小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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「失礼しま〜す」


「失礼します」


こんにちは、神谷 士です


ここは、職員室


今度のタッグ戦のパートナーの申請に来ました


俺と夏海は山田先生の元へ


「先生」


「士君、海東さん。どうしたんですか?」


山田先生は相変わらず柔らかい笑みで俺たち迎えてくれた


「申請書く〜ださい」


ああ、和むな〜


自然と、口調も軽くなるわ


「あ、申請書ですね。士くんと海東さんですね。私が書いておくんでいいですよ」


「本当ですか?ありがとうございます」


「いえいえ……あ、その代わり一つ頼まれてくれませんか?」


山田先生が手を合わせた


「このCDを買って来て欲しいんです」


山田先生が取り出した紙には……


「lin〇in pa〇kじゃないですか」


「はい!前に士くんに聴かせてもらって私も好きになっちゃいまして……買って来てくれませんか?」


山田先生は片目を瞑って手を合わせた


「いいですよ」


「……別にいいですけど、それって生徒に頼んでいいことなんですか?」


夏海が問う


すると、ビクッと身体を震わせて


「ダ、ダイジョウブデスヨ〜。ハハハ」


と固まった声を出した


「まぁまぁ、いいじゃん……今日は午後から授業ないんだしさ」


「ま、まぁいいけど……」





そうして、午前の授業を終えて午後


俺と夏海は街の方まで出ることになった


「さむっ!」


校門の前で俺は体を震わせた


なんか、先に校門で待ってろとか言われた


部屋同じなんだから別にいいじゃんって言ったら蹴られたし


「まだかな〜」


呟くと同時に


「ま、待たせたわね……!///」


「おせ〜……よ……」


思わず、見入ってしまった


この気温にも関わらず、短いスカート


それでいて上は暖かそうな黒のダッフルコート


正直、かなり似合っていた


「な、何よ……」


頬を赤くした夏海は俺を睨むようにした


「い、いや……似合ってるぞ」


「そ、そう……貴方も、なかなかよ」


そうか?


俺の服装っていったって


ジップに沿ったフロントからフードにかけてのセルビッチテープ張られてる黒のパーカーに薄い茶色のだぼついたズボン


首から提げたネックレスは髑髏で右手の人差し指と中指にはボリュームのあるシルバーリングを嵌めてる程度


「ありがとよ……行こうか」


「ええ」


そうして駅の方へ歩き出す


「そういや、こうやって出かけるの初めてだな……」


「そうね……まさか、お使いになるとは思わなかったけど……」


皮肉に言いながらもどこか機嫌のよさそうな夏海


「ははは。まぁそう言うなよ」


夏海の手を引いた










それから30分後


ようやく、街の方へと着いた俺たちはファミレスへ足を運んだ


昼飯昼飯♪


腹が減ってる俺からしてみれば待ちわびた時間


「えっと……ドリアとカルボナーラ」


「私は……ドリアで」


注文を終えて、夏海は俺の方へ向き直る


「あなた、よく食べるわね」


「そうか?腹減ってんだよ」


そうして、運ばれた料理に目を光らせる


「ほら、フォークとスプーンよ」


「さんきゅ」


言うが早いが、俺はカルボナーラを啜る


「ラーメンじゃないんだから……」


そう突っ込む夏海も微笑ましげにドリアを口に運んだ


「すまん、すまん」


口元を拭いて、水を一口


「そういやさ……」


「?」


「お前、どこまでライダーの知識あんの?」


俺の質問に夏海は首をかしげた


「それなりにあるわよ……現世ではちゃんとフォーゼ見てたし」


「見てたんだ!?」


思わず突っ込む


「ええ……賢吾、なんていい人なの」


「分かるぜ〜!手紙良かったよな〜手紙!」


「そうよね!私も泣いたわ」


珍しく、話をあわせてくる夏海に俺はテンションが上がる


「でも、ディケイドは見てないのよね」


「そうかそうか……まぁ、いいんだよ。Wで一番好きなマキシマムドライブは?」


「ヒートトリガーのツインマキシマムに決まっているでしょう」


「さっすが〜!……じゃあ、オーズの一番好きな戦闘シーンは?」


「最終回のタジャドルでアンクが幻影として一緒に戦ってくれるシーン以外何かあるの?」


おお!


コレは、もう


「夏海……結婚してくれ」


「ブーーーーーーー!!」


水を吹き出した


「汚な!」


「貴方ねぇ!//////」


顔を真っ赤にして俺を睨む夏海


「悪い悪い」


へらへらと笑いながら、手を振る俺



……結局、俺が奢ることになった


じゃあな、2人の英世


また、会おうぜ







続いてやってきたのはCDショップ


そういや、今日はこの目的で来たんだった


えっと……li〇nkin par〇は


「これか……」


あったあった


「ねぇ……」


ふと、夏海が俺の袖を引っ張る


「ん?」


「このヘッドフォンは何?」


夏海は視聴用のヘッドフォンを指差した


「ああ、これはな……まぁ、付けてみ」


そうして夏海はヘッドフォンを耳に


「ほらよっと」


そうしてダイヤルを操作した


「あ、曲が……そう、これで視聴できるのね」


「そゆこと……ちなみに、電王の歌で一番好きなのは」


「Double-Action Gun formね」


もう、夏海大好き!








次に来たのは服屋


秋物が欲しいんだって


「これも、いいわね……」


いつもより顔が綻んでいる夏海


「ねぇ?どっちがいいかしら?」


「どっちも似合ってるぞ」


正直な感想


「はぁ……使えないわね」


不正解だったらしい


なんでやねん





それから10分して


「これに決めたわ」


夏海は白のモコモコしてるコートを……


てかさ……


「決めるの早いな……前に、シャルとラウラと来たときはもっとかかったぞ」


軽く1時間待たされた


「いいのよ……あんまりだらだらするのは好きじゃないの……人を待たせるのもね」


夏海さん、婚姻届もらいに行きましょうか






「お会計、3万3000円になります」


レジまで一緒した俺に店員は値段を言う


え?


俺が払うの?


てか、高ぇよ!


店員は流し目で俺を見てる


うっ……


「な、夏海……」


「?」


「お、俺が出してやるよ」


財布をポケットから取り出す


「じゃあ、まずは涙を拭きなさい」


「ありがとう」


差し出されたハンカチで涙を拭いた


さよなら、諭吉三兄弟


英世は……もういいや







「痛い、出費だ……」


帰り道


俺は軽くなった財布をプラプラさせながら缶コーヒーを口に


「ふふっ……大事に斬るわ」


「字が違うよ。夏海さん……着たとしても、絶対に斬るなよ」


必死な俺


当然だろ


そんなことになったらショックで寝込むわ


「大丈夫。冗談よ」


足取りの軽そうな夏海


まぁ、機嫌がいいならそれでいいや


こいつ、機嫌が悪かったら返事すらしてくれないからな……


「士……」


「なんだ?」


夏海は俺の一歩前で立ち止まった


「頑張りましょうね。タッグ戦」


珍しいこともあるもんだ


「当然だ……俺たちが組んで負けるわけないだろう?」


彼女の頭を撫でる


「それもそうね」


くずぐったそうに目を細める夏海


秋の青空はどこまでも広がっていた

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IS <インフィニット・ストラトス> 第1巻 [Blu-ray]
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