小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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うー。しんどい〜


神谷 士です


秋休みも明けて授業が始まって2日目


割と本気でしんどかった


「ゴホッゴホッ!」


咳は出るし


「くしゅん!」


くしゃみと鼻水は止まらない


「ううぅ……」


寒気もする


風邪薬、効かねぇし……


授業内容なんてものは聞かなくても神様のお陰で、IS理論から一般授業まで理解できるからいいが……


「あああ……」


頭も痛くなってきた


「士……大丈夫?」


いつの間にか授業は終わっていたらしい


隣の席のシャルが背中をさすってくれた


ありがてー


「じんどい……」


喉もいてーよ


「辛そうだな」


箒も心配そうな瞳で俺を見つめていた


「医者を呼びましょう。世界各国から最高の医者を用意いたしますわ」


「やめやめやめ」


なんか体、改造されそう


「よめ〜。元気を出すんだ」


抱きついてくるラウラの頭を撫でる


アン〇ンマンじゃないんだから


「あんまりやっちゃいけないんだろうけど……仕方ないよな」


俺は席を立って、皆と距離を取った


「士?」


シャルが不思議そうに首をかしげた


ディケイドに変身して


『KAMEN RIDE・FOURZE』


フォーゼ姿を変えた


『ATTACK RIDE・MEDICAL』

『メディカル・オン』


24番メディカルのカードを挿入した


救急箱を装備。内蔵された薬を取り出した


これが効くんだよな〜


はじめからコレ飲んでりゃよかった


「水ある?」


薬を取り出した後変身を解除して問うた


「わ、私が持っているぞ!」


「わたくしもですわ!」


「ぼ、僕だって!」


「嫁、これをやろう!」


皆が一斉に水を差し出した


しかも


「私が一番だ!」


「わたくしですわ!」


「ぼ、僕だよ!」


「いや、私だな!」


誰でもいいから水を


「は〜い、つっち〜」


おっ!本音ちゃん


「サンキュー」


プハッ!うめ〜


「「「「あああ〜〜〜〜〜!!!」」」」


な、なんだ!?


「ずるいよ、布仏さん!」


「ずるくないも〜ん。でゅっちー達がぽわぽわしてるからだも〜ん」


「貴方に言われたくありませんわ!」


まぁ、確かに


「完全に迂闊だったな」


「ああ、周りは敵ばかりだ」


そんなことがあって次の時間


千冬姉の授業だ


「(やばい……)」


薬の副作用で眠くなってきた


寝ちゃだめだぞ……


まぶたが重い


ダメだって!


頭を振ったときだった


「邪魔するぜ!」


扉が開き、中に入ってきたのは髪の短い女性だった(この人は原作でも描写がなかったので僕の想像です)


「かみたに……つち?ってのは誰だ?」


そんなやついたっけ?


皆が状況を理解できないなりにもその「かみたに つち」を探す


「ちょっと、イーリ!ダメだって!」


そして入ってきたのは……


「ナターシャさん!?」


「士くん!?」


綺麗な金髪が揺れた


「つかさ……これ、つかさって読むの?」


知らないその女性はナターシャさんに聞いた


「そうよ。土と士は上と下の棒の長さが違うでしょ」


「おおっ!そうかそうか!そりゃ、すまねぇ!で?かみたに つかさってのは誰だ?」


「かみやです」


俺は立ち上がり答えた


「俺の名前はかみや つかさです」


「そして貴方が探しているのはこの子よ」


ナターシャさんが俺を指差した


「ほぉ〜」


頷きながら俺の顔にその顔を近づけた


ちょっと!近い!


すごい甘くて優しい匂いだ


鼻が詰まってる今でも分かる


「ナタル、こういうのがタイプなの―――フガッ!フガッ!」


「何を言ってるのかしらね〜!あなたは!」


とっさに俺とその人の距離を離して口を塞いだナターシャさん


愉快なコンビだな〜


なんて思ってると


「おい」


低い声だった


たった二文字でこんなにも恐怖することなどあっていいのだろうか?


クラスの空気が一気に氷点下を越えた


「貴様ら2人……覚悟は出来ているのだろうな……」


ポキポキと指の骨を鳴らすその鬼―――俺の姉貴、織斑千冬


「ち、千冬さん!すいません!すぐに出て行きますので!」


そう言ってその女性を引きずって出て行った


「はぁ〜。授業に戻る……神谷も席に着け。あと、この後ついて来い」


へ〜い





授業が終わり、しんどい体を引きずって接客室へと千冬姉と向かう


「入るぞ」


千冬姉が扉を開いた


そこには綺麗に座ったナターシャさんと大きく椅子を使って座るさっきの人


誰?


その対面に俺と千冬姉は座る


「で?何をしに来た?」


唐突に聞く千冬姉


「おお!よく聞いてくれたぜ、ブリュンヒルデ!」


「その呼び方はやめろ……」


「すまねぇ……あんたの弟を、ちと貸してくれねぇか?」


その女性は俺を指差した


「どういうことだ?」


「な〜に放課後に、やりあうだけだよ。ナタルが認めた世界で唯一の男の実力をな」


胸を張って答えた彼女


「今日のコイツは体調が悪い。また今度にしてくれ」


おお!千冬姉!


さすが俺の姉!


体調悪いの分かってくれてたなんて!


すげー嬉しい!


一人で感動していると


「そうか……世界最強の弟も風邪じゃ勝てねぇか……」


ニヤニヤと意地悪そうな笑顔を向ける女性


なんか、悔しい


「こら!そんなこと言わないの!」


ナターシャさんが叱った……が


「いいぜ……やりましょう。ええと……」


「おう。アメリカ代表操縦者のイーリス・コーリングだ。イーリでいいぜ!」


「イーリさん。その勝負、受けてたちます」


「ちょっと、士くん!」


ナターシャさんが席を立つ


「体調悪いんでしょう?……なら、イーリには勝てないわ!」


「久しぶりですね、ナターシャさん。元気でした?」


「え、ええ……まぁ……ありがとう//」


頬を染めるナターシャさん


「そうすか……で、俺は大丈夫です。問題ありません」


「国家代表も、舐められたもんだな〜」


クククッと喉を鳴らすイーリさん


心配そうに俺を見つめるナターシャさん


しかし、千冬姉は最後まで特勝に笑みを浮かべていた







放課後


俺はアリーナにたどり着いていた


そのまんまの意味「たどり着いた」のだ


体の方はかなり楽になった


でも、副作用が凄い


このダルサは寝れば直るのに


寝れば完治するのに……!


くそっ!


でも、千冬姉をバカにするのは許されねぇからな


「行くぜ」





アリーナは凄い人だった


アメリカ代表を一目見ようとそして、アメリカの国籍を持つ生徒は先輩の活躍を拝見しにきたのだ


「始めようぜ……」


相も変わらずニヤニヤと笑う彼女は本当に嬉しそうだ


「ええ―――」


『KAMEN RIDE・DECADE』


「始めましょう……」


ディケイドになり、カードをさらに挿入する


悩んだ


このコンディションでアメリカの代表を倒せるのか


せめて少しでも休憩できたとしたなら楽になるのでは……


考えた


なら、オートバジンに任せるか


いや、限界がある


結論


「嫌だけど……しょうがないよな!」


『KAMEN RIDE・DEN-O』


電仮面は桃のレリーフが顔のレールを伝わって眼前に収まり、中央から割れた状態で固定され、葉の部分はチークガードのように移動する


「おっ!姿を変えやがったな」


嬉しそうに言うイーリさん


「じゃっ、後はよろしく」


『ATTACK RIDE・ORE SANJOU!』


その瞬間、俺の意識の隣に赤いのが入ってきた


悪そうな顔だ


ちょうどWみたいな感じ


オリジナルはただポーズをとって台詞を言うだけ……でも、俺の場合は


「俺、参上!」


モモタロスが俺の体を乗っ取る


アタックライドすることでな


「ひぃ〜〜!!!やっほ〜〜!!久しぶりに暴れるぜ〜!」


肩をぐるんぐるん回すモモ


あの……俺の体


まぁ、いいや


お休み



士SIDE OUT-



「なんか、雰囲気変わったな」


イーリスの第3世代型ISファング・クエイク


機体カラーはタイガーストライプ。甲龍と同じコンセプトで開発されているため、安定性と稼動効率に特化している


武器はナイフと


「己の拳!」


そう言ってダッシュする


それに対してモモタロスも


「行くぜ行くぜ行くぜ〜〜〜!!!!!」


ダッシュした


デンガッシャーを走りながら器用にソードモードに組み立て、イーリスの拳にぶつける


でたらめに振っているようでちゃんと急所を狙ってきている


剣を使う人間でこの手のタイプが一番怖い


それをイーリスは理解していた


慎重に攻撃をやり過ごし反撃する


一方、モモタロスもイマジンとは違う威圧を感じていた


「(やりずれぇ感じはするが……その分ぶちのめした時は……)」


「おおおりゃぁ!!」


デンガッシャーを振りかぶった


するとイーリスはエネルギーナイフを取り出し投げつける


これは言わば無限弾数で彼女のスタイルには合わないが負けるわけにはいかない


「うおおおおっと!」


ナイフを避け、距離を置いた


が、次の瞬間には別のナイフが


「ず、ずりぃぞ!」


「うるせぇ!」


タイプがどこか似ている2人はそんなやりとりをする


すると……


『あああああ!もう我慢できない!変わって!』


そんな声が頭の中で響いた瞬間、ライドブッカーは独りでに響きカードを排出した


それを掴み、挿入する


『ATTACK RIDE・KOTAEWA KIITE NAI』


その瞬間、仮面は龍の顔で、オーラアーマーはソードフォームの装甲が上部に展開した形となる


「お前、倒すけどいいよね?」


「あ?」


「答えは聞いてない!」


そしてデンガッシャーをガンモードにして乱射した


「ぐっ!」


押されながらもナイフで反撃する


が、銃とナイフでは差は歴然


さらにハンドガンサイズしかないその銃はなぜか弾が連射される


それはスコーピオンを連想させた


「へへん!」


得意げに肩を揺らした隙に


一気に近づき接近戦に持ち込む


しかし、


「よいしょっ!」


ダンスを取り入れた動きで蹴りを入れる


股から顔を覗かせたと思えば銃を放ち、怯めば強力すぎる蹴りが飛んでくる


「僕の勝ちだね―――ちょ、ちょっと!もう少しなのに〜〜!」


またも不自然に体を揺らしカードは挿入された


『ATTACK RIDE・BOKU NI TSURARETEMIRU?』


電仮面は海亀のようなレリーフが頭頂からレールを伝い眼前で固定されると、ヒレが逆転して角状に可変。

甲羅部分がマルチアイを象る。オーラアーマーはソードフォームのパーツを前後逆に着装し、胸部が左右に展開、ショルダーガードになる。

チェスト部分もまた亀甲柄を思わせる


「君、僕に釣られてみる?」


「はぁ?」


「可愛い顔してるね〜」


そう言って優雅な動きで彼女に近づいた


「な!?か、かわ……!//」


頬染めるイーリス


さらにウラタロスはその頬を撫でた


「ひゃう!?」


「う〜ん。見るからに愛おしい……」


しかし、彼女もなんとか自制心に打ち勝った


「ふ、ふざ……ふざけんな〜!!」


そう言ってウラタロスを殴り飛ばす


「ぐふっ!」


そのまま勢い良く倒れこんだ


『なにしとんねん!俺に変われ!』


そうして4枚目のカードが挿入されたのだ


『ATTACK RIDE・NAKERUDE』


そして、電仮面は斧型のレリーフがレールを伝い眼前に固定。外側が左右に展開して「金」の字を象っている。オーラアーマーは単純にソードフォームの前後が入れ替わった状態へ


「泣けるで!」


ガバッ!立ち上がった彼の周りには紙が散っている


「今度はなんだ!?」


「俺の強さにお前が泣いた!」


「泣いてねぇよ!?」


「涙はこれで拭いとけ!」


「だから、拭かねぇし!てか、紙小せぇよ!」


「そら、失礼。こっちの紙を……」


「だから、いらなねぇ!」


次の瞬間、キンタロスは地面に膝をついた


「な、なんだ……?」


「……ごい」


「え?」


「凄いで!俺のボケについてくるなんてやるやんけ!気に入ったで!」


「嬉しくねぇよ!何なんだよ!」


イーリスは突っ込む


拳を振りかぶって


「おっ!武器はないんかいな……なら、俺も素手で!」


「「ふんっ!」」


イーリスは拳を、キンタロスはつっぱりをかました


「どうや!」


「ぐはっ!」


単純な攻撃力、守備力ではキンタロスの右に出るものはいない


「くそっ!ふざけやがって!」


そうして彼女は


キンタロスの周りをぐるぐると回りだした


「な、なんや!?」


そして彼女は四方八方から攻撃を仕掛ける


「うおっ!」


防御力が高くとも連続した攻撃には対応できなかった


『ふん!私に代われ!』


そうして攻撃を受けながらも新たにカードが挿入された



『ATTACK RIDE・MANWOZISITE』


そして変わったのは白鳥のような姿


電仮面は白鳥のような形状で、首を折りたたむように変形して装着される。変形後の電仮面は翼を象った形状でオーラアーマーも肩が翼状になっている。


「降臨、満を持して!」


デンガッシャーはブーメランモード&ハンドアックスモード


へ変わっていた


「ふん!」


勢い良く投げたブーメラン


しかし瞬時加速により高速移動している彼女には当たらない


挙句、拳の連撃を受けてソードモードへ戻る


「がはっ!」


「何しにきたんだよ!てめぇは!」


モモタロスの突っ込みも待たず拳は打ち込まれる


抵抗できないのはモモタロスが悪いのではなく


「おい!俺にやらせろよ!」


『僕が一番、いい線いったじゃん!』


『あんな美人の相手は僕しかできないと思うな〜』


『あの姉ちゃん、ええ拳や!もう一回俺にやらせろ!』


そうして揉めていたから


「ええい!じゃんけんだ!……いくぞ!じゃんけん―――」


「ぽんっ!」

『ぽんっ!』『ぽんっ!』『ぽんっ!』



全員がパーを出した


「あ」

『あ』『あ』『あ』


そして


『ATTACK RIDE・ORETATI SANJOU!』



頭部の電仮面は、ソードフォームから桃の皮が剥ける様なイメージで変形する


4つの電仮面を各部(ロッドが右肩、アックスが左肩、ガンが胸部)に配した形状


クライマックスフォームだ


「ええい!俺達、参上!」


そう無理矢理、ポーズを取った


イーリスは終わらせるつもりで成功率40%のスラスター4基による個別連続瞬時加速(リボルバー・イグニッション・ブースト)を行った


「おおおっ!はえぇ!……でもっ!」



デンガッシャーはソードモードだ


「俺達の必殺技……クライマックスバージョン!!」


『FINAL ATTACK RIDE・de、de、de、DEN-O』


オーラソードが虹色に輝く


「な、なんだ!?」


イーリスがそう声を漏らした瞬間


本体から分離させて遠隔操作したオーラソードがイーリスをとらえた


「うおりゃあああああ!!」


切り裂かれたファング・クエイクはシールドエネルギーを0にし、展開は解除された


変身を解除すると


「ふぁあぁ〜あ……ん?終わった?」


欠伸しながら士が聞いた

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IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]
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