2話 出会いは唐突。突然の救世主?
「あっ……あっ……。」
やはり、まだ言葉が出ないようだ。
見たところ…… まだ 幼さが残っている少女のようだ。
「っと……そうだったな。大丈夫か?」
男は傍に寄ってくるが……。
まだ、震えは取れない。
「ん……まあ、あんな事があったし仕方ないか。」
察し、同じ視線になるように中腰になる。
上から物を言うより遥かに親しみやすくなるからだ。
「ほら……。もう大丈夫だ。立てそうか?」
手をとる。
まだ 僅かだが震えていた。
だけど……。
「だ……だいじょうぶ……です。」
手を握り返し……そう言っていた。
「そうか、よかった。……君はこのあたりに住んでいるのか?」
そう聞く。
「あ……はい。近くに村があって……。」
「そうか」
??? Side
今日は……本当に生きた心地がしなかった。
ただ……薬草を取りに来ていた、いつもなら 直ぐに終わる簡単な仕事だった。
今日は……そう、一緒に来るはずの子が体調不良で……。
その為多少時間がかかったが、いつもなら問題なかった。
でも……。
竜種の中でも極稀に【はぐれ者】がいると言う事は、以前聞いていたが、
今までは、あの黒竜以外は特に危険地帯に入りさえしなければ問題なかったんだけど……。
鷹竜に見つかり、標的にされてしまった。
本当に……生きた心地がしなかった。
睨まれただけで、殺される……。
そんな感じがしていた。
そこへ……
男の人が現れた。
それは、疾風の様に現れて 立ちはだかって……助けてくれた。
初めはとても怖かったけど……。
とても、優しい目をしてる。
さっきの竜とは正に正反対だ。
だから……この人を……直ぐに信頼できるようになった。
Side out
「へぇ……。村に黒竜が……。」
「はい……。魔道士は何人かはいますが……被害は出てしまって。辺境の田舎村だから、辺境軍も中々着てくれませんし……。」
道中話を聞いていた。
彼女の話によれば、ある季節になると黒竜が二頭現れるらしい。
今年も現れ……。
村にけが人も多々出てきた。
幸い死者・重傷者は誰一人としていないが……。
軽症者は結構な数らしい。
その怪我を治癒するための薬草を採りに来ていたらしいのだ。
「ふー……ん……。」
男は腕を組んだ。
「よし!」
何かを思いついたのか、声を上げると……。
「その黒竜、オレが引き受けよう。」
そう一言……言った。
普通に……。あっさりと!
それも……素敵な笑顔で……。
……って!
「えええっ!で……でもっ!黒竜って……さっきの鷹竜とは比べ物になりませんし……何より……お金がっ……」
口ごもりながらそう言う。
軍が着てくれない以上 用心棒に傭兵や魔道士を雇えばよいのだが……。
今年はそうはいかなかった。
ありきたりだが……お金に不足しているのだ。
「ならさ……。」
男の人は笑顔になり。
「飯をおごってくれないか?それでいいさ。そろそろ食料に尽きてきたからな。」
そう一言……。
そう言って頭を撫でてあげた。
「あっ……!はっ……はいっ!」
見ていたら自然と笑顔になる。
そんな表情だった。
「おっと……その前に……」
立ち止まり……。
「自己紹介といこう。オレはジーク。ジーク・ロレンドって言う。」
「あっ…私はサーシャっていいます!」
「そうか、よろしくな?サーシャ。」
「はい!」
2人はそのまま、村へと向かっていった。