小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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あの後……


試合に勝った俺は部屋に戻って寝た


体動かしながらは寝れないからな


そして数時間後


目が覚めると6時を回ろうとしていた


「起きますか……」


体の調子も大丈夫そうだ


大きな窓を見るともう夕暮れ


日が落ちるのも大分、早くなってきた


適当な服を着て晩飯に向かう


食堂に着くと


「あ、士!」


と、シャルに声をかけられた


「おっ!みんな……」


大きな丸テーブルには箒、セシリア、鈴にシャルとラウラ、簪が色とりどりな料理を並べて食事を楽しんでいた


俺も買ってこよう



そして……


「もう、体は大丈夫か?」


箒に声をかけられた


俺はハンバーグを飲み込んで答える


「おう、心配かけたな」


「全くですわ!」


セシリアの頭を撫でる


「ごめんな」


「………///」


「ちょ、ちょっと!僕も心配してたんだよ!」


「私もだ!」


シャルとラウラが立ち上がり抗議した


「お、おう……ありがとな」


「なら、私も撫でろ」


そうして無理矢理俺の隣に来たラウラの頭も撫でてやる


「むぅ〜〜〜〜!」


ははは……可愛いぜシャル


ふと、テーブルの隅を見ると


「ねぇ……私、聞いてない」


「私も……」


鈴と簪から負のオーラが漂っていた


効果音はドヨ〜ンだな


なんて思ってると


「おい」


声をかけられた


「ん?」


見上げると……


「イーリスさん」


昼間、世話になったイーリスさんが


「ちょっと、来い//」


若干、顔を赤らめて俺の袖を引っ張った


「ちょ、ちょっと!」


引っ張られていると


逆の袖が引っ張られる


……ラウラだった


「私の嫁に手を出すな」


「嫁?」


まぁ、それが正しい反応だな


「まぁいい……ドイツの代表候補生が国家の代表に口を出すのか?」


「うっ……」


痛いところを突かれたのかラウラが言い淀んだ


しかし


「し、知らん!士は私の嫁だ!異論は認めんぞ!」


そう啖呵を切った彼女に二年生の先輩が


「は、は〜い!すいませ〜ん!」


「ラウラちゃん!プリン買ってあげるから、ね?」


「よ、嫁〜〜!」


あ、ラウラが連れてかれた


多分あの人ら、アメリカの人だろうな


そうしてそのまま寮の空き部屋へ


「お、おい///」


「何ですか?急に引っ張ってきて」


「そ、その……すまん」


こういうタイプには珍しく素直に謝るイーリさん


「ま、まぁいいですけど」


俺も強くは言えない


「そ、その……だな」


「はい」


そこで一拍置いたイーリさんは大きく息を吸い










「せ、責任とれ!」



と声を張った


「…………はい?」


責任……?


なんかしたっけ?


後輩の前で電王で倒したこと?


電王はいいな〜。俺戦わなくてもいいもんね


「責任だよ!あ、あんなこと言われたの初めてなんだからな!」


「何がですが?」


「だ、だから!……その、可愛いとか……愛おしいとか……///」


なに、この可愛い生き物


持って帰りたい


「可愛い……愛おしい……」


俺は言ってない


そして今日、初めて会ったから今日俺がそんなことを言ったことになる


でも記憶にないということは


俺の記憶がないとき


寝言はない


ということは戦闘中


そして今日、俺は電王を使った


戦闘中にそんなのこと言うやつは一人しかいない


「ウラアアァァァァァァァァ!!!!」


腹の底から怒鳴った


てめぇのカードだけ破り捨ててやろうか!ああん!


「それに、突っ張りって言うのか?してきたときも……わ、私の……胸を……///」


なに、この可愛い生き物


持って帰りたい


ん?突っ張り?


「キィンンンンンン!!!!」


てめえの黄色、緑に変えてやろうか!ああん!


「す、すいません……ええと、アレは俺であって俺でないというか……俺が言ってるようで、俺は言ってないというか……」


「し、知らん!」


ですよね〜


どうすんだよ、この空気……


すると、扉が開き


「イーリ、ここいたの。帰るわよ……って士くん!!」


ナターシャさんが入ってきた


「あ、どうも」


頭を下げる


「な、なんで2人が一緒にいるのよ!」


「それはですね……」


「ナ、ナタルには関係ねぇだろ……私と、つ、つつ、つかさが何しようとさ//」


「士ぁ!?」


俺もびっくりだよ


どうしたんだ?急に名前で呼んだりして


「な、なに急に呼び捨てにしてんのよ!」


「う、うっせぇ!……わ、私なんか可愛いとか愛おしいとか言われたんだからな!」


いや、それは俺が言ったんじゃ―――



「ふ、ふん!私なんかキーホルダーも服だって買ってもらったんだから!」


ナターシャさんが前に俺が買った不細工な狸のストラップをかざした


なんか嬉しい


「俺も持ってますよ。ほら」


俺も鳴らない……だが、鳴るときに願いが叶うという鈴のストラップをかざした


「な!?」


イーリさんが固まった


「ほ、ほらっ!諦めなさい!」


ナターシャさんが俺の腕に抱きついた


ちょっと!胸当たってるから!


「あ、当ててるの!」


キレ気味に言われた


てか、心読むなよ……


「くぅううう〜〜!」


イーリさんが悔しそうに顔をゆがめた


う〜ん


2人はライバルだからナターシャさんだけプレゼントされたのが悔しいのかな


なら……


「はい」


俺は手を解いてイーリさんに薬指にしていたリングを外して渡した


「え?」


イーリさんがハッと顔を上げる


「あげます、それ。まだいっぱいあるんで……そんなもんは失礼ですかね?」


「い、いや!これでいい!」


おおお


そんなに必死にならんでも


「なんで!?」


ナターシャさんが泣きそうな声を出す


「なんで今日あったばっかの貴方がそんなのもらってるの!外しなさい!」


「へへっ!や〜なこった」


本当に仲がいいんだな〜


「「違うっ!!」」


あれ?












ここはとある研究所


そこでは不気味な笑い声が


「ふふ〜ん!できたよできたよ〜〜!!やっぱり私って天才さんなんだね〜!」


そこで肩をさらに震わせて


「名付けて、『ミニミニちゅかさ大作戦!』むふふふふふ!」


そうしてウサ耳がまた揺れた













ここは、またところ変わって暗いマンション


「私達、『亡国機業』に貴方みたいな人が来てくれて嬉しいわ!」


綺麗な金髪が揺れる


スコールだ


「ええ。頑張るわ」


「ふふっ!期待してるわ………海東夏海さん♪」


彼女は綺麗で短い赤髪だった


背は高く、年不相応な胸元はTシャツをはち切れんばかりにしている


腰はくびれ、短いズボンから覗く足はスラッと長く艶かしい


そして、そんな彼女は50口径ものある銃をくるくると指先で回し、綺麗に掴んだ


『KAMEN RIDE・―――』

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IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]
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