小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

前☆書☆き


こんにちは、黒猫です


前話までの野球回、応援いただいてありがとうございました


さて、今回からはお話が進んで行きますが、ここで一つ


物語の中では十月。リアルでは九月


たったの一ヶ月しか変わらないので、リアルとあわせていきたいと思います


なので、物語の中ではあまり月日の描写は書きませんが、ご了承ください


それでは、お楽しみください


僕から皆様に贈る、物語を―――



「IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―81話」





俺の部屋にて


「秋のタッグ祭り?……何だ?その芸人のお笑いイベントみたいなのは?」


夏海から聞かされたその名前に俺は風呂上りの髪を拭きながら聞いた


「貴方……本当に何も聞いてなかったのね」


夏海は呆れたように首を振る


「なんだよ……悪かったな。爆睡しててよ」


俺は、風呂上りのコーヒー牛乳を夏海にも渡しながら口を尖らせる


「で?ナニソレ?」


「はぁ……要するにタッグ戦よ」


「簡単だな!おい!」


思わず、突っ込んでしまった


「でも、タッグか〜。前は簪と組んだし、今回は〜……」


と、頭を捻る


「………」


夏海は何か、言いたげに「あっ」とか、「ううん!」とか言ってる


何だ?






翌日


「士!タッグ戦は私と組め!」


あ、秋のタッグ祭りとは呼ばないんだね


朝、ラウラに腹部分を掴まれながら俺は教室に入った


「いえ!士さんはわたくしと組むべきですわ!」


セシリアも入ってくる


その優雅な振る舞いと教室の窓から差し込む朝日で金髪が輝いてる


「つ、士!ぼ、僕も士と組みたいな〜」


シャルは俺の腕に抱きついてきた


「おっと!」


押すな押すな


「士!私と組め!うむ、それがいい」


箒は腕を組んでうんうんと頷きながら、席に近づいてくる


「そうさな〜」


俺も考える


どうしよっかな〜


「…………」


簪さん


急にそうやって、俺の袖引っ張らないで


「簪も俺と組みたいの?」


コクンと頷く簪


その頬は赤い


「アンタは前に士と組んだでしょ!今回は私よ!」


鈴が俺の席の前で、簪を指差す


「う〜む」


首をかしげた












昼休み


食堂でも同じ、やり取りを繰り返す俺達


……静かに食べようよ


「私だ!」


「わたくしですわ!」


「私よ!」


「僕だよ!」


「私だな!」


「私……!」


はぁ……


食べ終わった俺は食器を片しに行く


テーブルに戻ると


「士くん!私と組むわよ!」


楯無さん……!


「あれ?楯無さん?」


「あら?聞いてなかったかしら?今回は、全員参加の学年関係なしのタッグ戦よ?……ねぇ〜おねーさんと組もう〜」


甘い声出して擦り寄るな〜!


ちょ、マジで!当たってる!


色々、当たってるから〜!


「士っち!今回ばっかりはウチと組むっス!」


フォルテさんも俺に抱きつく


あ、この人は……なんでもないです


「士君!約束が違うぞ!今回は私と組もう!」


「約束はしてないですけどね……」


ガクッ


ダリルさんがうなだれちゃった


「とにかく、私と組もう!」


あ、復活した


「先輩は下がっててくださいっス。今回は私が組むっスから〜」


「な!?ずるいぞ!」


「なんですとー。しゃあないじゃないっスか!」


あ、ケンカ始めた


てか、二人で仲良く組みましょうよ


「イージス」という名のコンビネーションまであるんだから


「さてと……」


誰と組もうかな〜


楯無さんとか組んだら楽そうだ……


ん?


「そういやさ……」


俺は首を捻った


『?』


全員が俺に振り向く


「夏海は誰と組むんだ?」


今の今まで、喋らなかったから忘れてたけど……


朝もいたよね?


「私は、適当に誰かと組むわよ……何かしら?もしかして、私も声をかけてくれると思っていたのかしら?」


「いや、誰と組むのかな〜って」


「貴方には関係ないわ……」


そう言い放って、食堂を後にした



「何っスか?あの女……」


「嫌な奴だな……」


おい、上級生


あんまり下級生、苛めなさんな


「海東……私は、まだ許したわけではないぞ……」


ラウラが呻く


「私もだ……あんな勝手な都合が通じるものか……」


箒も続いた


「また、いつ敵に回るかもわかりませんし……」


「士……気をつけて」


セシリアと簪も言う


「ちょ、ちょっと待てって」


俺はそんな皆を止めた


「確かに、アイツは敵だったよ?でもさ、もう敵じゃないじゃん」


皆、俺を見つめてる


「あんまり、そうやって言ってやるなよ……」


「それでもだ……」


箒は首を振った


「アイツのISとお前と同じだ……信用性だって薄いだろう」


「仮にさ……」


俺は続ける


「仮にだけど……アイツがまた敵に回ったらそん時は、俺が皆を守るからさ……いや、普段だってそうだよ?でも、もし夏海が皆に危害を加えるってんなら、そん時は俺は絶対にアイツを許さない……


でも、その代わり……皆も、もう少しアイツのこと信用してやってくれよ……」


皆、俯いて何も言わなくなった


「つ、士が……そこまで言うなら」


シャルが顔を上げた


「士が、そこまで言うなら……僕も仲良くやってみるよ。悪い人じゃなさそうだし……」


「おう」


俺は短く答えた








その日の夜


「夏海……結局、誰と組むんだ〜?」


風呂から上がった夏海は俺にコーヒー牛乳を渡しながら答えた


「さあ?決まってないわ」


「そうかい……」


俺は飲み干したコップをテーブルに置いて、ベットに倒れこむ


「俺と組む?」


「ブーーー!!」


夏海がコーヒー牛乳を吹き出した


「汚ねぇな!」


「貴方が変なこと言うからでしょ!」


変なこと?言ったっけ?


「なんで、あんだけ誘われておいて、私を誘うのよ!」


「いや、決まってないって言うし……」


「はぁ……」


夏海はため息を一つ


そして


「……る、わ……」


「あ?」


聞こえん聞こえん


「だ、だから!」


「お、おう……」


急にどうした


「組んで、あげる……わよ///」


「おお!そうかそうか!じゃあ、決まりな!」


手を握る俺


その手をブンブン振った


「あれ?」


彼女はそれでも、俯いてしまう


「どうした?」


彼女の顔を覗きこむ


「どうして……?」


「ん?」


「どうして、貴方は私にそうやって接せるの?」


何を言ってんだ?


「専用機持ちの皆は私にあまり話しかけてこない……クラスの皆とは話すけどね」


そうだな……確かに、本音ちゃんとか鷹月とか、谷本さんとかと話してるな


「なのに、なんで貴方は敵対していた私にそうやって接せるの?」


彼女の目はどこか潤んでいた


「そりゃ、もう敵じゃないからだろ?」


「また、裏切るかもしれないじゃない」


「え?裏切るの!?」


声、裏返った


だっせぇ……


「いや、そうじゃないけど……」


「じゃあ、いいじゃん……」


夏海は俺を見上げる


「え?」


「もう、敵にならないでくれよ?約束」


そうして俺は小指を差し出した


おずおずと夏海も小指を差し出して、絡ませる


「それじゃあ、私からも一つ……絶対に私を信じて、裏切らないでね」


「はいよ」


そうして小指を離した


「んじゃま、組もうか」


「ええ」


夏海は微笑む


「魅せてやろうぜ……ヒーローの力をさ」


月明かりはどこまでも明るく部屋を照らす

-81-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




IS (インフィニット・ストラトス) シャルロット・デュノア シルバーペンダント
新品 \12600
中古 \
(参考価格:\12600)