小説『超次元ゲイムネプテューヌ 黒閃の騎士』
作者:()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

今ある現実がもし壊されたとき人はどうするのだろう
壊されたものを元に戻そうする人
絶望しそのまま朽ちていく人



そんな人の歴史をずっと見てきた



時には介入しもっといい方へ導こうと人を斬ったこともあったかもしれない

結果的には確かにいい方法に進んだかもしれない

みんな平和が来たと歓喜の美酒を飲んだかもしれない

英雄だと言われ崇められたこともあったかもしれない



でも・・・


俺が介入したことにより決められた死人が多くなっていることになっているという結果

莫大な力を持つ者への宿命

そして俺はその世界で一度殺された


悪魔と呼ばれて








「はぁ・・・くそぉ!」

汗でベトベトとなった服を鬱陶しく感じながら身体を起こす
紅夜はどこかに向かって震える声を零し、呼吸を落ち着かせようと胸に手を置く。

「はぁ、はぁ、はぁ」

この世界に来て約一年と少し、最初はなかなか記憶に蓋を締めれなかったが少し前から快適に眠ることが出来
た。
しかし、この頃はかなり頻繁に見るようなったのだ自分とは違う自分の過去が

「俺は・・・くっ」

外を見ると雨が激しく音を奏で俺はそんな風景を見ながらなんとも言えない感情が逆周りし不快感を増幅させる。

「・・・・・・」

あの元気な……ネプティーヌ達は今日早速ラステイションの依頼を受けにいき元気よく外に出て行ったのを思い出す。
一緒に行かないと誘われたが立て続けに依頼がきてそれなりに疲労が溜まっていたので紅夜は今日は楽な依頼をやって休むといった。
彼女の性格上、中々引かなかったので紅夜は彼女の頭を撫でて説得すると顔を真っ赤になって絶対だよと去って行った。
他の二人は羨ましそうな視線が気になったが、紅夜は深く考えないことにした。

「行くか・・・」

漆黒のコートを羽織り『黒曜日』を背中に背負いゆっくりと立ち上がり宿屋を後にする。
自分が人間だと思っている信じているしかし、悲しい時に泣けない。
その理由は自分は知っている、しかし知らない。
まるで自分とは違う誰かが思い出すなと言っているように拒絶しているように全ては壺の中に納められ硬く蓋が閉じられている。


今日の依頼は封印の遺跡の下層部にいる野犬を倒す簡単な依頼で古風が感じられる一人ダンジョンの中を歩く。
漆黒のコートは足を進めるほどに無造作に振れ、深く被ったフードからは冷たいオッドアイの瞳が垣間見えるだけだ。
しばらく歩いていると突如、鶏のようなモンスターコカトリスが三匹、紅夜を囲み襲う前方とコカトリスが一番先に襲いかかるが

「ーーー消えろ」

低い呟きと共にコカトリスは宙を舞いバラバラとなった

「コケェェェッェェェェェ!!!!」

仲間がやられたことに激怒し、同時に左右から襲いかかるコカトリスに紅夜は黒曜日を冷静に二つの柄を持ち


−−−魔幻双天


一番先にやられたコカトリスと同じ末路を辿った。

「・・・・・・・」

屍を跨ぎ先へ進むその手にはモンスターの体液を垂らす双剣
黒曜日は二つ柄がある普通の剣がある持ち手の部分と刃の中にある後方部分にある。その両方を持ち半分に分けることで黒曜日は双剣としても使える。リーンボックスの鍛冶屋に無理言って造ってもらった特注品だ・・・・もちろんそれなり金は張ったが





「・・・いた」

「グルルルルルゥゥゥ」

だらしなく涎が滴り獲物を見つけたように唸るモンスター、ターゲットの野犬だ。昔の一部を見てしまった紅夜はかなり機嫌が悪い黒曜日を抜きその剣先を野犬に突きつける

「すぐに終わらしてやる」

「オオオォォォォ!」

咆哮と共に飛びかかる野犬、獲物を切り裂く役割を持つ爪と獲物を捉え食いちぎる牙をむき出し紅夜に飛びかかった


ーーー魔神剣・斬刀


「グルゥゥゥ!?」


先ほど自分の目の前にいた紅夜はいつのまにか野犬の背後を取っていた、そのことが分かっていながら野犬は動けない自分が見ている世界の違和感に右と左で見えているものにズレている。
そしてそれを理解する時には血飛沫をまきちらし絶命した。

「はぁ・・・」

自分は何をやっているんだろう思う勿論人を助けるのが一番だが、逆に言えばそれしかない。人を助けはするが自分はこのモンスターを殺していくだけしかできない達成感も感じないこの虚無感に大きくため息を付き帰ろうと足を進めようとしたとき

「−−−さすが噂に聞く『黒閃』ね」

凛とした声がダンジョンに響き渡った

「・・・はは、これは、大物に出会ったもんだ」

振りかえるとそこには、腰まで伸びた綺麗な銀髪、黒いレオタードのような服装、不敵に笑う凛とした貌、手には巨大なショートソードこの大地に住む物なら誰もが知っている

「ラステイションの守護女神(ハード)ブラックハート・・様かよ」

自分は初めて会うがプラティーヌ(変身後)とよく似た格好にそれに空気が普通じゃない

「ご名答よ。自己紹介の必要がなくちゃったわね。『黒閃』」
「・・・黒閃の名は勝手に名付けられた通り名だ。俺は零崎 紅夜、紅夜が名だ」
「そうなの?まぁいいか。あなた女神より強いらしいじゃない?」
「・・・・噂でそう言われた程度だ。別に俺自身そうは思ってない」

大陸を背負うほどの人だ。それなりの決意や修羅場を潜ってきているだろう自分にはそれほどの剛毅な精神はない

「まぁいいわ。紅夜、先日から問題になっていたモンスターを討伐してくれたみたいじゃないラステイションを代表して感謝するわ」
「・・・それだけか?」

彼女から溢れる闘気、感謝の意思は伝わるがそれ以上に彼女の空気は明らかに強者に合えた喜びに似た感情を読まさせる

「・・・・・女神に勝つほどと噂された男がラステイションに来たと聞いたから調子に乗った奴ならその天狗鼻を叩き割ってやろうと思っていたんだけど私のイメージとはすごく違うのね貴方は」

そんな噂、恐らくギルドの過激派が適当に流した情報だろうし・・・そもそも女神と戦ったことすらないんだが・・・・・

「女神としてはやはり面子が立たないか?」
「それもあるわね。だけど


ーーー純粋にあなたと戦ってみたいと思う気持ちの方が勝っているわ」


「そっか・・・」

戦闘マニアと言うべきことでもないけど好戦的という言葉が合うのかな・・・早く帰って寝たいんだけど拒否権はなさそうだしベール以外の女神にも興味がある

「あとの話は・・・これでいくか」
「へぇ〜意外に気が合いそうね。私もそう思っていたところよ」

力任せにフードを脱ぎ『黒曜日』の剣先をブラックハート様に向ける……今の自分がどこまでいけるかは試したいと思った

「・・・・・///」
「ん?どうしたんだ??」

俺がフードを取った瞬間ブラックハート様は顔真っ赤にした

「な、なんでも、無いわよ!行くわよ『黒しぇん』!」


・・・・・


・・・・


・・・


・・





噛んだ。ネプティーヌのように間違えることでもなく愛称を付けられることもなく

「〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
口に手を置きものすごく痛そうにする。なんだろうものすごい戦闘意識が削られる

「その・・・大丈夫か?」
「ひゃ、いひゃい」

痛いね。そんな解釈をして近付き回復魔法を掛けてやる。すると痛みが引いてのか先ほどと同じ表情に戻るかと思ったが顔面それはもう噴火三秒前くらい顔を真っ赤にした

「えっと、やるか?」

黒曜日を肩に乗せ問う正直言えばさっきのでなんだか戦う気力が失せた

「や、やるわよ!。はやく構えない!!///」

なんだがグダグダな雰囲気になってしまったがやるつもりならしかたがない

「あぁ、いいぜただしその頃、あんたは八つ裂きになっているだろうけどな」

お互い剣を構える先ほどまでのセリフに挑発乗ったのか再び闘気を溢れだすブラックハート様それでいい、じゃないとものすごいやりにくい。因みこのセリフなんか昔刀を使わない剣術を使っている人物の言葉を言ってみた

「くっ、なによそのかっこいいセリフ。私も決め台詞決めるのにずっと悩んでいるのに・・・ブツブツ」

あれ?たしかに挑発には乗ったみたいだけど違う方面で怒ってない?


最後までグダグダな雰囲気なままブラックハートVS零崎 紅夜の戦いは始った



-6-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える