小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「あああ……体ダリーー」



夕食時の俺達は7人で夕食を取っていた



皆は食事をとっているが俺はどうにも食欲がなく、購買のパンと食堂のおばちゃんにサービスとかでもらったコーンスープだけだ



箒に勝ったあと、響鬼紅の疲労で倒れてしまった俺が目を覚ましたのはついさっき……



正直つらい……



「大丈夫なの?士」



鈴が魚をほぐしながら聞いてくる



「いや、若干やばい」



「無理、は……よくない、よ」



隣の簪が俺の手を握りながら言ってくれる



「おー、ありがとな簪」



感激した!



なんて優しい子なんだ!



ゆっくり頭を撫でてやる



「えへへ………///」



顔を赤らめながらニヤついている



「ああーー!更識さんずるいよ!」



シャルがスプーンを置いて講義する



「ずるく、ないもん……」



簪が顔を赤らめたまま言い返す



いやいやいやいや、簪さん?



「もん」とか付けちゃだめだよ?



可愛すぎるからね?理性がね、うん



危ないよね



「むぅ〜」



シャルが頬を膨らませて睨んでくると同時に



「そういえば……」



と、ラウラが言葉を繋げた



「私は、その場にいなかったから知らないのだが……嫁は箒とシャルロットとの2対1で訓練したと聞いた……どうしてだ?」



「確かにそうですわね……なぜ2対1で?」



セシリアもサラダを咀嚼してから尋ねてくる



「いやな……こんなことがあって」







それは、夏休みに入り、廃人道を突っ走ろうとしていた俺の部屋に箒が押しかけてきたところから始まる



時刻は午前10時



それでも授業がない夏休みを満喫したい俺はまだベットの上で横になりウトウトしていた



すると、



「士!訓練に付き合ってくれ!」



と、箒がドアを蹴破りながら入ってきた



面倒くさーい



「他をあたってくれ……俺は眠い」



寝返りを打ち、顔が見えないようにすると



「情けないぞ!夏休みだからといってだらけきってはいかん!」



とか言いながら体を揺さぶってくる



オカンか……



でもまあ……言ってることは超正論



「分かったよ、起きるよ」



「うむ、では訓練に行くとしよう!」



箒が手を引っ張る



「待て待て待て!まだ俺起きて、30秒もたってないんですけど!」



「お前がだらだらしているからだろう!」



ぐぬぬ……超正論を通り越してウルトラ正論



「1時間後にな……んん〜〜〜」



覚悟を決めた俺はベットから降りて伸びをする



「……分かった、では1時間後にな」



そう言って部屋から出て行った



それから30分で身支度を終えてしまった俺は暇になっていた



「どうしよ………適当に歩くか……」



学園をぶらぶらしようとそのままアリーナにいけるように小さな荷物だけ持って部屋を出る



廊下を歩いていると……



「あ、士くん!おはようございます」



山田先生だった



「あ、はようざいます」



「もう!ちゃんと挨拶しないとメッですよ」



と、右手の人差し指を立てながら少し前かがみになり言ってくる



可愛い……てか、でかい



色々、目のやり場に困っていると



「あ、ごめんなさい……行くところがあるんでした〜、行ってきますね〜」



「あ、はい……行ってらっしゃいです」



見送りはちゃんとしないとな……



「あ、はい……行ってきますぅ///(なんか、お見送りされてます〜。声が優しいです〜///)」



なんか、顔が赤いままどっか行っちゃったけど大丈夫か?



おっと、そろそろ時間だな



アリーナへ足を進めた







アリーナに行くと箒の横にはシャルもいた



「シャルも訓練か?」



「えっ?う、うん……そうだよ」



何か、歯切れ悪いな……



「せっかく、士と二人きりで訓練しようと思ったのに……」



「ん?どうした?箒」



なんか、ぶつぶつ言ってるけど



「なんでもない!」



ふん!とそっぽをむいてしまう箒



なんか悪い事した?



「じゃ、じゃあ3人でなにする?」



「私が士と組んで2対1でどうだ?」



箒が提案する



「なっ!?そ、そんなのダメだよ!」



「ダメなのか?順番に組む奴を変えればいいんじゃ……」



「……僕だって士と組みたいのに……」



「どうした?シャル」



「な、なんでもないよ!……じゃ、じゃあさ!この3人なら士が一番強いんだから箒と僕が組むよ」



「な、なに!?き、貴様……」



「まぁ、それでもいいけどな……」



「士!?」



箒がなぜか驚きの声をあげる



「ふ、ふんっ!もうそれでいい!…………私と組まなかったことを後悔させてやる」



最後の方は聞き取れなかったが、恐ろしいので聞かない



それから、訓練が始まった











「ってことがあってな……」



話終えた俺はグテッとテーブルに身を預ける



「なんか……」



「災難でしたわね……」



鈴とセシリアが労わるように言う



「少しは、加減……して、あげないと」



簪が箒とシャルに目をやりながら言った



「むぅ」

「うぅ」



二人がむくれる様にうなる



「ありがとな簪……今日のお前はいつも以上に優しく感じる」



簪の頭を感謝の意で撫でてやる



「えへへ……二回目♪///」



くすぐったそうに目を細める



「ちょっと!簪に甘いんじゃない!」



鈴が立ち上がり講義する



「ん?鈴も頭、撫でて欲しいのか?ほれ」



手を伸ばし撫でてやる



「ふぁぁ……///」



鈴の表情がにやにやと崩れる



「鈴さん……」

「鈴……」



セシリアとラウラが凄い目で鈴を見てる



そのまま夕飯は食べ終わり自室へとそれぞれが帰っていった





「そろそろ寝ようかな……」



なんか、寝たりないし



ベットに身を投げ出した瞬間





コンコン



とノックされた……



勘弁してくれ



狸寝入り……使うか?



いや、まぁ……出るか



「はぁ〜い」



ドアを開けるとそこには箒が立っていた









とりあえず箒を部屋に入れてお茶を出す



「どうぞ……」



「う、うむ……いただこう」



「で?どうしたんだ?」



俺が聞くと、気まずそうに箒が



「いや、今日はそのすまなかったなと……」



指を絡ませたりしながらボソボソとつぶやいた



そんなこと気にしてたのか?



「気にすんなよ……幼馴染だろ」



笑いかけながら言う



「〜〜〜///(え、笑顔が……格好、いい///)」



あれ?顔赤いけど大丈夫?



「そ、そのなんだ……お詫びにマッサージしてやる……そ、その寝てくれ」



ベッドの方を指差しながら顔を赤らめて言う箒



「マジか!?ひゃっほ〜い!頼むぜ!」



言いながらベッドに飛び込む



「で、では……始めるぞ」



言いながら、箒が足や腰を押す



おおお……コレは気持ちいい……



あ、やべ……寝ちまう









〜翌朝〜



「……ん」



目を覚ました俺は何かを感じすぐ横に目をやる



すると





「ほ、ほほほ、ほ、箒!?」



箒が横ですやすやと気持ちよさそうに寝ていた


髪下ろしたら超絶可愛いな……もう兵器だよ兵器



じゃなくて!!



いやいやいやいや……落ち着け!冷静に状況を分析しろ……



そう!これは俺の仕業だ!



………………



違う違う違う!



そうだ!マッサージだ!



たぶん、頑張ってマッサージしてくれてる最中に俺が寝ちゃったんだな……



だから仕方なく?



意味が分からん!?



混乱していると、



「士〜、起きてる?昨日はゴメンね〜」



なんと、シャルが入ってきた



「………」



シャルの笑顔が怖い

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