小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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学園祭の翌日


振り替えの休日+俺達、専用機持ちは3日ほどの自宅謹慎と言う名の休暇を頂いた



あの後、千冬姉も言い過ぎたのを反省したのか


珍しくしおらしくなって休みを告げてきた


「と、言っても……やることね〜」


家のリビングに置いてあるソファーに腰に思いっきり背中を預ける


ああ、暇だ


なんて思っていると……



ピンポーン♪


とインターホンが鳴った


宅配便かな?


「は〜い」


ドアを開けると


「あ、あの……士……その……来ちゃった」


シャルだった




とりあえず、シャルに部屋に上がってもらいお茶を出す


「それにしても、急だったな〜」



「あはは……ごめん」


「いやいや、ちょうど暇してたしちょうど良かったよ」


すると、またも




ピンポーン♪


インターホンが鳴る


「ん?またか?」


そう言って席を立つ



「まさか……いや、さすがに……」


シャルがボソボソなにか言っているがどうしたんだ?


ドアを開けると


「士!暇だから遊びに来てあげたわよ!」


ツインテールが揺れた




「なんで……」

「こうなるの……」


鈴を家にあげてから2人のテンションがだだ下がりなんだが……


え?なに?この空気


「どうしたんだよ、2人とも」


「なんでもないわよ……」


「うん、なんでも……ないよ」



鈴もシャルも苦笑い


なんでやねん


「まぁ、折角来たんだしさ楽しくやろうぜ!何する?」


俺がパンッと手を叩く


「そうね〜……イントロとかは?」


「シャルは日本の曲とか分かんないだろ……俺もフランスの曲知らないし……お前は日本の曲分かるかもしれないけどさ……」


ちょっと無理があるだろ


「そっか〜、士と私しか分からないもんね〜」


なぜか、鈴がニヤニヤしながら「士」と「私」を強調してシャルを横目で見る


「むうぅ〜〜。僕だって、日本の曲知ってるもん!やろうよ!いんとろ」


どうやらイントロもよく分かってない


いんとろって可愛い言い方だな


「じゃあ、やってみる?」



「ええ!」

「うん!」


元気良く返事する2人


イントロが分かっていないシャルのためにさりげなくルールを教えてやろう


俺って親切


「よし!ルールの確認な。俺が曲の冒頭部を流してその曲名を当てるクイズね。分かったら手挙げてな」


棚に置いてあったオーディオに手をかけて……


「それでは……第一問『ピンポーン♪』」


最悪のタイミングでインターホンが鳴る


「あ?今度は誰だ?」


「まさか……」

「やめなさいシャルロット……信じるのよ。宅急便を」

「う、うん……」


その後、部屋に入ってきたポニーテールと金髪縦ロール、綺麗な銀髪を見て、2人は声にならない悲鳴をあげた






「さて……」


「どういうことか……」


「説明してくださる?……士さん」


「俺かい!」


三人にもとりあえず、座ってもらいお茶を出したあとそう聞かれた


俺が聞きたいよ……


「まぁ、皆来ちまったものはしょうがない……皆で遊ぼうぜ」


「でも、この人数だとな……」


箒が呻くように呟く


「イントロも難しそうね……」


鈴も続く


「あ!トランプやる?」


確か、この棚に……


「あった!」


「トランプですか……」


「よし、やってみよう……」


セシリアとラウラのあとに、


「僕と士の時間が……」


シャルがボソッと何かを呟いた





トランプはそこそこ盛り上がり昼時になったときだった


『ピンポーン♪』


本日何度目かのインターホンが鳴り響く


「今度は誰だ!?」


「ブルーティアーズは……動きますわね」


「甲龍も大丈夫よ」


「あれ?今日は『デザートフォックス』入れてないな……まぁ、ショットガンでいいか」


「ナイフは……うむ、ちゃんと研いである」


「お前らはここで待ってろ……絶対、来るなよ……絶対にだ……」


なんで、IS展開してるんだコイツらは


家、ぶっ壊れるだろうが


「はいはーい」


やっぱり後に続いてやってきた五人を無視してドアを開ける


「やぁ、士くん……来ちゃった♪」


「え、えと……つか、さ……こんにち、は」


水色の髪が二つ揺れた


「「「「「もう、やめてーーーーーーーーー!!」」」」」


どうした?ライフは0なのか?


なら、リビングで休んでろよ……


「負けた……」


シャルが楯無さんに向かって呟いた


戦ってたのか?




「さて、これは予想外ね簪ちゃん?」


「いや、……予想、してた……かも」


お茶がもうなくなりかけてる……


新たに沸かし始めた後、ようやく落ち着いたリビングで先に来ていた五人は目の焦点があっていなかった


「えーと……はは。こんなに来るとは思わなかったな……」


「もう、士くんは〜」


「俺が悪いんすか?」


「そうは言わないけどさ〜」


楯無さんもなんか……拗ねてる?


この人が?なんで?


「それが分からないからよ……」


人の心を読まないでください


「ご、ゴメンなさい、つかさ。お姉ちゃん、共々すっごく……迷惑掛けちゃって……」

簪がかなり反省の籠った態度で謝ってくる


別に怒ってはいないんだが、そんな風にされると逆にこっちが悪い気になってきた


それに簪に謝らせるなんて……俺は、最低だ!


それに何となくだが、簪が楯無さんと一緒に来た理由も想像がつく。あの人の妹って言うのは本当に大変なんだろうなぁ


「あ、ああ。来た時は驚いたけど、もうそんな謝らなくていいって。大体、楯無さんの無茶振りだろう?」


「う、うん……でも、やっぱり、私も……つかさの、お家に……来た……かった」


ああ………なんでこんなに可愛いんだ……


指をもじもじするのは……禁止だな、簪は


「ぶぅ。なんで簪ちゃんには甘いのよぅ」


扇子で俺の頭を叩く楯無さん


人の心を読まないでください


すると、復活したのか



「さあ士、説明してもらおうか……?」


腕を組み、ジト目で睨んでくる箒


「どうして、生徒会長とその妹さんがここにいらっしゃるのですか……?」


頬を膨らませているセシリア


「事と次第によっちゃあ……行くわよ?」


既に臨戦態勢の鈴


「……………………」


極上の笑顔を浮かべてはいるが、この中でも迫力が一番感じられるシャル


「よりによってあの女をここへ呼ぶとはな……。これは嫁から私への挑戦と受け取っても良いか?」


滅相もございませんラウラさん


「そ、そうだ!俺さ千冬姉に頼まれてケーキ作ったんだ……食べる?ちょっと残しとけばいいし」


「「「「「「「出しなさい!!!!」」」」」」」


おおおっ!?


びっくりした……


じゃあ取ってくるかな



…………



「お待たせーー」


よし、切るか


丁寧に八つに切り分ける


「あれ?一つは千冬さんならアンタは?」


「俺はいいよ。自分で作ったのは……なんかな」


鈴の問いかけに皿にケーキを乗せながら答える


切り分け終わり、手についたクリームを舐め取ると……


「ん。甘いな」



ズキューーン!!


なんか銃声が聞こえたぞ!?なんだ!?


「見たか?」


「ええ……見ましたわ」


「ペロッて……クリームをペロッて」


「格好いいはずの士が……可愛い」


「……………」


「あら?IS学園には男の子が来たんじゃなかったかしら?」


「つ、つ、ちゅかさぁ〜///」


どうした〜!!!


ラウラ!!帰って来い!


みんなもどうしたんだ!


どうしたって言うんだ!


「え、え〜と……まぁ、食えよ」


「「「「「「「いっただっきま〜す……」」」」」」」


って、皆さん?あれ?どうしたの?


え?こっちじゃなくてケーキを……ギャアアアアア!!



数分後、正気に戻った皆は何も覚えていなかった





「士、このケーキとっても美味しいよ!」



「ええ、シャルロットさんの仰る通り、とても美味しいですわ」



「確かに美味しいが……女の身としては少し複雑だな」


「アンタってホントに男のくせにお菓子作りが得意なのね……」


「ふむ。さすがは私の嫁だな」


「う〜。私が食べたケーキの中で一番美味しいかも……」


「えへへ……士の、ケーキ……」


まぁ……美味かったんならいいんだけどな……



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IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]
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