地下だから、壁も厚くて、突き破れないわよ……あなたとの戦闘で体力ももうないし……」


あれぇ?


おかしいな……


なんで、こうすっと行かないんだろう?


まぁ、そっちの方が俺らしいか……


「さて、逃げるぞ」


立ち上がりながら、言った


「私の話、聞いてなかったの?」


「逃げずに死ぬよりマシだろ……俺に任せろ」


そうして、バックルを腰へ


「変身」


ケータッチをそのまま挿入し


『FINAL KAMEN RIDE・DECADE・COMPIETE』


ファイナルコンプリートへ


「さぁ、|十四の物語(フォーティン・ストーリー)を始めよう―――」


言うと同時に、お姫様抱っこでスコールを抱きかかえ、走る!


「道案内、よろしく!」


「ちょ、ちょっと!」


部屋から、走るが崩れだした施設の瓦礫、俺たちが戦闘で壊した施設の残骸が邪魔をする


「しゃぁ!パーティの始まりだ!」



『KUUGA・KAMEN RIDE・ULTIMATE』


クウガが召還され、両足に封印エネルギーと炎を収束させてアルティメットキックで瓦礫を木っ端微塵にするだけでなく、退路を開く


『AGITO・KAMEN RIDE・SHINIMG』

『RYUKI・KAMEN RIDE・SURVIVE』


アギトと龍輝は走りながら登場し、シャイニングクラッシュ……シャイニングカリバー・ツインモードを高速で振るい、連続で厚い壁を切り刻み


龍騎はドラゴンファイヤーストーム……ドラグランザー・バイクモードに乗りウィリー走行し、火炎弾を連続発射しながら車体でその壁の残骸を吹き飛ばす



『FAIZ・KAMEN RIDE・BLASTER』

『BLADE・KAMEN RIDE・KING』

『HIBIKI・KAMEN RIDE・ARMED』


フォトンバスター


ロイヤルストレートフラッシュ


音撃刃 鬼神覚声


それぞれ、衝撃波として、撃ち出し次々と迫る格納シャッターをぶっ壊す


間に合え、間に合え!


『KABUTO・KAMEN RIDE・HYPER』

『DEN-O・KAMEN RIDE・LINER』


カブトはカブテクターを展開した状態で出現


竜巻状の超巨大エネルギー波を放ち、崩れ落ちてくる瓦礫から守ってくれる


電王はフルスロットルブレイク……ゴウカ、イスルギ、レッコウ、イカヅチを模した4つのオーラライナーと共に突撃し、新たな退路を築く


『KIBA・KAMEN RIDE・EMPEROR』


エンペラームーンブレイクで上階へと道を続けた


『W・KAMEN RIDE・EXTREME』

『OOO・KAMEN RIDE・PUTOTYRA』


Wはエクスタイフーンから発生した緑・黒の2色の竜巻に包まれながら上昇し、両足にエクストリームのエネルギーを纏い両足蹴りを叩き込む、ダブルエクストリームを発動し、瓦礫をどかすだけでなく


竜巻で俺たちを前へと進めてくれた


尻尾状に変形させたテイルディバイダーで地面を叩きつけて、振動で床を捲り上げ地上の明かりが差す、地上へ近づけるオーズ


もう少し!


『FOURZE・KAMEN RIDE・COSMIC』


フォーゼがライダー超銀河フィニッシュで最後の扉を切り裂き、完全に道が開かれた


「うおおおおおおおおおおおおお!!」


俺は、根性でスコールを片手で支え、ケータッチとバックルを差し替える


基本形態に姿を戻すが、俺はカードを挿入


『FORM RIDE・WIZAED・HURRICANE DRAGON』


『ビュー、ビュー!ビュービュービュビュー!』


「これで、フィナーレだぁ!」


『ATTACK RIDE・SPECIAL』


『チョーイイネ!スペシャル!サイコー!』


ウィザードラゴンの翼・ドラゴウィングが具現化し、飛ぶ!





大きな爆発を起こし、跡形もなくなった施設から少し離れたところにいくつもの兵器が並んでいた


IS学園の教員部隊と、代表候補生、国家代表だ


その少し前へ降り立った俺は変身を解除しスコールを降ろす


「ジャスト一分だ……夢は見れたかよ」


言って、俺は笑う


いつの間にか、昇っていた朝日がまぶしい


「綺麗ね」


「そうだな」


「……行きましょうか」


「ああ」


歩き出すと同時に……


腕を組まれた


「お、おい!」


ちょ、柔らかいって!


「いいでしょ。弟なんだし♪」


「お、おいおい」


こりゃ、説明すんのが面倒だぞ……


ため息しか出てこなかった

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なのこれシリーズ IS (インフィニット・ストラトス) コレクションフィギュア VOL.2 BOX
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