小説『超次元ゲイムネプテューヌ 黒閃の騎士』
作者:()

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「ひぃぃぃ」

そこは地獄だった。
人間の形を残しながら異形の化物、武器を持つドラゴンが放った火炎ブレスはあっという間に町を焼き、逃げ怯え腰を抜かし動けぬ者、震える足を懸命に動かし生を得ようとするもの見失った大切な者を探し彷徨う者。
無造作に巨大なランスを振り回し周囲のものを容赦なく破壊尽くす紅蓮のドラゴンは逃げる人々に向けて、ランスの矛先を向けた次の瞬間……



ーーー風皇絶空

「撃ち貫け!」

それらを弾き飛ばすような真空の衝撃破と巨大な炎弾がドラゴンが迫る。
だが、その厚く硬い盾の前にはそれらは無と還してしまう。

「逃げろ!」

紅夜の裂帛の叫びに身体の縛りが解かれたように散り散りに逃げていく。

「■■■■■■■■■■■!!!」


それを逃がしはしないといわん限りの燃え盛る火炎ブレスを吐く、それは津波を思わせるほど地面を焦がしながら覆い隠すように襲うが、


「牙剥く水禍の元凶!」


ーーー水牙爆竜

水で創造された竜が火炎を包み跡形もなく消し去った。

「■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」

二回も攻撃を相殺され怒りの咆哮を上げるドラゴン。
巨大な肉体からは想像もできないほどの速さで不気味に光るランスを加速させ紅夜たちを貫かんとするそれを真正面にあるのは二つに輝く黒い双剣


ーーー魔殺双刃・極砕


ガキンっ!!


神速の突きを紅夜は真正面から受け止めた紅夜の背をはるかに超えるほどの巨大なランスを抑えられドラゴンは思わず息を呑むが、直ぐに正気に戻り更に力を込めていく。
だが、紅夜もその場から動くことは無かった刃と刃が重なる独特の音が鳴り響くと同時に足下の地面が陥没しながらも紅夜はその場から一歩も動くことは無い。
むしろ、地面を陥没させながらでも紅夜は半歩前に進んだ。そして双剣に魔力を込め破砕の斬撃を放った


バキっ!!!

魔力により強化された莫大なパワーによりドラゴンの手に持っていたランスは粉々に破壊された

「ガルゥ!?」

驚愕し瞳を大きく開く。
動揺を隠せなかったが、とっさに壁を蹴りこちらに突っ込んでくる黒い閃光を目に捉える。

「一刀両断!」

振り下ろされる一陣の黒い疾風、強固で頑丈な盾は易々と半分に斬り裂かれ地面に堕ちていく。

「ブラックハート!」
「えぇ!!」
「■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」


阿吽の呼吸に合わせブラックハートは下がる。破壊さえた武器をドラゴンは投げ飛ばしドラゴン特有の火炎ブレスを吐かんと口の中に魔力が集まっていく。

「暴力による疾風」

ーーー暴風襲嵐

双剣にされている黒曜日を腰に巻きつけるような構えから一気に回転する。
魔力と剣圧によって生み出させた竜巻は吐き出さればかりの火炎を押し出しドラゴンの顔を火で覆い隠した。

「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!」

咆哮と共に火はかき消される。火属性のドラゴンにとっては自分が吐く火などは耐性があり全くダメージにはならない

「決めるわっ!私の…全力で!」

だが、火により視界を隠された瞬間を狙いブラックハートは動いた一太刀、二太刀を浴びせプロセッサユニットのブーストにより高速の速さでドラゴンの周囲を回りながら切り刻む。
ドラゴンはブラックハートの猛攻に対処することは出来ず肉体に夥しい生傷を大漁に量産させた。
目に捉えないほどまで加速した乱舞、それは正に無限の剣劇(インフィニティ・スラッシュ)

「これが!守護女神(ハード)の剣よ!」

最後に大きく斬り上げた斬撃はドラゴンに致命傷を与えるほどの重撃だった。

「『氷結による浸食
永劫に凍りつくは氷河
その時をも奪う氷櫃にて永久の眠りにつけーーーアブソリュート・エクリプス』!!!」

更にブラックハートがドラゴンを攻撃している隙に紅夜は魔法を詠唱を完成させ魔法陣が氷のように砕ける。
すると、ドラゴンの足元から絶対零度の氷結がドラゴンを浸食する。
致命傷を負いながらも必死で抵抗するが虚しくドラゴンは一つの美しい氷像となった。




「・・・・・・」
「・・ノワール」


変身を解除しいつもの綺麗な黒髪を靡かせたその目前には破壊された彼女の街

「私って弱いのかな・・・」

協会の人間が必死で怪我人を担架に乗せ次々運ばれている。
耳を塞いでも聞こえる人の断末魔、破壊されたビルにはまだ人が残っているんだろう。
ドラゴンを無事に討伐、そして今、紅夜たちが目の前にあるのは惨劇だった。

「ごめん。俺がもう少し気付いていれば・・・」

拳が血から滴る。もう少し早く気付いていればこんな事態を少しでも軽くできたかもしれないと

「ううん、紅夜は悪くない・・・私ひとりならドラゴンの奇襲に気付かずやられていたかもしれないから・・・」

長い髪により顔を確認することは出来ないがきっと彼女は・・・

『紅夜だけならもっと被害は少なくなっていたかもしれないね』
「「!?」」

それは突然のことだった忙しく教会関係者と呻き声する怪我人が消えたのだそれも一瞬で、そして全ての風景は灰色に染まりまるで自分たちが世界から切り離されたそう思わせる現象だった。

「だれ!?」

辺りを見渡す壊された建物だけが目に入り人の姿など確認ができない。

『こっち、こっち』

摩訶不思議な声のする方へ向くそこにはドラゴンが出現する前に目撃した純白のコートを着た誰かが、何もない空間が開きその姿を露わにした。
勿論、体全てを隠す様に羽織られた純白のコートからは口元すら見えない。

『この程度、見つけられない程度まで堕ちたの紅夜?』

まるで落胆するようにため息を付き、誰かは見えぬフードからこちらを見る

「知り合い?」
「・・・・言ったろ。俺は友達少ない。あんな変人なんか見たことすらない」

自分で言ってて悲しくなるが自分と似た服装するやつなんて初めて見た

『まぁ、いいや。ごめんねデートの邪魔しちゃって』



「デ、デ、デート!?。そんなことじゃないわよ!・・私たちそんな関係じゃないし。でも、紅夜がいいなら私は………」

横で表情を多々変え始めるノワールを紅夜は頭を傾げながら、突如現れた誰かを睨む。
誰かは紅夜の睨みを全く、気にもしない様に背中を向けた。
紅夜の思考に襲えと走るが、出来ない剣を持っている指が震えてしっかりと握ることができないのだ。
更に、思考より本能が語りかけるあれには絶対に勝てないと

『じゃあね紅夜。今度会う時はもっと自分を取り戻してね』
「!?」

横顔だけこちら向く誰かは親しい友人を見つめるような眼差しを紅夜に向ける。
そして、だれかは虚空に手を差し出すと空間が闇に包まれ扉のような形なる

「おい!おまえは・・・」
『本名は今伏せるよ。でもこれだけは名乗っておこうかな




ーーー僕の名前は破壊神『ゼロハート』』

その言葉を残しゼロハートと名乗っただれかは忽然と消えた。








「えっ?」
「!?」

再び世界が歪む。
まるで元々あった形に再構築されるようにそのいきなりの現象により抵抗も出来ず紅夜たちの目は真っ黒になった。



「・・・・なにが・・あったんだ?」

太陽の日差しに目を開けるそこには先ほど自分が決めたメニューのページが開かれていた
自分たちが座っているのは少しおしゃれな椅子そしてテーブルクロスが掛けられたテーブルそれは確かに自分たちの前で壊されたものだった

「外は!?」

ステンドガラス越しに外の光景は見るそこにはあのドラゴンが襲いかかるまえの日常だった

「紅夜?あれ・・・私・・?」
「・・ノワール。覚えているか?」
「覚えているってなに・・・」

ノワールの言葉が途中から止まった外の平凡な光景だがこの光景はさきほど確かに紅夜たちの目の前で壊されたはずのものだったからだ。

「もう一度聞くぞ覚えているか?」
「覚えているけどあれ?私が見たのは白昼夢?」
「さぁな・・・でも二人揃って同じ内容の白昼夢だなんて・・・ありえるか?」
「・・・ないわね」

一番最初に思いついたのは純白コートだ。
様々な謎が次から次へと出てくる時間操作をした?だとしたらいったいなんのためにそもそもあれほど巨大なモンスターなんてどこからやってきたんだ?

「一体なんだったのよ・・」
「分からん」

なにより情報が少なすぎる。一体なにが起こったのか今紅夜たちが見ているのが現実かそれとも夢なのか、だが紅夜の本能は全ての現象に対してあの純白のコートを羽織った誰かが犯人だと訴え続ける。

「・・・なに自分の頬抓っているの?」
「ふぅねにゃらひゃみしぇめしゃにゃるかにゃ、ちょ」

通訳:『夢なら痛みで目が覚めるかな、と』

「通訳がないと一文字も理解できなかったわ・・」
「痛みがするから現実だな」

抓った頬が痛むが感じる痛みは本物だ。
思いっきり捻った性が紅夜は痛そうに頬を摩る。

「・・紅夜って以外に可愛いところもあるんだ」
「なにか言った?」
「う、ううんなにも///」

なぜ顔を紅潮させるのか紅夜は意味不明だったが、そのあと違和感を感じながら一緒に食事をして街で遊び気付けばもう夕陽は落ちかけていた。

「綺麗だな・・」
「そうね・・」

二人でとくに理由もなしに展望台で佇み沈む太陽を眺める

「・・・(これって、やっぱデート?よね。う、うんこうみるとやっぱり紅夜ってかっこいい///。性格も優しいし強いし……って私はなにを考えているのよ!)」
「・・・(夕陽をこんなにゆっくり見るのは久しぶりだな〜〜この頃モンスターが異常に出てくるし忙しくなるのかなぁ)」

二人は全く違う考え方をしながら沈黙が走る。
傍から見ればそれは何か大切なことを告白する前のカップルにも見えた

「ね、ねぇ」
「ん?」

どこか落ちつきなくもじもじしながらノワールは紅夜によりそり重たくなった口を遂に動かした

「私のこと・・・その・・・どうおもっている?」

期待しているわけではないただ今日という不可解な現象を通して自分はどんな風に思われたのかそれが知りたくなった


「ノワールは友達だ。今日ずっと一緒にいたけど不器用なところもあるけど誰よりもラステイションの事を気にかけて真摯に自分のするべきことを成し遂げようとするこの国の女神だ。今日は俺が貸し切ったけどな」

まるで告白のように言う紅夜、ノワールは嬉しい気持ちと恥ずかしい気持ちで顔を真っ赤にしたけど、しかし紅夜はノワールの望んだ答えは帰ってきてないことに少しだけ寂しい顔をした。

「−−−紅夜」
「ん?」

ノワールに呼ばれ振り向こうとしたときに感じた頬に生温かくそして柔らかい感触

「これは・・・そう!今日のお礼よ!!それじゃまたね!」

疾風の如く逃走するノワール、紅夜はしばらく自分がなにをされたのか理解するためにそこで止まっていた。
沈みかけた夕陽はそんな初々しい二人を見守るように静かに煌いていた。

-10-
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