小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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タッグトーナメント


正式?名称「秋のタッグ祭り」


一週間にも渡って繰り広げられた戦いも今日で遂に、終わりを告げる


決勝戦


【神谷 士or海東夏海】VS【更識楯無or更識簪】


アリーナの大型スクリーンには大きくその文字と顔写真が出ている


IS学園の全生徒、全教員がこの戦いを見ている


歓声なんてものじゃない


そんなグランドで対峙した四人


「今日は、勝たせてもらいますよ……簪、楯無さん」


「いやはや、勝つのは私たち姉妹よ〜。ね?簪ちゃん?」


俺の言葉に楯無さんは妖艶に微笑み、簪に目を向ける


「うん……負けない」


簪も眼鏡をクイッとあげて応えた


「今日は、勝つ……そして、相部屋権を……確保」


「「えっ?」」


簪の言葉に、呆けた声を出す俺と夏海


「ちょっと、簪ちゃん!それは……!」


「あっ……今の、なし」


慌てて、顔を赤くして手をブンブン振る簪


「こんなことになってたの……」


夏海は額に手をやってうなだれた


「ははは……笑えねぇ」


俺も乾いた笑みを浮かべる


「ええい!いいから、始めるわよっ!」


楯無さんが専用武器「蒼流旋」を構えた


「うんっ……!」


簪も専用の近接武器「夢現」を構える


「ふぅ……俺らも行こうか……」


「そうね……」


俺と夏海は頷き合い、それぞれのドライバーにカードを挿入する


『FORM RIDE・―――』


『KAMEN RIDE・―――』


俺は、バックルを夏海はトリガーを引いた


『AGITO・FLAME』


『FEMME』


俺はアギトのフレイムに変身して、フレイムセイバーを装備


基本カラーは白の白鳥を模したライダー「ファム」を召喚する


「気合い、入れてくか……」


俺が呟くと同時にブザーが鳴り響く


『わああああああああああああ!!』


盛り上がる声が届いた


「うおおおおおおお!!」


フレイムセイバーを振りかざした俺と、ウイングスラッシャーを構えて走るファム


夏海は援護射撃に徹する


「しかし、甘い」


楯無さんは楽しげに笑うと、水のヴェールを放った


「私たち姉妹のコンビ見せてあげる……これまで見たいに、一人ひとりを相手して倒そうなんて思わないでね?」


水を斬りつけると同時に簪が飛び込んでくる


「うおっ!?」


素早く、夢現でファムを切り倒して俺にも振るう


体を転がして、避けると簪に銃弾が襲った


「そう……なら、私たちのコンビも舐めないことね」


夏海が頼もしい声で首を曲げた


「突っ込みなさい、士。援護は任せて……!」


夏海は銃撃を再開


簪は焦らずに距離を開けた


「ふ〜ん。なら、おねーさんも行こうかな〜」


楯無さんは、蒼流旋を片手で構えて走り込む


俺も応戦した


真正面からの攻撃


迎え撃ってやる!


俺はフレイムセイバーを振りかざした瞬間


軽い爆発が起こった


簪の攪乱か!


恐らく、背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲「春雷」を使ったのだろう


煙が視界を覆う


しかし、フレイムは知覚の鋭敏化を遂げた形態


こんな視界不良の場でも……


「そこだっ!」


フレイムセイバーを振るう


切り裂いたのはナイフ


「(ミスッたか!)」


っ!?


更に左側から気配


剣を振るう


しかし……


これもブラフ


なら……


「後ろっ!」


「あ」


ビンゴ!


槍はいなした!ここか……


『FINAL ATTACK RIDE・a,a,a,AGITO』


カードを挿入


セイバースラッシュで蒼流旋を弾く


「(よしっ!右は潰した……ん?左手が……これも……!)」


心の中で素早く判断した俺は


『FORM RIDE・DEN-O・ROD』


電仮面は海亀のようなレリーフが頭頂からレールを伝い眼前で固定されると、ヒレが逆転して角状に可変。

甲羅部分がマルチアイを象る。オーラアーマーはソードフォームのパーツを前後逆に着装し、胸部が左右に展開、ショルダーガードになった

チェスト部分もまた亀甲柄を思わせる電王のロッドフォームへ


デンガッシャーをロッドモードへ


その先端、ロッドヘッドで突き刺す


が……


「ロッドは左手とヴェールにかすっただけですか」

「……いやあ、段取り組んだ攻撃が全部防がれちゃうなんて思いもしなかったわ。驚いちゃった。簪ちゃんの煙幕も効果なかったし」


肝心の簪は少し離れたところで、「素晴らしき青空の会」が開発した、対ファンガイア用パワードスーツを装着した戦士。モチーフは聖職者の法衣であるライダー


イクサを相手している


「あらら……作戦通りには行かないわね〜」


「?」


何か今、楯無さんの纏っていた水のヴェールが変に動いたような……


「やるわね、士くん」


「いえ、俺も簪との連携にびっくりしてますよ」


素直な感想だった


「(なんて言ってるけど、本当はそこで注意を逸らして、後ろからの突進に対応する余裕を奪えてたはずなんだけどね……


水のナイフを見せるのは初めてだったのに……弾かれたときに爆発する二段攻撃のギミックまで通用しなかったか……)」


「褒めてる?」


「一応……ね」


俺は手を広げる


「簪と和解してから頑張ったんですね」


「……そうよ。簪ちゃんと和解したときは、これからこの子をより近い距離で見守ってあげたいと思ったわ

もし危ない目にあったらすぐ飛んで行って助けてあげよう、今までの埋め合わせをたくさんしようって」


楯無さんは語りだす


「そのときの私は自分の問題を妹に押しつけてしまうことになるなんて思いもしなかった。私が描いていたイメージの中にはそういう絵は無かったの」


「…………」
  

「何だろう。自分を強く見せたいと思うのは生徒会長やってる職業病みたいなものなのかな。それとも姉特有の傲慢さから来るもの?


勝手に助けたいと思って、弱いところを見せたくなかったのに……こっちが助けられてる」


楯無さんの声がかすれる


視界の端では簪が春雷を放っていた


「楯無さん」


「弱いところをもっと見せてしまうのを恐れてるのよ、私は。このままじゃ私の方が妹に苦手意識を持ってしまいかねないわ……」


「誰だって完璧じゃありません」


俺は優しい声音を意識して話す


「でもそう見られたい欲求は消せないわ。特に今まで迷惑を掛けた妹に対しては。ああ、また尊大になってるかも」


「そういう気持ちって、実は簪のことを信じ切れていない気持ちから来るんだと思います」


俺は、きっぱりと告げた


「……え」


「楯無さん、あいつはアンタが思っているより強いと思うんです。でも、楯無さんは自分がしっかりしていないと簪を不安にさせることになると考えているんじゃないですか……?」


「そうよ、だから…………」


「楯無さんはもう簪に強く見せようとする必要はありません。今のあいつには仲間がいますから」

「!」


楯無さんは目を見開く

「もし、簪に辛いことが襲いかかったとしても、そのときに支えてくれる人間をあいつは獲得してるんですよ。楯無さんだけががんばる必要はありません」


「で、でも……」

「楯無さんだって……一人で奮闘していたらいつか限界が来るはずです。強くあろうとする生き方に疲れたときは簪たちに助けて貰えばいいんじゃないですか?」


「え……?」


楯無さんは意外そうな声を出した


「弱みを見せたって良いじゃないですか。姉妹なんだし。むしろ唯一の姉妹なんだからもっと打ち明けるべきです」


「…………最近はさ、まみえた敵さんに出し抜かれたり、ボロボロになるほど追い込まれたりして、ちょっと自信失ってた所があったのかも……


だから、せめて妹に持たれてる良いイメージは崩したくないと思っちゃったんだろうね」


楯無さんはポツポツと語った


それでも、俺は止まらない


「楯無さん、アンタだって人間です。まだ成人もしてない女の子なんですよ。無類の強さと人徳があっても、人並みに人間関係や不調で悩んだりすることもきっとあるはずです」


「そう……ね……」


「…………そんときは…………手でも貸してみますかね」


そう、おどけて笑った


「さて、そろそろ戻りますか……」


「そうね……はやく、簪ちゃんを助けてあげないと」


楯無さんは……来るっ!


恐らく、トップスピードだろう


一瞬で懐まで飛び込んできた


「まず……い……」


とっさに差し出された左手を見て、俺は身を固めた







そうして、爆発が起こった


士SIDE-OUT


爆発に目を奪われた一瞬で、夏海は簪の夢現で斬りつけた


そして、目の前に現れたのは……




助けに来た士ではなく、追撃しに来た楯無だった


「残念♪士くんは戦闘不能。あとは、あなただけよ!」


水のジャガーナイフで更に斬りつける


受け身もとれず、夏海は倒れこむ


「ぐぅうう……」


なんとか、立ち上がる夏海


「お姉ちゃん……士、倒したの?」


簪が楯無に目を向ける


「ええ……なんとかね」


「す、すごい……!(あの、士を倒すなんて……!)」


簪は胸に抱いた羨望の想いを眼差しにして楯無を見つめる


「さぁて、終わりにしましょうか……」


楯無の言葉に簪は、山嵐のターゲットを全弾、夏海にする


「つか、さ……」


夏海は呟く


ダメージが予想以上に大きくて動けない


ミサイルは寸前まで迫っていた


彼女は目を閉じる





しかし、思った痛みや衝撃は来ない


「え……?」


『FORM RIDE・KIBA・DOGGA』


目の前に聳え立つは、胴体・両腕が頑丈な鎧になっているになっている紫の戦士


ハンマーを立てて彼は、こちらを向いた


「待たせたな……」




士SIDE-


まさか、出来るとは思わなかった


キバのドッガフォームが装備するドッガハンマー


これには、トゥルーアイと呼ばれる部分を、ウェイクアップ時にサンダーフィンガーが展開することで露にすることで、魔皇力を発して敵を麻痺させることができる


これが、飛んでくるミサイルに応用できるとは


やるね〜


「士くん……」


楯無さんが目を丸くした


「ども」


短く応えた俺は、左手を軽く挙げた


「どうして……?あの技は決まったはず」


ああ、あれね


「ミストルテインの槍の小型版でしょう?」


俺は平然と答えた


「え……?」


「左手にアクア・ナノマシンを集中させてたのは、分かりました」


「!」


「蒼流旋を右手だけで持ってたのはそのためですか……ま、そこまで分かればあとはそれに備えるだけです」


ちょいちょい変だったからな……


「俺も、中々やるでしょ」


俺はへへっと笑う


「くっ……!」


楯無さんは眉をひそめた


「士……!」


後ろから夏海の声が


「おっ、大丈夫かよ」


俺が声をかけると……


「ばかっ!」


そう怒られた


なんでだよ!


「心配したじゃない!本気でやられたと思ったじゃない!」


涙声の夏海


「え、いや……その……」


「約束、したじゃない……!私の前を通りすがらないって……ずっと私を守ってって……」


「夏海」


彼女は止まらない


「心配、させないでよ……!」


彼女は前世で自殺するほどの孤独を味わった


転生してようやく見つけた光


それが俺


こりゃ、失敗したな……


「ごめんな……夏海。今度からはもうちょい上手くやるからさ」


「嘘つき……」


うぐっ!


辛いぜ、夏海さん


「え、えっと……」


言いよどんでると


「今回だけよ……」


夏海は俺の腕を掴んだ


「今回だけ許してあげる」


「ありがたき幸せ」


「ふん」


そっぽを向く夏海


「あれ?簪ちゃん」


「なんか、いいムード」


「やっちゃった?」


「ちゃった、かも……」


更識姉妹がぶつぶつ言ってるけどまあ、いい


「さんきゅ……あ、俺からお詫びに、ほれよ」


俺はそうしてケータッチを取り出した


「え?」


夏海は驚いた様子で俺を見上げた


「もう、分かってるだろ……」


「どうして、貴方が……」


「俺に、分からないことなんてないさ……」


はははっと笑う


「女心は分からないくせに」


「ん?なんだって?」


「なんでもないわよ」


夏海はケータッチを受け取り、更識姉妹に歩み寄る


「終わらせるわ」


左腰のライダーカードホルダーからカードが飛び出して、光が射した


そのカードをケータッチに挿入


すると、マゼンダだったカラーはシアンへと変わる


「私の新しいお宝ね…………なぜか、こう言わないといけない気がしたわ」


なんてことを呟いているが、夏海はタZツチパネルに写った紋章をタッチしていく


『G4.RYUGA.OGRE.GRAVE.KABUKI.CAUCASUS.ARC.SCULL』


そして、最後は『DIEND』


『FINAL KAMEN RIDE・DIEND』


頭部にはコンプリートフォームのライダーカードが配され、胸に装着された装甲・ヒストリーオーナメントには8体のライダーのカメンライドのライダーカードが配置される


ディエンド コンプリートフォームだ


しゃあない、聞いてやるか


「夏海」


「なにかしら?」


「ロマンはどこだ」


「ふふ……きっと、ここよ」


夏海は笑ってカードをドライバーに挿入


「士からもらったプレゼントよ」


『ATTACK RIDE・GEKIJYOUBAN』


撃ち出したのは、8人のライダー


第4世代型・対未確認生命体強化外骨格及び強化外筋システム G4


騎とほぼ同じ姿をしているが、体色は黒く目はつり上がっており、紋章も龍騎のものよりも禍々しくなっている リュウガ


ギリシャ文字のΩ(オメガ)を模したデザインの仮面ライダー オーガ


外観は、アルファベットの“A”をモチーフとしている グレイブ


その名の通り、歌舞伎役者をモチーフとした、関東代表の鬼 歌舞鬼


モチーフはコーカサスオオカブト。基本カラーは金色。「黄金の仮面ライダー」 コーカサス


巨大化するその巨体は同族を初め、あらゆる者に威圧感を与える アーク


骸骨を模した顔を持ち、白い帽子・マフラーを身に着けて、帽子を被っている。それに隠れる様に頭部に「S」字の傷模様がある スカル


全員を召喚した



すげーな


「決めるわ」


『FINAL ATTACK RIDE・di,di,di,DIEND』


夏海は、ディメンションシュート


G4はG4用強化体携行用多目的巡航4連ミサイルランチャー「ギガント」




『FINAL VENT』


リュウガはドラゴンライダーキック


『Exceed Charge』


オーガはオーガストラッシュ


グレイブはグラビティスラッシュ


歌舞鬼は音撃打 業火絢爛


『Maximum Rider Power』


コーカサスはライダーキック


アークはウルティマデッドエンド


『マキシマムドライブ』


スカルはスカルパニッシャーを


それぞれ、楯無さんと簪に放つ


爆発が晴れたときにはISは自動解除されており、またも歓声が上がった

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なのこれシリーズ IS (インフィニット・ストラトス) コレクションフィギュア VOL.2 BOX
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