11話「彼ハ自分ノ彼女ト自分ノ姉ドチラヲ守ルノダロウ」
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翼「今回は真登目線です!」
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「姉ちゃん…」
目の前にいるのは先輩のお姉さん。
噂通りの外見。
つまり、ブサイクである。
私は、男こそはブサイク好きであるけど、女は可愛くあるべきだと思う。
だから、先輩のお姉さんは嫌いだ。
「ねぇ、丞…その子、丞の彼女なの?」
「…え…うん」
先輩は戸惑いながらも頷く。
彼女って言ってくれて私は嬉しい。
先輩が照れくさそうにしながらもまだ手を握っていてくれる事が嬉しい。
そして、そんな手を握ってる先輩と私を見比べると、お姉さんは大声で笑い始めた。
「きゃはははははははははははは」
「…ね、姉ちゃん?」
「彼女?丞に?なんか、騙されてんじゃないの?」
「違うよ…」
「丞なんかに彼女が出来るわけないじゃない!こんなブサイクなのに」
先輩のお姉さんはそう言い切った。
「………」
「まぁ、俺はブサイクだけどさ…」
「なんだ、分かってるんじゃない。自分の顔が分かってるんなら彼女なんか出来るわけないって分かってるでしょ?なんでそれなのに手とか繋いじゃってんの?気持ち悪い。彼女さんがかわいそうだわ。どうせすぐにドッキリ成功とか言ってくるだろうに、あんたと付き合ってたなんて黒い歴史残されたらもうその子がかわいそうでかわいそうで私見てられない」
先輩のお姉さんこんなに喋るんだ。
というか…もう我慢できない…かも…。
「あ、あの姉ちゃん…」
「お姉さん。私は、しっかりと先輩の事が好きです。ブサイクなところも、変態の所も、お姉さんが大好きなところも、少女マンガが好きなところも大好きです!ついでに言うと、私はお姉さんが大嫌いです。なんでかって?理由は簡単です。お姉さんが先輩のことが嫌いだからです。なんで毎日そんなことする必要があるんですか?」
「…な、なんのこと?」
「私は知ってるんです。毎日毎日お姉さんが先輩の写真を一枚ずつビリビリビリビリビリビリビリビリ破いてゴミ箱に捨ててる事!それから、朝ご飯をいつもおかずを一品奪ってる事も、出かけるときにわざわざ先輩の靴を踏んで出て言ってる事も…全部全部知ってるんですからね!ホント、ありえないです!こんな、顔も性格もそろってブサイクな人初めて見ました!あと…」
そこで私の台詞は止まった。
先輩に口をふさがれたのだ。
「ふぇ、ふぇんふぁい」
「はぁ…姉ちゃんと真登ちゃんのマシンガントーク久々に聞いたよ…」
「ふぁなふぃてくだふぁい!」
「…あのさ、俺を庇ってくれたんだろうけどさ…」
先輩が私の目を見る…。
「姉ちゃんの悪口言ったら真登ちゃん、怒るよ」
その目は確かに、怒っていた。
私に向けて、お姉さんを守るために…。