小説『IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―』
作者:黒猫(にじファン)

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前書き


待たせたな!


ってことでお久しぶりです。黒猫です


やっとテスト終わりました〜!いや、ほんと疲れた


相変わらず数学は惨敗


現文、古典は相変わらずカモ


本当に数字嫌い


そんな俺ですが復帰します


お待たせしました


あらすじとして


シャルと二人きりのお出かけのはずがなぜか、集合場所でキャロルと遭遇


出会いがしらに反発し合うもシャルのこともあり、和解……


したかと思われたが、やっぱり無理


喧嘩し合いながら、シャルとキャロル、士はショッピングモールへ







【IS〜インフィニットストラトス―ディケイドの力を宿す者 ―93話】


こんにちはっ、神谷ですっ


なぜか、シャルと二人きりのはずがキャロルがついて来ました


不機嫌ですっ!


「早く、歩きなさい。シャルロットの後姿を見て、変な妄想してんじゃないわよ……刺すわよ」


「こえぇよ……」


適当に突っ込みながら、少し歩幅を早めた


こいつ、腹立つわ〜


「それで?シャルロット……今日は、どこへ行くの?」


キャロルはすッばらしい笑顔でシャルに微笑みかける


俺にもそんな風に接せよ


半眼で睨んでいると


「なに?その目は……焼くわよ」


「べっつに〜」


口を尖らせてそっぽを向く


「も、もう!喧嘩しちゃだめだよ!二人とも」


シャルは少し怒ったように腰に手を当てた


「喧嘩なんてしてないわ。ただこの男がその眼力で私たちを犯そうと……」


「してねぇ!」


どんな目だよ


「どうかしらね。貴方ならやりかねないわ」


キャロルはシャルには絶対に見せないような邪悪な笑みで微笑む


「むぅ。喧嘩しちゃダメだって言ってるのに〜」


シャルが涙目で訴えかけた


「ああ!ごめんなさい!そうよね。喧嘩はよくないわよね。ごめんなさい、神谷くん」


うわ〜〜〜〜〜〜


引くわ〜〜〜〜〜


性格変わりすぎだろ


「ううぅ。仲良くする?」


「ええ!行きましょう!」


キャロルはシャルの手を引く


俺は、ため息を深くついてからその背中を追いかけた


「はぁ……帰りたくなってきた」









「これなんて似合ってるわよ」


「そうかな〜?あ、こっちは?」


「そっちもいいわね〜。こっちと合わせてみましょうか」


「そうだね。ちょっと着替えてくる!」


服屋に着いてからは俺、完全に蚊帳の外


二人で思いっきりショッピングを楽しんでらっしゃる


暇だ〜


たまに思い出したかのように商品に触れてみるがよく分からん


ったく、シャルは試着しちゃうし


「ねえ」


不意にキャロルが俺の背中をつつく


「どした?」


振り向きながら、問うと彼女はモジモジと体をゆすり


「こ、これ……似合ってる、かしら?」


上目遣いでそう尋ねた


あれ?なんか、可愛くない?


誰、この人


「あ、ああ。まぁ似合ってるんじゃない?」


適当に目を反らしながら答えてやる


「そ、そう……」


キャロルは嬉しそうに体を揺すって試着室へ


「なんだ?」


首をかしげると


「士!キャロル!どうかな?」


隣の試着室からシャルが出てきた


ん。中々、似合ってるな


「おう、似合ってるよ」


「そ、そっか///……キャロルは?」


「お隣」


隣の試着室を指差す


「あ、そうなんだ……買っちゃおうかな」


シャロルは再び、カーテンを閉める


とうとう、俺1人取り残された


俺も試着室、入ってやろうか


「ねぇ。ちょっと」


キャロルがカーテンから首だけ出して俺を呼ぶ


「なんだ?」


「この背中のファスナー頼めない?」


ドレスのようなその服は確かに、1人で着るのは難しそうだ


「ま、まぁ」


彼女の背中に手を当てる


「ふぁ!どこ触ってんのよ!」


「ベッタベタな台詞ありがとう!でも、背中じゃねえか!」


「ど、どうでもいいから早く上げなさいっ」


怒られた


そんなに怒るなよ


「はいはい……よいしょ」


ゆっくりとファスナーを上げていく


「も、もう!へたくそね」


「しゃあないだろ……初めてだぞ。こんなこと」


「は、初めて……なら、しょうがないわね……ほ、ほら早くしなさいよ」


「待てって。引っかかって」


「情けないわね……はやく、出しなさい」


ん?なんか、おかしいな


なんだろう?


「ちょっと、二人とも!なにしてるの!」


シャルが顔を真っ赤にして飛び込んできた


どうしたどうした


「いや、ファスナーを……」


「助けて、シャルロット。この男が―――」


「おいおいおい。俺はただファスナーを上げてただけだろ」


「そうだったかしら?」


お前が言ってきたんじゃねぇか


「……随分と、仲良くなったね」


ジト目で俺とキャロルを流し見るシャル


うっ


ちょっと怒ってるときの顔だ


不味いぞ


「そ、そんなことないぞ!」


「そ、そうよ!私たちの仲なんて最悪よ!はははははは」


「だよな!なぁ!ははははははははは」


肩を組んで、笑い合う


「ほら……やっぱり」


あっ!しまった!


キャロルも失態に気づいて、体を離す


「あ、えっと……」


「シャルロット……?」


「怒ってないもん……そんな急に二人がそんな仲になったからって、怒ってないもん」


おいおいおいおいおい


不味いぞ


「おい!なんとかしろ」


「あ、貴方こそ!」


小声でやり取りする


くそ……


「まぁまぁ、シャル。ほら、服買って甘いもんでも食いに行こうぜ?な?」


シャルの肩に手を置く


「いちごバナナチョコサンデーでどうだ!」


「士」


「ん?」


「僕はそんな安い女じゃありません」


「……いちごバナナチョコサンデーのカスタード入り」


「士」


「ん?」


「愛してる」


「俺もだよ」


ふぅ……助かった










そんな漫才ちっくなこともあって喫茶店へ


「ん〜。おいしい!」


クリームを口いっぱいに頬張って微笑む彼女の笑顔が眩しい


「よかったな」


「士も食べる?///」


シャルが顔を赤くして、尋ねる


「俺はいいよ」


そんな誘いをやんわり断ってコーヒーを一口


「そういや、キャロル」


「?」


ふと思い出したこともあって呼びかけると


キャロルは顔だけ上げて応える


「お前、結局ISどうなったの?」


ラウラのときは特になんともなかったけど


「VICはフランス政府に侵入したどっかのバカが勝手に仕込んだこと……それが分かったから特にお咎めはなかったわ」


「そいつは良かった……」


息を一つ吐いた


「ええ。その辺は本当に感謝しているわ」


「ま、気にすんなよ。お前も被害者なんだから」


どうせ、スコール絡んでんだろうな〜


面倒くせ〜


「今回のこともあってフランス政府は貴方を国家代表に取りに来てるわ。それも本気で……まぁ、ゆっくり考えることね」


そういや、フランスからもオファー来てたな


山田先生がよく俺に話を持ちかけてくるけど……


「は〜い」


適当に返事して、手を弾くように軽く叩いた









「今日は、楽しかったわ」


夕暮れ時


そろそろ、帰るとキャロルを空港まで送っていった


てか、本当にシャルに会いに来るためだけにフランスから来たのか?


……なわけないよな


「ばいばい、キャロル。頑張ってね」


「ええ、シャルロットも……この男に変なことされたらすぐに私を呼ぶのよ」


「はは」


渇いた笑みで返すシャル


「それじゃあ」


そう言って彼女は出発ロビーへ


……行こうとして、振り返った


「神谷 士」


は?俺?


「ん?」


「シャルロットを……頼んだわよ」


そう笑った


その笑顔は大きな天窓から差し込む夕日で輝いていた


「はいよ」


短く応えた俺は微笑み返す


ったく、難儀な奴だ

-93-
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