12話「結局、家族ニ勝ル愛ナンテナイノカモシレナイ」
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翼「今回は、江島視点です」
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−甲斐田家in江島の部屋−
「…本当か?」
「あぁ。真登が言ってた」
俺の部屋に集まっているのは、
丞以外の歴同会のメンバーだ。
「美人よりもブスの姉か…」
「丞らしいっちゃらしいんだけどな…」
「というか…江島はなぜそれを知ってる?」
「いやぁ。可愛い妹が俺に泣きついてきたモンでっ!」
「…嘘だろ?」
俺の受け答えが納得いかない魁人はそう反論した。
「残念ながら本当です…。私もしたくなかったけど…」
そう言って、俺の部屋を開けるのは
俺の妹の真登だ。
「真登ちゃん!!!!!!」
「…先輩…私のこと嫌いになったでしょうか?」
それはない。
あいつに限ってそれはない……が…。
「あいつ、姉ちゃんが大好きなんだよ…」
「……………」
俺の言葉に一歩後ずさりしたのは真登ではなく、歴同会のメンバーだ。
「知ってます…。見てましたから」
この妹の反応にも歴同会のメンバーは一歩引いた。
「す、ストカーって本当だったんだ…」
「え、えぇ。まぁ、今日は行けないですけど…」
妹は、本当に丞のことが好き。
たとえ、それを通して明を見てたとしてもそれは変わらないだろう。
「…江島。お前、こないだまで他人のフリしてたくせによくこんな兄妹面できるな!」
そう言ったのは加藤である。
「いや、だって今までのは結局フリなわけだし…」
「そうですよ…。私はこいつのこと嫌いですけど、こいつは私のことすっごい好きですからね?」
………それは嘘だ。
俺は真登のことは……好きではない。
「嘘だよな?江島?」
「あぁ。こんなやつのこと真に受けるなよ…」
「だ、だよな…」
「全く…。俺は真登のことすっごい好きなんかじゃない。死ぬほど愛してるんだ」
そう。
きっと丞も俺と同じ。
結局、家族よりも勝る愛なんてないんだよ。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?????」