「・・・・・・・あれ?」
目を開けると知らない天井あった
自分はいつのまにかベットに寝かされていた
「私・・・何やっていたんだっけ?」
記憶を掘り出してみる。いつものように雑務をこなしいつものように人々に危害を加えるモンスター退治、そして偶然出会ったずっと前からどこの大陸でも噂されていた謎のモンスターハンター
女神さえも倒すとも言われた強者で漆黒のコートで全身を隠し神速の速さと暴力とも言える力で封印されるほどのモンスターを一人で討伐する彼は『黒閃』と呼ばれたていた。
「私は・・・」
以前から興味があった。自分は己を高めるために強い者を探していたとは、言っても自分にも立場がありこの大陸から出ることは中々出来なかった
「『黒閃』に戦いを挑んで」
彼に逢えて嬉しかった自分と同じ者を見ているかもしれない彼なら全てを出しきって大丈夫だと思ったからだ勿論口先だけの者なら問答無用に叩き潰すつもりでいたが
彼の戦いはなにかが欠けていた彼本来の力じゃなくてまるで何かで固めた分厚い枷のようだった
「・・・・負けたんだ」
今更ながら悔しさが込み上げてくるシーツを握りしめ溢れそうな涙を我慢する陰ながらずっと努力してきたやっとそれを発揮できる人物に自分は真正面から打ち破られた全力を出させることなく
自分は弱いんだろうかずっと神界でライバルと決めていた女神になんど戦いを挑んで負けたのかずっと彼女を超えたいと願って誰にも見えないところでずっと努力してきたこと
その全てが無駄だと押しつけられたようで彼女ブラックハート改めノワールはついに涙を流した
「うぅぅ・・・」
呂律を零し一粒一粒、シーツを汚していった
すると突然、自分は抱きしめられた
「えっ・・・」
とっさのことで全く反応できなく上から服を着ていても肌で感じるガッシリ鍛えられた堅い胸に顔が付く
「ーーーなんで泣いているのか。俺には分からない、けど泣くときは思いっきり泣け。全部流してしまえばまた笑えるから・・・」
そして全てを包む優しく温かい手が彼女の頭を撫でたとき彼女の涙腺は崩壊した
「(やちゃったな〜)」
自分の胸には全てを流すような泣くブラックハート様
もう変身は解けて彼女に髪は黒曜石のような綺麗な黒色になり服装もどこかのお嬢様を思わせる服へと変わっていた
彼女を泣かしたのは間違いなく自分だろう、だから泣いてほしくないのその一心で彼女を抱きしめ自分でも言って恥ずかしい言葉を口にした
「(まぁ、結果オーライ・・・かな)」
彼女はベールと同じ大陸を統べる守護女神だ。
きっと、他人に相談できないようなことで悩んだり苦しんだりしたんだろう
「(防音結界張ってと・・・よし)」
彼女に意識を回しながら鳴き声が他の人に聴こえないようにする迷惑掛かるといけないし。今俺の中で泣いているのはブラックハート様じゃなくてどこにでいそうな一人の少女なんだから
「(今日は悪い天気だな)」
霧雨が振る外を見上げながら服にしがみつく泣く彼女の頭を優しく撫でながら俺、零崎 紅夜は無慈悲にすぎる時を感じながらゆっくり瞳を閉じた
「こんなに泣いたのは初めてよ・・・」
「ははは、気がすんだらならよかった」
まだ涙痕が残り顔を真っ赤にするブラックハート様その瞳は何かに吹っ切れた様子だった。
「最初にお礼は言っとくわ・・・ありがとう」
「どういたしましてブラックハート様」
面と向かってお礼をするのが恥ずかしいのか頬を紅潮させるブラックハート様、本心から言わせるととても可愛い。いつもの凛とした顔なのでギャップ萌えというものである
「ホント今思い出したらあなた全力を出さなかったわね」
先ほど一転鋭いまなざしが紅夜を刺したそれにを紅夜は冷汗をかきながら答える
「あのときは言うタイミングが無かったが俺実を言うとモンスター以外と戦ったことはほとんどないんだよ」
いままで自分に出来ることはモンスター討伐しか出来ない自分の実力は初めからあったし模擬戦は昔所属していた特命課の先輩くらいしかない。因みに結果は全ての攻撃を躱されてノックアウトだった
「・・・えっ?そうなの?」
紅夜は頭で人助けは向いていないことを直ぐに理解した。
なら自分に出来ることを捜索した結果、この並外れた力をモンスター討伐に集中することにしたのだ。
しかしそれは世間からすれば黒閃はモンスターしか討伐しないと認識されるようになったが、
「今までずっと殺す戦いをしてきたから倒す戦いになるとどうしても・・・ね」
手を合わし謝罪の意を込める紅夜に対してブラックハート様大きく息を吐いた
「まぁ、私も聞かなかったのはいけなかったし・・・だから紅夜は全力を出さなかったのね」
「そういうことです。ブラックハート様」
紅夜の丁寧な口調にブラックハートは眉を細めた。
「私の名前、ノワールだから」
「・・・・はっ?」
紅夜とベールの仲はそれなりに深い、確かに立場が全然違うので互いに遊ぶ時などは隠れ隠れで仲良さげに名前で呼ぶ合う。
しかし、彼女とは一戦を交わったと言っても相手は女神でこっちはいくら強くても一般人と変わらない。
紅夜は女性の名前を呼ぶ行為に対して何も思ってないが、さすがに引くものがあった。
「だから私の名前はノワールよ!」
「えっと、さすがに女神さまを名前で呼ぶには・・・」
「呼びなさい!」
え〜〜、と心の中で愚痴った自分は悪くないと思った。
紅夜からすれば、さっきまで自分ひとりで背負っている彼女を励ましてようやく泣き止んだかと思えば怒りが貌になったり女性とは本当に理解しがたい者だと頭を動かす。
「ノ、ノワール?」
「そ、そうよ///」
紅夜はとりあえず相手の想いを気遣って彼女の名前を呼ぶ。
ノワールは少し恥ずかしそうに嬉しそうにして顔を赤くする。
「身体どこか痛くないか?一応回復魔法掛けたんだが」
「……大丈夫よ。どこも痛くないわ」
「そっか、よかった」
もし、女性を傷物にしてしまえが男として最悪な行為だと紅夜はなんとなく記憶があり、ノワールが無傷なことに安心して微笑んだ。
「−−−−///」
またノワールの顔は真っ赤になる彼女は赤面症なのかと思ってしまう因み今の俺の服装は黒いTシャツだいつもの黒いコートは着ていない理由はノワールは放った火のバレットによりところどころ焼けてしまい今は修理をお願いしているだ。
服の換えはあるもののさすがにコートの予備は持ってきてない
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
そして沈黙が紅夜達を包む。
紅夜の知り合いに女性は何四人程いるが、一人はゲームオタクと言っても刺し違えのない女神様でその女神を病的までに慕う病弱な妹分とちっこい身長で守銭奴だが腕はいい錬金術師、必要以上話さないクールな先輩、とても個性的で紅夜にとってはノワールのようなタイプは始めてだ。
「「あの・・・どうぞ」」
とりあえず口を開くが同時になってしまい紅夜とノワールは言葉を紡ぐが、同時でお互い何を話せばいいか分からない。
またしても沈黙が走る紅夜は内心、無限ループだこれをどう破壊するか考えていると必死で話題を考えていると
キュ〜
と可愛らしい声が聞こえその発音原はノワールだった
「!!!」
「クク、腹減ったか?」
おなかに手を当て恥ずかしそうに俯くノワールに対し紅夜は微笑む。
「そっ、そんなこと・・・」
「自分に正直になれよ。どうせのことながら言うけど・・・友達いないだろ?」
紅夜は自分と同じ、人付き合いに慣れていないことを感じて、試しにと聞いてみるとノワールはまた顔を赤くしてそっぽを向く。
「あ、あんたには関係ないことでしょ///」
その返事は紅夜の考えていることに見事に嵌り、紅夜はノワールに向けて手を差し出した。
「それじゃ俺はお前の友達になっていいか?」
「え?」
「昔、誰かが言ってた気がするんだーーーー名前を交換することだけで絆は生まれるってな」
それを誰が言っていたのかは紅夜は分からないが、この言葉を誰かがが優しく語ったことだけは紅夜の耳に深く刻まれていた
「・・・・いいの?ーーーー私人間じゃないのよ」
ノワールは微かに震えた。
紅夜とノワールは存在が違う。
片方は人間で片方は女神
守ってもらう側と守る側
絶対に変わらないこの関係が原因で女神は崇拝される者となる。
それは、人間にとって崇める存在故に対等に話し合う奴などいない。いるわけがない。
しかし、紅夜は………
「はぁ、友達になるには人間通しじゃいけないルールがあるのか?」
関係ないと言い張った。
ベールを見ていると彼女は自由に生きている。
確かに女神としての役割を果たしているが彼女は今を楽しんでいる。
女神であろうと人間であろうと、自分の存在に固定して生きるなんてとても寂しいことだと思っている。
自分勝手な思いかもしれないが紅夜はノワールの話し相手ぐらいにはなってやりたい、この両肩に伸し掛かっている国民の期待を少しでも軽くできたならと紅夜は手を伸ばした。
「・・・・そうね。さっきの言ったことは忘れて」
しばらくノワールは驚いたように紅夜を見詰め、振り払うように首を振って指し伸ばされた手を取った。
「さっ、行きましょう。紅夜」
いままでにない彼女の美を証明させるような笑顔を見せた
「・・・・・・」
「えっ、紅夜?」
紅夜は一瞬ノワールの笑顔に魅入られ唖然としていたが直ぐに気を取り戻し笑顔で口を開く。
「やっぱりノワールには笑顔が合うな。綺麗で可愛いぞ」
彼女がこんなに綺麗に笑えることを嬉しく思えた。
「−−−−///」
しかし、この男は女心に対しては鈍いのになぜこうも女心を揺るがすことは上手いのか謎だ。
ーーーー気が付けば空は晴れていた